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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更

2024年11月08日 | 記事紹介

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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更【わが郷】

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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更

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東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更
2024/11/08 15:00
読売クオータリー2024秋号

スクラップ
POINT
■中国は2013年、尖閣諸島を含む東シナ海上空に「防空識別圏」を一方的に設定し、自国の要求に従わない航空機に「防御的緊急措置」をとると宣言した。

■国際法上、航空機に認められた「上空飛行の自由」を脅かす動きだが、中国が宣言通りの運用能力を持っているか、当時は日本政府内で疑問視された。

■近年、中国海軍艦が防空識別圏の境界線付近に常時展開するようになり、自衛隊機や米軍機に圏外への退去要求を行っている。

■南シナ海では最近、中国艦が外国民間機にも干渉するようになっており、東シナ海上空でも防空識別圏に名を借りた「領空化」の動きに警戒が必要だ。
政治部記者 上村健太
 中国が、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に一方的に設定した「防空識別圏」(ADIZ=Air Defense Identification Zone、アディズ)の境界線付近に、2020年頃から複数の軍艦を常時展開させている。中国国防省は、中国ADIZ(CADIZ、チャディズ)内を飛行する外国航空機に国際慣行とは異なる要求を課し、従わない場合、軍による「防御的緊急措置」をとると宣言している。国際法が航空機に認めている「上空飛行の自由」を脅かす動きで、中国が力による現状変更を海のみならず空でも強めている疑いがある。筆者は23年末、中国が要求する手続きを行わずに読売新聞社のジェット機でCADIZ内に入った。中国海軍艦の挙動などを見る限り、CADIZは今のところ自衛隊機や米国などの軍用機を運用対象としているようだが、中国の海洋進出には「国内統治の拡張」とも呼べる側面があり、外国民間機をも統制下に置く野心は否定できない。実際に、南シナ海では既に中国艦が民間機に干渉する事案が発生しており、GPS(全地球測位システム)妨害も報告されている。東シナ海でも、CADIZの運用強化に警戒する必要がある。

海洋の現状変更の先頭に立つ中国海警 奥島高弘・元海上保安庁長官インタビュー
防空識別圏(ADIZ)と「上空飛行の自由」
 防空識別圏(ADIZ)は、領空侵犯を防ぐため、各国が海岸線から12カイリ(約22キロメートル)の自国領空の外側に設定している空域だ。沿岸国の排他的な主権が及ぶ領空とは異なる。艦船などと比べて高速度で飛来する航空機の特性上、接近を受ける側の国は領空侵犯に早期に備える必要があるため、1950年に米国が世界で初めて設定し、その後各国に広がった。国名の頭文字をとって、日本のADIZはJADIZ、中国はCADIZ、韓国のものはKADIZと称される場合がある。


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 ADIZを直接的に規定した条約は存在しない一方、「海の憲法」とも呼ばれ、中国も締結する国連海洋法条約(UNCLOS)では、公海や排他的経済水域(EEZ)における「上空飛行の自由」を認めている。軍用機を含むどの国の航空機も公海や他国のEEZの上空は基本的に自由に飛行できるとする権利だ。上空飛行の自由とADIZの関係をめぐる学説は割愛するが、現実問題としてADIZに関する国家の一方的な権限設定によって既存の海洋法秩序を変更しようとする試みはこれまでほとんどなかった(注1)。

 日本の運用例を紹介する。日本のADIZはEEZを含む公海上空に位置し、自衛隊が地上レーダーなどで監視している。空港着陸のため領空に入る予定の外国民間機などは航空管制上の手続きとして飛行計画(フライトプラン)を航空当局に提出しており、自衛隊はADIZ内に進入した航空機と計画が合致しているか識別する。合致せず識別できない不審な外国軍用機などがあれば、〈1〉必要に応じて空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、追跡して目視で確認〈2〉対象機が領空に接近すればその旨を無線で通告、場合によって進路変更を要求〈3〉実際に領空侵犯した場合は退去か着陸を求める警告を行う―と段階を踏んで対応する。

 しかも、スクランブル対象となるのは領空に向けて針路をとっている航空機だけで、単にADIZに入るだけでは対象外だ。このことは、日本周辺を飛行する各国の航空機向けに航路図などの情報をまとめた国土交通省発行の「航空路誌(AIP)」にも明示されている。

 スクランブル対象については、同条約を批准していない米国を含む多くの国が上空飛行の自由を尊重し、類似の対応をとっているようだ。

中国ADIZの設定と日本政府の立場
中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(奥)と海上自衛隊の護衛艦「みくま」(2023年12月30日、本社機から)=桐山弘太撮影
 2013年11月23日、中国政府は日本のADIZと重なる形で東シナ海にCADIZを設定すると発表した。CADIZは大陸沿岸から最大約550キロメートル沖に境界線が引かれ、その内側に沖縄県・尖閣諸島上空が含まれている。

 同時に発表された「航空機識別規則公告」は、領空に向かうか否かを問わずCADIZ内を飛行する航空機に対し、飛行計画を中国当局に通報することや、中国国防省の指示に従うことを義務付け、従わない場合は軍が「防御的緊急措置」をとると明記した。この措置がスクランブル機による識別を指すのか、攻撃・撃墜まで含むのか判然とせず、日本側は排他的な主権を主張するものとの疑念を持った。

 日本の外務省は翌24日、「中国側がこうした空域を設定し、自国の規則に従うことを義務付けることは、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、現場海空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なもの」とする外相談話を発表し、強い懸念を表明した。

 談話は防御的緊急措置にも言及し、「国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、国際航空秩序に対して重大な影響を及ぼす。東シナ海は多数の民間航空機の飛行経路となっており、我が国は、民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも、大きな懸念を有している」として一連の措置の撤回を求めた。

 読売機が取材飛行を行った23年12月末時点でも、日本の外務省はCADIZに対する見解は基本的に変わっていないとしている。日本政府はCADIZの効力を認めておらず、自衛隊機や米軍機は現在もCADIZ内で活動を続けている。政府関係者によると、最近もCADIZ内で自衛隊機は中国軍機から異常接近などの危険な飛行をたびたび受けている。米国防総省は23年10月、東・南シナ海上空で米軍機が中国軍機から威圧的な飛行を受けた事案が21年秋以降、計180件に上ったと明らかにした。

