このように穏やかに流れている時間の中で、どうしようもない事実があります。
甚大な被害を齎したいくつもの台風・・・今日は恐ろしかったあの日から5日目の朝です。
30日、私は清水町羽帯のサワラビテラスへお茶会の準備のために出かけておりました。
翌日、開かれます『申年のお茶会』のお料理の下ごしらえをする為に、万難排し意気揚々としてね(笑)。
サワラビテラスでも、社中の皆さんがお集まりになって会場を設えてらっしゃいました。
茶道具や、お花やお軸、季節のお菓子など、それはそれは素敵に取り揃えておられましたよ。
中でも、虫籠の菓子器などは始めて見るもので感激でした。
8月最後ということもあり、夏から秋への季節の移り変わりを表現されているようでした。
和やかな雰囲気のなか楽しく準備が進められていましたので、窓の向こうの雨や風もあまり気にかかりませんでした。
いつもの景色として(台風続でしたので!)心配などありませんでした。
私も午後2時頃には、だいたいのめぼしが付きましたのでお暇させて頂きました。
ひとつだけ、オクラの種を取る作業をオーナーのよしみさんにお任せしてしまいましたけれど
次のお仕事がありましたので、帰りを急ぎました。
帰リ道の裏のちいさな橋が、濁流に吸い込まれるような恐ろしい勢いのある川の流れかたでした。
普段は静かな流れで美しい清澄な川でしたので、一瞬不安にかられた事を思い出します。
まさか、翌日この様な事態になるとは・・・
サワラビテラスでは、自宅付近の橋は流され、テラスへの道は亀裂が入り分断されたと、
電話も通じず車も出せない、翌朝やっとのことで電波の通じるところまで歩いてきて連絡を下さったのでした。
主催者でもあり、オーナーのよしみさんから
「お茶会は中止にさせていただきます。」と涙の会話となりました。
「和さん、ごめんなさいね。あんなに準備してくださっていたのに・・・幻のお料理になってしまっわたね。」
まるで、夢の一部を見ているようでした。
十勝の歴史を一瞬にして変えてしまうような、台風による、大きな災害となってしまったのです。
その日、テレビニュースの映像は信じられないものでした。
どうか、復興が安全な中で進むことが出来ますよう、心よりお祈りするばかりです。
主催者のよしみさんが、私をとても気にかけてくださり労って下さいました。
ご自分のところも、甚大な被害を受けたのにも拘らず、本当にありがとうございます。
・・・和さんの幻のお料理になってしまいましたね。感謝して美味しく頂きます。・・・と
私は、添え物のモミジや山椒、笹の葉、今となっては、ただの葉っぱですが捨てられずにおります(苦笑)
今回は渾身の作、メニューだけでも記憶に留めておきたいと思います。
8月31日申年茶会・点心・おしながき
前菜・八寸5品
蓮根のキンピラ煮・甘柑なんきん・きぬさや旨煮・粟麩の煮物・しめじの煮浸し
焼き物
メヌキの西京焼き・付け合わせ・胡瓜の昆布〆・姫トマトチーズ寄せ
お造り
鯛の昆布締め・添え野菜・カボス
旬菜
ごま豆腐・じゅん菜と雲丹旨出汁がけ
揚げ物
甘海老・しし唐・茗荷
ご飯
枝豆ごはんとゆかり
椀
オクラと素麺・巻き湯葉・タラバ蟹餡
と以上です。
試作・試食を繰り返し工夫をして仕上げたメニューでした。
中でも、先日の講習会で教わった旬菜と、椀のオクラと素麺は友人から手解きを受けたものでした。
当日は、サポートをして下さる方も見つかり、百人力の気分でおりました。
そして、最後のお仕事は我が家の紅葉やおじいちゃんの家の庭にある、飾りのための葉を摘むことでした。
今年最後に手を通す絽の着物や帯も用意され、割烹着と共に出番を待っていました。
今、振り返ってみますと、お造りに添える野菜を準備せず、床についてしまったのだなと反省しております。
当日では、焦ってかつら剥きが美しく出来たかどうか・・・やはり和さんドジです
ごめんなさいなんて思ってしまいます。
夢の中で、何度もデモンストレーションをしていましたからきっと、上手くいきましたよね。
そう信じて、今回の幻のお料理編はこの位にしておきますね。
次回は、賢治さん会で朗読させていただきました『北守将軍と三人兄弟の医者』をご披露させていただきます。
もちろん、拍手喝さい皆さんに喜んで頂きましたよ
最後までお読みくださりありがとうございます。和