闇と光の慈愛のコントラスト(98)新たな時
==第二章、闇と光の決着==
--新たな時(011)封建制度③--
ゼーデェは、戦いで奪(うば)い取った闇の種族の農地に着いた。
当然、畑の食物は生き物。
農地の世話をしなくてはならない。
他にも10人の若者を連れている。
若者たちは、それぞれ散らばり、畑を見回り葉や土を触(さわ)った。
「問題ない。今は、水をやらなくても大丈夫そうである」
家の灯が消えている。
静まりかえった村。
ゼーデェは、一件一件、家の中の様子を確認する。
人が残っていないか確かめるのである。
中に入る。
無造作(むぞうさ)に食器や家財道具が置かれている。
洗っていない木の皿が置いてあるテーブル。
スープが入った土鍋がある。
ベッドと掛けられた布。そして、戸棚。
突然、襲われた。
今は、人はいない。
幸せに暮らしていた跡(あと)である。
ゼーデェは、訳が分からず涙が流れた。
ゼーデェ自身、戦いに参加したのである。
闇のものを光の神に逆らう悪魔であるかのように思っていた。
でも、家の中を見て、普通に畑を耕し子供を育てて生活している家族であると知った。
しかし、そんな感情は、吐(は)き捨(す)てなければならない。
(我々は、光の神の民(たみ)なのである。
光の神に生み出された民である)
本当は、闇の長アクデシアから光の神イリノイスがもらった命の種から生まれたことを知らない。
彼らは、生みの母を殺したのである。
闇の村の偵察(ていさつ)には、なんら問題はなかった。
今、一つの街が死んだ。
そして、新たに街が生まれる。
ゼーデェは、若者を連れて光の種族の村に帰っていつた。
はじめて、戦争の虚(むな)しさと残酷(ざんこく)さを味わった。
つづく。 次回(金塊の発掘)
漢字に読みをつけていますが、読者を甘えさせるためではありません。熟慮(じゅくりょ)して学習に役立てんことを望みます。
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