 なお、CADIZが設定された直後、日本航空と全日空はいったんは中国当局の求めに応じて飛行計画を提出した。日本政府はこれがCADIZを容認することになりかねないとの懸念から、国内航空各社に提出の自制を求め、各社は従った。ただ、現在も一部の民間機はCADIZ内の飛行を自粛している。

 CADIZの設定後、米国、韓国、オーストラリア、欧州連合(EU)も懸念を表明した。米国のケリー国務長官(当時)は「東シナ海の現状を変更しようとする試みだ」と非難。13年11月26日、米軍のB52爆撃機2機が、同28日には自衛隊機が通告なしにCADIZ内を飛行した。米艦艇が南シナ海で行っている「航行の自由作戦」と同様、中国側の主張を認めない姿勢を行動で示す「飛行の自由作戦」と言える。

 韓国も、中国と管轄権を争う暗礁・ 離於島イオド (中国名・蘇岩礁)上空がCADIZに含まれたことから、翌12月に離於島上空を含む形で韓国ADIZを拡張する対抗措置をとった。

 当初強硬だった中国政府の態度は「識別圏は正常に飛行する国際民間航空機を対象としたものではない」(中国外務省・秦剛報道局長、当時)と次第に軟化し、翌年には中国の航空路誌から防御的緊急措置の文言が削除されていたことが明らかになった(注2)。

中国艦の常時展開
東シナ海を航行する中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(2023年12月30日、本社機から)=桐山弘太撮影
 一応沈静化したように見えるCADIZに近年、異変が生じている。複数の政府関係者によると、中国海軍は2020年頃からCADIZの境界線付近に「中国版イージス」と呼ばれるルーヤン3級ミサイル駆逐艦や、ジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦といった航空機の撃墜能力に優れる高性能艦などを3隻以上、常時展開させるようになった。CADIZ内で任務を続けている自衛隊機や米軍機は、これら中国海軍艦から日常的に無線で退去要求を受けるようになった。

 実は、中国がCADIZを設定してからしばらく、日本政府内にはその実効性を疑問視する声があった。CADIZの境界線と中国大陸との地理的な距離の問題から、中国軍の地上レーダーの探知範囲やスクランブル能力には限界があると考えられたためだ。

 近年の中国艦の常時展開は、高性能艦が搭載するレーダーとミサイルによってCADIZの外縁部を監視能力と攻撃能力の両面からカバーし、実効性の向上を図っているものとみられる。軍艦の運用方法としては奇抜なようにも見えるが、米軍は太平洋戦争期から冷戦初期にかけて、海軍主力部隊から離れて配置した艦艇にレーダーによる対空警戒任務を与えていた。「レーダーピケット艦」と呼ばれた艦艇で、発想としてはこれに近い。

 また、中国は近年、早期警戒管制機(AWACS)の発展・配備などを通じて、空対空でも監視能力を向上させている。

国際空域の「領空化」
 CADIZの問題点を(1)軍事戦略(2)国内統治の拡張―の切り口から考えてみたい。(1)の観点で見たCADIZは、中国近海で米軍の活動を妨げるA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略の一環と評価できる。米軍機の飛来を妨げることなどが目的だ。また、中国艦の常時展開は「キャベツ戦術」の一環でもあろう。狙った 島嶼とうしょ をキャベツの芯に見立てて、その周囲を軟らかい葉すなわち漁船、その外側を海警局公船、さらに外側を硬い葉つまり海軍艦艇と何層にも包んで実効支配を狙う戦術だ。尖閣諸島が芯にあたる。

 (1)の観点で見たCADIZの問題点はA2ADの強化と尖閣諸島奪取への試み、日本ADIZとの重複による中国軍機と自衛隊機の偶発的衝突のリスクにおおむね 収斂しゅうれん されるだろう。中国も主権国家として自国領空を守る必要がある以上、自衛隊幹部からも、尖閣上空を含む点は別にして防御的なものであれば、ADIZを設定する中国の権利自体を否定する意見は聞かれない。ただ、この観点で見るだけでは問題を 矮小わいしょう 化しかねない。

 (2)を考える必要があるのは、中国の海洋戦略が全体的に自国の管轄権が及ぶ地理的範囲を国際法に反して拡大したり、その内側で自国当局に権限を付与したりする傾向があるためだ。南シナ海の「九段線」や次項で触れる中国国内法が一例だ。中国が、こうした発想を空域にも当てはめているとすれば、ADIZに名を借りた国際空域の「領空化」に向けた試みにほかならない。

 当然、海と空では物理的に可能な活動、経済的資源、安全保障上の所要のいずれも異なるが、日本の外相談話が、国際航空秩序や民間航空の秩序・安全への懸念にまで踏み込んでCADIZの不当性を訴えたことは、問題意識として妥当に思われる。

中国の「海洋国土」論と法律戦
 中国政府は「海洋国土(藍色国土)」という概念を持ち、習近平政権が2017年に発表した「国土計画(2016―2030)」では、海洋国土を含む領土整備計画が示された。国連海洋法条約では領土と認められない海域も海洋国土に含まれる(注3)。

 同条約は軍艦を含む船舶に対し、無害通航権を認めている。つまり、沿岸国の安全を脅かさない限り、外国領海を通過する自由を享受できるはずだが、中国「領海法」は外国軍艦に対し領海に入る場合に事前許可を取るよう求めている。また、領海の外側約22キロメートルの接続水域では、同条約が通関、財政、出入国管理、衛生に関する法令違反を防止する目的の規制を沿岸国に認めているのに対し、同法はこれに「安全」を加えて、安全保障上の管轄権を接続水域にまで拡張している。尖閣諸島情勢に関し、日本では接続水域への中国公船の侵入には領海侵入ほどの関心が注がれていないが、中国側から見れば接続水域への侵入は中国国内法にのっとった実効支配の実績ということになる。さらに、中国「海警法」は「中国の管轄海域」という曖昧な概念を持ちだし、これとその上空における法執行を規定している。これらは中国が進める法分野で優勢を取る戦い、「法律戦」に通ずる動きだ。

