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ロリータコンプレックス

2006年08月26日 23時04分54秒 | 社会・経済
これまでジョンベネ事件については、敢えて取り上げずに来た。カー容疑者が真犯人か、あるいは違うのか、全く解らない。犯人で無いならば、なぜ自分が殺したと自白するのか理解できない方もいるだろう。しかし、小児偏愛事件は一般の事件とは異なる部分がある。例え自分が死刑になろうとも、愛する者との接点を持ちたい。自分が無関係な存在ではなく、愛する者と接点を持つ存在でありたい。そんな歪んだ愛情が、自白に繋がった可能性が全く無いとは言い切れない気がする。
小児性愛殺害事件が連続した昨冬、ロリータコンプレックスに関する私見を書いた。わざわざ別のサイトまで行って読んで下さる方はそういないと思うので、再掲します。


コンプレックス=劣等感は誤りと聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。正確に言うと劣等感はインフェリオリティ・コンプレックスといい、数多いコンプレックスのひとつです。敢えて訳せばインフェリオリティ=劣等、コンプレックス=感となり、すなわち「背が低いのがコンプレックス」と言うよりは「背が低いのがインフェリオリティ」と言う方がまだまともです。ではコンプレックスとは何かと言うと、複合概念です。言わば「いろんな思いがごっちゃになったもの」と言えるかな。ひとつのビルにたくさんの映画館が入った娯楽施設をシネ・コン=シネマ・コンプレックスと言いますが、これは「映画館複合施設」という意味です。

マザ・コン、ファザ・コンを「母親や父親に対する劣等感」と知ったかぶって言う人がいますが、上記からもこれが誤りと解ります。ちなみにマザ・コン、ファザ・コンは俗語で、心理学ではエレクトラ・コンプレックス、エディプス・コンプレックスと言います。どちらも古典劇の登場人物です。無名塾の仲代達也がよく演じてるギリシャ悲劇の『オイディプス王』、あのオイディプスがエディプスさんです。エレクトラも同じソフォクレスの悲劇です。こっちは観たことありません。
ロリータ・コンプレックスも俗語ですが広く市民権を得ているようで、「ウラジミール・ナボコフの小説『ロリータ』に由来する」なんて辞書にすら載っています。逆に少年愛はショタ・コンと言われますが、こちらはまだ市民権が無いようで辞書には載ってません。俗説では横山光輝の『鉄人28号』の金田正太郎に由来すると言われますが確証はありません。

ロリコンと言うと、すぐに少女に悪戯をする輩―奈良の新聞勧誘員とか広島のペルー人などが思い浮かびますが、彼らは外道ロリコンです。定義で言えば「少女に恋愛感情を抱く者」と言えるでしょう。恋愛とセックスは密接な関係にあるのでこういう犯罪を犯してしまう者もいますが、プラトニックなロリコンもいれば無自覚なロリコンもいます。少女への性犯罪の中には「大人の女性に相手にされないので少女を狙った」という自供を聞きますが、これはロリコンではありません。単なる代償行為です。心理学でのロリコンとは成熟した女性に愛情を持てず、未成熟な少女しか愛せないことを言います。決してロリコンを肯定してる訳ではありませんよ。
かつては同性愛者はアブノーマルとされて異常者扱いされていましたが、もし現在そんなことを公言すれば差別とか名誉毀損とかで糾弾されそうです。同性愛はアイデンティティーとされる傾向にあります。なお同性愛もコンプレックスのひとつと言えるでしょう。
そう考えるとロリコンもアイデンティティーのひとつと言えそうですが、社会的に大きな問題が生じます。それは恋愛対象とされる少女が精神的に未成熟な子供だからです。これはショタ・コンも同様です。

肉体的に成人に達しているのが精神的に成熟しているかどうかの議論はまたの機会に譲るとして、やはり少年や少女を恋愛の対象とするのは現在の倫理観からすればタプーであることは間違いありません。
たとえ性的な悪戯をする訳ではなく、大人は子供をかわいがり子供は大人になついているだけでも、ロリータ・コンプレックスは子供に様々な発達障害を起こしかねません。先に述べた無自覚なロリコンは意外と多いのです。
例えば男が20歳、女が10歳の時に出会った。仲睦まじい関係が続き男30歳・女20歳で結婚した――何時の頃からか恋愛感情が芽生えていたのか、誰にも解らない。これって全然、問題にされませんよね。30歳と20歳の夫婦なんて普通です。

時代は子供を守る方向に動いています。例えば児童ポルノ禁止法が施行されて、子供を性の対象として商売することなどは禁じられています。しかしロリコンが、これまで述べてきたように『心の問題』である以上、いくら法を強化して刑罰を重くしても根本的に解決しません。法で人間は縛れても、心は縛れないからです。
現代において子供を守るためには、こうした大人側の心の問題と真摯に向き合っていかなければなりません。単なる異常者の起こした犯罪という見方では、いつまで経ってもこの種の犯罪根絶は不可能でしょう。なぜならば彼らは現代の社会通念からは逸脱している存在ですが、単なる異常者ではないのですから……。


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