スペイン、マドリードから南に50kmくらいのところにアランフェスがある。
アランフェスの文化的景観として世界遺産に登録されていて、スペイン王室の夏の宮殿とその庭園などがある。
前日はトレドにいたので、そこからアランフェスにバスで行く予定だった。
ところがこの日は日曜日だったため、トレドからアランフェスへ行くバスが運行してなく、急遽タクシーと交渉して行ってもらうことにした。
40分位の道のりだったが、運転手さんが気さくな人で良かった。
アランフェスに着きプラタナス並木を歩いていたら、どこからか「アランフェス協奏曲」が流れてきた。
静かな街というのが第一印象。
前日のトレドが騒々しかったので余計にそう思えたのかもしれない。
取りあえずホテルに荷物を置き、宮殿に行くことにした。
小さな街なので徒歩で回ることができた。
この宮殿は18世紀に当時のスペイン王フェルナンド6世の時代に完成したのだが、建設開始から完成まで100年以上かかっているらしい。
確かに大きくて豪華で明るく、夏の宮殿にふさわしいと思った。
[宮殿]
宮殿の入り口にチキトレインがあったので、それに乗り庭園の方から回ってみた。
この庭園はとにかく大きくて、歩いて回るのは無理、チキトレインは見どころを回ってくれた。
庭園内には至る所に噴水や像があり、かつてはスペイン王室の農業試験場とされていたらしい。
庭園のすぐそばで蛇行するタホ川までも庭園の景観の一つになっていた。
かつてはこの川で貴族たちが舟遊びをしていたのだろうと想像できた。
[公園の遊歩道]
チキトレインは庭園から街に出て宮殿に戻るコースになっていた。
そして宮殿の見学。
[宮殿外回廊]
夏の日差しは暑いので、日陰が欲しかったのかもしれない。
内部は写真撮影禁止だったので、目に焼き付けて来るしかなかった。
たくさんの部屋があり、デザインもロココ調、中国調、アラブ調とさまざまで、すべてが「○○の間」と名付けられていて、その豪華さで当時の栄華がしのばれた。
[見学入り口]
アランフェスはここで住んでも良いかなと、思わせるくらい静かで、落ち着いた街だった。
自分の知っているアランフェス交響曲は静かでもの悲しい旋律だと思っていたが、実際の宮殿を見ると明るくて、何となく曲のイメージがかけ離れているような気がしたので曲の背景を調べてみた。
アランフェス協奏曲を作曲したホアキン・ロドリーゴは幼い頃病気で 失明してしまい、後年訪れたアランフェス宮殿を目ではなく、肌で感じた雰囲気で曲を作ったらしい。
あの哀愁を帯びたメロディは第2楽章で、第1楽章と第3楽章は 軽快で音楽になっている、と書いてあったので全楽章を聴いてみた。
確かにその雰囲気に合っているような気がしてきた。