 こうした強い領域管理の感覚と、目には見えないCADIZ境界線を軍艦を並べて実線化するような行動は無縁ではないだろう。この点を踏まえ、CADIZにおける権限行使の状況を見てみよう。

 今のところ、日本の航空会社の運航に支障は出ていないようだが、先述した飛行計画の提出取りやめは、CADIZが国際社会から大きな注目を集める中で、日本政府の要請によって行われた。中国としては強硬な措置を取りにくい環境で取られた日本側の対応が、現在も継続している状況だ。また、通常の航空管制上の手続きはとっている。こうした定期航空はともかくCADIZ内で外国民間機がどう扱われるかは長年、専門家が関心を寄せるテーマだった。この点、23年末に読売機が行った取材飛行は、民間機の挙動としては限界事例だと思われるため、当日の動きを次項で詳述したい。

取材飛行
 読売新聞社が保有するジェット機「みらい」は23年12月末、中国の航空機識別規則公告が義務づけている中国当局への事前通報を行わずにCADIZ内に入り、中国海軍艦を捜索した。

 飛行は同27~30日の4日間、沖縄県沖のCADIZ境界線内外で計6回行った。同30日午後、本社航空部員、筆者と写真部員が搭乗した読売機は石垣空港を離陸。夕刻前、尖閣諸島から北東約230キロメートル、CADIZ境界線から中国側に約20キロメートルの海上に中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(艦番号533)が展開しているのを発見した。

 読売機は高度約150~240メートルの低空飛行を維持したまま、右舷後方から中国艦に接近。最接近時は中国艦まで約1000メートルに迫り、その距離のまま艦首前方を横切って反時計回りにほぼ1周した。このとき、中国艦から約5キロメートルの海上には、海自護衛艦「みくま」が展開し、中国艦と 対峙たいじ しているのが確認できた。

 中国艦前方を横切った際に撮影した写真には、双眼鏡でこちらをうかがうような2人の人影が艦橋付近に写っていた。当然、読売機の飛行は安全に十分配慮したものだったが、単なる通過飛行でないことは外形上明らかなところ、中国艦からの呼びかけや妨害行為はなかった。なお、公告が義務づけた行動のうち、読売機は通常の飛行でも行うトランスポンダー(自動応答装置)の常時作動などは行い、国際緊急周波数(VHF、121・5Mhz)を常時聴取していた。また、現場空域は上海FIR(飛行情報区)外であり、航空管制上も中国当局に関する手続きは取らなかった。

 一方、読売機は同30日午前、沖縄県の久米島と宮古島の間のCADIZ外を通過した際、自衛隊機か米軍機に宛てたものとみられる中国海軍艦からの無線を同周波数で受信した。無線は、中国語の音声に続いて英語でも発せられ、不明瞭ながら「This is a China naval warship(こちらは中国海軍艦)」で始まり、「Depart immediately, Depart immediately(直ちに立ち去れ、直ちに立ち去れ)」と述べているのが確認できた。CADIZからの退去要求とみられる。空自の対領空侵犯措置が段階を踏み、日本ADIZが領空に至るまでのバッファ(緩衝地帯)として機能しているのとは対照的だ。

 余談だが、政府関係者によると、中国艦は航空機に退去を求める際に「Depart immediately」と「Leave immediately」のどちらの文言も使う。無線交信の際、自衛隊やロシア軍がほぼ定型の文言を使うのに対し、中国軍は発信者によるばらつきが大きいのだという。中国軍との偶発的衝突のリスクを考える上で、興味深いエピソードだ。

今日の南シナ海は、明日の東シナ海
 以上見たようにCADIZでは今のところ、民間機に対する特段の干渉は見受けられないが、中国の航空路誌から「防御的緊急措置」の文言が事後的に削除された点を見ても、中国側が当初からその意図を持っていなかったとは言い切れない。先述の通り、CADIZの設定当時、西側各国は、日本の外相談話や日米の「飛行の自由作戦」、韓国のADIZ拡張などの強い反応を示した上で、自衛隊や米軍はあえてそれまで通りの運用を続けている。

 この経緯を踏まえれば、CADIZで外国民間機に不都合が今のところ生じていないのは、むしろ中国側の野心とそれを拒否する関係国の不断の意思表示が均衡している状態にすぎないと見るべきではないか。

 その傍証として、多くの沿岸国が有力な対抗手段を持っていない南シナ海では最近、空における現状変更ともとれる動きが出てきた。現時点で南シナ海にCADIZは宣言されていないが、豪州メディア・スカイニュースは23年3月、「カンタス航空、中国軍艦が西太平洋と南シナ海で通信妨害を起こしているとパイロットに警告」との見出しの記事を掲載した(注4)。記事によれば、豪大手・カンタス航空は中国軍を名乗る発信者から通信の干渉を受けたほか、軍艦が発信元とみられるGPS妨害を受けたとして、自社のパイロットに対応手順を通知した。

 パイロットの国際組織「国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)」も23年3月、「太平洋地域における軍艦による通信干渉(Communication Interference by Military Warships in the Pacific Region)」と題する声明を発表した。声明は中国を名指しこそしていないが、太平洋地域、とくに南シナ海、フィリピン海などで民間航空機と軍用機が軍艦からの呼びかけを受けていると警告している。声明によれば、軍艦の上空を避けて飛行するよう針路変更を求められた事例もあり、航空機が搭載しているGPS機器や電波高度計に対する妨害もあり得るとした。その上で声明はパイロットに対し、軍艦からの呼びかけに反応せず、所属航空会社に異変を報告することなどを求めている。

 日米などの海上・航空優勢が揺らいだり、意思表示が弱まったりすれば、東シナ海でも同様の事態が生じかねない。有事が近づいたときにCADIZが別の様相を呈することも考えられる。例えば、台湾有事に際して予想される海上封鎖では、船舶の通航だけが制限されるとは考えにくく、航空機の通航制限に関してCADIZが何らかの機能を発揮する可能性がある。日本の邦人保護にも直結する問題だ。

