奈良国立博物館 『聖地 寧波(ニンポー)』日本仏教1300年の源流
8月22日。
奈良国立博物館 【『聖地 寧波』日本仏教1300年の源流】を楽しむ。
会場には展示品が多く、興味深いものが多いため。ざっと見るだけでも4時間余の時間を要した。
たいへん見応えのある特別展。
展示は次のように分かれている。
第一章 聖地を行きかう人・もの
第二章 阿育王寺 仏舎利への崇敬
第三章 延慶寺 天台浄土教の隆盛
第四章 普陀山 観音の住む島
第五章 天台山の五百羅漢
第六章 東銭湖 神仏が降臨する聖地
第七章 海を渡る禅律文化
第八章 遣明使が訪れた町
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展示数が多いので印象深いものだけを各章毎一、二のみ印象に残ったものを選び記録しておく。▼
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第一章
『成尋阿闍梨母集』
しのべども このわかれぢを おもふには からくれないの なみだこそふれ
(しのべども この別れ路を 思ふには 唐紅の 涙こそふれ)
→ こらえても、我が子と離れ離れになるこの別れを思えば、深紅の涙が雨のようにふるのです。
もろこしの あめのしたにぞ ありときく この日のもとは わすれられまじ
(もろこしも 天(あめ)の下にぞ ありと聞く 照る日の本を 忘れざらなん)
→ 遥かな唐の国も、同じ太陽が照らす空の下にあると聞く。
日の本(日の出ずる国)を、忘れないでほしい。
そしていつかきっと帰ってきてほしい。
第二章
『杭州市雷峰塔文物』
雷峰塔の地宮に安置された台座に『龍』
龍神がシャリを保護
五代呉越国には龍神と関連するものが多い。
龍好きの私には耳寄り情報。
第三章
『阿弥陀浄土図』
天女の変形
女の顔をした鳥が花を渡そうとしている。
他の『阿弥陀三尊像』でも、阿弥陀に仕える 地に足をつけた天女姿らしき二人ないし一人が認められる。
第四章
南宋彫刻の特徴を捉えたものが多い。
この部屋はかなりすき。
できることなら一日中いたかった。
『韋駄天立像』
頭の形
各部の比率や姿勢
眉や目の形状
『菩薩像』
体内に布で作った五臓六腑
仏像に人間と同様の肉体を与え、『生身仏』たらしめるという信仰
第五章
『五百羅漢図』
ここも好き
掛け軸が多く、楽しい。
龍やイラン人や地獄絵もある。
『五百羅漢図』の中の12「個人の来訪」
色黒で鷲鼻の胡人が珊瑚などを捧げる。
彼が乗ってきたのでっしょうか。
近くには駱駝。
ちなみに胡人とは、イラン人。
イラン人のか塗る観に笠にはイランでよく見られる「唐草文様」に一部。
よく見ないと、見逃してしまう。
『五百羅漢図』の中の57「燃香」
羅漢の前でひざまずく胡人が腕に香(もぐさ)を燃やしている。
いわゆる やいと。
第六章
『北斗九星像』
道教として信仰される
北斗九星と,他(忘れました=織り姫みたいな人)二星が雲に乗り舞い降りる。
第七章
『中巌円月坐像』
五山文学
『新安海底遺物』の
「八卦文香炉」(香供養)
「燭台」
「青磁陰刻牡丹文大花瓶」
三見定
第八章
『金山寺・育王山図模本』
雪舟の『金山寺・育王山図模本』を見られたよ!
