■「働かない公務員」は本当か?
大学1、2年生に聞いた「就職したいと思う企業・業種ランキング」アンケート調査で、
地方公務員が堂々の1位に輝いていた(マイナビニュース、2015年9月29日)。
また、会社員が「転職してみたいと思う公務員TOP10」でも、
地方公務員が他を大きく引き離し1位(R25、2016年2月19日)と、
地方公務員人気は極めて高い。
「安定している」「転勤がない」「ラクそうだから」……。
大学生や若いサラリーマンたちからすれば、そう見える部分もあるだろう。
大企業もあっけなく倒産したり、買収されたりする時代。
自分たちの将来に不安を持っていれば、なおさらだ。
しかし、本当に地方公務員の仕事を理解しているのか。
ちょっと懐疑的になる人気度である。
本書は、現役地方公務員のこれまでの奮闘記である。
佐賀県庁職員である筆者は、「現場主義」を掲げ、
寝る間も惜しんで救急医療改革を手掛けてきた人だ。
その筆者が序章で、冒頭で記した
「就職したい企業・業種ランキング」
第1位になったことに危機感を感じているという。
なぜか。
<安定志向のイメージが独り歩きして、競争しなくてもいい、
成果に追われずクビにならない職業として公務員人気が高まっているとしたら、
それは本末転倒だろうし、厳しい言い方をすればそんな職業は近い将来、
社会から必要とされなくなってしまうだろう>
確かに、その通り。
勘違いしている人がたくさんいて、そういう輩に限って、
公務員試験に受かってしまい、
住民にとっては迷惑千万な怠慢職員となっている。
そんななか、筆者は「公のための挑戦」をする仕事だと言い切る。
本書は、それを身を持って実行してきた記録なのである。
筆者が入庁後、最初に配属されたのは土木事務所の用地課だった。
地権者相手に公共用地確保のため、
買収交渉などを行うセクションだ。
最初の仕事でスーツ姿で農家に挨拶に行ったら
「お前、そがんキレイな格好ばしておいの土地ばちゃんと見てきたとか? 」
と怒られた。
健康福祉本部医務課に異動して数日後、佐賀広域消防局に出向き、
救急医療の現場を直に知るため、
「救急車に乗せてほしい」と申し出たときは、
「なんば考えとっとね、君は! バカじゃなかね」と怒鳴られた。
そう、本書は筆者の失敗の記録といってもいい。
いや、さまざまな経験を積み重ね、
その教訓を生かして成功の方策を模索しながら
構築していくようすを具体的につづりながら、
筆者は佐賀県の救急医療の現場で、
救急車にiPadを導入して救急搬送の時間短縮化を推進したり、
ドクターヘリの配備などを次々と実現していっている。
公務員の世界では、“希少種”といっていい存在なのかもしれない。
だからこそ、自ら「はみだし公務員」と名乗っているのである。
しかし、多くの公務員に希望の光を見せるとともに、
この書は民間で働くサラリーマンの人たちにとっても
うなづきや気づきを与えてくれるだろう。
失敗から学び、目的へのベクトルを繋いでいく。
それは公務員でも民間企業でも同じことだからだ。
チャレンジなくして、仕事の達成感、面白みは味わえない。
仕事とは、そういうものだからだ。
つまりこの本は、いま多くの人たちが「守りの仕事」で
自分の仕事の可能性を狭めているなかで、
本当に楽しい仕事を自ら創造するためには何が必要なのか、
いわば“ポジティブ・シンキングの指南書”だと言えるだろう。
-プレジデント 3月13日(日)16時15分配信 -
私は度々、政治屋と官僚たちを批判してきたが
地方公務員はどうだろう。
中にはこの人はどうか、
と思わせる人もいるようだが、
おしなべて皆さん頑張っているように見える。
ただ、それは自分に課せられた仕事に忠実と云う意味で
プラスアルファの仕事や、
自分の仕事の意義に於いて疑問を持つという意味では
いささか心もとない。
でも、今ここで私がこの記事の主題として捉えたいのは
多くの若者の地方公務員の安定志向に群がる姿勢だ。
本記事の中でも、地方公務員だからといって云々と
決して楽を求めて就職するべき職種ではないことを
