時代のウェブログ

イマを見つめて
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三沢が二足の草鞋を履いてたのは

2009年06月15日 11時55分30秒 | スポーツ
三沢死亡のニュースを扱ったワイドショーが、三沢がノア社長だった事に触れて「レスラーと社長を兼務するのは負担が大き過ぎるのではないでしょうか。そういう組織も改めるべき」みたいな意見を言っていた。プロレス会社の社長は伝統的にレスラーが務めている。長年、全日本プロレスの社長はジャイアント馬場だったし、新日本プロレスの社長はアントニオ猪木だった。

手元に一冊の本がある。『プロレス仕掛け人は死なず』。著者は新間久。長年、新日本プロレスの専務として闘魂十番勝負などを仕掛けた人間だ。猪木の腹心だった人物だが袂を分けた後は訴訟沙汰にまでなった。
その新間解任から旧UWF設立までの過程を描いた一種の暴露本である。これを読むと猪木・長州・藤波・前田などのレスラーが当時の新日でどんなポジションにいて、どんな事を考えて何をしていたのかが(新間氏の視点からではあるが)色々と覗えてとてもおもしろい。
もうひとつ、この本の特徴は、愚痴が非常に多い(笑)。随所に新間氏の愚痴が書かれている。その内容は「レスラーは自分の言う事を全然聞かない。専務なのに」という感じ(笑)。専務として会社にベストな事業を展開しようとしているのに、レスラーがそれに従わないと言うのだ。そして新間氏が挙げる理由は「レスラーは、プロレス団体はレスラーのファィトで食っているという自負が強いから」。

ある歴史上の人物を思い出した。それは石田三成。豊臣秀吉の死後、三成は豊臣政権維持のために様々に画策する。しかし加藤清正、福島正則らがそれに従わずに豊臣政権は滅ぶ。加藤や福島が徳川に味方したのは反三成感情が原因とまで言われる。「戦場で何の働きもしない者が偉そうに指図するな」ということらしい。加藤や福島がレスラー、三成がフロント(新間氏)と重なる。

高橋留美子の漫画『犬夜叉』は大好きな作品だが、その中でも特に好きなのが「七人隊編」だ。荒くれ者7人の集団が犬夜叉の敵として立ち塞がる。黒沢明の『七人の侍』の侍7人が敵役になったような感じ。とにかく強い。その強敵6人が倒れて、最後に首領の蛮骨ひとりが残る。犬夜叉との最終決戦。これがまた強い。他の6人も相当強かったが、蛮骨は段違いに強い。
蛮骨が犬夜叉に言う。
「俺がどうして、あの人殺し集団を束ねてこられたか知っているか? それは俺が一番強かったからだよ!」

プロレス会社の社長はレスラーが務めるのが慣例となっている。それはレスラーでなければ荒くれ者揃いのレスラー達を束ねられないからではないのだろうか?
一般社会の人間が「社長とレスラーの兼務は大変」なんて常識で述べるのは、単に机上の空論なのかもしれない。


レッドデータブック誤り多数 熊本県、回収し再発行へ

2009年06月15日 01時53分00秒 | 社会・経済
レッドデータブック誤り多数 熊本県、回収し再発行へ

記事を整理すると、
1.熊本県自然保護課が2008年6月を締め切りに執筆者(「ら」とあるので複数)に原稿を依頼。
2.しかし締め切りに原稿が集まらず、2009年3月まで掛かる。
3.単年度予算のために刊行を翌年度まで延ばすことができず、校正しないまま発行。
が、誤りが起きた原因らしい。

締め切りを9ヶ月も破るとは大したものだが、そもそも執筆者とは締め切りなど守らないと考えるのが出版界の常識である(笑)。
プロの編集者がライターに仕事を依頼する際に、最初に告げる締め切りはダミーと考えていい(もちろん週刊誌等は除く。書籍の場合のお話しネ)。
編「先生、6月15日までに原稿お願いします」
作「裸邪!」って感じね。
6月12日か13日頃に編集者からセンセイに確認が入る。
編「原稿の進み具合はいかがでしょうか?」
作「それがサ……。吾輩は頑張ってたんだけど、取材先がなかなか資料を出してくれなくってサ……。15日って無理だわさ」
編「あらら……。じゃ、どのくらい要りますか?」
作「あと1週間あると助かんだけどサ……」
編「1週間は厳しいっス。5日でなんとかなりません?」
作「がんばってみるわね」
それから1週間。
編「先生、明日が締め切りですけど、大丈夫ですか?」
作「それがサ、昨夜、突然、子供が熱出しちゃって、病院へ連れてったりして大変だったのよ。明日は無理みたい」
編「困りましたネ。……じゃ、あと2日だけ何とかしましょう。次は”本当に”宜しくお願いしますよ」
――こうして本当の締め切りが決まっていく。
この辺が編集者と作家の呼吸であり、長年の経験だ。書く方も本当の締め切りは守る(これを破ると”次の仕事”が危ないww)。

県自然保護課にこうしたノウハウがあるとは思えない。おそらく「馬鹿正直」に交渉していたのだろう。そうなると執筆者のほうもなかなか動かない(締め切りなんて破れるに越したことがないww)。
外注の丸投げしてる役所の仕事ぶりが批判されている。でもノウハウを持ったプロに任せることも必要だ。今回の事態も編集プロダクションに依頼して執筆者と保護課の間に本職の編集者を入れておけば、このような失態は避けられたように感じる。結果的には税金の無駄遣いの防止にもなっただろう。
それでメシを食ってるプロというのは、それなりの技術や経験を有している。