時代のウェブログ

イマを見つめて
提言します

ジェネリック医薬品は誰のため?

2008年09月07日 11時14分00秒 | 社会・経済
ジェネリック医薬品という言葉を知らない人はもう少数派ではないか?

新薬の開発には膨大な開発費がかかる。そのため製薬会社は特許権(20年)を取得して開発した新薬を独占製造販売する。薬価には開発費が上乗せされる。この特許期間が過ぎたあとに他社が発売する後発医薬品がジェネリック医薬品だ。開発費分が上乗せされていないため、先発医薬品よりも安価になる。

全く同じ薬剤ならばジェネリック医薬品のほうが患者に有利なのは間違いない。
薬剤は専門知識が必要だから素人には解り難い商品だが、例えば家電や自動車などの工業製品をイメージしてみれば良い。20年前の家電と現在の家電は同じ「テレビ」、「冷蔵庫」といっても性能が全然違う。
新たな商品が開発されるには、それないり理由があり、改良されている。

もちろん大して変わらないのならばジェネリックのほうが構わないと言う患者もいるだろう。しかし昨今のジェネリック医薬品ブームを見ると、それがエスカレートしすぎて「ジェネリック医薬品を出す医者は患者思いの良い医者、出さない医者は金儲け主義の悪い医者」といった間違ったイメージさえ生まれつつあるように感じる。

安価なジェネリック医薬品は患者の支払い額が下がるが、それ以上に国の負担額も下がる。膨らみ続ける医療費に悩む国としてはジェネリック医薬品が増えるほうが望ましい。昨今のジェネリック医薬品ブームを見ると、そんな意図があるのではないかと感じてしまう。

筆者も持病を持ち、医薬品を常用している。ジェネリック医薬品もあるし、先発医薬品もある。診断をしてくれている医師は「これはジェネリックがありますが、これはありません」ときちんと説明してくれて処方箋を出してくれている。これが望ましい関係だろうと思う。

患者側も正しい理解が必要だろう。「あの医者はジェネリックを処方しないから金儲けに走っている」なんて風潮が進行すれば医師へのプレッシャーとなる危険性がある。そうなると「本来はこの先発医薬品がベストな処方なのだが、劣ってもジェネリックに下げよう」なんて医者が出ないとも限らない。
薬価に文句を言わない金持ちはベストな医薬品を処方され、文句をつける貧乏人はベストではない後発安価医薬品――ともなれば即ち「生命の価値の格差化」である。
ジェネリック医薬品に関心を持つのは大いに結構だ。だが「ジェネリック医薬品が庶民の味方で、先発医薬品は金の亡者」といった誤った妄信は自らの生命を縮めることにもなりかねない。


最新の画像もっと見る