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イマを見つめて
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三遊亭円楽師匠、引退

2007年02月26日 07時27分00秒 | 音楽・芸能
名人と称された往年の大落語家に、こんなエピソードがある。或る日、彼が高座で居眠りしてしまった。しかし客は、じっとその姿を見続けていた……。
「名人とは、そういうものだ」なんて語る人もいるが、それって違うでしょ?
客が見たかったのは名人の芸ではなく、名人自身だったってこと。悪く言えばパンダなどの珍獣を見るような気持ちで見てたんだろう。

俺は珍獣として見られるのは、まっぴら御免――それが円楽師匠引退の決意だろう。実力がない噺家を真打にするのはおかしいと主張して師匠・円生とともに落語協会を離脱したほど「芸」には厳しい人だ。
「満足に芸ができない人間が高座に上がるのは許せない! だから、俺は俺が高座へ上がるのを、もう許さない」って気持ちではないかと察する。

考え直せと説得しようとしている周囲もいるようだが、それは御本人に失礼だと思う。名人を珍獣にしてはいけない。御本人の意志を尊重するべき。

引退は落語を辞めるだけで、芸能界から完全に引退するとは言ってない。トーク番組などに出演する意向はあるようだ。持ち前の機知に富んだ洒落っけが回復すれば、紆余曲折、様々な経験をしてきた方であるから、色々とおもしろい話も聞けそうだ。今後の円楽師匠の動向を温かく見守りたい。

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