乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4ウ  近松門左衛門作       8

2019-09-27 | 近松門左衛門


  『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4ウ  近松門左衛門作     8


 

 そばをなることもなん戸を出。ヤァ今能ハなんぞ。たん

 ば屋能金のとゞいたハ慥十日もいぜん能こと。なぜ忠

 兵衛ハ渡さぬの。けさかた二軒三軒能金のさいそく

 ゑず。終尓中間へなんぎをうけず、十八軒能飛脚屋

 能かゞミといはれた此亀屋。ミなハ心もつかぬか。忠

 兵衛か此処能そぶりがどふも、のミこまぬ。昨今能者ハ

 しるまいが、じだい是能実子でなし。もとハ大和新口

 (村勝木孫右衛門と云大百姓能ひとり子母  5オ)





             (4ウ)      

               『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」P.283  




 あたまがしい
 あた=( 接頭 )
    名詞・形容詞などに付いて不快の念をこめながら、程度のはなはだしいことを強調する意を表す。
    「 -ぎたない」 「 -子細らしい威立おどしだて/浄瑠璃・大経師 中」
    〔「あた聞きともない」などのように副詞的にも用いる〕  (大辞林 第三版)

 あた=[副]《「あだ」とも》不快・嫌悪の気持ちを表す語に付いて、その程度がはなはだしいという意を表す。あった。
    「―めんだうなとつきたふせば」〈浄・傾城三度笠〉
    [補説]「あたがましい」のように、連濁を伴って接頭語的にも用いる。
    「五十両に足らぬ金あたがしましう言ふまい」〈浄・冥途の飛脚〉   (大辞泉)





 (1オ)(1ウ)(2 オ)= (一丁表)(一丁裏)(二丁表)…と言う意味です。
  本文に「。」が付いている場合は「。」 付いて無い場合は「、」突表記しています。
 (「尓」「能」などのように、助詞の部分はそのまま元字で書いています)




 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4ウ  近松門左衛門作


「冥途の飛脚」 1 オ
   梅川 冥途の飛脚 近松門左衛門作
 身をつくし難波尓さくやこの花能。里ハ
 三すぢ尓町の名も佐渡と越後
 相の手を。かよう千鳥の淡路町、亀屋
 能世つぎ忠兵衛、ことし廾能上はまだ四
 年、いぜんに大和より、敷金をもつて養子
 ぶん後家妙閑のかいほう処、あきなひ功
 者駄荷づもり江戸へも上下三度笠。

「冥途の飛脚」 1 ウ
 茶のゆはいかい素双のべに手能かど                
 とれて。酒も三川四川五川所もん羽二重も
 出ずいらず。無地の丸つばぞうがんの國 
 ざいく尓はまれ男。色能わけ志り里志りて
 暮るを待ずとぶ足能。飛脚宿能いそがし
 さ。荷をつくるやら不どくやら。手代ハ帳面
 そろばんをおゝ口とも尓どや/\と。千万両能
 やりくりも、つくしあづま能とりやりもゐながら

「冥途の飛脚」 2オ
 かね能自由さハ、一歩小判やしろかね尓つばさ能
 有がごとく也、町通り能状取立帰つてそれ/\と。
 とめ帳つくり所へたそ頼もふ忠兵宿尓ゐやる              
 かと。あん内するハ出入能屋やしき能さむらい。手代共ゐん
 ぎん尓。ヤア是ハ甚内さま。忠兵衛ハるすなればお下
 し物能御用ならば。私尓仰聞られなせ。お茶もて
 おじや、と、あいしらう。いや/\下り能用はなし。ゑど
 若だんなより御状が来た。是おきゝやれとおしひらき。

「冥途の飛脚」 2ウ
 来月二日出の三度尓金子三百両毎さしのばせ
 申べく候。九日十日両日能中、その地亀屋忠兵衛方
 より。右三百両毎請取内ゝ申置候こと共、埒明申さ
 るべく候。則飛脚能請取證文此度登せ候間。金子
 請取次第この證文忠兵衛尓渡し申さるべく候。是
 此通仰下された。今日迄とゝかぬ処大事能御用の
 手はづがちがう。なぜか様にふらちなとはなを。しかめ
 言ひければ。ハヽ御尤/\。去りながら此中能雨つゝき。川ゝ