諭すように話しているが、
問題の本質は、
どんな仕事も甘くない、
もっと使命感を持って仕事を選ぶべきだと云いたいのだろう。
それは勿論正論だ。
それでも私はあえて言いたい。
若者の強い地方公務員志向、安定志向の願望は、
それ以外の職種の抱える問題にこそあると思う。
一般的民間経営会社の職場が抱える問題は
その職場によって違うが
無視できないほど深刻な状態のものがい多い。
長時間労働や慢性的な人員不足、
低賃金労働や、肩書だけの管理職、
公務員との生涯賃金・年金受給の格差、
ハラスメントに対するデリカシーのない社風や、
病気や出産に対する理解の欠如から、休みたくとも休めない体制、
ブラック企業の不当な労働行為や、
正規社員・非正規社員の格差や雇用の不安定さなど、
数えあげたらきりがない。
それでなくても日本の職場環境は、総じて諸外国と比べ
厳しいのではないかと思われる。
それらを全て勘案したなら、
若者の逃避行動・逃避志向は当然とも思われる。
しかし、資源の乏しいこの国をここまで押し上げてきてくれたのは、
競争相手であった欧米などの諸外国と比べ、
劣悪ともいえる職場環境に身を置いていても、
くじけず頑張り続けた名も無き労働者一人ひとりの働きによるものだ。
そんな驚異の成長を実現させた日本人の頑張りに対し、
畏怖の念と敬意を表する外国人の何と多いことか。
そのことは同じ日本人として誇りに感じて良いと思う。
職場の労働環境改善の努力を進めるのは当然のことだが
これからの若者は、今ある社会の『ありのままの状態』の中でも、
果敢に自分のやりたい道を見つけ、挑戦する姿勢を見せてほしい。
労働環境の整備は、行政と経営者たちが
働く現場の意見を聞き、その目で見、
責任ある改善と努力をするべく、託される分野だが、
具体的に努力の結晶や成果を上げていくのは、
現場で働くあなたなのだと
責任感と自覚、そして誇りをもって望んでほしいと思う。
一度退職しても、再度社会復帰を模索しているオヤジが一句。
それでもね お金・休み 欲しいよね
お粗末。
大学1、2年生に聞いた「就職したいと思う企業・業種ランキング」アンケート調査で、
地方公務員が堂々の1位に輝いていた(マイナビニュース、2015年9月29日)。
また、会社員が「転職してみたいと思う公務員TOP10」でも、
地方公務員が他を大きく引き離し1位(R25、2016年2月19日)と、
地方公務員人気は極めて高い。
「安定している」「転勤がない」「ラクそうだから」……。
大学生や若いサラリーマンたちからすれば、そう見える部分もあるだろう。
大企業もあっけなく倒産したり、買収されたりする時代。
自分たちの将来に不安を持っていれば、なおさらだ。
しかし、本当に地方公務員の仕事を理解しているのか。
ちょっと懐疑的になる人気度である。
本書は、現役地方公務員のこれまでの奮闘記である。
佐賀県庁職員である筆者は、「現場主義」を掲げ、
寝る間も惜しんで救急医療改革を手掛けてきた人だ。
その筆者が序章で、冒頭で記した
「就職したい企業・業種ランキング」
第1位になったことに危機感を感じているという。
なぜか。
<安定志向のイメージが独り歩きして、競争しなくてもいい、
成果に追われずクビにならない職業として公務員人気が高まっているとしたら、
それは本末転倒だろうし、厳しい言い方をすればそんな職業は近い将来、
社会から必要とされなくなってしまうだろう>
確かに、その通り。
勘違いしている人がたくさんいて、そういう輩に限って、
公務員試験に受かってしまい、
住民にとっては迷惑千万な怠慢職員となっている。
そんななか、筆者は「公のための挑戦」をする仕事だと言い切る。
本書は、それを身を持って実行してきた記録なのである。
筆者が入庁後、最初に配属されたのは土木事務所の用地課だった。
地権者相手に公共用地確保のため、
買収交渉などを行うセクションだ。
最初の仕事でスーツ姿で農家に挨拶に行ったら
「お前、そがんキレイな格好ばしておいの土地ばちゃんと見てきたとか? 」
と怒られた。