江蘇省鎮江金山寺
固いタッチ
力強く緻密
『破墨山水図』他全二点 雪舟など
奈良国立博物館 『聖地 寧波(ニンポー)』日本仏教1300年の源流はたいへん面白かった。
先日から京都国立博物館の『シルクロード 文字を辿って』と奈良国立博物館 『聖地 寧波(ニンポー)』日本仏教1300年の源流を続けざまに観た私たち夫婦。
今は芝居(歌舞伎)がない時期なので、博物館、美術館を見て、楽しい時間を過ごす。
家人は、
「次はどこに行く?」
と博物館や美術館を見る気満々。
家にいる時は一日中書斎にいることが多い彼。
仕事が忙しそうなのに、一緒に出かけてくれるのは嬉しく感じる。
奈良県立博物館 公式HPより転載させていただきました。 ▼ ただし写真、図抜きです。
四方を海に囲まれたわが国は、古来、海を越えて渡ってくる大陸の文化を受容発展させながら独自の文化を築き上げてきました。特に遣隋使や遣唐使あるいは宋の商船などによってもたらされた中国の品々は、その時代の最新モードとして日本人の憧憬の対象となってきました。そして、このような日中海域交流における中国側の最大の窓口とされたのが、中国を代表する港湾都市として著名な浙江省(せっこうしょう)・寧波(ニンポー)です。
寧波はかつて明州(めいしゅう)とも呼ばれ、杭州(こうしゅう)湾の出口に位置する中国有数の港として発展してきましたが、それにも増して寧波が日本人を魅了し続けたのは、この町を中心に栄えた最新の仏教文化に他なりません。観音信仰の聖地・普陀山(ふださん)や仏舎利(ぶっしゃり)信仰の聖地・阿育王山(あいくおうざん)などが立地しており、これらの名刹(めいさつ)には数多くの僧侶たちが日本から巡礼に訪れています。また日本禅宗(ぜんしゅう)の草創期に活躍した祖師(そし)たちが学んだとされる天童山(てんどうさん)も寧波を代表する禅院であり、日中禅林(ぜんりん)交渉史上に格別な存在となっています。
当展覧会は、このような寧波がもつ中国仏教の聖地としての側面に光を当て、彼の地から海を越えてわが国にもたらされたと考えられる仏教美術の名品の数々を一堂に会し、日本人が憧れ続けた寧波の仏教文化の魅力に迫ろうとする試みです。
◆出陳品一覧へ
◆《五百羅漢図》京都・大徳寺 展示替一覧へ
◆展覧会チラシ ダウンロード(PDFファイル)
※以前の掲載分:
先行チラシ表面(1.8MB)、先行チラシ裏面(1.7MB)
浙江省杭州市雷峰塔出土文物
銀阿育王塔
中国杭州市・浙江省博物館
※展示期間:全期間
会 期 平成21年7月18日(土)~8月30日(日)
会 場 奈良国立博物館 東・西新館
休館日 毎週月曜日
※ただし7月20日(祝)と8月17日は開館し、7月21日(火)は休館
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
※毎週金曜日および8月13日(木)・15日(土)・16日(日)は午後7時まで
観覧料金
個人 前売・ 団体
一般 1,200円 1,000円
高校生・大学生 800円 600円
小学生・中学生 500円 300円
※団体は20名以上です。
※障害者手帳をお持ちの方(介護者同数を含む)は無料です。
※8月13日(木)~15日(土)は小・中学生の観覧料金が無料となります。
※7月22日(水)・8月22日(土)は「夫婦の日」につき、
ご夫婦で観覧される場合は一般料金の半額となります。
※この観覧券にて平常展もご覧いただけます。
※前売券(図録セット券を含む)は下記の窓口にて販売します。
当館観覧券売り場(販売中~7月17日まで)、
近鉄の主要駅、ローソンチケット(Lコード:54614)、
電子チケットぴあ(Pコード:688-686)、JTB、日本旅行、
近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ(以上、販売中~8月30日まで)
観覧料金&展覧会図録
セット券の販売 観覧料金と展覧会図録をセットにした割引券を発売します。
前売 当日
観覧&図録セット券 2,800円 3,000円
※図録の定価は2,000円です。
出陳品 175件 ※会期中展示替えがあります。
◆出陳品一覧はこちら (2009.07.05 掲載)
展覧会目録 特別展「聖地寧波」
A4版 240ページ 1部 2,000円
※図録の購入はこちら
こども向けガイドブック
A5版 フルカラー 28ページ
1部 200円 ※ 中身はこちら
主 催 奈良国立博物館、読売新聞大阪本社、NHK奈良放送局
後 援 文化庁、中華人民共和国駐日本国大使館、寧波市人民政府
特別協力 浙江省文物局、上海博物館
協 賛 清水建設、ニッセイ同和損害保険
協 力 日本香堂、仏教美術協会、日本航空、財団法人寧波旅日同郷会、
寧波研究プロジェクトグループ(にんぷろ)
公開講座 7月25日(土)「清凉寺釈迦如来像と東アジアの釈迦信仰」
稲本泰生(当館学芸部企画室長)
8月 1日(土)「泉涌寺僧と普陀山信仰―観音菩薩坐像の請来理由」
西谷功(泉涌寺宝物館学芸員)
8月15日(土)「憧憬の中国仏教―聖地寧波をめぐる人と美術」
谷口耕生(当館学芸部保存修理指導室長)
8月22日(土)「飛帆馳船―蒼波をこえた人々」
藤田明良(天理大学国際文化学部教授)
※各回とも午後1時30分~3時。(開場午後1時、講堂入口で入場券を配布します)
当館講堂にて。聴講無料、定員196名。
サンデートーク 7月19日(日)「阿育王寺の仏舎利信仰と日本」
内藤栄(当館学芸部長補佐)
8月16日(日)「貿易陶磁からみる寧波と日本」
吉澤悟(当館学芸部教育室長)
※各回とも午後2時~3時30分。(開場午後1時30分)
当館講堂にて。聴講無料、定員196名。
夏季講座 今年の夏季講座は「寧波をめぐる信仰と美術」をテーマに開催します。
日程:平成21年8月18日(火)~20日(木)
会場:奈良女子大学講堂および奈良国立博物館
主催:奈良国立博物館、奈良女子大学
※申込方法等、詳細は「催し物」ページへ
関連イベント 泉涌寺で創流された「華道 月輪未生流」のいけばなを展示します。
日程:7月18日(土)~8月2日(日)
会場:奈良国立博物館 西新館1階スロープ前
映画「ぼくの孫悟空」上映会(2003年公開/上映時間95分)
日程:7月26日(日)・31日(金)
8月5日(水)・13日(木)・14日(金)・21日(土)
会場:奈良国立博物館 講堂
料金:無料 ※特別展「聖地寧波」の観覧券。招待券および
これらの半券をお持ちの方に限ります。
※詳細は「催し物」ページへ
寧波研究プロジェクトグループ(にんぷろ)作成の
「にんぷろかるた」を用いてかるた大会を行います。
日程:8月13日(木)
※8月14日・15日は中止となりました
会場:奈良国立博物館 地下回廊
対象:小学生以上
※参加者全員に「寧波虎の巻」をプレゼント!
