みなさまこんにちわ。
さて、若者によく相談されるのが、S3、S4を聴取することができない、聞き取りが難しいとのことを聞きます。
今回は、私なりの解釈で彼らが聞き取れない要点をまとめてみましょう。下記です(個人的な私見です)
ホワイトプレーヤー メソッド
1 小鳥タッチはできているか?(もちろんベルです!!)
2 場所は正しいか?(心尖部、できれば視診でわかる心尖拍動の場所は最適!)
3 S1、S2の同定は確実にできているか?(脈を触れながらか、インチングテクニックを使用しましょう)
4 体位は適切か?(やや前かがみ、や左側臥位にするとぐっと聞こえるようになります、さらには息を軽く止めてもらい雑音を減少させると良いです)
5 Ⅱ音の分裂と鑑別できているか?(小鳥タッチからグッと抑えると明らかに消えるのは、確実にS3・S4なのです!)
あたりかと思います。中でも、相談されて実際に聴かせてみると実はココが全くできていないというポイントの第一位が小鳥タッチなのです。
当然ながら、ベルを用いて触れるか触れないか、隙間ができるかできないくらいの極限の力で、「まるで小鳥を聴診するように」聴くことが最も大事なのであります。意外ですよね?
でも学校ではならいにくい、いや習ったとしても臨床現場では全く忘れている大事なポイントです。
例えば臥位で聴診器自体の重さだけでも、S3・S4は消えてしまうような感じがわかってもらえるでしょうか。
また、もともと100Hzを下回るようなLow Pitchで低い圧のような・・音とも言えないような音をヒトの耳は聞き取りにくいようにできています。
なので意識的に聞き取ろうと集中することが当初は必要です。
なんとなく聞いていては、聞こえないので、S1の前に、S2の後にあるかを意識しながら聴く必要がでてきます。
チコちゃん曰く「ぼーっと、聴いてんじゃねえよ!」ってことですね。
英語のLとRを聞き分けるためには、自分の舌の使い方を理解して、初めて聞きわけられるようになるのと似ています。
つまり、この過剰心音は、S1、S2のタイミングや、その同定ができて初めてできるものです。ここを研修医の先生は理解されていません。
また、体位は左側臥位や座位であれば前傾姿勢にしてもらいます。また過剰心音が聴ける場所はもちろん、心尖部ですよ!! 特に、視診でわかるくらいの心尖拍動がある場合はまさにそこにベルの聴診器で、小鳥タッチをするわけです。
それでも聞こえにくい場合は、外来などの元気な方の場合は呼吸を一旦かるく止めてもらうと確実にそしてぐっと聞き取りやすくなるわけです。
またS3・S4を聴取したらそれが本当にS3・S4なのか確認する方法は簡単です。その場でベルをグッと皮膚に押し込むとトタンに聞こえなくなります。その場合は確実にS3・S4です。
また2音の分裂は場所と、息どめ、また上記の原理を用いれば分類可能です。やはり、その基本は、音への理解と細かいですが、上記の工夫になります。
なにより小鳥タッチの感覚なのです。
あまりPhysicalなんて全然役にたたないよっ!って上級医に教えられてしまうと、ほんとうにその後の若者の医師人生は習得しようとする情熱や機会が減ってしまうのが残念なのですが(ちょっと上の指導医のNegative impactは絶大なんですね)、
下記のMcGee 先生の本にあるように、 S3を聴取した場合ににはEF<50%の推定に役にたちますし、若者が好きなBNPレベル上昇の判断にもLR+10.1とめちゃ役に立ちますし、術後の肺水腫やMIなどの合併症なんても
非常に有用で、勿体ないです。
最近、大学にいるとあまり昔みたいに回診してオモロー体験をする機会がぐっと減りました。やはり、現場で研修医や学生と回診して【遊ぶ】のが大事だなぁと思います。
でも、人生はトレードオフなので、僕にはその分、全体のために自分がやるべき事を集中して今はやらないと(Physical教えるひとなんて他にたくさんいますもんね)。そして、全体のためにやらなければいけないことは、確実に自分のなにかと引き換えに完遂目指して実行しないといけません。結果を出さないといけませんので。
だから、こういうところに自分の秘めた思いを記載しておくことで、後で学生さん達にポリクリ中に見せるようにしたいと思います。