ユメノナカゾウ センボンザクラ
2005/09 昼夜同演目
3回観劇(一度は家族4人で)
小生の好きな役者の一人、コウシロウ。
ソメゴロウ時代から長年 コウシロウの声と手の好きなの私。
そんな私のために、家族が気をきかせて、一階席チケットを三回分購入してくれた。
ありがたい。
家族とはいいものだ。
三度のうち一度は花道側の席。
コウシロウのみえをすぐそばで見ることができ、涙の出る思い・・
手を伸ばせば、そこにコウシロウが・・・
彼の息吹を、熱意を感じることができる。
しあわせ・・・とはこんな時に使う言葉なんだなぁ~と、このときばかりはしみじみと感じた。
(人にとっては安っぽいしあわせか・・)って、一人ほくそ笑む私。
まあ、いいとするか・・・・
【『ユメノナカゾウ センボンザクラ』全体を通して】
全体を通して『夢のnakazousenbon桜』はオリジナリティにとんだ良いできであった。
脚本も演出も拓未である。
また大道具家の二階は見上げるほどに高くそびえ立つ感がある。
その二階での芝居の練習をするというコウシロウの演技が日によって違い、面白い。
ただ、前の方の席を3度とも取ったため、首が痛い。
コウシロウを毎回観続けると、たった3回の観劇でも首に負担がかかる。
彼は素直な演じてのため、いい意味で『今日はつらそうだな』『今日はなかなか頑張ってるな』といったことが観客にも伝わってくる。
彼のみえの切り方は格別で、ニザエモンとは違った、また別の魅力がある。
浮世絵、写楽、日本美・・・・
こういった言葉は彼のためにあるのではないかといった錯覚に陥ることしばしばである。
コウシロウ(と、ニザエモン 他にもいっぱい・・・)ファンの私、一体どこまで書けば気が済むのであろうか。
【コウシロウは他の役者とどこが違うか・・】
彼特有の素敵な目使いで、目力は鋭い。
声もいい。聞き取りやすい発音。
加えて、台詞の切れ目のビブラートの利かせ方は、彼独自のものである
他の役者との大きな違いは全体を通して【手】。
彼の手は力強い。
この手が、浮世絵の美しさに通じている
故須田国太郎(油絵画家/独立会)がデホルメした手などを表現する際に、『ガバッツ』っと言ったように伝えられているが、まさにコウシロウの『手』は『ガバッツ』。
コウシロウの演技を画家でたとえるならば、オスカー・ココシュカってところだろう。
早く言えば・・・小生の好きな役者の一人ということだけである。
ただ、それだけ・・・・
本当に・・・
意味の無い、自分の為の記録・・・
【現ソメゴロウについて】
ソメゴロウさんは大変頑張りを見せていた。
「この鼓はぁ~ぁ~、母デェ~ ごじゃりまするっ」
の名台詞はかわいらしかった。
またカンタロウとの武芸の見本を披露する時のスピード及び迫力は満足感があり、好感が持てた。
ソメゴロウはカンタロウとはまた違ったタイプの役者。
優男、伊達男のにおいがする。
彼もまた将来が楽しみの若手の一人といえよう。
【好きなヒデタロウについて】
忘れてはならないのがヒデタロウ。
いつもと違った役柄の彼もまた魅力的。
素直に拍手を送りたい。
一体何人好きな演じてがいるのだろう・・・・
【コウシロウの舞台】
コウシロウの魅力がたっぷりと味わえる最後のシーンは素晴らしかった。
本当に力強い。
言葉にならない。
強いて言うならば、芝居内容は違うが、コウシロウの『シュンカン』のラストの力強さにに相通じるものがあった。
二〇〇五年九月はコウシロウをまじかで三度も堪能できた幸運な月。
生涯、私の心の1コマに納めておこう・・・
【フジマ紀子さんについて】
