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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

マウンティングクソ野郎な方たちにぜひ観てもらいたい『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』

2020年10月03日 22時41分52秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:KADOKAWA

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:10/141
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議にて、
現代の消費社会を痛烈に批判し、
人類にとっての幸せとは何かを問うたウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ。

その感動的なスピーチが瞬く間に世界中で話題になったことで、
監督の田部井一真は当時ディレクターを務めていた
テレビ番組で彼を取り上げることになる。

ウルグアイへ渡った監督は、
そこで一度も日本に訪れたことのないムヒカが、
日本の歴史や文化にとても詳しく、
尊敬していることに驚かされる。

その後も監督は何度もウルグアイへと渡り、
大統領退任後のムヒカへの取材を重ねる。

ムヒカの言葉に心を動かされた監督は
多くの日本人にムヒカの言葉を聞いてほしいと願うようになる。

そして、絵本の出版社の協力を得て、彼の来日が実現する。

【感想】
海外のドキュメンタリーと思いきや、
日本のドキュメンタリー映画なんだよね。
ムヒカ氏は質素な生活をしていると聞いてはいたけど、
本当に質素だった。
日本の田舎みたいなところで、
トラクターに乗って畑を耕したり、
チェーンソーで木を切ったり、
もはや農家のおじさん。
そんなムヒカ氏の言葉は力強く、そして説得力があった。

なぜか。
それは、彼の生い立ちやこれまでの経験を踏まえると、
実際に経験したことから生まれた言葉だと考えられるからだ。

ムヒカ氏が生まれ育った土地には、
当時日本の移民もおり、
若い頃からムヒカ氏は日本人と交流があったのだ。
「なぜ日本についてそんなに詳しいのか」という問いに、
「本で読んだから」と答えるムヒカ氏だが、
おそらく実体験として日本人を身近に感じていたことも
影響しているだろう。

彼は1000年以上続く日本の文化に敬意を表しながらも、
それが失われつつあることを嘆いているようだった。
文化やテクノロジーの発展を称賛しつつ、
アメリカに追いつけ追い越せの精神を持ったあたりから、
日本人の魂は失われてしまったと。
もちろん、すべての日本人がそうではない。
だから、彼は、日本には"いろんな日本人がいる"と表現していた。

また、人間は発展するために生きているのではなく、
幸せになるために生きているのだと主張している。
それは、彼が若い頃に反政府活動に参加し、
12年間も投獄生活を送ったことと無関係ではないはず。

そこから政治家になり、大統領にまで上りつめるのだから、
その行動力と信念の強さは凄まじいものがある。

彼は言う。
貧しさとはモノを持っていないことではなく、
どんなにモノを手に入れても満足しない心だと。
ムヒカ氏も若い頃は富を平等にすれば
人は幸せになると信じて反政府活動を行っていたが、
結局は考え方を変えない限りは意味がないと知る。

仲間を作り、家族を持ち、モノが少なくてもそれに満足でき、
大切な人たちと同じ時間を過ごすことこそがで幸せなのではないかと投げかける。

決してひとりで歩むのではなく、誰かといっしょにいることを前提として、
動物のように"ただ生きる"のではなく、
"人生に意味を盛り込んで生きる"ことを勧めていた。

ただ、彼は他の幸せの在り方を否定はしていない。
何に幸せを感じるかは人それぞれ
という柔軟さも持ち合わせているからこそ好感が持てる。

他国の文化に敬意を表し、他者を否定することなく、
長期的に見て人としてあるべき姿を静かに優しく、
それでいて力強く語るムヒカ氏の言葉は刺さる。

そういえば、ムヒカ氏は
「人生で一番大切なことは成功することではなく、歩むことだ」
と説いていたけど、
昨日の『フェアウェル』でナイナイが言っていたことと似ている。

つまり、結果より過程が大事だというのは、ほぼ共通の認識なんだろう。
とはいえ、結果が出なければ評価されないのが現実。
人は常にこの矛盾と向き合って生きていくんだろうなあ。

映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』公式サイト

10月2日(金)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開!|ムヒカ大統領が日本にやってきた!彼が私たちに伝えたかった、その思いとは?

