金の成る木があるならば、
庭の片隅に植えおいて、
好きな貴方と眺めて暮らし
千年も万年も生きたいものだ。
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現金のなる木があるはずもないが、
お金に代わる種を産み落とす木は
数多くあるようだ。
果樹農家はそれで生計をたてているし、
植木屋もまたしかりである。
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私の子供の頃は屋敷内に蜜柑(シークァーサー)の大木がいくつもあった。
お菓子が売られていない時代には
果物がおやつがわりだった。
ばんじろー(グワバ)や蜜柑泥棒は子供の遊びと
大目にみられていた。
何処何処の屋敷や畑には
おいしい蜜柑があることをみんな知っていた。
競って泥棒した想い出がある。
悪意があっての泥棒は
こっぴどくしかられたので
いいこと悪いことの加減を身をもって覚えた。
蜜柑の持ち主の人柄も子供たちはみんな知っていた。
蜜柑の木に上れない子供ために
持ち主に代わってよじ登って
とってあげたりした。
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体育祭の頃に食べられる蜜柑(キカイミカン)は人気があったが
それがある屋敷は数が少なくて
とても羨ましかった。
だれもが、それを盗ったらしかられることを知っていた。
だから
盗るにしても一個か二個。
ぽけっとにつめこむ盗り方は
泥棒だと」
私は思っていた。
子供心のあの蜜柑欲しさを考えると、
蜜柑の木は 金の成る木だろうかとふと思う。
屋敷には数種類の蜜柑を植えているが、
数年来の台風の被害で今年も実りが少ないけれど、
木の勢力を持ち直してきている。
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屋敷内には50本ほどうえてあるが、
蜜柑の木は九年母
成るのが待ちどうしい。
誰の句だったろうか・・・、
上の句が思い出せない。
みかんの香せり 冬がまたくる。
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