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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更

2024年11月08日 | 記事紹介

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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更【わが郷】

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2024 11 08 東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更

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東シナ海の中国「防空識別圏」と空域の現状変更
2024/11/08 15:00
読売クオータリー2024秋号

スクラップ
POINT
■中国は2013年、尖閣諸島を含む東シナ海上空に「防空識別圏」を一方的に設定し、自国の要求に従わない航空機に「防御的緊急措置」をとると宣言した。

■国際法上、航空機に認められた「上空飛行の自由」を脅かす動きだが、中国が宣言通りの運用能力を持っているか、当時は日本政府内で疑問視された。

■近年、中国海軍艦が防空識別圏の境界線付近に常時展開するようになり、自衛隊機や米軍機に圏外への退去要求を行っている。

■南シナ海では最近、中国艦が外国民間機にも干渉するようになっており、東シナ海上空でも防空識別圏に名を借りた「領空化」の動きに警戒が必要だ。
政治部記者 上村健太
 中国が、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に一方的に設定した「防空識別圏」(ADIZ=Air Defense Identification Zone、アディズ)の境界線付近に、2020年頃から複数の軍艦を常時展開させている。中国国防省は、中国ADIZ(CADIZ、チャディズ)内を飛行する外国航空機に国際慣行とは異なる要求を課し、従わない場合、軍による「防御的緊急措置」をとると宣言している。国際法が航空機に認めている「上空飛行の自由」を脅かす動きで、中国が力による現状変更を海のみならず空でも強めている疑いがある。筆者は23年末、中国が要求する手続きを行わずに読売新聞社のジェット機でCADIZ内に入った。中国海軍艦の挙動などを見る限り、CADIZは今のところ自衛隊機や米国などの軍用機を運用対象としているようだが、中国の海洋進出には「国内統治の拡張」とも呼べる側面があり、外国民間機をも統制下に置く野心は否定できない。実際に、南シナ海では既に中国艦が民間機に干渉する事案が発生しており、GPS(全地球測位システム)妨害も報告されている。東シナ海でも、CADIZの運用強化に警戒する必要がある。

海洋の現状変更の先頭に立つ中国海警 奥島高弘・元海上保安庁長官インタビュー
防空識別圏(ADIZ)と「上空飛行の自由」
 防空識別圏(ADIZ)は、領空侵犯を防ぐため、各国が海岸線から12カイリ(約22キロメートル)の自国領空の外側に設定している空域だ。沿岸国の排他的な主権が及ぶ領空とは異なる。艦船などと比べて高速度で飛来する航空機の特性上、接近を受ける側の国は領空侵犯に早期に備える必要があるため、1950年に米国が世界で初めて設定し、その後各国に広がった。国名の頭文字をとって、日本のADIZはJADIZ、中国はCADIZ、韓国のものはKADIZと称される場合がある。


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 ADIZを直接的に規定した条約は存在しない一方、「海の憲法」とも呼ばれ、中国も締結する国連海洋法条約(UNCLOS)では、公海や排他的経済水域(EEZ)における「上空飛行の自由」を認めている。軍用機を含むどの国の航空機も公海や他国のEEZの上空は基本的に自由に飛行できるとする権利だ。上空飛行の自由とADIZの関係をめぐる学説は割愛するが、現実問題としてADIZに関する国家の一方的な権限設定によって既存の海洋法秩序を変更しようとする試みはこれまでほとんどなかった(注1)。

 日本の運用例を紹介する。日本のADIZはEEZを含む公海上空に位置し、自衛隊が地上レーダーなどで監視している。空港着陸のため領空に入る予定の外国民間機などは航空管制上の手続きとして飛行計画(フライトプラン)を航空当局に提出しており、自衛隊はADIZ内に進入した航空機と計画が合致しているか識別する。合致せず識別できない不審な外国軍用機などがあれば、〈1〉必要に応じて空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、追跡して目視で確認〈2〉対象機が領空に接近すればその旨を無線で通告、場合によって進路変更を要求〈3〉実際に領空侵犯した場合は退去か着陸を求める警告を行う―と段階を踏んで対応する。

 しかも、スクランブル対象となるのは領空に向けて針路をとっている航空機だけで、単にADIZに入るだけでは対象外だ。このことは、日本周辺を飛行する各国の航空機向けに航路図などの情報をまとめた国土交通省発行の「航空路誌(AIP)」にも明示されている。

 スクランブル対象については、同条約を批准していない米国を含む多くの国が上空飛行の自由を尊重し、類似の対応をとっているようだ。

中国ADIZの設定と日本政府の立場
中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(奥)と海上自衛隊の護衛艦「みくま」(2023年12月30日、本社機から)=桐山弘太撮影
 2013年11月23日、中国政府は日本のADIZと重なる形で東シナ海にCADIZを設定すると発表した。CADIZは大陸沿岸から最大約550キロメートル沖に境界線が引かれ、その内側に沖縄県・尖閣諸島上空が含まれている。

 同時に発表された「航空機識別規則公告」は、領空に向かうか否かを問わずCADIZ内を飛行する航空機に対し、飛行計画を中国当局に通報することや、中国国防省の指示に従うことを義務付け、従わない場合は軍が「防御的緊急措置」をとると明記した。この措置がスクランブル機による識別を指すのか、攻撃・撃墜まで含むのか判然とせず、日本側は排他的な主権を主張するものとの疑念を持った。

 日本の外務省は翌24日、「中国側がこうした空域を設定し、自国の規則に従うことを義務付けることは、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、現場海空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なもの」とする外相談話を発表し、強い懸念を表明した。

 談話は防御的緊急措置にも言及し、「国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、国際航空秩序に対して重大な影響を及ぼす。東シナ海は多数の民間航空機の飛行経路となっており、我が国は、民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも、大きな懸念を有している」として一連の措置の撤回を求めた。