健康福祉本部医務課に異動して数日後、佐賀広域消防局に出向き、
救急医療の現場を直に知るため、
「救急車に乗せてほしい」と申し出たときは、
「なんば考えとっとね、君は! バカじゃなかね」と怒鳴られた。
そう、本書は筆者の失敗の記録といってもいい。
いや、さまざまな経験を積み重ね、
その教訓を生かして成功の方策を模索しながら
構築していくようすを具体的につづりながら、
筆者は佐賀県の救急医療の現場で、
救急車にiPadを導入して救急搬送の時間短縮化を推進したり、
ドクターヘリの配備などを次々と実現していっている。
公務員の世界では、“希少種”といっていい存在なのかもしれない。
だからこそ、自ら「はみだし公務員」と名乗っているのである。
しかし、多くの公務員に希望の光を見せるとともに、
この書は民間で働くサラリーマンの人たちにとっても
うなづきや気づきを与えてくれるだろう。
失敗から学び、目的へのベクトルを繋いでいく。
それは公務員でも民間企業でも同じことだからだ。
チャレンジなくして、仕事の達成感、面白みは味わえない。
仕事とは、そういうものだからだ。
つまりこの本は、いま多くの人たちが「守りの仕事」で
自分の仕事の可能性を狭めているなかで、
本当に楽しい仕事を自ら創造するためには何が必要なのか、
いわば“ポジティブ・シンキングの指南書”だと言えるだろう。
-プレジデント 3月13日(日)16時15分配信 -
私は度々、政治屋と官僚たちを批判してきたが
地方公務員はどうだろう。
中にはこの人はどうか、
と思わせる人もいるようだが、
おしなべて皆さん頑張っているように見える。
ただ、それは自分に課せられた仕事に忠実と云う意味で
プラスアルファの仕事や、
自分の仕事の意義に於いて疑問を持つという意味では
いささか心もとない。
でも、今ここで私がこの記事の主題として捉えたいのは
多くの若者の地方公務員の安定志向に群がる姿勢だ。
本記事の中でも、地方公務員だからといって云々と
決して楽を求めて就職するべき職種ではないことを
諭すように話しているが、
問題の本質は、
どんな仕事も甘くない、
もっと使命感を持って仕事を選ぶべきだと云いたいのだろう。
それは勿論正論だ。
それでも私はあえて言いたい。
若者の強い地方公務員志向、安定志向の願望は、
それ以外の職種の抱える問題にこそあると思う。
一般的民間経営会社の職場が抱える問題は
その職場によって違うが
無視できないほど深刻な状態のものがい多い。
長時間労働や慢性的な人員不足、
低賃金労働や、肩書だけの管理職、
公務員との生涯賃金・年金受給の格差、
ハラスメントに対するデリカシーのない社風や、
病気や出産に対する理解の欠如から、休みたくとも休めない体制、
ブラック企業の不当な労働行為や、
正規社員・非正規社員の格差や雇用の不安定さなど、
数えあげたらきりがない。
それでなくても日本の職場環境は、総じて諸外国と比べ
厳しいのではないかと思われる。
それらを全て勘案したなら、
若者の逃避行動・逃避志向は当然とも思われる。
しかし、資源の乏しいこの国をここまで押し上げてきてくれたのは、
競争相手であった欧米などの諸外国と比べ、
劣悪ともいえる職場環境に身を置いていても、
くじけず頑張り続けた名も無き労働者一人ひとりの働きによるものだ。
そんな驚異の成長を実現させた日本人の頑張りに対し、
畏怖の念と敬意を表する外国人の何と多いことか。
そのことは同じ日本人として誇りに感じて良いと思う。
職場の労働環境改善の努力を進めるのは当然のことだが
これからの若者は、今ある社会の『ありのままの状態』の中でも、
果敢に自分のやりたい道を見つけ、挑戦する姿勢を見せてほしい。
労働環境の整備は、行政と経営者たちが
働く現場の意見を聞き、その目で見、
責任ある改善と努力をするべく、託される分野だが、
具体的に努力の結晶や成果を上げていくのは、
現場で働くあなたなのだと
責任感と自覚、そして誇りをもって望んでほしいと思う。
一度退職しても、再度社会復帰を模索しているオヤジが一句。
それでもね お金・休み 欲しいよね
お粗末。