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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

マーベルとスター・ウォーズのキャストによる"SF×サトラレ"だった『カオス・ウォーキング』

2021年11月16日 23時43分17秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:187/244
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
SF
アクション
サトラレ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 パトリック・ネス『心のナイフ』(2008)

【あらすじ】
西暦2257年、〈ニュー・ワールド〉。
そこは、汚染した地球を旅立った人類がたどり着いた〈新天地〉のはずだった。
だが、男たちは頭の中の考えや心の中の想いが、
〈ノイズ〉としてさらけ出されるようになり、
女は死に絶えてしまう。

この星で生まれ、
最も若い青年であるトッド(トム・ホランド)は、
一度も女性を見たことがない。
あるとき、地球からやって来た宇宙船が墜落し、
トッドはたった1人の生存者となったヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会い、
ひと目で恋におちる。
ヴァイオラを捕えて利用しようとする
首長のプレンティス(マッツ・ミケルセン)から、
彼女を守ると決意するトッド。

2人の逃避行の先々で、
この星の驚愕の秘密が明らかになっていく──。

【感想】
ハリウッドで時々見かける"あのパターン"の映画かなって印象。
つまり、キャストは豪華なのに、
映画として(個人的には)そんなに面白くないっていう(笑)

キャストはね、本当にすごい。
『スパイダーマン』で、主人公ピーター・パーカーを演じたトム・ホランド。
『スター・ウォーズ』で、主人公レイを演じたデイジー・リドリー。
『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス役や、
『007/カジノ・ロワイヤル』でル・シッフルを演じたマッツ・ミケルセン。

しかし、肝心のお話が。。。
簡単に言ってしまえば、SF版『サトラレ』と言ったところか。
今の若い子は『サトラレ』って映画を知らないかもしれないけど、
心の中で思っていることが外に聞こえちゃう架空の病気になった人の話。
2001年に安藤政信で映画化、
2002年にはオダギリジョーでテレビドラマ化されていた。

この映画では、ニューワールドという惑星において、
"ノイズ"という形でその症状というか影響が出てしまう設定。
しかも、ノイズは『サトラレ』のそれよりもパワーアップした形になっていて、
思っていることが声だけでなく、
イメージとしても他者に伝わってしまうのだ。
だから嘘はつけないし、
ちょっとエッチなことを考えようものなら、
そのイメージが具現化されて外に出るため、
妄想相手にも見られちゃう。
まったくもって誰も得しない(笑)
そして、なぜか男性のみなのよ、
その影響を受けるのが。

設定だけを見れば、
割と面白そうな感じなんだけど。。。
これが『サトラレ』のように、
自分の思考が外に出てしまうことによって思い悩むヒューマンドラマ系なら、
まだよかったかもしれない。
けれど、その設定があまり活かされない
普通のSFアクションになっちゃったから、
微妙だなって感じたんだよなー。

結局、ニューワールドに不時着したヴァイオラを守るための逃避行がメインなのよ。
逃げて、隠れて、最後ちょっと戦って。
そこで、ノイズの果たす役割があまりにも少なくてね。。。
むしろ、言っちゃいけないことがどんどん他者に伝わるから、
もはや邪魔でしかないっていう。
まあ、その思考の具現化を使って、
残像みたいなのを作るシーンはあったけど、
どうせならもっとそれを駆使したバトルも入れて欲しかった(笑)

この惑星の何がノイズを生じさせるのか。
なんで男性だけにしか表れないのか。
トッドは今まで一度も女性を見たことがないのに、
なぜヴァイオラを好きになれるのか。
それに加えて、先住民のスパクルの出番の少なさ。
いろいろツッコミどころが気になってしまうぐらいには、
あまり作品に引き込まれず(笑)

総じて、中途半端なまま終わってしまったかなあ。。。
特に、メインの3人は過去に出ていた映画が超大作すぎるがゆえに、
どうしてもそれと比べてしまうよね。。。

ただ、『スター・ウォーズ』でずっと黒髪だったデイジー・リドリーの
初めてのブロンド姿を拝めたのは新鮮だった。

映画『カオス・ウォーキング』公式サイト

絶賛公開中 『ボーン・アイデンティティー』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ダグ・リーマン監督最新作! 豪華スタッフ・キャストが放つ新感覚...

