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乱鳥の書きなぐり

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 17 「すりきりと なにこそたたれ 酒くらい いつもまれなる 残ももちける」九丁裏

 

 

 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 17 九丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

九丁裏 

とし頃とりつくる数人のあたひとりに来り

けれは、皆すましけり、さて、酒屋

  すりきりと なにこそたたれ 酒くらい

  いつもまれなる 残ももちける

上戸返し

  けふこずハ 明日はよそへそ やりなまし

  やらすハありとも 肴かハまし

 

 

九丁裏 

年頃、取り作る数人の値、取りに来たり

ければ、皆済ましけり、さて、酒屋

  すり切りと 何こそ絶たれ 酒くらい

  いつも稀なる 残りも持ちける

上戸返し

  今日来ずは 明日はよそへぞ やりなまし

  やらずは有りとも 肴かはまし

  

 

皆済ましけり

 無一文だが、皆払ってしまった。

すり切り

 無一文で有名だが

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  すりきりと なにこそたたれ 酒くらい

  いつもまれなる 残ももちける

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あだなりのと 名にこそたてれ櫻花

  年にまれなる 人も待ちけり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  けふこずハ 明日はよそへそ やりなまし

  やらすハありとも 肴かハまし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  けふ来ずは 雪とぞ降りなまし

  消えずはありとも 花と見ましや

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