第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

ジェネラリストのためのオープンジャーナルで論文を発表する時に参考にするポイント

2019-06-09 17:07:17 | Research
みなさまこんにちわ。
 
最近相談されたことに、「ハゲタカジャーナルは勘弁だけど、オープジャーナルに載せたい」というものがありました。
僕も詳しくないので(実は今までは基本的に一円も払ったことがありません)ここぞとばかりに調べてみました。
 
結構面白い論文があって、読んでみました
 
1) Have the “mega-journals” reached the limits to growth? PeerJ 3:e981
 
 
これによれば、代表的なメガジャーナルであるPLOS ONEの驚異的な成功を受けて、最近ドンドンと類似の雑誌が出ているわけですね。
 
表 オープンメガジャーナルの成長
 
 
このようにめちゃくちゃ、その勢力を拡大させてきたようです!
 
 
 
ざっくりまとめると大体このようなオープンメガジャーナルのアクセプト率は大体50%程度であり、Publishまでの平均スピードはおよそ3〜5ヶ月らしいです。この論文を読んでジェネラリストである自分にとって総合的に狙い目ジャーナルであるとランキングを発表します
 
スバリ
1) PLOS ONE   IF 3.5
2) BMJ Open   IF 2.1
3) Scientific report  IF 5.1
です。では詳しくみていきましょう。
 
【Publish 料金について】
この表のような値段で概ね良さそうでした。ただOpen Journal の経営的・運営的な厳しさもあり、年々Publications charges (APCs)は上がっているようです。
 
大まかに公表されていることが多いのでInstruction for authorを熟読した方が良いです。これらは3つはImpact factorがこの中でありながらそこまで高い金額を要求はされません。また既に知名度もありますね。
 
【アクセプト率について】
この論文で特に面白かったのが、こういう情報を体系的に乗せるということが面白い論文であるなぁと最初に感心しました。元々紙媒体で紙面が限られていたNEJMやLANCETと違ってアクセプト率が抜群に高いです。かといって査読が緩いわけではなく、経験者談(n=3)でもかなりしっかりしたフィードバックをもらえる印象です。つまり紙媒体でどうしても紙面の都合があり、いくら投稿を受けても限界がある古典的ジャーナルと違って、紙や印刷など不要でインターネットでドンドンと発表できる利点がここにありそうですね。どうしても早く論文にして世に出したい(危険な内容など 笑)はおすすめかもしれません。ただし研究費があることが前提ですね!! 

PLOS ONE69%  

(http://www.plosone.org/static/information)

BMJ Open, 60% 

(http://bmjopen.bmj.com/site/about/).

Scientific Reports, 55% 

(http://occamstypewriter.org/trading-knowledge/2012/07/09/

megajournals/).

FEBS Bio Open, 68%,

(http://occamstypewriter.org/trading-knowledge/2012/07/09/

megajournals/).

Biology Open, 51%

 (http://bio.biologists.org/site/about/about bio.xhtml).

であるようです。

 

【Publishまでのスピード】

何より、そのPublishまでの早さも魅力的です。寝かせてて良いものであれば、全く問題ないのですが、拮抗チームや早く卒業要件などの関係で早く決着をつけなければならない場合などはこのように早い対応は助かりますね。BMJ Openでは平均で46日で最初のジャッジが返答されるそうで、PLOS ONEではアクセプトまでの平均は123日であるようで、そこからPubliaationまでは30日ほどかかるそうです。Springer Plus というのも、最初の査読後の返信の早さを売りにしているようです。さらにPeer JというJornalも投稿からアクセプトまでの中央値は51日であったそうです。このような利点はありそうです。

 

Bjork (2015), Have the “mega-journals” reached the limits to growth? PeerJ 3:e981; DOI 10.7717/peerj.981



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3 コメント

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Unknown (hgy)
2019-06-10 11:38:01
お疲れ様です

この中で取り上げられているJournalの内少なくともSplinger plusは論文投稿を受け付けていないですね

https://springerplus.springeropen.com/

おそらく、思ったほどIFが出ず先行するMega Journalに追いつけそうになかったからでしょう
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Unknown (管理人)
2019-06-10 12:20:44
ご連絡ありがとうございます。
その通りのようですね、2015年で最新でしたがすでに4年の間に淘汰されてしまっているようでした。試しに調べるとほかのもせっかく安っかたものが倍以上になっていたりと変化が激しいようです。
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マルテンサイト千年ものづくり (サムライ鉄の道)
2024-09-02 17:35:46
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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