 一連の経過に別の言い方をすれば、中国海軍は東シナ海のCADIZで自衛隊機や米軍機に対する「レーダーピケット艦作戦」を始めており、南シナ海では最近、民間機に対する同作戦を実行するようになった。この状況は、東シナ海のCADIZに現状変更の意図があると疑うには十分な理由で、異変を過小評価してはならない。

注釈
(注1)石井由梨佳(2014年)「公海と排他的経済水域における『上空飛行の自由』の意義―防空識別圏を巡る実行を中心に―」(国際安全保障学会『国際安全保障第42巻第1号』)
(注2)岩田高明(2019年)「中国の藍色国土」
(注3)毛利亜樹(2023年)「中国における『300万平方㎞の海洋国土』認識の形成」(アジア政経学会『アジア研究69巻3号』)
(注4)https://www.skynews.com.au/australia-news/defence-and-foreign-affairs/qantas-warns-pilots-of-chinese-warships-causing-communication-interference-in-western-pacific-and-south-china-sea/news-story/d24b336700ad3efa60235d6927fdec0e(2024年9月3日閲覧)

https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckworld/20241021-OYT8T50026/

 

 

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外患誘致

2024年11月08日 | 政治

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2024 11 08 外患誘致 【わが郷】
 

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日本の安全保障戦略は、

日米安保の継続である。

 

 

 2023 10 01 偽ウヨは、頭がわるいのか【わが郷】

今の時代では、『台湾に大日本帝国の、陸軍を送って。』 台湾防衛の任に当たらせる。なんて出来ない。だが南西海域に自衛隊の、艦船を遊弋させる。そして尖閣諸島を、敵基地攻撃ミサイルの基地とする。これぐらいは、やろうと思えば 出来てしまう。要は岸田文雄氏に、国家を治める覚悟が無い。彼は外務大臣のレベルから、1㎜も成長できていない。
通商破壊 - 我が郷は足日木の垂水のほとり

だが、ウクライナでの敗北というか。プーチンのロシアとは、戦い得ない 米軍の不在 が現実にあり。支那の西南海域への侵出を、米国は手をこまねいて許してしまっている。台湾有事には、米軍は出てこない危惧がある。台湾海峡の自由航行を維持するためにも、日本自衛艦による実体的な示威・遊弋は不可欠なのだ。

だが、日本の有効なプレゼンスは。こうした軍事力の誇示は、米国軍事力の頼りなさ。米軍の無力の、表現でもあり。米国軍産にとっては、許せない。それで、日本政治の実力者でもあり、敵地攻撃力保持の明言者。安倍氏は排除された。政治家は、特に政府の要とも成る、戦車のセラミック装甲は、戦闘とも成れば、撃たれて。真っ先に、砕け散る。ならば我が軍の戦車は、何両も何両も必要なのだが。

 

2024 09 01 この人達【わが郷】

この人達が、砕け散るセラミック装甲に、なり得るのか。

まあ、危ないと基感じたならば。真っ先に逃げる。これぐらいは出来そうだ。岸田氏は、真っ先に逃げてしまったし。高市氏は、自ら自民党を割って、衆議院議員を 多く落選 させることに成功した。小泉純一郎の日本経済破壊。その二の舞、高市政権誕生は阻止されたが。自民党の単独過半数維持は,粉砕されてしまった。仕手は、高市早苗・議員であり、

 

2024 09 28 石破新総裁【わが郷】

自民党内の特ア・朝鮮人系統の者たち等は、持ち前の 吾が 我が のサヨク病が発症して、高市と小泉は分裂してまとまった戦いには成らなかった。其れで石破総裁が誕生した。そして自動的に、石破氏が内閣総理大臣となった。衆議院総選挙では、高市早苗派の議員等の多くが、自爆して果てた。こうして、自民党は過半数を割った。高市早苗は、日本国の弱体化の為の、工作員なのだもの。見事に、その役目を果たした。自民党総裁選挙では負けたが。石破自民党を過半数割れ、に 追い込んだのだもの。外患誘致の役目は、果たしたのだ。

まあ、彼女の役目は、各議員の利己主義に火を付けて。自民党の分裂に成功した。

なので、反日特ア・は、戦いに勝った。と、自認するだけ はある。

安倍ガァ~』と妬み怨嗟の声。

その安倍派は、高市早苗の自爆攻撃で。もう無くなってしまった。

と同時に、『首相に相応しい、高市早苗・議員』とかの、虚偽のイメージも、もう霧散してしまっている。

コピペ・クリック シンジケート【言葉の説明】
 コピペ・クリック シンジケート

国政選挙では、一人は だった 一票しか無い。

だが、ネット・ランキングでは。

仲間が、30人いれば。

30倍の 投票結果が、得られて。このカラクリを知らない、謂わば【愚民】は騙されてしまう。ランキン気の上位の人の、言説には惑わされて、多くの国民が。自民党総裁選で、『自民党の総裁に、相応しく、内閣総理大臣に為るべきは。』高市早苗だと、認識を誘導されてしまった。しかし,泥々の選挙戦を戦い抜いてきた。泥田のトラクター 国会議員では、騙され 幻惑される議員が、少なかった

 

 

次の総理を選ぶのは「ネトウヨ」!?

自民"崖っぷち状態"でキングメーカーになるかもしれない不敵な存在

2024 11 03   (日) 8:00

波乱の総選挙で、自公連立政権は過半数を逃し、政局は混とんとしている。石破茂首相は続投の姿勢だが、その命脈はいつ尽きるか不透明な情勢だ。後任の筆頭は、9月の総裁選で党員人気の高さを見せつけた高市早苗氏だ。タカ派強硬姿勢に賛同するネット右翼層が総裁選で押し上げたとの見方が党内には広がっており、「また、総裁選を行えば、ネトウヨがキングメーカーになる」との不安の声も漏れてくる。

石破おろしが加速する!?
石破首相は八方ふさがりだ。自公で過半数を逃したことで、国民民主や維新といった保守傾向の強い他党の協力がなければ、法案を衆院で通過させることができなくなった。今後の情勢について、政治部デスクが解説する。

