第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

STDとHIVの実臨床に特化したインターナショナルコース

2016-02-06 05:20:26 | Mahidol University編

みなさんこんにちは。 超多忙なわたり氏に変わり

2015年度DTMH卒業生今はフリーターの独身女UNM(゜o゜;;がブログの記事を書くことになりました。

今回はBangkokにあるBangrak病院にて、COTTISA (Consortium of Thai Training Institutes for STDs and AIDS) が毎年主催しているInternational Diploma Course in STI HIV/AIDS をご紹介します。

(Microbiology practiceの写真)

私は2015年度のマヒドン大学での半年間のDTMHを終えたのち、11月にこのコースに参加してきました。

実はDTMHの授業の一環で、この病院を見学に一度訪れたのですが、STDを専門にしている長い歴史や、タイのCSWをたくさん診察している背景などがとても興味深かったことと、日本では婦人科や泌尿器科に回しがちな疾患ですが、一般内科医もきちんと診察できなくてはならないなと常々思っていたところだったので、この病院で研修させて欲しい!とお願いしたところ、このコースを紹介してもらったのです。

すでに2015年度のコースで21回目の開催だそうで、毎年秋に4週間開催されているそうです。

1回のコースの定員は30人程度、参加費用は2015年度で2250USDかかりました(日本円で当時27-28万円くらい)。

(レクチャーの風景)

2015年度の参加メンバーは日本人は私一人(初めての日本人参加者だったそうです)、インドネシアから3人、マレーシアから1人、タイ人3人でした。

私以外は皆所属機関から費用の補助を受けていたそうで、全額自己負担したのは私だけでした・・・とほほ。

(参加費用を賄うために日本に一時帰国してアルバイトしましたよ。。。)

参加前は、周りから「高すぎる!」「そのコースって、それだけの価値あるの?」などと散々言われましたが、、、感想を一言で言えば、参加して大正解!!でした。 授業は毎週月~金で、座学あり、DVD講義あり(病院で作成した教育用DVDがあるのです!)、診察見学あり、実際の患者さんでの診察あり(女性ではクスコを挿入し、双手診、検体採取など)、人形を使った模擬診察あり、case discussionあり、バンコク市内の別のSTDクリニックの見学あり、細菌検査や遺伝子検査などの実習・説明あり、最終日はMCQと口頭試問で締めくくられました。

最終週は提携している英国の病院から医師を招いての講義(セントメリー病院、ノッティンガム市立病院)もあり、少なくとも英国のレベルとタイの診療レベルに大きな差はないことも実感しました。 また、タイのお国柄というか、トランスジェンダーの女性達の裏話も色々教えてもらって面白かった。。っていうか一番記憶に残っているのはその授業かな・・・(ー ー;)。 手術前後の写真とか・・・インパクトありすぎでした・・。

(ペニシリンの筋注!)

4Wはあっという間で、勉強が間に合わなった部分もたくさんあるのですが、STD診療における自分のスタイルがある程度確立されたのは間違いありません。DTMHよりもより実践的で臨床的なコースだったからでしょう。 日本の医学教育で、系統だったSTD診療を教えているところはどれくらいあるんだろうか・・・。 STDの診療には一般内科医としての技量以外に、感染症の知識、産婦人科や泌尿器科といった解剖学的な知識、皮膚科的な知識、いろんな知識要素が試されるchallengingな分野だと思います。どれか一つの分野だけできても不十分。 ちなみに、タイやマレーシア、インドネシアではSTD診療は皮膚科の診察の一部なんだそうです。

Bangrak病院の敷地内には皮膚疾患だけを見るスキンクリニックも常設されていました。 STDの系統だった診療ができるようになりたい!という一般内科医や感染症医などに是非受けて欲しいなあと思うコースです。少々参加費用が高いと思うかもしれませんが、短期間で、これだけ充実したコースで、日本から参加しやすくて、などなどメリットの方が大きいと思います。おそらく、世界でもなかなかないコースだと思います。 Bangrak病院はかなり長い歴史を持つので、建て物が老朽化しているため、数年後には現在の敷地にビルを新築して、最新の検査体制などを整えつつ、マヒドン大学との連携も強化していくとのこと。今後の発展にますます注目な病院です。 ご興味がある方は是非お問い合わせください。

 

最後にUNM氏とその仲間の写真も入れときましょう(ブログ管理人よりお礼)