ウォーキング中、雑木林の中に赤い実がたくさん見えた。
キイチゴの粒を大きくしたような実だった。
「これは、サネカズラ?」
今までに本物の「サネカズラ(実葛)」を見たことがなかった。
でも、図鑑やネットの画像などでは見たことがあり、知っていた。
なぜかというと、百人一首にある三条右大臣(藤原定方)の有名な歌に出てきたから。
「名にしおはば逢坂山の さねかづら 人に知られでくるよしもがな」
ここに出てくるサネカズラとはどういうものなのかと、調べたことがあった。
でもその時には「藪などに普通に見られるけれど、関東以西にしかない」と書いてあったので、この辺りではないものだとばかり思っていた。
それを見つけたのだから嬉しくて、嬉しくて、、、何で花が咲いている時に見つけられなかったのだろうと・・・
名前の由来が「実 (サネ)」が美しい「葛 (カズラ)」という意味、だからこの木は花よりも実を楽しむものなのだとか。
そして別名はビナンカズラ(美男葛)といわれている。
それは昔、平安貴族や武士がサネカズラのツルに含まれている粘液を整髪料として使っていたかららしい。
サネカズラが関東以西にしかなかったのなら、関東から北の武士たちは整髪料として何を使っていたのでしょうね。
疑問に思ったらやっぱり調べなくちゃ、と。
そうしたら、整髪料はサネカズラだけじゃなくて、櫨(はぜ)の実の皮から採取した木蝋(もくろう)や、菜種油(なたねあぶら)なども使っていたようなのだけど、これは江戸時代以降の話で、それ以前は分からなかった。
話をサネカズラに戻すと、
サネカズラは常緑なので、冬でも緑の葉が茂っているし、ツル性なのでフェンスなどに這わせれば夏には花、冬には実も楽しめていいのかも。
基本的には雌雄異株(たまに雌雄同株もあるらしい)、だから雄株と雌株を一緒に植えるといいようだ。
雑木林の中のサネカズラは冬だというのに、葉っぱがいっぱい茂っていて、高い木に絡まって広がっていた。
だから何本あったのか、雄株なのか雌株なのか、または同株なのかは分からないけれど、実がたくさん付いていた。
実は赤く派手で目立つけれど、花は葉の陰に隠れてしまってほとんど目立たないようだ。
7月〜8月ごろにクリーム色で1cmくらいの花が下向きに咲くらしい。
どのようなものか、いつもお世話になっているサイトで探してみたらかわいい画像があった。
これは雄花。
雄花はクリーム色の花びらの中に赤い球が実のようになって見え、雌花はこの赤い球の部分が緑色になっていて、受粉すると大きくなって赤くなるそうだ。
今年は夏にまたこの場所に行って、花を探してみようと思う。
学名:Kadsura japonica
英名:Japanese kadsura、 false schisandra
別名:ビナンカズラ(美男葛)
科名・属名:マツブサ科 サネカズラ属
原産地:日本、中国、台湾