※優秀賞者には記念品を贈呈します。
※8月14日・15日は中止となりました。
※申込方法等、詳細は「催し物」ページへ
関連リンク ◆寧波研究プロジェクトグループ(にんぷろ)
◆国際学術シンポジウム「舎利と羅漢―聖地寧波をめぐる美術―」
◆主な出陳品
※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。
国宝 伝教大師入唐牒 1巻
[でんぎょうだいしにっとうちょう]
縦39.7cm 長134.2cm 紙本墨書
中国・唐時代 貞元20年(894)、21年(805)
滋賀・延暦寺
※展示期間:8月11日(火)~8月30日(日)
国宝 釈迦如来立像 1躯
[しゃかにょらいりゅうぞう]
像高160.0cm 木造 彩色 截金
中国・北宋時代 雍煕2年(985)
京都・清凉寺
※展示期間:釈迦如来立像・・・7月18日(土)~7月30日(木)
納入品・・・全期間
浙江省杭州市雷峰塔出土文物 銀阿育王塔 1基
[せっこうしょうこうしゅうしらいほうとうしゅつど
ぎんあいくおうとう]
高33.5cm 台座一辺長12.0cm、(金瓶)高4.4cm 銀製 鍛造
中国・五代(10世紀後半)
中国杭州市・浙江省博物館
※展示期間:全期間
十王図[じゅうおうず] 5幅のうち2幅
縦111.8cm、横47.6cm 金處士筆 絹本著色
中国・南宋時代(12世紀)
米国・メトロポリタン美術館
The Metropolitan Museum of Art, Rogers Found, 1929.(30.76.293)
Photograph by Malcom Varon Image (c) The Metropolitan Museum of Art.
※展示期間:全期間
重要文化財 観音菩薩坐像 1躯
[かんのんぼさつざぞう]
像高113.8cm 木造彩色
中国・南宋時代
京都・泉涌寺
※展示期間:7月18日(土)~8月2日(日)
重要文化財 五百羅漢図[ごひゃくらかんず] 82幅
縦110.3㎝ 横52.7㎝ 絹本著色
中国・南宋時代 淳煕5年~15年(1178~88)
京都・大徳寺
※全82幅公開(3期に分けて展示替えを行います)
a・・・7月18日(土)~8月2日(土)
b・・・8月4日(火)~8月17日(月)
c・・・8月18日(火)~8月30日(日)
※左図は a:7月18日~8月2日まで展示
◆五百羅漢図 展示替一覧へ
五百羅漢図[ごひゃくらかんず] 2面
縦110.3㎝ 横52.7㎝ 絹本著色
中国・南宋時代 淳煕5年~15年(1178~88)
米国・ボストン美術館
Photograph (c) 2009 Museum of Fine Arts, Boston.
※展示期間・全期間
国宝 普勧坐禅儀[ふかんざぜんぎ] 1巻
縦28.8cm、長319.2㎝
鎌倉時代 天福元年(1233)
福井・永平寺
※展示期間:7月18日(土)~8月9日(日)
重要文化財 見心来復像[けんしんらいふくぞう] 1巻
縦94.5cm、横44.7cm 絹本著色
中国・元時代 至正25年(1365)
佐賀・萬歳寺
※展示期間:7月18日(土)~8月9日(日)
楊彜墨蹟[よういぼくせき] 1幅
縦25.8cm、横60.2㎝
中国・元時代 至正25年(1365)
広島・財団法人上田流和風堂
※展示期間:7月18日(土)~8月9日(日)
新安沈没船海底遺物 青磁鎬文壺 1個
[しんあんちんぼつせんかいていいぶつ
せいじしのぎもんつぼ]
高30.4cm、後継25.7cm 陶製
中国・元時代
韓国・国立中央博物館
※展示期間:全期間
国宝 慧可断臂図〈雪舟筆〉 1幅
[えかだんぴず〈せっしゅうひつ〉]
縦183.8㎝ 横112.8㎝ 紙本墨画淡彩
室町時代 明応5年(1496)
愛知・齊年寺
※展示期間:8月11日(火)~8月30日(日)