映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』公式サイト

 

創業者の人柄と手腕に惹かれる『メイキング・オブ・モータウン』

2020年10月03日 13時02分56秒 | 映画


『メイキング・オブ・モータウン』

【基本情報】
 原題:Hitsville: The Making of Motown
製作年:2019年
製作国:アメリカ・イギリス合作
 配給:ショウゲート

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:10/140
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

【あらすじ】
ビートルズやローリング・ストーンズが憧れ、
日本を含む世界の音楽に影響を与え続けているモータウン。

創設者はベリー・ゴーディ・Jr.。
1959年、家族から借りた800ドルを資金にタムラ・レーベルをスタートさせ、
モータウンの歴史は幕を開けた。

その黄金期を彩ったのは、
スティーヴィー・ワンダーやジャクソン5などのスターたち。

本作は、映画ビジネスに参入すべくLAに本社を移すまでの歴史や
名曲誕生秘話を追っていくドキュメンタリー。

【感想】
これは面白い。
音楽(特に洋楽)やエンタメ系の仕事をしている人、
組織づくりをしている人なんかは興味深く観れる映画だろう。

僕が聴く音楽は90年代J-POPばかりで、
モータウンが大ヒットを連発していた頃の曲なんてほとんど知らない。
劇中56曲の音楽があったけど、知っていたのは2曲のみ。

だから、僕は音楽云々というより、
ヒットを連発していた背景には何があったのかを知りたくて観た。

複数要素はあるものの、やっぱり創業者のベリーの存在が一番大きい。
世の中、才能あるアーティストはたくさんいるけれど、
彼ほどのリーダーはいないとスモーキー・ロビンソンに言わしめるほど。

ベリー一族は曽祖父のときから起業家精神を叩き込まれていたせいか、
本人は幼い頃から"目端が利く"と自覚していたそう。

彼はモータウンを創業した後、かつて自動車工場で働いた経験を元に
「生産ライン」というものを策定。

つまり、アーティストの発掘・契約からレコード発売に至るまで、
ただの部品だった機械が徐々に自動車に変わっていくように、
ひとりの人間をアーティストとして作り上げる仕組みを作り上げた。

できたばかりのモータウンはアメリカのミシガン州デトロイトにある一軒家を拠点としており、
そこには実に多くの才能あふれる若者が出入りしていたよう。
まさに、日本でいう"トキワ荘"みたいな感じ。

誰から指示されることでもなく、すべて自給自足で自由にのびのびと好きなようにできたのが、
(ヒットを出せる)魔法が生まれる理由だったとか。

僕が一番驚いたのが、マナー講師にアーティストの養成を行わせていたこと。
それは、フォークやナイフの使い方ではなく、
自尊心を高めて堂々とした人間でいられるようにするため。
アーティストの中には貧困層出身の人も少なくないので、
セレブとコミュニケーションが取れるようにまでするところの徹底ぶりに脱帽。

もちろん、すべてが順風満帆というわけではなく、
ツアー時の激しい黒人差別もあったし、
人は自動車ではないから意見の食い違いでモータウンを去る人もいた。

でも、それらを乗り越えられたのは、
やはりベリーの人柄や手腕ではないだろうか。

彼は黒人だろうが白人だろうが音楽には関係ないと常に言っていた。
だから、黒人・白人問わず雇用していたし、
能力さえあれば女性でもどんどん幹部になれたそう。
それを当時から行っていたのはかなり革新的なのでは。

また、彼はいつだって「次の段階」を考えていた。
現状に甘んじることなく、革新がなければ停滞と同じだと捉えていたようで、
その結果、映画にも積極的に関わっていった。

ベリーのように音楽(事業)を愛し、人を愛する人の元には、
たくさんの才能が集まるんだね。
こういう人の下で働けるとは幸せなことだと思う。

ちなみに、いろんなアーティストが出てくる中で、
幼き日のスティーヴィー・ワンダーとマイケル・ジャクソンは
格が違うなと素人ながらもわかる。

「メイキング・オブ・モータウン」公式サイト

「メイキング・オブ・モータウン」公式サイト

 

涙だけじゃない。笑いとリアルな家族像も垣間見える『フェアウェル』

2020年10月03日 00時17分03秒 | 映画


【基本情報】
 原題:别告诉她
 英題:The Farewell
製作年:2019年
製作国:アメリカ
 配給:ショウゲート

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:44/139
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
ニューヨークに暮らすビリー(オークワフィナ)と家族は、
ガンで余命3ヶ月と宣告された祖母ナイナイ(チャオ・シュウチェン)
に会うために中国へ帰郷する。

家族は病のことを本人に隠すことに決め、
みんなで集まる口実として、いとこの結婚式をでっちあげる。

ちゃんと真実を伝えるべきだと訴えるビリーと、
祖母を悲しませたくないと反対する家族。
意見の対立は平行線のまま、とうとう結婚式の日を迎える。

一家がついた嘘の行方は。
そして、衝撃の事実が発覚する。

【感想】
コロナの影響で公開が遅れたけれど、
半年前からずっと観たいと思っていた映画。
監督のルル・ワンの実体験を元にした心温まる家族の物語で、
さすがA24の配給作品だなと。

大好きな祖母に真実を伝えるべきか、
それとも本人を悲しませないために隠し通すか。
そのどちらも当事者を想っての行動になるけれど、
別に中国に限った話ではなく、どの国でも意見は割れそう。
ゆえに、国境や文化を超えて共感できる内容だと思う。