「冥途の飛脚」 3オ
 仁 水が出ますれば、道中尓日がこミ。かね能とゝかぬ
 のみならず、手前も大分能そん銀。もし盗賊が
 切取道からふつと出来心。万ゝ貫目取られても。
 十八軒能飛脚宿からわきまへ。けし程も御損
 かけませむ、おきづかひあられるな。いはせもはてず
 是さ/\。いふまでもない御そんかけてハ忠兵衛がくびが
 とぶ。日銀のびてハ御用能間があく仁より、それ処
 能せんさく迎ひ飛脚をつかハして早速尓持参

「冥途の飛脚」 3ウ
 せいとかちわかたうもゐくハう。銀ごしらへも
 うさんなまりちらして成りしが。まだ頼みませふ/\。
 中能嶋丹波屋八右衛門から来ました。江戸尓舟
 町米どひ屋能かハせ銀そへ状ハなぜ
 とゞきませぬ。此中文を進しても返事もござ
 らず。使をやれば酢能こんにやくのといつ届けさつ
 しやるぞ。此者わたして人をつけて下され。手形
 手形もどそと申さるゝ、サア金子請とらふと立はたかつ

「冥途の飛脚」 4オ
 てわめきける。主おもひ能手代の伊右衛、さハがぬ躰尓
 て。是お使い、八右衛門さまが其様尓、りくつ臭い口上ハ
 有まい。五千兩七千両、人能かねをあづかって。百丗里
 を家尓し、江戸大阪を。ひろふせばふする亀屋。そ
 こ一軒でハ有まいし。をそいこともなふてハ。今でも旦
 那かへかへられらば此方から返事せふ。五千両尓たらぬ
 金あたがしたましういふまいと。かさから気を
 のまれ、使ハまじめ尓帰りけり。母妙閑ハこたつ能

「冥途の飛脚」 4ウ
 そばをなることもなん戸を出。ヤァ今能ハなんぞ。たん
 ば屋能金のとゞいたハ慥十日もいぜん能こと。なぜ忠
 兵衛ハ渡さぬの。けさかた二軒三軒能金のさいそく
 ゑ図ず。終尓中間へなんぎをうけず、十八軒能飛脚屋
 能かゞミといはれた此亀屋。ミなハ心もつかぬか。
 兵衛か此処能そぶりがどふも、のミこまぬ。昨今能者ハ
 しるまいが、じだい是能実子でなし。もとハ大和新口



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『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4オ  近松門左衛門作     

2019-09-27 | 近松門左衛門


   『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4オ  近松門左衛門作      


 

 (此者わたして人をつけて下され。手形)

 てわめきける。主おもひ能手代の伊右衛、さハがぬ躰尓

 て。是お使い、八右衛門さまが其様尓、りくつ臭い口上ハ

 有まい。五千兩七千両、人能かねをあづかって。百丗里

 を家尓し、江戸大阪を。ひろふせばふする亀屋。そ

 こ一軒でハ有まいし。をそいこともなふてハ。今でも旦

 那かへかへられらば此方から返事せふ。五千両尓たらぬ

 金あたがしたましういふまいと。かさから気を

 のまれ、使ハまじめ尓帰りけり。母妙閑ハこたつ能

 (そばをなることもなん戸を出。ヤァ今能ハなんぞ。たんば屋)

             (4オ)      

               『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」P.281  

 乱鳥の覚書
 主=あるじ
 百丗里=百三十里
  一里=三六町=3.93km(約4km)
  例:普通の人の足取りで、ちょうど一時間程度の距離。
  一里塚といって昔、一里ごとに土を盛り、木を植えて旅人の目印にした。(古文書ネット)
  百三十里= 約520キロ
 ひろふせばふ=広う狭う
 をそいこともなふてハ=遅いことも無うては


