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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

脱北者が韓国でプロボクサーを目指すという強い生命力を感じるた『ファイター、北からの挑戦者』

2021年12月08日 20時28分58秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:206/259
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
脱北者
ボクシング

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
韓国、ソウル。
ひとりの女が小さなアパートに辿り着いた。
脱北者、リ・ジナ(イム・ソンミ)。

休む間もなく食堂で働き出した彼女は、
中国に残した父を呼び寄せるために、
より多くのお金を稼ごうと、
清掃の仕事を掛け持ちすることにした。
そこは、館長とトレーナーのテス(ペク・ソンビ)が2人で切り盛りするボクシングジムで、
悲惨な過去と怒りを抱えて壁を作るジナに、
2人は静かに燃えるファイティングスピリットを感じ取る。

グローブを渡されたジナは、
次第にボクシングの世界にのめり込んでいくのだった――。

【感想】
韓国ならではの映画という感じ。
主人公のジナが北朝鮮から脱北して韓国にやってくるという、
他の国では作りづらい設定だからだ。

ジナの置かれた状況はかなりハード。
母親は幼い頃に家族を捨て、
先に韓国に来ており、
新しい家族がいる状況。
父親は北朝鮮に残したまま、
いつこちらに来れるかもわからない。
仕事の斡旋など、
支援してくれる人はいるけど、
基本はジナひとり。

そんな彼女の居場所となったのが、
掛け持ちで働くことになったボクシングジム。
当初は清掃員として働いていたものの、
軍隊出身ということもあり、
ボクシングの経験はあった。
何気なくやったシャドーボクシングを見た館長が、
彼女をプロボクサーに育てることを決意。

脱北者ということで白い目で見られることもあるけれど、
ジナはひとり国を離れて隣国にやってきた身。
プロボクサーになって、
大金を稼ぐことで、
生活の基盤を築こうとする執念は
並々ならぬものを感じる。

ただ、この映画、
ちょっと惜しいというか、
どっちつかずなところがあって。
タイトルからしてボクシングをメインに据えようとはしているんだけど、
ボクシングのシーンはそこまで多くない。
むしろ、途中から自分を捨てた母親との軋轢にフォーカスが当たっており、
「ボクシングを通じて何かする」っていう印象が弱かったかな。
あくまでもメインは彼女の家族の物語であって、
ボクシング自体は流れで始めたっていう感じが強い。
そういう意味では、
いわゆるスポ根ではなく、
ヒューマンドラマだね。
それはそれでいいんだけど。

とはいえ、その母親も急に出てきたから、
ジナの抱えてきた鬱憤ってのが感じ取りづらい部分はある。
せめて、幼少期の回想シーンみたいなのがあれば、
もっと彼女に感情移入できたかもしれないけれど。
脱北者っていう割には、
その表面的な設定だけで、
あんまり本編に絡んでいないような気がした。
『トゥルーノース』(2021)を観ると、
北朝鮮での生活の辛さはわかるけどね。
これは生まれも育ちも韓国じゃないと
伝わりづらい設定かもしれない。

あとは、テンポがあまりよくないのも気になるところ。
見つめ合うシーンや酒を飲むシーンといった
何気ないところの尺が長すぎる。
「そんなに必要?」ってぐらい長いので、
ちょっと間延びしてるかなーって思っちゃった。

なので、設定自体はすごく期待できるんだけど、
その割にはそこまで強い引きにはならなかったなっていう映画でした。

映画『ファイター、北からの挑戦者』公式サイト

北朝鮮から逃れ「脱北者」として人生をスタートさせたジナ。差別や偏見に満ちた孤独な毎日に、ある時一筋の光が差し込んだ。国家に翻弄されながら明日...

映画『ファイター、北からの挑戦者』公式サイト

 

体の売り方が斬新だった『皮膚を売った男』

2021年12月08日 00時26分55秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:193/258
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
シリアス
アート
タトゥー

【元になった出来事や原作・過去作など】
・インスピレーション(アート作品)
 ヴィム・デルボア“Tim”

【あらすじ】
シリア難民のサム(ヤヤ・マヘイニ)は、
偶然出会った芸術家からある提案を受ける。
それは、大金と自由を手に入れる代わりに、
背中にタトゥーを施し、
彼自身が“アート作品”になることだった。

美術館に展示され、
世界を自由に行き来できるようになったサムは、
国境を越え離れ離れになっていた恋人に会いに行く。
しかし、思いもよらない事態が次々と巻き起こり、
次第に精神的に追い詰められてゆくことに。

世界中から注目されるアート作品“サム”を待ち受ける運命とは…。

【感想】
設定が面白いと思ったので鑑賞。
最初は皮膚を剥ぐホラーかと思ったんだけど(笑)
体を売って得たお金で、
国外にいる恋人に会いに行く主人公サムの話でした。

その体の売り方が斬新で。
よくあるような、いわゆる「ウリ」で稼ぐとかそんなんじゃなく。
背中にビザ(入国許可のね)のタトゥーを入れて展示されるというもの。
販売額と転売額の1/3がサムの懐に入る契約。
大体3桁万円ユーロで取引されるからね。
1ユーロを127円としたら、相当な額だよ。
展示中はじっと座ってるだけだし、
背中に大きなタトゥーがあっても、
その後の日常生活で困ることがないならば、
おいしい仕事かなと思ってしまった(笑)

でも、ほぼそれだけで終わってしまうのがやや物足りなさがあるかなあ。
背中にタトゥーを入れて、
展示されて、
お金もらって、
何だかんだで別れた恋人とも会えて。
ちゃんちゃんって感じだから。

まあ、途中からサムも精神的にまいってきて、
ついには問題行動を起こしてしまう描写はある。
そりゃ長期間の拘束に加えて、
常に好奇の目にさらされるからね。
精神的に辛いのは理解できるけれども。

でも、そもそも自分の意志で志願したわけでしょ。
それで大金を得てるんだから、
そこは我慢して然るべきなのではと感じてしまった。
しかも、観客に見せるのは背中だけで、
後ろ向いてるわけだから、
そんな辛いかなって(笑)
よく街中のパフォーマンスで、
時間が止まった設定でずっと静止してる人いるけど、
そっちの方がよっぽど大変なんじゃないかと思う。

とはいえ、背中に吹き出物ができてしまうシーンは、
アートの対象が「ナマモノ」ゆえのリアルさがあって、
一番印象に残ったところ。
こればっかりは生きている限り、
防ぎようがないわな。
ただでさえ、ストレスフルな状況なんだし。
即病院に連れて行かれて、
ギュウって中身出されてたけど(笑)

なので、設定は斬新だったけど、
映画としてはそこまでハマりきれなかった映画でした、
個人的には。

映画『皮膚を売った男』オフィシャルサイト

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