 読売機が取材飛行を行った23年12月末時点でも、日本の外務省はCADIZに対する見解は基本的に変わっていないとしている。日本政府はCADIZの効力を認めておらず、自衛隊機や米軍機は現在もCADIZ内で活動を続けている。政府関係者によると、最近もCADIZ内で自衛隊機は中国軍機から異常接近などの危険な飛行をたびたび受けている。米国防総省は23年10月、東・南シナ海上空で米軍機が中国軍機から威圧的な飛行を受けた事案が21年秋以降、計180件に上ったと明らかにした。

 なお、CADIZが設定された直後、日本航空と全日空はいったんは中国当局の求めに応じて飛行計画を提出した。日本政府はこれがCADIZを容認することになりかねないとの懸念から、国内航空各社に提出の自制を求め、各社は従った。ただ、現在も一部の民間機はCADIZ内の飛行を自粛している。

 CADIZの設定後、米国、韓国、オーストラリア、欧州連合(EU)も懸念を表明した。米国のケリー国務長官(当時)は「東シナ海の現状を変更しようとする試みだ」と非難。13年11月26日、米軍のB52爆撃機2機が、同28日には自衛隊機が通告なしにCADIZ内を飛行した。米艦艇が南シナ海で行っている「航行の自由作戦」と同様、中国側の主張を認めない姿勢を行動で示す「飛行の自由作戦」と言える。

 韓国も、中国と管轄権を争う暗礁・ 離於島イオド (中国名・蘇岩礁)上空がCADIZに含まれたことから、翌12月に離於島上空を含む形で韓国ADIZを拡張する対抗措置をとった。

 当初強硬だった中国政府の態度は「識別圏は正常に飛行する国際民間航空機を対象としたものではない」(中国外務省・秦剛報道局長、当時)と次第に軟化し、翌年には中国の航空路誌から防御的緊急措置の文言が削除されていたことが明らかになった(注2)。

中国艦の常時展開
東シナ海を航行する中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(2023年12月30日、本社機から)=桐山弘太撮影
 一応沈静化したように見えるCADIZに近年、異変が生じている。複数の政府関係者によると、中国海軍は2020年頃からCADIZの境界線付近に「中国版イージス」と呼ばれるルーヤン3級ミサイル駆逐艦や、ジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦といった航空機の撃墜能力に優れる高性能艦などを3隻以上、常時展開させるようになった。CADIZ内で任務を続けている自衛隊機や米軍機は、これら中国海軍艦から日常的に無線で退去要求を受けるようになった。

 実は、中国がCADIZを設定してからしばらく、日本政府内にはその実効性を疑問視する声があった。CADIZの境界線と中国大陸との地理的な距離の問題から、中国軍の地上レーダーの探知範囲やスクランブル能力には限界があると考えられたためだ。

 近年の中国艦の常時展開は、高性能艦が搭載するレーダーとミサイルによってCADIZの外縁部を監視能力と攻撃能力の両面からカバーし、実効性の向上を図っているものとみられる。軍艦の運用方法としては奇抜なようにも見えるが、米軍は太平洋戦争期から冷戦初期にかけて、海軍主力部隊から離れて配置した艦艇にレーダーによる対空警戒任務を与えていた。「レーダーピケット艦」と呼ばれた艦艇で、発想としてはこれに近い。

 また、中国は近年、早期警戒管制機(AWACS)の発展・配備などを通じて、空対空でも監視能力を向上させている。

国際空域の「領空化」
 CADIZの問題点を(1)軍事戦略(2)国内統治の拡張―の切り口から考えてみたい。(1)の観点で見たCADIZは、中国近海で米軍の活動を妨げるA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略の一環と評価できる。米軍機の飛来を妨げることなどが目的だ。また、中国艦の常時展開は「キャベツ戦術」の一環でもあろう。狙った 島嶼とうしょ をキャベツの芯に見立てて、その周囲を軟らかい葉すなわち漁船、その外側を海警局公船、さらに外側を硬い葉つまり海軍艦艇と何層にも包んで実効支配を狙う戦術だ。尖閣諸島が芯にあたる。

 (1)の観点で見たCADIZの問題点はA2ADの強化と尖閣諸島奪取への試み、日本ADIZとの重複による中国軍機と自衛隊機の偶発的衝突のリスクにおおむね 収斂しゅうれん されるだろう。中国も主権国家として自国領空を守る必要がある以上、自衛隊幹部からも、尖閣上空を含む点は別にして防御的なものであれば、ADIZを設定する中国の権利自体を否定する意見は聞かれない。ただ、この観点で見るだけでは問題を 矮小わいしょう 化しかねない。

 (2)を考える必要があるのは、中国の海洋戦略が全体的に自国の管轄権が及ぶ地理的範囲を国際法に反して拡大したり、その内側で自国当局に権限を付与したりする傾向があるためだ。南シナ海の「九段線」や次項で触れる中国国内法が一例だ。中国が、こうした発想を空域にも当てはめているとすれば、ADIZに名を借りた国際空域の「領空化」に向けた試みにほかならない。

 当然、海と空では物理的に可能な活動、経済的資源、安全保障上の所要のいずれも異なるが、日本の外相談話が、国際航空秩序や民間航空の秩序・安全への懸念にまで踏み込んでCADIZの不当性を訴えたことは、問題意識として妥当に思われる。

中国の「海洋国土」論と法律戦
 中国政府は「海洋国土(藍色国土)」という概念を持ち、習近平政権が2017年に発表した「国土計画(2016―2030)」では、海洋国土を含む領土整備計画が示された。国連海洋法条約では領土と認められない海域も海洋国土に含まれる(注3)。