 
 (1オ)(1ウ)(2 オ)= (一丁表)(一丁裏)(二丁表)…と言う意味です。
  本文に「。」が付いている場合は「。」 付いて無い場合は「、」突表記しています。
 (「尓」「能」などのように、助詞の部分はそのまま元字で書いています)




 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4オ  近松門左衛門作

「冥途の飛脚」 1 オ
   梅川 冥途の飛脚 近松門左衛門作
 身をつくし難波尓さくやこの花能。里ハ
 三すぢ尓町の名も佐渡と越後
 相の手を。かよう千鳥の淡路町、亀屋
 能世つぎ忠兵衛、ことし廾能上はまだ四
 年、いぜんに大和より、敷金をもつて養子
 ぶん後家妙閑のかいほう処、あきなひ功
 者駄荷づもり江戸へも上下三度笠。

「冥途の飛脚」 1 ウ
 茶のゆはいかい素双のべに手能かど                
 とれて。酒も三川四川五川所もん羽二重も
 出ずいらず。無地の丸つばぞうがんの國 
 ざいく尓はまれ男。色能わけ志り里志りて
 暮るを待ずとぶ足能。飛脚宿能いそがし
 さ。荷をつくるやら不どくやら。手代ハ帳面
 そろばんをおゝ口とも尓どや/\と。千万両能
 やりくりも、つくしあづま能とりやりもゐながら

「冥途の飛脚」 2オ
 かね能自由さハ、一歩小判やしろかね尓つばさ能
 有がごとく也、町通り能状取立帰つてそれ/\と。
 とめ帳つくり所へたそ頼もふ忠兵宿尓ゐやる              
 かと。あん内するハ出入能屋やしき能さむらい。手代共ゐん
 ぎん尓。ヤア是ハ甚内さま。忠兵衛ハるすなればお下
 し物能御用ならば。私尓仰聞られなせ。お茶もて
 おじや、と、あいしらう。いや/\下り能用はなし。ゑど
 若だんなより御状が来た。是おきゝやれとおしひらき。

「冥途の飛脚」 2ウ
 来月二日出の三度尓金子三百両毎さしのばせ
 申べく候。九日十日両日能中、その地亀屋忠兵衛方
 より。右三百両毎請取内ゝ申置候こと共、埒明申さ
 るべく候。則飛脚能請取證文此度登せ候間。金子
 請取次第この證文忠兵衛尓渡し申さるべく候。是
 此通仰下された。今日迄とゝかぬ処大事能御用の
 手はづがちがう。なぜか様にふらちなとはなを。しかめ
 言ひければ。ハヽ御尤/\。去りながら此中能雨つゝき。川ゝ

「冥途の飛脚」 3オ
 仁 水が出ますれば、道中尓日がこミ。かね能とゝかぬ
 のみならず、手前も大分能そん銀。もし盗賊が
 切取道からふつと出来心。万ゝ貫目取られても。
 十八軒能飛脚宿からわきまへ。けし程も御損
 かけませむ、おきづかひあられるな。いはせもはてず
 是さ/\。いふまでもない御そんかけてハ忠兵衛がくびが
 とぶ。日銀のびてハ御用能間があく仁より、それ処
 能せんさく迎ひ飛脚をつかハして早速尓持参

「冥途の飛脚」 3ウ
 せいとかちわかたうもゐくハう。銀ごしらへも
 うさんなまりちらして成りしが。まだ頼みませふ/\。
 中能嶋丹波屋八右衛門から来ました。江戸尓舟
 町米どひ屋能かハせ銀そへ状ハなぜ
 とゞきませぬ。此中文を進しても返事もござ
 らず。使をやれば酢能こんにやくのといつ届けさつ
 しやるぞ。此者わたして人をつけて下され。手形
 手形もどそと申さるゝ、サア金子請とらふと立はたかつ