しかも、この映画、ただのお涙頂戴の感動映画ってだけじゃないんだよ。
クスッと笑えるシーンをちょいちょい入れ込んでくるところが
バランスいいなーって思う。

また、家族間でずっと抱えていたわだかまりみたいなのも露呈されるから、
長い間いっしょにいてもわからないことってあるよなっていう
家族のリアルさも伝わってくる。

そんな中で、ナイナイがビリーに対して、
「人生で一番大切なことは何か」って伝えるシーンは、
どんな本や偉い人の言葉よりも心に響いた。

僕もばーちゃんが好きだったから、今作のビリーにはものすごい共感できたよ。
今でもばーちゃんが亡くなったことを思い出すと悲しみに暮れてしまうからな。。。

ただ、ちょっと地味でインパクトに欠ける部分はあるから、
人によってはそれが退屈に感じてしまうかもしれないけど、
涙と笑いに包まれたファミリー映画としていい作品だったと思う。

衝撃のラストはぜひその目で確かめて欲しい。

これ、アメリカ映画なんだけど、出ている人全員アジア人なんだよね。
まあ、みんな英語がネイティブレベルだけどw
日本人を洋画で見ないのは、やはり英語力なのか。。。

ちなみに、今作にはひとりだけ日本人が出てて。
中国を拠点に活躍している水原碧衣という方なのだけど、
京大卒業後、早稲田法科大学院休学中に中国最高学府である
北京電影学院の演技科に1年間留学し、
首席で卒業というびっくり経歴。

劇中でも、たまに他のキャラクターが
彼女にカタコトの日本語で話しかけてるから
「何でだろうなー」って思ってたら、
本当に日本人だったんだっていう(笑)

映画「フェアウェル」公式サイト

第77回ゴールデングローブ賞 主演女優賞 受賞!! 全国公開中!僅か4館公開スタートで、全米TOP10入り!!優しい<嘘>から生まれた感動の...

映画「フェアウェル」公式サイト

 

こんな草彅剛見たことない!『ミッドナイトスワン』

2020年10月02日 01時40分10秒 | 映画


『ミッドナイトスワン』

【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:キノフィルムズ

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:129/138
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、
トランスジェンダーの凪沙(草彅剛)。

ある日、凪沙は故郷の広島から親戚の娘である
一果(服部樹咲)を預かることになる。

常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙。
実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。

孤独と隣り合わせだった2人の間には、
だんだん奇妙な感情が芽生え始め、
一果のバレリーナとしての才能を知らされた凪沙は
いつしか彼女のために生きようとする。

【感想】
僕のリテラシーの低さかな。。。
世間の評価メチャクチャ高すぎるのだけど、僕は全然ハマらなくて(笑)
LGBTモノは理解はできても共感しづらいってのと(否定しているわけではないよ!)、
ちょっと要素が多すぎるかなってのがその理由。

トランスジェンダー、育児放棄、児童ポルノ、クラスメイトの悲劇など、
とにかくいろんな闇が唐突にやってくるもんだから、
拾いきれないというか、感情移入する間もないというか。

メインは凪沙のトランスジェンダーとしての生きづらさと、
一果の親が育児放棄したことによる生きづらさが重なって、
いつしか孤独を埋め合う関係になっていったってことだけど、
草彅剛のビジュアルのインパクトが強すぎてあんまり頭に入ってこなかった。

ただ、草彅剛のこれまでのドラマの役どころを考えると新境地という感じはするし、
体当たりな感じはいい意味で衝撃だったけど。

とはいえ、話し方というか、
演技自体は今までの草彅剛とあんまり変わらない気も(笑)

最初は一果を鬱陶しく思ってた凪沙が、
いつしか彼女のために生きようとしていく変化っていうのは印象的なんだけど、
話が途中だれてしまうのは否めない。

一果と親友の関係も、親友が一果に嫉妬して蹴落とす流れかと思いきや、
そんな悪い子でもなかったし、いまいちキャラがつかめなかった。

全体的に僕にはわからなかったかな。。。

映画『ミッドナイトスワン』公式サイト|上映中

トランスジェンダーとして身体と心の葛藤を抱える凪沙は、母に捨てられた少女と出会い、母性に目覚めていく。「母になりたかった」人間が紡ぐ切なく衝...

