広州の大型みやげ物店
陳氏書院を訪れた後、広州中央海航酒店一楼商場による。
この店は綿に強いらしく、入り口を入ってすぐ左に 綿をつるした空間があり、その真下で綿を四方に伸ばして 布団の綿を重ねていく。
その手さばきは見事なものだが、工場はまた別のところに設けられているのだろう・・・
あくまでも観光客ようのセールス及びサービスといったところか・・・
この入り口の反対側には 興味深い色彩の中国の衣装が、ガラスケースの中に展示されている。
衣装の間には綿と書かれた袋が一つづつ、等間隔に並べられている。
まるで京劇の衣装のような色彩と模様のもの、ドレス、上下に分かれたもの、高貴な感じのするものまで置かれていた。
二、三室目は布やスカーフ。
中語の色彩は日本の好みや伝統とは違って、それはそれでまた楽しめる。
赤やピンクや水色・・・刺繍やレースを施したものも多い。
次の部屋二室くらいはブラウスやパジャマなどが多い。
中国のネグリジェ(或いはパジャマ)は、すとんとしていて、水墨画に出てくる中国の洋服?のようにも見える。
私が立ち止まると、店員はすかさず、
「シルクね。これシルクね・・・」
と連発する。
岩波新書では中国の綿工業は下火と記されていた本もあったが、この店を見ていると、かっての日本の丹○縮緬のように、中国ではシルクは付加価値があるのではないかと思ってしまう。
思いっきり中国らしい色彩と柄のスカーフでも買おうかとも思ったが、暫く壁に掛けて 後は押入れといったコースが目に見えてるので、思いとどまった。
次の二部屋は色々なものが売られていた。
食品、茶、器、掛け軸、扇子他・・・・・・
過っては最後の二部屋も綿製品のみやげ物でいっぱいだったのだろうか・・・
それともこういった雑多な経営だったのだろうか・・・
いずれにしても輸出に力をおいているのかも。この店はアンテナショップ的な要素も含んでいるのかもしれないなと勝手に、余計な考えをめぐらせていた・・・大きなお世話というものだ。
最後に・・・
この店で気に行ったコーナーがあった。
職人(或いは画家というべきか・・・)が手の平の小指の付け根だけで水墨画を描いている。
これには参った。
筆を使ってもなかなか思うように行かないのに、手の平を使いこなすとは・・・
机の上には住みの他に水と布切れが重要な位置に置かれていた。
これらを使って、ぼかしは見事な形となって表されるのだな・・・
帰国後、是非この手法を試みようと思いつつ、ついつい今日まで忘れていた。
思い出してしまったか・・・また忙しくなるな・・・
中国ではきような描き方をされる芸術を他にも観た。
ビンや水晶の球の中に絵を描く。
水墨画や淡彩画、時には泥絵の具のような色彩の絵をも描かれた商品も陳列されていた・・・
これも見事な職人芸であった。
筆は面相筆くらいの太さで短い。
筆の先で曲がっているので、ビンの中から絵を描くのに都合のよい作りだった。
この職人(或いは画家)は気のよい人で、私がとても興味を持っているのに気づいて、筆を貸してくださった。
手に描くと、筆は縛られた感じで、先はきわめて固い。
つかの間とはいえ、先の曲がった筆を始めて手にした喜びはひとしおだった。