 同条約は軍艦を含む船舶に対し、無害通航権を認めている。つまり、沿岸国の安全を脅かさない限り、外国領海を通過する自由を享受できるはずだが、中国「領海法」は外国軍艦に対し領海に入る場合に事前許可を取るよう求めている。また、領海の外側約22キロメートルの接続水域では、同条約が通関、財政、出入国管理、衛生に関する法令違反を防止する目的の規制を沿岸国に認めているのに対し、同法はこれに「安全」を加えて、安全保障上の管轄権を接続水域にまで拡張している。尖閣諸島情勢に関し、日本では接続水域への中国公船の侵入には領海侵入ほどの関心が注がれていないが、中国側から見れば接続水域への侵入は中国国内法にのっとった実効支配の実績ということになる。さらに、中国「海警法」は「中国の管轄海域」という曖昧な概念を持ちだし、これとその上空における法執行を規定している。これらは中国が進める法分野で優勢を取る戦い、「法律戦」に通ずる動きだ。

 こうした強い領域管理の感覚と、目には見えないCADIZ境界線を軍艦を並べて実線化するような行動は無縁ではないだろう。この点を踏まえ、CADIZにおける権限行使の状況を見てみよう。

 今のところ、日本の航空会社の運航に支障は出ていないようだが、先述した飛行計画の提出取りやめは、CADIZが国際社会から大きな注目を集める中で、日本政府の要請によって行われた。中国としては強硬な措置を取りにくい環境で取られた日本側の対応が、現在も継続している状況だ。また、通常の航空管制上の手続きはとっている。こうした定期航空はともかくCADIZ内で外国民間機がどう扱われるかは長年、専門家が関心を寄せるテーマだった。この点、23年末に読売機が行った取材飛行は、民間機の挙動としては限界事例だと思われるため、当日の動きを次項で詳述したい。

取材飛行
 読売新聞社が保有するジェット機「みらい」は23年12月末、中国の航空機識別規則公告が義務づけている中国当局への事前通報を行わずにCADIZ内に入り、中国海軍艦を捜索した。

 飛行は同27~30日の4日間、沖縄県沖のCADIZ境界線内外で計6回行った。同30日午後、本社航空部員、筆者と写真部員が搭乗した読売機は石垣空港を離陸。夕刻前、尖閣諸島から北東約230キロメートル、CADIZ境界線から中国側に約20キロメートルの海上に中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦(艦番号533)が展開しているのを発見した。

 読売機は高度約150~240メートルの低空飛行を維持したまま、右舷後方から中国艦に接近。最接近時は中国艦まで約1000メートルに迫り、その距離のまま艦首前方を横切って反時計回りにほぼ1周した。このとき、中国艦から約5キロメートルの海上には、海自護衛艦「みくま」が展開し、中国艦と 対峙たいじ しているのが確認できた。

 中国艦前方を横切った際に撮影した写真には、双眼鏡でこちらをうかがうような2人の人影が艦橋付近に写っていた。当然、読売機の飛行は安全に十分配慮したものだったが、単なる通過飛行でないことは外形上明らかなところ、中国艦からの呼びかけや妨害行為はなかった。なお、公告が義務づけた行動のうち、読売機は通常の飛行でも行うトランスポンダー(自動応答装置)の常時作動などは行い、国際緊急周波数(VHF、121・5Mhz)を常時聴取していた。また、現場空域は上海FIR(飛行情報区)外であり、航空管制上も中国当局に関する手続きは取らなかった。

 一方、読売機は同30日午前、沖縄県の久米島と宮古島の間のCADIZ外を通過した際、自衛隊機か米軍機に宛てたものとみられる中国海軍艦からの無線を同周波数で受信した。無線は、中国語の音声に続いて英語でも発せられ、不明瞭ながら「This is a China naval warship(こちらは中国海軍艦)」で始まり、「Depart immediately, Depart immediately(直ちに立ち去れ、直ちに立ち去れ)」と述べているのが確認できた。CADIZからの退去要求とみられる。空自の対領空侵犯措置が段階を踏み、日本ADIZが領空に至るまでのバッファ(緩衝地帯)として機能しているのとは対照的だ。

 余談だが、政府関係者によると、中国艦は航空機に退去を求める際に「Depart immediately」と「Leave immediately」のどちらの文言も使う。無線交信の際、自衛隊やロシア軍がほぼ定型の文言を使うのに対し、中国軍は発信者によるばらつきが大きいのだという。中国軍との偶発的衝突のリスクを考える上で、興味深いエピソードだ。

今日の南シナ海は、明日の東シナ海
 以上見たようにCADIZでは今のところ、民間機に対する特段の干渉は見受けられないが、中国の航空路誌から「防御的緊急措置」の文言が事後的に削除された点を見ても、中国側が当初からその意図を持っていなかったとは言い切れない。先述の通り、CADIZの設定当時、西側各国は、日本の外相談話や日米の「飛行の自由作戦」、韓国のADIZ拡張などの強い反応を示した上で、自衛隊や米軍はあえてそれまで通りの運用を続けている。

 この経緯を踏まえれば、CADIZで外国民間機に不都合が今のところ生じていないのは、むしろ中国側の野心とそれを拒否する関係国の不断の意思表示が均衡している状態にすぎないと見るべきではないか。

 その傍証として、多くの沿岸国が有力な対抗手段を持っていない南シナ海では最近、空における現状変更ともとれる動きが出てきた。現時点で南シナ海にCADIZは宣言されていないが、豪州メディア・スカイニュースは23年3月、「カンタス航空、中国軍艦が西太平洋と南シナ海で通信妨害を起こしているとパイロットに警告」との見出しの記事を掲載した(注4)。記事によれば、豪大手・カンタス航空は中国軍を名乗る発信者から通信の干渉を受けたほか、軍艦が発信元とみられるGPS妨害を受けたとして、自社のパイロットに対応手順を通知した。

 パイロットの国際組織「国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)」も23年3月、「太平洋地域における軍艦による通信干渉(Communication Interference by Military Warships in the Pacific Region)」と題する声明を発表した。声明は中国を名指しこそしていないが、太平洋地域、とくに南シナ海、フィリピン海などで民間航空機と軍用機が軍艦からの呼びかけを受けていると警告している。声明によれば、軍艦の上空を避けて飛行するよう針路変更を求められた事例もあり、航空機が搭載しているGPS機器や電波高度計に対する妨害もあり得るとした。その上で声明はパイロットに対し、軍艦からの呼びかけに反応せず、所属航空会社に異変を報告することなどを求めている。

