石段を中心としてその周りに多くの宿が立ち並んでいる伊香保温泉は、古くからの温泉地。
浴衣を着て湯めぐりをする和風のイメージの場所なのだけど、そんな温泉地で敢えて洋風の宿を選んで泊ってみた。
「洋風旅館 ぴのん」は石段街から少し離れ、大通りから坂を下った場所にある大正ロマンの雰囲気のある小さな洋風旅館。
この宿は坂道を上ったところにある「ホテル松本楼」と姉妹館になっている。
本館の伝統ある旅館「松本楼」とは別に居心地の良い宿を目指して「ぴのん」を始めたらしい。
また、旅館と共に大正時代から続く洋食店もそのまま引き継いでいるので、昼間はレストランとしても営業している。
建物は洋館風、外観もおしゃれで、センスの良さが感じられた。
館内に入ると何となくイギリスの田舎のホテルといった雰囲気で統一され、ビートルズの曲が静かに流れていた。
チェックイン時の対応も良く、丁寧に細かなことまで説明してくれた。
ここの宿泊者には特権があった。
それは、朝食は館内のレストランか姉妹店の松本楼のブッフェのどちらかをチョイスできるし、お風呂は両方とも利用することが可能だということ。
部屋に行くまでの廊下には地元アーティストが描いたという作品が並び、小さな宿ながらエレベーターも備わっていた。
通された3階の部屋は広くはなかったけれど、一通りのものは揃っているし、これで十分だった。
宿に到着した後はいつもすぐに温泉に入るのが決まり事になっている。
館内には貸切風呂が4ヶ所もあった(この時は1か所が修理中で利用不可だった)が、早めに着いたので最初は本館の「松本楼」の大浴場を体験してみた。
[手前が黄金の湯、奥が白銀の湯]
[黄金の湯]
大浴場は8階にあり、大きな内湯と露天風呂のそれぞれが「黄金の湯」と「白銀の湯」と名前が付いた、2種類の温泉になっていた。
このお風呂の名前は伊香保温泉に湧いている2つの源泉と同じだった。
「黄金の湯」は湧出時は無色透明で、鉄分が含まれるため空気に触れると茶褐色に変わる温泉。
「白銀の湯」は比較的新しく湧いた温泉で、色が無色透明で刺激の少ない、優しい温泉。
ラッキーなことに、こんなに大きな宿なのに時間が早かったためか、他の宿泊客は誰もいなかった。
そのため、山々と雲海に囲まれた伊香保の街並みを見下ろしながら、ゆっくりと温泉を堪能することができた。
本館の温泉に入り、「ぴのん」に戻ったらもう夕食の時間だった。
夕食は大正ロマンたっぷりのレストランで『フレンチ風懐石料理』が用意されていた。
夕食は前菜、魚料理、グラニテ、肉料理、デザートなどで量は多すぎず、2種類の美味しいパンも追加でいただけた。
温泉地で美味しいフレンチ懐石とは、ちょっと珍しくて良かったかも。
食事が終わってゆっくりしてから、次は「ぴのん」のお風呂の番。
お風呂は本館と同じようにやはり2種類の温泉になっていて、空いていればいつでも貸し切りができた。
空き状況は部屋に備わっていたタブレットで確認するようになっていた。
[黄金の湯]
貸切風呂なのでそれほど大きくなかったが、「黄金の湯」と「白銀の湯」がそれぞれ2ヶ所あった。
本館の大きなお風呂も良かったけれど、小さなお風呂もまた違った良さがあった。
翌朝、朝食は松本楼でのブッフェを選んだ。
大きなホテルなので宿泊客も多いようだったが、それぞれの朝食時間を設定してあったため、混雑はなくスムーズに食事ができた。
種類も色々あったし、釜飯や焼きまんじゅうなどのご当地物もいくつかあって楽しませてもらった。
今回は全国旅行支援を使わせていただいたため、このような素敵な宿にお安く泊まることができてとても良かったと思う。