Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

タイトルが生易しいと感じるぐらい"荒ぶるおじさん"リーアム・ニーソンがワイルドでサバイバルだった『アイス・ロード』

2021年11月12日 23時17分03秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:149/239
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
アクション
カーチェイス
トラック

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
カナダ北部のダイヤモンド鉱山でメタンガスが爆発。
坑道が崩れ落ち、
26人の作業員たちが地下に閉じ込められてしまった。

酸素が切れるまで30時間。
それまでに事故現場に充満したガスを抜くための、
30tもの救出装置を運ばなければならない。
バカでかい装置の輸送は飛行機にも大型ヘリにも不可能で、
トラックにしかできないと判明。
しかも、鉱山への最短ルートは
厚さ80cmの氷の道〈アイス・ロード〉を通らなければ間に合わない。
速すぎるとその衝撃で、
遅すぎると重量で、
氷が割れて水に沈んでしまうというハードミッション。

そこで集められた4人の凄腕ドライバーたち。
地下の酸素が尽きるまでに、
装置を届けるべく、
命がけでトラックを走らせる彼らだったが、
その事故には危険な陰謀が隠されていた。

【感想】
もはや「荒ぶるおじさん」としての地位を
確かなものにしたリーアム・ニーソン。
いつからだろう。
「ワイルドでタフなアクション映画にこの人アリ!」
みたいな感じになった(笑)
まあ、今回はいつものような復讐劇ではないけれど。

この映画、『アイス・ロード』(原題も同じ)というタイトルでいいのかってぐらい、
ワイルドでサバイバルすぎる内容だ。
地下に閉じ込められた作業員を救出するために必要な、
メチャクソ重い機材を氷の上の道路を渡って届ける、
それだけの話なのにね。
あ、ちなみに、
この"アイスロード"ってのは実際にある現象。
寒冷地において、
凍結した川や湖の上に作られる道路のこと。

で、ただのトラックで輸送するだけの話なんだけど、
これがもうしょっぱなから飛ばしてくるのよ。
映画が始まってすぐにガス爆発!
30分も経つ頃には、
4人のドライバーが巨大トラックを走らせるテンポのよさ。
からの、早々に訪れる仲間の悲劇、疑惑、裏切りと、
前半にかなり詰め込んできた。
割れる氷に沈みーの、
敵の陰謀に翻弄されーの、
そんなワイルドな状況の中でも、
おかまいなしにトラックを走らせるリーアム・ニーソン!
仲間や自らの命の危機に晒されながらも戦い抜く姿は、
まさにサバイバルそのもの。

もう一度問う。
本当にタイトルは『アイス・ロード』でよかったのか、、、?

『ワイルド・トラック』の方が内容にピッタリな気がするぐらい、
アイスロードの要素が目立っていない(笑)
そもそもアイスロードって、
ただの道の状態だからね。
内容としては、
カーチェイスに殴り合いという
ザ・ハリウッドのアクション映画そのものよ。

ハリウッドスターって役者とキャラクターがイコールになっててさ。
ジェイソン・ステイサムやドウェイン・ジョンソンが人気なのと同様、
リーアム・ニーソンも荒ぶるおじさんとしてのキャラクターが根付いてて。
そんな彼が好きなら観てもいいと思う。

でも、そうでもないなら、、、まあ、、、
他の映画でもいいかなって気はする(笑)
いやー、リーアム・ニーソンはすごくいいんだけど、
それ以外があんまり印象に残らなくてね。
前半に詰め込みすぎて、
後半はただのカーチェイスと殴り合いのみ。
ちょっとテンポがよすぎるというか、
いろいろ早すぎて、
キャラクターの深掘りもないまま進むから、
感情移入もあまりできず。
まあ、最後はちょっとホロっとするところはあるんだけどねー。

結局、事故の陰謀の経緯もよくわからなくて。。。
完全にカーアクションだけに寄ってしまっていたからなあ。

『ダイ・ハード3』(1995)や『アルマゲドン』(1998)の脚本を手掛けた
ジョナサン・ヘンズリーの作品というから期待が高まったけど、
正直そこまでは、、、っていう感じかな。

映画『アイス・ロード』 公式サイト

救出機材の重量30t。支えるのは80cmの海氷。死のロードを走りきれ。映画『アイス・ロード』11月12日(金)公開!