「石破首相は国民民主との連携を模索しています。しかし、そうなれば必然的に国民民主の主張を受け入れなくてはならず、自民内部からの反発が生じることがあり得ます。レームダックと化せば石破おろしが加速し、党内外からの足の引っ張り合いに嫌気がさし、自ら総理・総裁職を辞任する可能性がある。再び、総裁選が開かれれば、高市氏がポスト石破として急浮上します」(政治部デスク)

高市氏は総裁選で、党員・党友票で全体の約3割となる20万3802票を獲得し、事前予想ではトップとみられていた石破首相を1244票差でかわした。初出馬となった前回の2021年の総裁選からは5万票以上の積み上げ。党関係者やメディアを唖然とさせた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/75a8ffbf2427116d7823414939235b4d2a814d09

マスコミは、全部が ゼェ~んぶ。 

対米従属で、本質的には 湯田屋マスコミの欺瞞報道に、溢れかえっている。日本の最先端の工業技術である。半導体だとか、先端素材技術やその製品を、韓国などに横流し。それで,韓国経済は 好い加減な代物を作って。アメリカに輸出する。アメリカの市場では、こうした代物でも、充分に商品になり得るのだ。日本人は、韓国製の自動車なんかには、絶対に乗らない。しかし、アメリカでは韓国製の、タクシーなんぞが結構走っていたりする。

 

海自護衛艦 台湾海峡を初通過 

中国の威圧的活動を牽制

2024 09 26

さざなみ (護衛艦) 

 海上自衛隊の護衛艦が初めて台湾海峡を通過したことが分かりました。中国軍の相次ぐ威圧的な活動を牽制(けんせい)する狙いです。日本 - 我が郷は足日木の垂水のほとり

 

政治家ばら、が どれ程 その政治力を過信しようとも。

戦後・特ア・朝鮮人たちの政治は、国富をチュルチュルと、盗み取る

しかし、高市派は 殆どが 衆院選挙で自爆したので。もう戦力は無い。

 

ならば、石破・岸田 勢力の自滅を只ただ 祈るぐらいしか出来ない。そして、全国の自民党党員は、高市早苗の正体が見えてしまったのだもの。此れからは、公然とは 高市早苗を 支持表明など出来なく為った。

日本経済を担っているのは。泥田の耕運機なのだもの。チャラチャラした、おべべの高市氏などは、相手にされない。なんだ。チョンコだった かと。知れてしまった。

 

コピペ・クリック シンジケート【言葉の説明】
 コピペ・クリック シンジケート

自民党は過半数割れ。野田・立民は、過半数を取れなかった。つまり、高市派は自民党を分割することに、は 成功した。安倍派の議員の多くが、高市早苗に内応して、高市派に鞍替えしていた。鞍替えのご褒美が、パーティ券売上金の、ポッポへナイナイ政治資金規正法違反の容認 だったと思われる。

 

      2024 11 08 外患誘致 【わが郷】
 

高市早苗・議員が、自民党を割った張本人なのだもの。

彼女は,テレビに登場しなくなった。

出れば、この女が 自民党を分化して。壊した張本人だと。全国民から 指さされる。指弾されることとなる。なので、彼女はその指弾を跳ね返す、根性が無い。なので、逃げているのだろう。

                                                     萩生田 光一【政治家】 萩生田 光一

萩生田氏は、安倍氏の生前時代には。

何時も、安倍氏の隣で、テレビに写っていた。それで、選挙民の脳みそには、萩生田氏は実力者だ。との印象が、ズリズリズリと擦り込まれていた。選挙民の脳みそなんて、此の程度なのだもの。それで、彼は ポケットナイナイ の主犯格なのだが。今度の選挙で、当選できたのだろう。

 

 

日光プリンスホテル【岩淸水・言葉の説明】 日光プリンスホテル

 日光プリンスホテル(にっこうプリンスホテル)は栃木県日光市菖蒲ケ浜の中禅寺湖畔で、2008年11月まで営業していたリゾートホテル。
(wikipedia)

 堤 義明  日光プリンスホテル

 プリンスホテルは、西武ホールディングス子会社のホテル・レジャー事業会社である株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(英: Seibu Prince Hotels Worldwide, Inc.)が運営する日本最大のホテルチェーンである。

西武グループに属し、西武鉄道とともにグループの中核的企業である。国内のホテル・レジャー業界で最大の規模を誇る。東京都心部を中心としたシティホテルやスキー場・ゴルフ場などのレジャー施設、それに併設されたリゾートホテルなどを運営している[2]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB

菅 義偉 【わが郷・政治家】1948~ 菅 義偉 

菅義偉氏の、GoTo 観光政策は、そもそも彼には、ホテル事業を敢行する程の、財力は無かった。豪勢な施設などを運営する。観光・宿泊業なんぞは、儲からない。道楽商売で、儲かることは無い。特に、国際金融の日本経済への、攻撃を受けて、さしもの  堤 義明 日光プリンスホテルでも、この日光プリンスホテルの、贅沢な陣容を維持する、ゼニは もう作り出すことは、できなかった

何てったって、米軍の日本支配の 残置・司法が 東京だとか 大阪の 検察特捜部 なのだもの。是が出張ってきて、堤氏だとかの、信用創造を 違法だと決めつけてしまった。これで、は 堪らない。アメリカの本家本元の、DS からの指示で。日光プリンスホテルは、営業が出来なく為った。まあ、是も わが郷・左近尉の謂う、『ミンシュ検察』なのだ。この戦後レジームと戦う。気概を燃せたことがある。それで日本国民は、『首相に相応しい、一等の政治家と見なした。』日本が是以上強くなっては、困るので安倍氏は、そのスジによって、暗殺されてしまった。

 

2024 09 01 この人達【わが郷】

まあ、弾よけは。いっぱいいた方が良い。

此れからは、各党が 謂いたいことを言う。ごちゃごちゃ 遣っていれば。誰を標的にしたら良いか、判らなくなる。そして、石破氏は、うろうろ グズ愚図 と ただ、総理の椅子に居縋り付く、駄目な政治家で あれば良い。

 

