小さい頃から蕎麦が好きという枯れた子供だった。家族で外出して「さて、お昼だから食事にしようか。何か食べたいもんある?」と聞かれると判で押したように「蕎麦!」と言い、蕎麦屋に入って頼むのは決まって「もり」か「ざる」。どういうわけか、天ぷら蕎麦やカレーうどんなんぞには目もくれなかった。子供だから味の微妙な違いなんかわからず、別に本格的な高い蕎麦屋でなくても十分「おいしい」と喜んで食べていたわけで、親にしてみればこんな安上がりな子供もいなかったことだろう。うえぽん一族は、気に入ったものは飽きるまで延々と選ぶクセがあるようで、食べ物なら気に入ったメニューを毎日のように食べても平気だったし、洋服も同じような柄やデザインの物を毎日のように着続けたものだ。まるでドラえもんの登場人物のように。
小さい頃、あまりにもりやざるを食べ続けたせいか飽きてしまったようで、最近は蕎麦屋に入るとそれ以外のメニューを頼むようになったが、それでも一度気に入った店で同じものを毎回頼むクセは抜けない。他のメニューで「ハズレ」だった時がイヤなのだ。
例えば、バス会社時代に出前でひいきにしていた中華料理屋があったのだが、そこのメニューで一番大好きだったのがあんかけチャーハン(略して「あんチャー」)。そこの店に出前を頼む時は必ず「あんチャー」だったのだが、ある泊まり勤務の夜、「たまには他のメニューも試してみよう」という気持ちが起こった。これが失敗だったのである。その時、上司のK主任に「ここの料理すごく美味しいんですよ」と力説し、「じゃ、私も同じのにしよう」と2人で麻婆丼を頼んだのだが、確かに途中までは美味しかった。しかし、香辛料が異様に多く、徐々に2人ともつらくなり「うえぽんくん。これ、ちょっと辛いよ…」と、K主任が涙を流し始めた。辛いのが苦手な私も既に涙ボロボロ。必死の思いで食べきったが、しばらくは舌が痛くて2人とも仕事にならなかった。以降、その店の出前では頑なに「あんチャー」を頼み続けた私である。
もう1軒出前でひいきにしていた店は蕎麦屋で、ここで頼むのは決まって「ちゃんこうどん」か「けんちんうどん」。たまには天ぷら蕎麦とか鴨南蛮とか頼もうかなとは思ったのだが、蕎麦はうどんと違ってのびてしまうため、なかなか頼む機会が無いまま終わってしまった。
また、この店の名物にカツ丼がある。うどん・蕎麦類より少し値が張るので普段は頼まない。これを頼むのは、給与計算やイベントなどで事務員が全員出勤する時と決まっていた。カツが柔らかく、甘辛さが絶妙で、上司のY主任などは「いろんなところでカツ丼食ってきたけど、ここのが一番うまい!!」と、ここのカツ丼を食べるたびに感動していた。
蕎麦の話で始めたが、だいぶ飛んでしまった。しかも、あそこのカツ丼が食べたくなってしょうがなくなってきた。ちょうど、来週そこのバス会社の営業所でイベントがあるので、それにかこつけて食べに行くとしましょうか。
小さい頃、あまりにもりやざるを食べ続けたせいか飽きてしまったようで、最近は蕎麦屋に入るとそれ以外のメニューを頼むようになったが、それでも一度気に入った店で同じものを毎回頼むクセは抜けない。他のメニューで「ハズレ」だった時がイヤなのだ。
例えば、バス会社時代に出前でひいきにしていた中華料理屋があったのだが、そこのメニューで一番大好きだったのがあんかけチャーハン(略して「あんチャー」)。そこの店に出前を頼む時は必ず「あんチャー」だったのだが、ある泊まり勤務の夜、「たまには他のメニューも試してみよう」という気持ちが起こった。これが失敗だったのである。その時、上司のK主任に「ここの料理すごく美味しいんですよ」と力説し、「じゃ、私も同じのにしよう」と2人で麻婆丼を頼んだのだが、確かに途中までは美味しかった。しかし、香辛料が異様に多く、徐々に2人ともつらくなり「うえぽんくん。これ、ちょっと辛いよ…」と、K主任が涙を流し始めた。辛いのが苦手な私も既に涙ボロボロ。必死の思いで食べきったが、しばらくは舌が痛くて2人とも仕事にならなかった。以降、その店の出前では頑なに「あんチャー」を頼み続けた私である。
もう1軒出前でひいきにしていた店は蕎麦屋で、ここで頼むのは決まって「ちゃんこうどん」か「けんちんうどん」。たまには天ぷら蕎麦とか鴨南蛮とか頼もうかなとは思ったのだが、蕎麦はうどんと違ってのびてしまうため、なかなか頼む機会が無いまま終わってしまった。
また、この店の名物にカツ丼がある。うどん・蕎麦類より少し値が張るので普段は頼まない。これを頼むのは、給与計算やイベントなどで事務員が全員出勤する時と決まっていた。カツが柔らかく、甘辛さが絶妙で、上司のY主任などは「いろんなところでカツ丼食ってきたけど、ここのが一番うまい!!」と、ここのカツ丼を食べるたびに感動していた。
蕎麦の話で始めたが、だいぶ飛んでしまった。しかも、あそこのカツ丼が食べたくなってしょうがなくなってきた。ちょうど、来週そこのバス会社の営業所でイベントがあるので、それにかこつけて食べに行くとしましょうか。