劇場の出口付近には三度ともフジマ紀子さんがご贔屓筋にご挨拶をなさっていた。
上品で始終にこやかな笑みを浮かべられ、素晴らしい方だと感じた。
昔と変わらぬ美しさと気品と若々しさ・・・自分だけが年を重ねたような錯覚にとらわれたのは、少し寂しい。
九代目 マツモトコウシロウについて
コウライ屋
昭和17年8月19日生まれ。
本名 フジマ照明(ふじま てるあき)。
八代目松本コウシロウ(初代マツモトハク鸚)の長男。
21年5月東京劇場『スケロク』のウイロウウリの伜(せがれ)でマツモト金太郎を名のり初舞台。
24年9月カブキ座『逆櫓』の遠見の樋口六代目市川ソメゴロウをシュウメイ。
56年10・11月カブキ座『カンジン帳』のベン慶ほかで九代目マツモトコウシロウを襲名。
昭和40年と42年にテアトロン賞
54年度日本芸術院賞
平成5年サー・ジョン・ギールグッド賞
7年松尾芸能賞大賞
7年読売演劇大賞最優秀男優賞
10年眞山青果賞大賞
10年同年菊田一夫演劇賞大賞
14年度ゴールデンアロー賞大賞
15年第10回坪内逍遙大賞
17年紫綬褒章
【コウシロウさんの演じる好きな演目】
『カンジン帳』
『シュンカン寛』
『テラコヤ』 他
【『カンジン帳』について】
特にコウシロウさんの『カンジン帳』は私にとっては最高。
彼の『カンジン帳』は力強く、勢いがある。
決めも素晴らしい。
投げロッポウやみえの切り方は私の好みで言うと、彼の右に出るものはいないような・・・
また品のある舞は、観客を優雅な気持ちにさせてくれる。
ニザエモンさんやダンジュウロウさんやキチエモンさんの『カンジン帳』も素晴らしいが、どこが違うのか。
彼の場合は【アップテンポで大きな動き】と【手】にある。
『勧進帳』はリズムとテンポと迫力が重要である。
また【形】がとても大切である。
彼は能や狂言のように腰を下げる。
充分に体を落として、しっかりと動くことにより、は迫力に加え、気品が生じる。
芝居や舞には品が必須である。
【彼の手】
彼の手は素晴らしい。
まるで浮世絵から出てきたような美しさと力強さを兼ね備えている。
かなり昔に彼の『カンジン帳』と出会っていなければ、今このように芝居を観に行くことはなかったであろうといっても過言ではない。
それほどまでに彼の影響力は、安部公房と同等に大きく、小生の今の生活観の基盤を作り出したといえよう。
小生にとってこの演目は重要であり、今の生活を豊かで楽しい方向に導いてくれたとさえいえる。
『カンジン帳』を観るといまだに若き日の小生に戻ることができ、心が弾む。
浮世絵、写楽、日本美・・・・
こういった言葉は彼のためにあるのではないかといった錯覚に陥ることしばしばである。
他の役者とどこが違うか・・・
彼特有の素敵な目使いで、目力は鋭い。
上に加えて他の役者との大きな違いは【手】。
彼の手は力強い。
この手が、浮世絵の美しさに通じている。
故須田国太郎(油絵画家/独立会)がデホルメした手などを表現する際に、『ガバッツ』っと言ったように伝えられているが、まさにコウシロウさんの『手』は『ガバッツ』。
コウシロウさんの演技を画家でたとえるならば、オスカー・ココシュカってところだろう。
最後になりましたが、今日書いた内容もあくまでも私の好みや独断による雑談にすぎません。失礼がありますれば、他の役者さんのファンの方、お許しくださいませ。
役者の皆さん全てが個性的な演じ方をなさっており、どの役者さんの舞台を観ても楽しいことが多いことを付け加えておきます。
間違いやお気づきの点がございましたら、お教えいただきますようにお願いいたします。