 日米などの海上・航空優勢が揺らいだり、意思表示が弱まったりすれば、東シナ海でも同様の事態が生じかねない。有事が近づいたときにCADIZが別の様相を呈することも考えられる。例えば、台湾有事に際して予想される海上封鎖では、船舶の通航だけが制限されるとは考えにくく、航空機の通航制限に関してCADIZが何らかの機能を発揮する可能性がある。日本の邦人保護にも直結する問題だ。

 一連の経過に別の言い方をすれば、中国海軍は東シナ海のCADIZで自衛隊機や米軍機に対する「レーダーピケット艦作戦」を始めており、南シナ海では最近、民間機に対する同作戦を実行するようになった。この状況は、東シナ海のCADIZに現状変更の意図があると疑うには十分な理由で、異変を過小評価してはならない。

注釈
(注1)石井由梨佳(2014年)「公海と排他的経済水域における『上空飛行の自由』の意義―防空識別圏を巡る実行を中心に―」(国際安全保障学会『国際安全保障第42巻第1号』)
(注2)岩田高明(2019年)「中国の藍色国土」
(注3)毛利亜樹(2023年)「中国における『300万平方㎞の海洋国土』認識の形成」(アジア政経学会『アジア研究69巻3号』)
(注4)https://www.skynews.com.au/australia-news/defence-and-foreign-affairs/qantas-warns-pilots-of-chinese-warships-causing-communication-interference-in-western-pacific-and-south-china-sea/news-story/d24b336700ad3efa60235d6927fdec0e(2024年9月3日閲覧)

https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckworld/20241021-OYT8T50026/

 

 

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ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し

2024年11月08日 | 記事紹介

ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し

 

  記事の紹介です。

NHKスペシャルでは描けなかった…番組に出演してわかった「ジャニー喜多川氏の性加害」が野放しにされたワケ
いまだにジャニーズ問題から目を背けるテレビ局の罪

2024/11/08 8:00

2024 11 08 ジャニー喜多川氏の性加害」が野放し【わが郷】

なぜジャニー喜多川氏による性加害問題は長年放置されてきたのか。元テレビ東京社員で、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「ジャニー氏という『モンスター』を創り出し、利用し、ときには利用され、野放しにしたテレビを中心としたメディア側にその原因がある。NHKスペシャルに出演してそれが改めてわかった」という――。

「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像」に出演してわかったこと

私は、NHKスペシャル「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」(初回放送日10月20日)に出演した。そのことで、さまざまな方面から多くの意見や感想、励ましの言葉をいただいた。改めて、この場を借りてお礼を申し上げたい。

また、番組のディレクターである中川雄一朗氏ならびにプロデューサーの内山拓氏には敬意を表したい。かなりの「バッシング」や「障害」が〝社内外から〟あったと推察する。よくこの企画を通して、放送に至るまでをまっとうした。その大変さが痛いほどわかる。 

私自身も過去に日テレの「NNNドキュメント」で、「連合赤軍の元兵士」や「ストーカー加害者」「自閉症スペクトラム障害の少年たち」を取材対象にしたときに、「なぜそんな難しいテーマをあえて選ぶのか」と訝しがられた。同じように今回も「なぜそんな番組を今やるのか」といった横槍が多く入ったことは想像に難くない。だから、そういった障壁を乗り越えて番組を実現したことは、称賛に値する。

だが、率直に言って、番組は彼らの思いとはほど遠いものになってしまった。その理由は何なのか。放送からおよそ2週間が経ったいま、自分自身の気持ちを整理したうえで、「メディア研究者」兼「大学教員」という立場から冷静に番組を検証し、その原因を徹底的に探ってみたいと考えている。

なぜ今回の番組に出ようと思ったのか
放送後、多くのメディアから「なぜ今回の番組に出ようと決意したのか」と尋ねられた。この問いに対しては、実は詳しくは話していない。そこで、ここで明らかにしておきたい。その理由は2つある。ひとつは、私自身の「環境の変化」だ。そしてもうひとつは、ディレクターの中川氏への「信頼感」である。

私は2023年3月にテレビ東京を退職し、大学教員になった。ちょうどそのころ、BBCの放送をきっかけにこの問題が表面化し、9月に旧ジャニーズ事務所(以下、「旧J」と略す)が記者会見を開いて事実を認めた。そんななか、日々学生たちに接していて「この子たちが社会に出たときに、同じような目に遭わないようにしなければならない」という思いが私のなかで膨らんでいった。

そして、2024年1月に出版した『混沌時代の新・テレビ論』(ポプラ新書)に旧Jの少年たちとの当時のことを書いた。著書やその後のジャニーズ性加害問題に関する論考を読んで連絡してきてくれたのが、中川氏だった。2024年1月19日のことだ。

中川氏は「クローズアップ現代」でジャニーズ性加害問題を取り上げ、ジャニーズ事務所を会見の場に引きずり出した人物である。その後も、元ジャニーズJr.の二本樹顕理氏をフォーカスした「事件の涙 声をあげたその先に ジャニーズ性加害問題」(初回放送日3月18日)を制作するなど、被害者に寄り添う取材を続けていた。

番組ディレクターの狙い
彼に会って番組への思いを聞き、テレビの現場から離れていた私のこころに、忘れかけていたメディア人としての熱い気持ちが蘇った。

「声をあげるべきだ」そして、「ぜひ協力したい」と思った。

中川氏から聞いた番組の狙いは、以下の2つだった。

① ジャニー氏とメリー氏の実像に迫る番組を作りたい……これまではどちらかというと被害者側、彼らのおこなったことに対しての検証がなされてきたが、彼らの本当の姿を描いたものはない。今回はそういうテーマでいきたいと考えている。

② インタビューで構成するドキュメンタリーにしたい……周りの推測や検証だとどうしても事実が見えてこない。一方、彼らや当時のことを知るNHK上層部の証言は信憑性がある。視聴者も納得感を抱くだろう。なるべく多くの人に話を聞いて、それを敷き詰めるような番組構成にしたい。