日本経済の、一番の敵は、米国・国際金融なのだ。

でも、こうした真実を、国際金融の経営する。マスコミが謂うことは、絶対に無い。だが、日本経済が立ちゆかなくなれば、日本経済に支えられている、米国経済も立ちゆかなくなる。米国は先の大戦で、日本に勝った戦勝国なのだ。とかの認識が、変えられない限り。米国などの DS つまり国家経営者達は、米国経済の空洞化を、押しとどめることは出来ない。アメリカ国民の間違った、自負心を擽るために、日本製鉄の UEスチール経営が、停滞してしまっている。そう,馬鹿な政治家が絡めば。米国経済の空洞化が、止まらなくなる。

外患は、アメリカの DS 政治その物であり。

高市早苗は、その手下なのだもの。

彼女は、『日本国の総理大臣に、一番相応しくない』政治家なのだ。

まあ、今回の 自民党の分割 騒動で。主犯格の犯人が、彼女だと 聡明な政治家ほど。思い知ったことだろう。

そして、40名の高市派の議員で。落選した。24名の政治家が落選した。彼らこそリアルな政治を、身をもって体感させられた。良い薬を飲むこととなった。此れからは、世界が スッキリと 明瞭に見えてくる。

 

 

                    2024 10 30 高市と石破 【わが郷】

高市が応援した、高市派の議員は 40人中、24人が落選した。
つまり、今回の選挙では、高市と関わると、60% が落ちてしまう。つまり疫病神になっている。是から政治家として成功するには、高市と関わらないことと。卦が出てしまった
高市と石破 - 我が郷は足日木の垂水のほとり

 

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ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し

2024年11月08日 | 記事紹介

ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し

 

  記事の紹介です。

NHKスペシャルでは描けなかった…番組に出演してわかった「ジャニー喜多川氏の性加害」が野放しにされたワケ
いまだにジャニーズ問題から目を背けるテレビ局の罪

2024/11/08 8:00

2024 11 08 ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し【わが郷】

なぜジャニー喜多川氏による性加害問題は長年放置されてきたのか。元テレビ東京社員で、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「ジャニー氏という『モンスター』を創り出し、利用し、ときには利用され、野放しにしたテレビを中心としたメディア側にその原因がある。NHKスペシャルに出演してそれが改めてわかった」という――。

「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像」に出演してわかったこと

私は、NHKスペシャル「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」(初回放送日10月20日)に出演した。そのことで、さまざまな方面から多くの意見や感想、励ましの言葉をいただいた。改めて、この場を借りてお礼を申し上げたい。

また、番組のディレクターである中川雄一朗氏ならびにプロデューサーの内山拓氏には敬意を表したい。かなりの「バッシング」や「障害」が〝社内外から〟あったと推察する。よくこの企画を通して、放送に至るまでをまっとうした。その大変さが痛いほどわかる。 

私自身も過去に日テレの「NNNドキュメント」で、「連合赤軍の元兵士」や「ストーカー加害者」「自閉症スペクトラム障害の少年たち」を取材対象にしたときに、「なぜそんな難しいテーマをあえて選ぶのか」と訝しがられた。同じように今回も「なぜそんな番組を今やるのか」といった横槍が多く入ったことは想像に難くない。だから、そういった障壁を乗り越えて番組を実現したことは、称賛に値する。

だが、率直に言って、番組は彼らの思いとはほど遠いものになってしまった。その理由は何なのか。放送からおよそ2週間が経ったいま、自分自身の気持ちを整理したうえで、「メディア研究者」兼「大学教員」という立場から冷静に番組を検証し、その原因を徹底的に探ってみたいと考えている。

なぜ今回の番組に出ようと思ったのか
放送後、多くのメディアから「なぜ今回の番組に出ようと決意したのか」と尋ねられた。この問いに対しては、実は詳しくは話していない。そこで、ここで明らかにしておきたい。その理由は2つある。ひとつは、私自身の「環境の変化」だ。そしてもうひとつは、ディレクターの中川氏への「信頼感」である。

私は2023年3月にテレビ東京を退職し、大学教員になった。ちょうどそのころ、BBCの放送をきっかけにこの問題が表面化し、9月に旧ジャニーズ事務所(以下、「旧J」と略す)が記者会見を開いて事実を認めた。そんななか、日々学生たちに接していて「この子たちが社会に出たときに、同じような目に遭わないようにしなければならない」という思いが私のなかで膨らんでいった。

そして、2024年1月に出版した『混沌時代の新・テレビ論』(ポプラ新書)に旧Jの少年たちとの当時のことを書いた。著書やその後のジャニーズ性加害問題に関する論考を読んで連絡してきてくれたのが、中川氏だった。2024年1月19日のことだ。

中川氏は「クローズアップ現代」でジャニーズ性加害問題を取り上げ、ジャニーズ事務所を会見の場に引きずり出した人物である。その後も、元ジャニーズJr.の二本樹顕理氏をフォーカスした「事件の涙 声をあげたその先に ジャニーズ性加害問題」(初回放送日3月18日)を制作するなど、被害者に寄り添う取材を続けていた。

番組ディレクターの狙い
彼に会って番組への思いを聞き、テレビの現場から離れていた私のこころに、忘れかけていたメディア人としての熱い気持ちが蘇った。

「声をあげるべきだ」そして、「ぜひ協力したい」と思った。

中川氏から聞いた番組の狙いは、以下の2つだった。

① ジャニー氏とメリー氏の実像に迫る番組を作りたい……これまではどちらかというと被害者側、彼らのおこなったことに対しての検証がなされてきたが、彼らの本当の姿を描いたものはない。今回はそういうテーマでいきたいと考えている。

② インタビューで構成するドキュメンタリーにしたい……周りの推測や検証だとどうしても事実が見えてこない。一方、彼らや当時のことを知るNHK上層部の証言は信憑性がある。視聴者も納得感を抱くだろう。なるべく多くの人に話を聞いて、それを敷き詰めるような番組構成にしたい。

私は中川氏の話を聞いて、実現できるならおもしろいと感じた。私もその一翼を担いたいと思った。しかし、残念ながら実際の番組はそうはならなかった。

番組の初盤や前半のアメリカ取材の部分はなかなか見ごたえがあった。ジャニー氏やメリー氏がアメリカに住んでいたころを知る人々を探し出し、交渉するのは大変だっただろう。その成果は充分にあった。