映画『カオス・ウォーキング』公式サイト

 

予想もつかない展開の中で、黒人が虐げられてきた歴史を紐解いた『アンテベラム』

2021年11月16日 00時07分47秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:151/243
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
スリラー
人種差別
黒人奴隷
南北戦争

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
奴隷制度を信奉する南軍の旗が掲げられたアメリカ南部のプランテーション。
ここに囚われの身となったエデン(ジャネール・モネイ)は、
過酷な労働を強いられていた。
脱走を試みた者は監視役に殺され、
焼却炉で処分される。
自由に言葉を発することも禁じられたエデンは、
屈辱と恐怖の日々を耐え忍び、
脱出のチャンスをうかがっていた。
やがてある悲劇をきっかけに、
エデンは奴隷仲間の男性イーライ(トンガイ・キリサ)と共に脱走計画を実行する。

そこから150年後の現代。
リベラル派として知られるベストセラー作家のヴェロニカ(ジャネール・モネイ)は、
心優しい夫、幼い娘と幸せに暮らしていた。
ある日、エリザベス(ジェナ・マローン)と名乗る女性のオンライン取材をこなした彼女は、
講演会のために単身ニューオーリンズを訪れる。
力強いスピーチで拍手喝采を浴びたヴェロニカは、
現地で合流した親友らと高級レストランでのディナーに繰り出す。
しかしその行く手には、
公私共に順風満帆なヴェロニカを奈落の底へと突き落とす恐ろしい罠が待ち受けていた……。

まったく異なる境遇を生きるエデンとヴェロニカ。
果たして、彼女たちを脅かす得体の知れないものの正体とは何なのか。
そして、ヴェロニカとエデンが生き延びるために
解き明かさなくてはならないものとは……?

【感想】
『ゲット・アウト』、『アス』のプロデューサーが放つパラドックス・スリラー。
本当に最後の最後まで「???」で。
オチを知ってようやく全貌がわかる。

そもそも、タイトルの"アンテベラム"とは、
ラテン語で「戦前」を意味する言葉で、
特にアメリカでは「南北戦争以前」を指すそう。
その言葉通り、
エデンが暮らす時代はまさにそのときで、
彼女はプランテーション(大規模農園)で奴隷として扱われていた。
奴隷は厳しい管理下に置かれ、
自由に話すことすら許されない。
なお、映画では描かれていないけど、
実際には脱走させないために両足を切り落としたり、
労働力増加のために黒人女性をレイプして子供を産ませたりと、
惨たらしい実態があったそう。

一方で、ヴェロニカは社会的地位もあるベストセラー作家。
エデンのいた時代とは大きく異なり、
黒人女性でも発言力を持ち、
世の中に影響を与えることができる現代を華々しく生きる存在だ。
「時代は変わったな~」と思っていた矢先、
差別ではないけれど、
少し失礼な扱いを受けるシーンがある。
それを見て、
「いまだに黒人が下に見られてしまう土壌があるのではないか」と思うのだ。

なぜこういうことが起きるのか。
それを紐解いていくと、
南北戦争時代における黒人の奴隷制度があったからではないかと、
この映画を観て感じる。
当時もリンカーン大統領によって奴隷解放宣言はなされたものの、
黒人への差別は今日まで続いている。
「差別はよくない」と至るところで教えられるはずなのに、
150年経っても消えやしないのだ。
その思想が遺伝子に刻み込まれているんじゃないかと思うぐらい。
この映画は、黒人が虐げられた歴史に再び光を当て、
現代までそれが残っているというメッセージを伝えている。

ヒューマンドラマっぽいけど、
映画としてはあくまでもスリラー。
それは、エデンとヴェロニカの関係性がポイント。
この2人がどうリンクしていくのかっていうのを、
あれこれ頭の中で予想しながら観るのが楽しい。
そこは『ゲット・アウト』と『アス』の流れを汲んでるね。

予告はちょっとホラーっぽさ出してるけど、
全然怖くない。
最後のオチまで知って、
ようやく面白さがわかる映画。
でもなあ、ネタバレできないので主語を書けないのだけど、
何の目的があってこうしたのかが、
作中では一切語られずにモヤモヤする。
アンチの嫌がらせなのかな。

それにしても、ハリウッド映画は黒人差別を描いた作品が多いけど、
アジア人だってだいぶバカにされてきた歴史があるんじゃないかって思うのよ。
映画で見かけないのはなんでだろうか。

『アンテベラム』公式サイト

『ゲット・アウト』『アス』のプロデューサーが放つパラドックス・スリラー

『アンテベラム』公式サイト