私は中川氏の話を聞いて、実現できるならおもしろいと感じた。私もその一翼を担いたいと思った。しかし、残念ながら実際の番組はそうはならなかった。

番組の初盤や前半のアメリカ取材の部分はなかなか見ごたえがあった。ジャニー氏やメリー氏がアメリカに住んでいたころを知る人々を探し出し、交渉するのは大変だっただろう。その成果は充分にあった。

「姉のメリー氏が昔から弟のジャニー氏を何かにつけて庇っていた」という証言は、旧Jの「二頭体制」をよくあらわしているエピソードだった。

前半と後半で全く違う番組に…
しかし、後半はそれまでの意気込みを忘れてしまったかのような内容になっていた。前後で全然違う番組かと思えるほどだった。

中川氏は「インタビューで構成するドキュメンタリーにしたい」と語ったが、しっかりと話を聞いて実際に放送されたのは数えるほどしかいなかった。旧Jのマネジメント業務を引き継いだスタートエンターテイメント社の顧問である元NHK理事・若泉久朗氏への突撃取材はインタビューと言えない代物で、ワイドショーさながらである。私の話したことが随所に散りばめられ、さも私の話で番組を進めているかのような構成だった。

繰り返しになるが、彼らはよく頑張った。今回の番組はNHKでなければ放送することはできなかった。それは、昨年9月のジャニーズ事務所の記者会見以降、民放各局は短い検証番組をやっただけで、NHKのような追跡番組をおこなっていないからだ。そして「偉業」とも言えるこの離れ業をやってのけられたのは、中川氏が「NHK途中入社組」であったからだと指摘したい。

私はテレビ東京に37年間在籍した。それだけ長くいると組織が何を考えているのか、どういう企画を提案したら通って、どんなことに対して異議を唱えるのかが何となくわかってくる。そのことで逆に「リミッター」がかかることもある。

「この企画は無理だろうな」といったことが提案する前からわかってしまうといったように、「自己規制」がかかるのだ。同じように、中川氏がNHK上層部の過剰な反応や反発を予測していれば、制作に踏み切るのを躊躇していたかもしれない。

ずれ込んだ放送日の怪
だが、それほどまでの熱意と信念を持った彼らでも、打ち破ることができなかった大きな壁がそこには立ちはだかっていた。そしてそれはNHKの外からの圧力ではない。“内部からの”圧力や障害といった「内なる壁」であったのではないか。上記の①②に沿って、述べてゆく。

まず、①の当初の意図と違う内容になってしまったことについてだが、もちろん、現場の中川氏は初志貫徹で進めていた。しかし、「ジャニー氏とメリー氏の実像」を浮びあがらせるためには当時のことを語れる人物が必要だ。

一番大事な論点は「彼らはどこで間違ったのか」「何が彼らを間違わせてしまったのか」であったにも関わらず、その答えを知っている人物が表に出てくることはなかった。だから、取材が中途半端で終わってしまうという事態に陥ってしまったのだ。

②に関しては、中川氏とのやり取りと番組の進行具合を時系列に追ってみると、おのずからと真実が浮かび上がってくる。

最初のコンタクトである1月の次に連絡があったのは、3月14日だ。それは4日後に放送が予定されている、二本樹顕理氏を取り上げた番組「事件の涙」を知らせる短いメールだった。次の連絡は6月7日である。

企画が始動したことと同時に、通常、取材対象者に伝えられる「番組概要」として「放送日は9月末あたりのNHKスペシャル枠を想定しているということが記されていた。そして、私のインタビューは7月31日にNHK局内の会議室でおこなわれた。

2つの大きなハードル
ここまで中川氏とやり取りをしていて、私は「NHK内部のインタビューがなかなか撮れなくて、困っている」という印象を受けていた。

また、1月に私に会っているということはその段階ですでに企画提案はしていたはずだが、実際にインタビューを撮るまでに半年以上を費やしている。これは旧Jの関連の番組実績がある中川氏であっても、局内で企画を通すのに難航していたことをあらわしている。

そして、当初、9月放送予定だった番組は、実際には10月20日に放送された。この放送日の変更については、『週刊文春』は、NHK関係者の話として「旧Jタレント起用再開」の記者会見を理由として挙げているが、私はそれだけが放送日変更の理由ではないと考えている。では、何だったのか。

それは、以下の2つの大きなハードルがあったからである。

① NHK上層部にインタビューすること
② 旧J(旧ジャニーズ事務所)の幹部にインタビューすること

それら2つは、クリエイターであれば誰しもが狙いたいターゲットだ。ジャニーズ性加害問題に心血を注いできた中川氏にとっても、もちろんそうだっただろう。

だが、それが叶わなかった。それが、番組が前半と後半でちぐはぐな構成になってしまい、インタビューも中途半端になった挙句、放送日を遅らせなければならなくなった原因となったのではないか。

そしてその代わりに用意されたのが、NHKの若泉元理事とSMILE-UP.社の補償本部長という「スケープゴート」だった。NHKの上層部は誰も出てこない、これでは体裁がつかないとなったときにターゲットとなった若泉氏への突撃取材を当のNHK上層部がOKしているという事実は、「辞めた人間だからいいんじゃない?」という思惑が働いたと指摘されても仕方がない。

「ストーリーテラー」を担わざるを得なくなった
以上のような事情で、たかだかAD時代に3年弱、旧Jと接点があったに過ぎない私にストーリーテラーのような役割を担わせざるを得なくなった。そのためには“堂々と”“自信をもって”代弁してもらわなければならない。そういった理由で、私の「大股開き」で高圧的な、だが、一見“威厳がある”ように見えなくもないカットが多用されることになる。

この「大股開き」の映像に関しては、いまは気持ちが落ち着いているが、当時はかなり動揺した。私自身があんな姿を撮られているとは思っていなかったからだ。初めて放送で見て驚いたが、映像の専門家であったにも関わらずあまりにも無防備だったと反省をしている。