「姉のメリー氏が昔から弟のジャニー氏を何かにつけて庇っていた」という証言は、旧Jの「二頭体制」をよくあらわしているエピソードだった。

前半と後半で全く違う番組に…
しかし、後半はそれまでの意気込みを忘れてしまったかのような内容になっていた。前後で全然違う番組かと思えるほどだった。

中川氏は「インタビューで構成するドキュメンタリーにしたい」と語ったが、しっかりと話を聞いて実際に放送されたのは数えるほどしかいなかった。旧Jのマネジメント業務を引き継いだスタートエンターテイメント社の顧問である元NHK理事・若泉久朗氏への突撃取材はインタビューと言えない代物で、ワイドショーさながらである。私の話したことが随所に散りばめられ、さも私の話で番組を進めているかのような構成だった。

繰り返しになるが、彼らはよく頑張った。今回の番組はNHKでなければ放送することはできなかった。それは、昨年9月のジャニーズ事務所の記者会見以降、民放各局は短い検証番組をやっただけで、NHKのような追跡番組をおこなっていないからだ。そして「偉業」とも言えるこの離れ業をやってのけられたのは、中川氏が「NHK途中入社組」であったからだと指摘したい。

私はテレビ東京に37年間在籍した。それだけ長くいると組織が何を考えているのか、どういう企画を提案したら通って、どんなことに対して異議を唱えるのかが何となくわかってくる。そのことで逆に「リミッター」がかかることもある。

「この企画は無理だろうな」といったことが提案する前からわかってしまうといったように、「自己規制」がかかるのだ。同じように、中川氏がNHK上層部の過剰な反応や反発を予測していれば、制作に踏み切るのを躊躇していたかもしれない。

ずれ込んだ放送日の怪
だが、それほどまでの熱意と信念を持った彼らでも、打ち破ることができなかった大きな壁がそこには立ちはだかっていた。そしてそれはNHKの外からの圧力ではない。“内部からの”圧力や障害といった「内なる壁」であったのではないか。上記の①②に沿って、述べてゆく。

まず、①の当初の意図と違う内容になってしまったことについてだが、もちろん、現場の中川氏は初志貫徹で進めていた。しかし、「ジャニー氏とメリー氏の実像」を浮びあがらせるためには当時のことを語れる人物が必要だ。

一番大事な論点は「彼らはどこで間違ったのか」「何が彼らを間違わせてしまったのか」であったにも関わらず、その答えを知っている人物が表に出てくることはなかった。だから、取材が中途半端で終わってしまうという事態に陥ってしまったのだ。

②に関しては、中川氏とのやり取りと番組の進行具合を時系列に追ってみると、おのずからと真実が浮かび上がってくる。

最初のコンタクトである1月の次に連絡があったのは、3月14日だ。それは4日後に放送が予定されている、二本樹顕理氏を取り上げた番組「事件の涙」を知らせる短いメールだった。次の連絡は6月7日である。

企画が始動したことと同時に、通常、取材対象者に伝えられる「番組概要」として「放送日は9月末あたりのNHKスペシャル枠を想定しているということが記されていた。そして、私のインタビューは7月31日にNHK局内の会議室でおこなわれた。

2つの大きなハードル
ここまで中川氏とやり取りをしていて、私は「NHK内部のインタビューがなかなか撮れなくて、困っている」という印象を受けていた。

また、1月に私に会っているということはその段階ですでに企画提案はしていたはずだが、実際にインタビューを撮るまでに半年以上を費やしている。これは旧Jの関連の番組実績がある中川氏であっても、局内で企画を通すのに難航していたことをあらわしている。

そして、当初、9月放送予定だった番組は、実際には10月20日に放送された。この放送日の変更については、『週刊文春』は、NHK関係者の話として「旧Jタレント起用再開」の記者会見を理由として挙げているが、私はそれだけが放送日変更の理由ではないと考えている。では、何だったのか。

それは、以下の2つの大きなハードルがあったからである。

① NHK上層部にインタビューすること
② 旧J(旧ジャニーズ事務所)の幹部にインタビューすること

それら2つは、クリエイターであれば誰しもが狙いたいターゲットだ。ジャニーズ性加害問題に心血を注いできた中川氏にとっても、もちろんそうだっただろう。

だが、それが叶わなかった。それが、番組が前半と後半でちぐはぐな構成になってしまい、インタビューも中途半端になった挙句、放送日を遅らせなければならなくなった原因となったのではないか。

そしてその代わりに用意されたのが、NHKの若泉元理事とSMILE-UP.社の補償本部長という「スケープゴート」だった。NHKの上層部は誰も出てこない、これでは体裁がつかないとなったときにターゲットとなった若泉氏への突撃取材を当のNHK上層部がOKしているという事実は、「辞めた人間だからいいんじゃない?」という思惑が働いたと指摘されても仕方がない。

「ストーリーテラー」を担わざるを得なくなった
以上のような事情で、たかだかAD時代に3年弱、旧Jと接点があったに過ぎない私にストーリーテラーのような役割を担わせざるを得なくなった。そのためには“堂々と”“自信をもって”代弁してもらわなければならない。そういった理由で、私の「大股開き」で高圧的な、だが、一見“威厳がある”ように見えなくもないカットが多用されることになる。

この「大股開き」の映像に関しては、いまは気持ちが落ち着いているが、当時はかなり動揺した。私自身があんな姿を撮られているとは思っていなかったからだ。初めて放送で見て驚いたが、映像の専門家であったにも関わらずあまりにも無防備だったと反省をしている。

制作者側にはそこまでの強い意図はなかったかもしれないが、「ネットなどで炎上すること」がわかっているのに削除やサイズ変更を指示しなかったNHK上層部の頭のなかには、私に「悪者になってもらおう」という意識がなかったとは言い切れない。番組冒頭で述べられた私の経歴を知るよしもない途中から見た人は、完全に「長年、旧Jべったり」で芸能界を生きてきた人間だと思っただろう。