映画『ミッドナイトスワン』公式サイト|上映中

 

国家の闇と戦う弁護士が胸アツな『オフィシャル・シークレット』

2020年10月02日 00時32分11秒 | 映画


『オフィシャル・シークレット』

【基本情報】
 原題:Official Secrets
製作年:2019年
製作国:イギリス・アメリカ合作
 配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:75/137
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)は、
ある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られたメールを見て愕然とする。

英米がイラク侵攻を強行するため、
国連安全保障理事会のメンバーに対するスパイ活動を指示するものだった。

戦争反対派のキャサリンはその内容に憤りを感じ、
元同僚の友人を訪ね、マスコミにリークしたいと相談する。

2週間後、メールの内容が英国「オブザーバー」紙の一面を飾った。
マーティン・ブライト記者(マット・スミス)の勇気ある告発記事だった。

GCHQではリークした犯人探しが始まり、
職員一人一人への執拗な取り調べが繰り返された。

キャサリンは、自分の仕事仲間にまで尋問が及ぶ状況に耐えきれず、
自らリークしたことを名乗り出る。

しかし、キャサリンの告発も虚しく、
イラク侵攻は開始され、キャサリンは起訴される。

キャサリンを救おうと人権派弁護士
ベン・エマーソン(レイフ・ファインズ)らが立ち上がった。

そして、裁判が始まる。
果たして、キャサリンは有罪か、それとも無罪か。
そこには驚きの結末が待っていた。

【感想】
実話に基づく映画で、歴史のお勉強系ではあるけれど、
これは2003年に始まるイラク戦争を題材にしたものなので、
割と最近の話である。

淡々と進みはするのだけれど、
後半のキャサリンの夫が強制送還されるところからの展開が
ドラマチックでつい引き込まれる(彼女の夫は移民のため)。

相手は国家、そう簡単に話は進まないのだけど、
キャサリンを守る唯一の方法が存在した。

それは、彼女の行動が“やむなき事情”に該当するかどうか。
これを証明できれば、彼女の無罪を勝ち取ることができる。

“やむなき事情”とは、命の危険にさらされること。
戦争によって多くの命が失われるから条件はクリアしていることになる。
しかし、この戦争自体は国家が認めたものだからそれに該当しない。

では、その戦争に違法性が認められれば、、、?

最近、裁判というものに触れたこともあり、
国家を相手に「そもそも」の前提を覆すべく
奮闘する弁護士の姿は身近に感じられてかっこよかったな。

国家の闇をリークするところが『スノーデン』っぽい。

映画『オフィシャル・シークレット』公式サイト/8月28日(金)公開

イラク戦争を止めようとしたある女性の衝撃の実話。8月28日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ 他にて全国ロードショー!

オフィシャル・シークレット

 

表に出せない想いがはち切れそうな『マティアス&マキシム』

2020年10月01日 00時20分56秒 | 映画


【基本情報】
 原題:Matthias et Maxime
 英題:Matthias & Maxime
製作年:2019年
製作国:カナダ
 配給:ファントム・フィルム

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:99/136
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
30歳のマティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)と
マキシム(グザヴィエ・ドラン)は幼馴染。

友達の妹が撮る短編映画で男性同士のキスシーンを演じることになった二人だが、
その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気づき始める。

婚約者のいるマティアスは、親友に芽生えた恋心に戸惑いを隠せない。
一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、
想いを告げずにオーストラリアへと旅立つ準備をしていた。

別れの日が迫る中、二人は本当の気持ちを確かめようとするが。。。

【感想】
マキシム役を演じたグザヴィエ・ドランが監督・脚本も務めた本作。
直近でもゲイの映画と言えば『窮鼠はチーズの夢を見る』があったけど、
全然違う内容だ。

あちらは開始早々に男同士で絡み合い、
その後もAVのようなベッドシーンが続いていくが、
こちらはむしろ絡みがない。
洋画にしてはめずらしく。
イメージとして、洋画の方がそういうの激しいと思っていたんだけどね。

それもそのはず、この映画はお互いの気持ちに気づきつつも、
戸惑いや恐れを感じているため表に出せないでいるのだ。

でも、一度芽生えた気持ちは消すことはできない。
あらからさまな態度には出さないが、
いっしょにいるときは常に視線が相手に向いているし、
いっしょにいなくても両者共に心ここにあらず状態。
その演出や演技がうまかった。

そうやって溜めて溜めて、
ついに想いが爆発したときの絡みはもはや食事に近いものがあったね。
顔食ってるよって。
寄生獣かなって。

『窮鼠はチーズの夢を見る』を"動"とするなら、こちらは"静"。
なので、淡々と進んでいる分、人によってはやや退屈に感じるかもしれない。

けれど、自分の気持ちを隠しながらも
隠し切れない二人の演技はとてもよかったと思う。
また外人さんがやるとね、違って見える部分もあるし。

これも男女で意見は分かれそうだけどw

映画「マティアス&マキシム」

その瞬間、恋に変わった。 カメラの前で交わした偶然のキス。そして溢れ出す、友達以上の想い。/監督・脚本:グザヴィエ・ドラン/原題:Matth...

映画「マティアス&マキシム」