制作者側にはそこまでの強い意図はなかったかもしれないが、「ネットなどで炎上すること」がわかっているのに削除やサイズ変更を指示しなかったNHK上層部の頭のなかには、私に「悪者になってもらおう」という意識がなかったとは言い切れない。番組冒頭で述べられた私の経歴を知るよしもない途中から見た人は、完全に「長年、旧Jべったり」で芸能界を生きてきた人間だと思っただろう。

遅すぎる情報解禁
中川氏とのやり取りのなかで私が直感したことがある。

彼らは、実は辿り着いていた。NHK上層部の然るべき人物をインタビューの場に引きずり出すことに成功していた。だが、その映像は直前になって削除することを指示されたのではないか――ということだ。

何かにつけこまめに連絡があった中川氏から放送日直前になっても「放送解禁」の連絡が来ないので、私は「おかしいな」と思っていた。しびれを切らしてメールをした私に、短く中川氏は「まだ編集中です」と答えた。それは、放送2日前の10月18日のことだ。

情報解禁が異常に遅いのも気になった。番組は通常、1週間ほど前には情報を解禁して宣伝を始める。ドラマはさらに宣伝期間が長く、解禁は1カ月前くらいにおこなう。NHKスペシャルのような大型の番組であればなおさらである。

番組の情報と放送日は、中川氏が編集を続けている真っ只中の同日12時にやっと解禁された。もしかしたら、最後まで当該のインタビューを「切る、切らない」といったような闘いが上層部と現場の間で繰り広げられていたのかもしれない。最後に流れた「お断りテロップ」を入れるほどの直しに、編集の手間がかかったとも思えないからだ。

最終的には現場がNHK上層部の然るべき人物のインタビューをカットすることを“しぶしぶ”受け入れて、上層部が「放送を発表しても大丈夫」と判断し、「放送解禁」となったのではないか。私は、確信に近いそういった思いを抱いている。

テロップから読み取れる番組制作者の本音
次に、ネットなどでも物議を醸している「お断りテロップ」について考察を加える。本編終了後、いきなり黒ベースになって文字だけの画面が映し出された。

そこには「2024年10月16日 NHKはスタートエンターテイメントの所属タレントへの出演依頼を可能とすると発表した」という内容と同時に「この問題はこれで終わったとは考えていません。NHKも当時の認識や対応が十分ではなくメディアの責任を果たせなかったと自省しています(後半は割愛)」というコメントが示された。

通常、こういった番組の最後に流されるテロップは何かの「事後報告」であることが多いが、今回はそうではなく、「意思表明」だと考えられる。「出演依頼が可能」と言っておきながら「決して許さない」と断言するなど、前半と後半の「ちぐはぐさ感」も否めない。こんなことがなぜ起こったのか。

これに関しては、SNSでは2つの解釈が飛び交った。ひとつはNHKの「禊」や「言い訳」だというもの。もうひとつは、中川氏をはじめとした制作者の「怒りのあらわれ」だとするものである。私はこのどちらも正しいと見ている。

NHKは旧ジャニーズタレントの起用再開を決めたが…
これまで記したように、制作者の狙いと実際に放送された番組を見れば、番組制作者側とNHK上層部には大きな乖離があったのは明らかである。目指すものも伝えたいことも、まったくかみ合っていない。だが、放送というプロセスに至るためには、その二者が折り合いをつける必要があった。

NHK本体や上層部は「スタートエンターテイメント所属タレントへの出演依頼」を改めて強調しておきたい。そのことで放送をすることを「良し」とした。制作者側は「その主張は許容しよう。しかし、我々の主張も入れさせてもらう」ということで、両者のWin-Winのもとであのテロップが成立したのである。

そしてこのテロップから、改めてNHK本体や上層部と制作者側が見ている先がまったく違うことが露見した。制作者側は、視聴者や被害者の方をしっかりと向いている。それは「これからも向き合って調査や報道をすすめていく」という宣言からわかる。


NHK本体や上層部が見ている先
そしてその部分の主張は、実はNHK本体や上層部にとっても“都合がいい”ものなのだ。それが、テロップの最後の部分「報道・番組を通じて行い公共放送としての役割を果たしていきたいと考えています」の部分にあらわれている。

NHK本体や上層部が見ている先、気にする相手は、政府や国際社会である。ジャニー氏や旧Jへの糾弾はBBCに先を越され、国際社会からは「日本の公共放送は何をやっているのか」と非難されている。国連や政府からの風当たりも強い。そんなふうにプライドが地に落ちたいま、NHKとしては威信を取り戻さなければならない。そんな焦りが、このテロップからひしひしと伝わってくるのである。

だが、制作者側も負けてはいない。このテロップに「大きな仕掛け」を隠した。あのような中途半端な表記にあえてすることで、制作者は、視聴者が「?」と引っかかって「ちぐはぐ感」や「違和感」を抱き、その先を考えてくれるのではないか、疑問意識を持ってくれるのではないかと「望みを託した」のだと私は分析している。

「モンスター」を野放しにしたマスコミの罪
最後に、これまでの検証を踏まえて「ジャニーズ性加害問題の根源はどこにあるのか」という最大の難題を吟味したい。

私のこれまでの分析が正しければ、今回の番組は、NHK自身がいまだに性加害問題やジャニーズ事務所と密接にかかわってきた過去から目を背けているという事実を露見してしまったものだと言えるだろう。その行為は、過去の間違いを直視せず、総括も不十分なままただ前に進もうとしていると思わざるを得ない。こうした姿勢を是正しない限り、また同じような問題が起こる恐れがある。そう強く提言したい。

問題の根源は元ジャニーズ事務所側だけにあるのではない。ジャニー氏という「モンスター」を創り出し、利用し、ときには利用され、野放しにしたテレビを中心としたメディア側にある。まずは、番組の最初の志であったはずの「彼らはどこで間違ったのか」「何が彼らを間違わせてしまったのか」を明らかにし、「モンスターはなぜ生まれたのか」を解明する必要がある。

