広州の『中華一番』
最終日の昼食は、広州の大型みやげ物店と同じビルの中にある広州中央海航酒店。
飲茶料理とあってシュウマイや饅頭、ごま団子やスープや野菜やいためた米粉麺などが出てきた。
シュウマイも何種類かあったが、黄色い卵の皮のようなもので包んだ広東シュウマイは美味かった。
味は濃くて、たれやからしはいらない。
中は豚肉の食感の残されたミンチとつなぎで、満足感は深い。
饅頭のあんはひき肉、野菜と干し果物の擂ったもの(杏だろうか・・・いやもう少し黒い)が混じった少し甘めのもの。
なんだか複雑な味だがこの味は賀州や桂林でも何度かでてきた。
賀州の朝の散歩中に買った、屋台の飲茶の中にもあったものだ。
この店でも黄色いテリーヌ型の食べ物が出てきた。
色といい、形といい、見事に美味そうなその食べ物は、さぞかしダシが効いていて美味かろうとタカをくくっていた。ところが・・・
その黄色いテリーヌ型の食べ物は、微妙に甘かった。
サフランのような色で透明色。モチモチした中途半端な甘さの食べ物の中には、やわらかくした木の実が入っていて、不思議な食べ物。
私は初めこの名前も知らない食べ物は木の実ではなかったが、せっかく中国に来たのだからと、でてくるたびに一枚づつ食べていた。
回を重ねるごとに、その黄色の透明色は私の心に侵略してくる。
もう一度食べてみたい。あわよくば、名前も知りたい・・・
さて、一通りの食事も終わって、私と子どもは最後の中国を楽しむべくそそくさと席を立った。
トイレの右横前には中が見えるガラス張りの厨房がある。
私たちは急いだ。
観光客はここには立ち止まってはいなかった。
私たちが中をのぞくとちょうど強力粉を練っている途中。
生地は高く放り投げ手はキャッチの動作を何度か繰り返していた。
二人が手をたたいて喜んでいると、コックはにこやかに笑みを浮かべ、高さは増していった。
コックは生地を二つに分けた。
そのうちに二一つはピザのように広げたかと思うと左右にくるくると伸ばし、折りたたんでは伸ばし折りたたんでは伸ばし始めた。
私たちが喜んでいると、一層くるくるはアップテンポ。
「すごい!中華一番(漫画)だ・・・」
私は子どもとともに、目を輝かしていた。
くるくるを終えると、麺はにゅう麺を少し太くしたような太さの面になった。
その麺を違うコックが、じょうじ煮えたぎっている大きな鍋でゆで始めた。
麺はすぐに火が通り、椀に入れられた。
ダシがはられ、上にはチャーシューとゆでた中国野菜(アブラナ科)を載せて出来上がりといったシンプルなものだった。
ダシの香りが漂ううらやましい一品だった。
さてもう一方の生地はいくつか二切られて、棒を使ってあっという間に餃子の皮のように成形されていく。
厨房の中央から鉢を出して、スプーンでつめ、上の摘むんだシュウマイ型に整えられた。
シューマイは蒸さずに鍋の中に放り込まれ、すぐに掬われて皿に盛られた。
このベテラン芸のように調理された男性は、二十代の男性。
若いのに、恐ろしいほどの実力の持ち主だったが、中国では当たり前なのだろうか・・・
料理は次から次に作られた。
実力の主が次に調理したのは、刀削麺。
少し硬そうな生地の塊を片手に持ち、包丁で次々と削っていく。
削った面は八十センチほども離れた煮えたぎった湯の中に、きれいなカーブを描いて入っていった。
私は、『好(ハォ↑)!中華一番!』と心で大向こうをはっていた。
見事な刀削麺の技を見た。
コックとその仲間は私たちに向かって、にっこりと笑ってくれた。
乱鳥の見た、雲南省の中華一番 ↓
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