「冥途の飛脚」 4オ
 てわめきける。主おもひ能手代の伊右衛、さハがぬ躰尓
 て。是お使い、八右衛門さまが其様尓、りくつ臭い口上ハ
 有まい。五千兩七千両、人能かねをあづかって。百丗里
 を家尓し、江戸大阪を。ひろふせばふする亀屋。そ
 こ一軒でハ有まいし。をそいこともなふてハ。今でも旦
 那かへかへられらば此方から返事せふ。五千両尓たらぬ
 金あたがしたましういふまいと。かさから気を
 のまれ、使ハまじめ尓帰りけり。母妙閑ハこたつ能


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2019年 南座新開場一周年記念 京の年中行事「當る子歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」 上演演目メモ

2019-09-27 | 舞台・音楽 雑感メモ
 写真はイランのタイル画




  2019年 南座新開場一周年記念 京の年中行事「當る子歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」
  11月30日(土)~12月26日(木)
  上演演目






 昼の部

 『輝虎配膳』近松門左衛門

 『戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)』常磐津

 『金閣寺』

 『仮名手本忠臣蔵』から 七段目「祇園一力茶屋の場」義太夫


 夜の部

 『堀川波の鼓』近松門左衛門

 『釣女』

 『魚屋宗五郎』河竹黙阿弥

 『越後獅子』


 『仮名手本忠臣蔵』は「祇園一力茶屋の場」のみだが、仁左衛門丈(通しで見たい)
 『堀川波の鼓』近松門左衛門は仁左衛門丈
 『魚屋宗五郎』は芝翫さんらしい。

  秀太郎さんと藤十郎さんと扇雀さんも見たいが、ムニュムニュ^^
  演目と少な役者が合致しているのは、近松の『堀川波の鼓』かもしれない。

  何気に悩むところである。
  

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『絵本百物語』 巻第三 第十九 葛の葉(くずのは)  (『絵本百物語』桃山人著  竹原春泉 画)

2019-09-27 | 変体仮名見むとするハいとをかし

 
 『絵本百物語』 巻第三 第十九 葛の葉(くずのは)  (『絵本百物語』桃山人著  竹原春泉 画)


 葛の葉

 信田杜の葛能葉の事ハ

 稚児(おさなご)まで知る事なれ者

 ここにいわず



 葛の葉

 しのだのもりの葛の葉の事は

 おさなごまで知る事なれば

 ここに言わず



    恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉

    信田(のもり)は、大阪にあります^^
    植物のクズの葉の裏を見ると毛が生えているので、狐の毛に見立てて、葛の葉名付けられました(という説があります。)

    『説経節』(東洋文庫)より「付 信太妻」
     『説経節』から 「付 信太妻」 東洋文庫 平凡社


  本文に「。」が付いている場合は「。」 付いて無い場合は「、」突表記しています。
 (「尓」「能」などのように、助詞の部分はそのまま元字で書いています)




 歌舞伎と脚本でで馴染みのある『葛の葉』は好きな演目で、このブログでも何度か取り上げています。

 2019年(今年)の7月にも松竹座で中村時蔵さんの『葛の葉』を拝見させていただきました。

 まだ記録してませんので、ここでは中村扇雀さんの『葛の葉』をリンクしておきたいと思いますが、記録のみで詳しくは書いていません。

       『葛の葉』2013年 松竹座 中村扇雀さんの『葛の葉』は芸術的でした。

『葛の葉』は民俗学でも注目され、多くの有名な学者も葛の葉の異形の意味合いについて記されてます。

 また、興味深いのは、葛の葉の子供は、安倍晴明ということになっています。お話って、楽しいと感じます。


 好きなお話なので、『絵本百物語』の2回目は巻第三 第十九 葛の葉(くずのは)にいたしました。



 
 『絵本百物語』 巻第三 第 十九 葛の葉(くずのは)  (『絵本百物語』桃山人著  竹原春泉 画)
 
 『絵本百物語』 巻第四 第三十五 神那里(かみなり)(下野の国の雷獣のこと、それを狩りとることが「かみなり狩り」)


 『絵本百物語』 第三十五 【神那里】かみなり(下野の国の雷獣のこと、それを狩りとることが「かみなり狩り」)


 
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