そのためには、NHKだけでなく民放においても、当時を見知る者たちの証言が不可欠だ。ジャニー氏やメリー氏を野放ししたという意味においては、当時のメディアの人間は誰しもが「当事者」である。そう認識して、自らの責任と向き合い、勇気を持って声をあげるべきだ。そんな人物が一人二人と出てくれば、あとに続く者も出てくるはずだ。
https://president.jp/articles/-/87973

  記事の紹介終わりです。

 

2024 11 12 湯田屋【わが郷】 湯田屋 - 我が郷は足日木の垂水のほとり

 

 

■ 2009年7月9日
  「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。   本稿はその保管用記事です。

■ 2010年3月2日
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2024 08 26 中国軍機が初の領空侵犯、長崎・男女群島沖

2024年08月27日 | 記事紹介

2024 08 26 中国軍機が初の領空侵犯、長崎・男女群島沖【紹介記事・わが郷】 中国軍機が初の領空侵犯、長崎・男女群島沖

 

 

 

中国軍機が初の領空侵犯、

長崎・男女群島沖で約2分間…空自の戦闘機がスクランブルし警告

2024 08 26     23:45

 防衛省は26日、中国軍の情報収集機「Y9」1機が同日午前11時29分から約2分間、長崎県・男女群島沖の領空を侵犯したため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したと発表した。同省が中国の軍用機による領空侵犯を確認し、公表するのは初めて。日本政府は中国政府に厳重に抗議し、再発防止を求めた。

 同省統合幕僚監部によると、Y9は中国方向から飛来し、午前10時40分頃、長崎市の南西約150キロに位置し、五つの主要な無人島からなる男女群島の南東の空域で旋回を開始。同11時29分頃、群島の東から領空に侵入した後、左に旋回して南東方向に進み、同31分頃に領空を出た。その後、群島南の上空で再び旋回した後、午後1時15分頃、中国方向へ飛び去った。


 Y9が領空侵犯する前に、空自の戦闘機が緊急発進して、Y9に対し領空に接近しすぎていると通告した。だが、そのまま領空に侵入したため、退去するように警告した。

 これ以外の特異な行動は確認されず、空自機による武器使用はなかった。同省はY9が呼びかけに返答したか明らかにしていない。

 中国機を巡っては、2012年12月に中国国家海洋局の航空機1機が沖縄県・尖閣諸島の魚釣島近くで領空侵犯した。17年5月にも同島付近で中国海警局の公船の近くを飛行していた小型無人機が領空に侵入した。しかし、軍用機による領空侵犯は初めてだ。同省は中国側の意図は「分析中」とした上で、「日本周辺での軍事活動が拡大・活発化の傾向にある。警戒監視に万全を期す」としている。

 自衛隊が昨年度、領空侵犯をする恐れがある外国軍機などに対して緊急発進した回数は669回。過去10年では最も少ないものの、00年代の平均の約3倍で、高い水準が続いている。昨年度は中国軍機による事例が7割超の479回に上った。

 外務省は26日、岡野正敬外務次官が中国の施泳駐日臨時代理大使を同省に呼び出し、極めて厳重に抗議するとともに再発防止を強く求めた、と発表した。

「小さな変化を重ね既成事実化か」
 元海将補で笹川平和財団の河上康博・安全保障研究グループ長は「日本の対処力を確認しようとした可能性がある。今後も挑発の度合いを上げていく恐れがあり、小さな変化を長期間重ねて既成事実化していく戦略の一環だ」と指摘する。

 ◆ 領空侵犯 =航空機が国際法や当該国の法令に違反して、許可なく他国の領空に侵入する行為。領空は領土及び領海(海岸線から約22キロの範囲)の上空を指し、国際法上、国家は完全かつ排他的な主権を持っている。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240826-OYT1T50163/

 

 

 

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酪農家苦しめる飼料高騰、【記事紹介】

2023年05月16日 | 記事紹介

酪農家苦しめる飼料高騰、燃料・光熱費との「三重苦」…乳牛メーカーが支援する動きも

2023/05/16 05:00

 コロナ禍での生乳余りやロシアのウクライナ侵略による飼料価格の高騰で、乳牛農家が苦境に立たされている。全国有数の酪農地の県内でも、輸入飼料を代替品に置き換えるなど、農家は苦渋の決断を余儀なくされた。そんな中、地元乳業メーカーなどが主導し、加工品の開発などで牛乳の消費拡大を図る動きもある。(吉原裕之介、広瀬航太郎)

2023 05 16 酪農家苦しめる飼料高騰、【紹介記事】

経費1.5倍に
 「飼料、燃料、光熱費が一気に値上がりしたのは初めて。経験のない『三重苦』だ」。葛巻町で30年以上にわたって酪農を営む 中六角保広なかろっかくやすひろ さん(55)は険しい表情を浮かべる。

 約100頭の乳牛を育てる中六角さんの牧場では、1か月で約7トンの乾草を与えてきた。だが、ウクライナ侵略などの影響で、安価で豊富なカロリーを摂取できる輸入飼料の価格が急騰。昨年1年間の飼料代は、前年から約450万円増えた。苦渋の決断として、昨夏頃から乾草の量を月約4トンに減らし、「粗飼料」と呼ばれる青刈りのトウモロコシなどに置き換えている。

 トラクターの燃料代や光熱費も含めると、年間経費は1・5倍に膨れあがったが、「酪農は命を育む産業。どんな状況でも最低限の飼料は確保しなければ」と中六角さんは語気を強める。

 農林水産省のまとめによると、県内の乳牛農家数は765戸(2022年時点)で、北海道についで全国2番目に多い。産出額も4位の264億円(20年)を誇る。個人や家族の小規模農家が多く、丁寧な飼育管理ができる反面、物価高などの影響を受けやすいという。2021~22年には41軒の飼育農家が廃業した。