遅すぎる情報解禁
中川氏とのやり取りのなかで私が直感したことがある。

彼らは、実は辿り着いていた。NHK上層部の然るべき人物をインタビューの場に引きずり出すことに成功していた。だが、その映像は直前になって削除することを指示されたのではないか――ということだ。

何かにつけこまめに連絡があった中川氏から放送日直前になっても「放送解禁」の連絡が来ないので、私は「おかしいな」と思っていた。しびれを切らしてメールをした私に、短く中川氏は「まだ編集中です」と答えた。それは、放送2日前の10月18日のことだ。

情報解禁が異常に遅いのも気になった。番組は通常、1週間ほど前には情報を解禁して宣伝を始める。ドラマはさらに宣伝期間が長く、解禁は1カ月前くらいにおこなう。NHKスペシャルのような大型の番組であればなおさらである。

番組の情報と放送日は、中川氏が編集を続けている真っ只中の同日12時にやっと解禁された。もしかしたら、最後まで当該のインタビューを「切る、切らない」といったような闘いが上層部と現場の間で繰り広げられていたのかもしれない。最後に流れた「お断りテロップ」を入れるほどの直しに、編集の手間がかかったとも思えないからだ。

最終的には現場がNHK上層部の然るべき人物のインタビューをカットすることを“しぶしぶ”受け入れて、上層部が「放送を発表しても大丈夫」と判断し、「放送解禁」となったのではないか。私は、確信に近いそういった思いを抱いている。

テロップから読み取れる番組制作者の本音
次に、ネットなどでも物議を醸している「お断りテロップ」について考察を加える。本編終了後、いきなり黒ベースになって文字だけの画面が映し出された。

そこには「2024年10月16日 NHKはスタートエンターテイメントの所属タレントへの出演依頼を可能とすると発表した」という内容と同時に「この問題はこれで終わったとは考えていません。NHKも当時の認識や対応が十分ではなくメディアの責任を果たせなかったと自省しています(後半は割愛)」というコメントが示された。

通常、こういった番組の最後に流されるテロップは何かの「事後報告」であることが多いが、今回はそうではなく、「意思表明」だと考えられる。「出演依頼が可能」と言っておきながら「決して許さない」と断言するなど、前半と後半の「ちぐはぐさ感」も否めない。こんなことがなぜ起こったのか。

これに関しては、SNSでは2つの解釈が飛び交った。ひとつはNHKの「禊」や「言い訳」だというもの。もうひとつは、中川氏をはじめとした制作者の「怒りのあらわれ」だとするものである。私はこのどちらも正しいと見ている。

NHKは旧ジャニーズタレントの起用再開を決めたが…
これまで記したように、制作者の狙いと実際に放送された番組を見れば、番組制作者側とNHK上層部には大きな乖離があったのは明らかである。目指すものも伝えたいことも、まったくかみ合っていない。だが、放送というプロセスに至るためには、その二者が折り合いをつける必要があった。

NHK本体や上層部は「スタートエンターテイメント所属タレントへの出演依頼」を改めて強調しておきたい。そのことで放送をすることを「良し」とした。制作者側は「その主張は許容しよう。しかし、我々の主張も入れさせてもらう」ということで、両者のWin-Winのもとであのテロップが成立したのである。

そしてこのテロップから、改めてNHK本体や上層部と制作者側が見ている先がまったく違うことが露見した。制作者側は、視聴者や被害者の方をしっかりと向いている。それは「これからも向き合って調査や報道をすすめていく」という宣言からわかる。


NHK本体や上層部が見ている先
そしてその部分の主張は、実はNHK本体や上層部にとっても“都合がいい”ものなのだ。それが、テロップの最後の部分「報道・番組を通じて行い公共放送としての役割を果たしていきたいと考えています」の部分にあらわれている。

NHK本体や上層部が見ている先、気にする相手は、政府や国際社会である。ジャニー氏や旧Jへの糾弾はBBCに先を越され、国際社会からは「日本の公共放送は何をやっているのか」と非難されている。国連や政府からの風当たりも強い。そんなふうにプライドが地に落ちたいま、NHKとしては威信を取り戻さなければならない。そんな焦りが、このテロップからひしひしと伝わってくるのである。

だが、制作者側も負けてはいない。このテロップに「大きな仕掛け」を隠した。あのような中途半端な表記にあえてすることで、制作者は、視聴者が「?」と引っかかって「ちぐはぐ感」や「違和感」を抱き、その先を考えてくれるのではないか、疑問意識を持ってくれるのではないかと「望みを託した」のだと私は分析している。

「モンスター」を野放しにしたマスコミの罪
最後に、これまでの検証を踏まえて「ジャニーズ性加害問題の根源はどこにあるのか」という最大の難題を吟味したい。

私のこれまでの分析が正しければ、今回の番組は、NHK自身がいまだに性加害問題やジャニーズ事務所と密接にかかわってきた過去から目を背けているという事実を露見してしまったものだと言えるだろう。その行為は、過去の間違いを直視せず、総括も不十分なままただ前に進もうとしていると思わざるを得ない。こうした姿勢を是正しない限り、また同じような問題が起こる恐れがある。そう強く提言したい。

問題の根源は元ジャニーズ事務所側だけにあるのではない。ジャニー氏という「モンスター」を創り出し、利用し、ときには利用され、野放しにしたテレビを中心としたメディア側にある。まずは、番組の最初の志であったはずの「彼らはどこで間違ったのか」「何が彼らを間違わせてしまったのか」を明らかにし、「モンスターはなぜ生まれたのか」を解明する必要がある。

そのためには、NHKだけでなく民放においても、当時を見知る者たちの証言が不可欠だ。ジャニー氏やメリー氏を野放ししたという意味においては、当時のメディアの人間は誰しもが「当事者」である。そう認識して、自らの責任と向き合い、勇気を持って声をあげるべきだ。そんな人物が一人二人と出てくれば、あとに続く者も出てくるはずだ。
https://president.jp/articles/-/87973

  記事の紹介終わりです。

 

2024 11 12 湯田屋【わが郷】 湯田屋 - 我が郷は足日木の垂水のほとり

 

 

■ 2009年7月9日
  「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。   本稿はその保管用記事です。

■ 2010年3月2日
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