 国は生乳の生産抑制を目的に、乳量が少ない乳牛を処分した場合、1頭で15万円を交付する異例の緊急支援を打ち出した。だが、中六角さんは「減産を前提とするのではなく、需要がコロナ前の水準に戻るよう支援してほしい」と求める。


支援広がる
 こうした状況を受け、乳業メーカーが酪農家に支援金を贈ったり、牛乳を加工品として活用したりする動きが広がっている。

 西和賀町の乳業メーカー「湯田牛乳公社」は昨年7~10月、飼料高騰に苦しむ町内の酪農家など14軒に金銭援助を行った。「岩泉ホールディングス」(岩泉町)も今年2月、町内16軒の酪農家に計160万円の支援金と、地元の木工職人が彫った縁起物のフクロウの置物を贈った。同社の担当者は「地域の酪農家は我々に欠かせない存在。継続的に支援し、ともに厳しい状況を乗り越えたい」と語る。

 一般社団法人「世界遺産平泉・一関DMO」は、コロナ禍による牛乳余りを解消しようと、「不二家乳業」(一関市)から提供を受けた一関市、平泉町産の牛乳と、トウモロコシを組み合わせたご当地ジェラートの販売を1月に始めた。同市のふるさと納税返礼品としても提供している。同法人の担当者は「地元の牛乳を加工品として全国の人に味わってもらうことで、少しでも酪農家の力になれればうれしい」と話している。

https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20230515-OYTNT50050/

 

 

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続投の菅首相に円高の洗礼

2010年09月14日 | 記事紹介

アサヒ・コム 

 

 

  記事の紹介です。

 

続投の菅首相に円高の洗礼 介入への慎重な姿勢が影響

20109142326

   2010 09 14 続投の菅首相に円高の洗礼【保管記事】

 1995年5月末以来の1ドル=82円台突入――。続投を決めた菅直人首相に、市場はいきなり円高の洗礼を浴びせた。菅氏の経済政策や、市場介入への慎重な姿勢は当面大きく変わらないだろうとの見方が多いためで、今後も円高基調は続きそうだ。円高と株安の連鎖を断つために、市場では、企業の競争力の向上や雇用増など長期的な視点に立った政策の実行を求める声が多い。

■1995年5月末以来の高値

  民主党代表選の投票結果が発表になった直後だった。東京外国為替市場で円が1ドル=83円10銭を突破し、わずか数分で50銭近く跳ね上がった。

 党代表が菅首相なら「円高」、小沢一郎前幹事長なら「円安」――。市場の見方は開票前から固まっていた。菅氏が小沢氏よりも円売りドル買いの市場介入に消極的だと受け止められたからだ。

 実際に菅氏の続投が決まると、海外の投資ファンドなど投機目的とみられる大口の円買い注文が入った。「明らかに代表選の結果が出るタイミングを狙った動き」と大手信託銀行の為替担当者。菅氏なら「為替介入は当面ない」(大手銀行)との見方が強いのを見越した動きだった。

 急騰の反動で、すぐに83円40銭台まで下げたものの、その後も83円台前半で高止まり。午後5時時点の円相場は前日同時点より71銭円高ドル安の1ドル=83円21~22銭。その後のニューヨーク市場では一時、1ドル=82円台まで円高は進んだ。

 東京株式市場は円高を嫌って売り注文がやや優勢に。日経平均株価の終値は前日より22円51銭(0.24%)安い9299円31銭だった。代表選の結果が出たのは取引終了後だったため、株式市場が「菅続投」の評価を出すのは15日だ。

■介入の時期が焦点

 外為市場の円高基調はなかなか止まらないが、さすがに1ドル=80円突破が視野に入れば、菅首相も為替介入に踏み切る、と見る投資家は多い。ではいつ動くのか。それが当面の焦点だ。

 菅首相は8月27日に「必要なときには断固たる措置をとる」と介入を示唆。9月10日の政策討論会では「我が国が何らかの行動を取ったときに、ネガティブなことは言わないで欲しい、ということでいろいろやっている」と、単独介入の準備過程を明かすという異例のアピールまで繰り出してきた。

 景気回復を輸出に期待する米欧が、自国通貨高をまねく円安を目指して歩調を合わせて介入してくれる可能性はほぼない。米欧に静観してもらったうえで、日本だけで介入することになりそうだ。

 ただ、市場での円とドルの一日の取引規模は2010年、日本の当局が前回介入した04年の1.7倍に膨らんだ。介入をしても効果が出にくいとみられる。介入の規模が小規模にとどまり、市場が反応しない場合は輪をかけて円高が進む恐れもある。野田佳彦財務相は慎重に介入時期を見極めることになりそうだ。

■市場関係者「雇用対策を」「法人減税を」

 市場関係者は為替介入を予想しつつ、その効果については「一方的な円高を食い止めることはできても、本格的な円安へと誘導することはできない」と疑問符を付ける。いまの円高ドル安の大きな要因が米経済の先行き不安にあるため、円高基調を抜本的に変えるのは難しいと見られているからだ。

 このため、円高に歯止めをかけるには、日本経済の成長力を高めてデフレ解消の手を打つことが、長い目で見れば有効だ、という指摘も多い。

 クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「閉塞(へいそく)感の原因は雇用。医療や介護など公的な部門の雇用を政府が増やすなどの対応をとるべきだ」と訴える。また、バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは「企業の競争力をいかに高めていくのか。企業の活性化が不可欠で、法人税の引き下げは最低限するべきだ」と指摘している。(寺西和男、福田直之、千葉卓朗)
http://www.asahi.com/business/update/0914/TKY201009140533.html 

  記事の紹介終わりです。

 

2010 09 16 戦後支配の要請は【わが郷】 戦後支配の要請は、原油・穀物を高く買え   わが郷

 

2010年 09月【保管記事】 2010 09月 保管記事

 

 

 ■ Site Information

■ 2009年7月9日
  「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。

■ 2010年3月2日
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わたしの里の美術館【索引】我が郷は足日木の垂水のほとり【HOME】岩淸水
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