映画『アイス・ロード』 公式サイト

 

アメリカの闇。疑わしきは徹底的に白でも黒にする国が生んだ悲劇『モーリタニアン 黒塗りの記録』

2021年11月11日 01時08分30秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:46/238
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
ヒューマンドラマ
無実の罪
司法
9.11

【元になった出来事や原作・過去作など】
・出来事
 アメリカ同時多発テロ事件(2001)

・人物
 モハメドゥ・ウルド・スラヒ(1970~)

・書籍(手記)
 モハメドゥ・ウルド・スラヒ『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』(2015)

【あらすじ】
2005年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)は、
アフリカのモーリタニア出身である
モハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。
9.11の首謀者の1人として拘束されたが、
裁判は一度も開かれていない。
彼はキューバのグアンタナモ収容所で
地獄のような投獄生活を何年も送っていた。
ナンシーは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。

時を同じくして、
テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、
モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、
スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。
真相を明らかにして闘うべく、
両サイドから綿密な調査が始まる。

モハメドゥから届く手紙による“証言”の
予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。
ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、
百戦錬磨のナンシーさえ愕然とする供述が記されていた──。

【感想】
すでに本になって出版されているため、
結末は書いてしまいますのでご注意を。

アメリカって怖い国だなと思う映画。
時の大統領はジョージ・W・ブッシュ。
9.11の首謀者の1人という容疑で逮捕されたモハメドゥだけど、
疑心とこじつけによって、
無実の人を死刑にしようとしていたアメリカ政府に衝撃。
しかもこれ実話。。。

もちろん、アメリカ側の気持ちは理解できる。
9.11によって罪のない大勢の人々が犠牲になったのだから。
しかも、アメリカって自分たちに絶対の自信を持っていそうだしね。
売られたケンカは何倍にもして返しそうなイメージもある。

がしかし、これはあまりにもずさんすぎる話だ。
ただ「疑わしい」というだけで、
きちんとした裏付けをせず、
モハメドゥを逮捕。
彼は一度も裁判が行われないまま、
8年も拘禁されていたのだ。

モハメドゥに関する調書は極秘扱い。
仮に見れたとしても、ほとんどが黒塗りという始末。
普通だったらここでお手上げ状態だろう。
それでも、ナンシーとスチュアートはそれぞれ別の立場から調査を進め、
やっとのことで、MFR(=Memorandum For Recordの略で、収容所での尋問の記録用覚書のこと)にたどり着くも、
そこには驚愕の真実が。。。

資料にはモハメドゥに対して行われた尋問の実態が書かれていた。
それはもう、殴る蹴るがマシに思えるぐらいの精神的嫌がらせの数々。
苦痛を伴う姿勢での静止が20時間、
水責め、女性看守との強制性交、
睡眠妨害、家族を襲うといった脅迫などなど、
明らかに「人を中から壊す」行為。

そんな状態での彼の自白は到底証拠として使えないとし、
ようやく裁判までこぎつけるも、
そこに至るまで実に8年だからな。。。
長すぎる。。。
ずっと夢見ていた裁判ができるシーンで感極まって涙出たよ。。。

モハメドゥの国では、
警察も信用できないし、
政府も腐っている。
そんな彼はアメリカが正義と自由の国だと信じていた。
ところが、実体はこれである。
恐怖で彼を支配していたのだ。
ショックなんてもんじゃなかったろうな。。。

最終的に彼は裁判で勝つことができたのだけれど、
オバマ政権に入ってからも、
さらに7年も拘留され続けたらしい。。。

アメリカのエンタメは面白いし、
日本よりも進んでいる分野も多いけれど、
メンツを保つことと、
そのために白を黒にしようとする執念深さは恐ろしいなと感じたよ。
ただ、それを覆すために、
正義と信念を貫き通す国民がいることもまた忘れてはならないけど。

ちなみに、本編とはまったく関係ないけど、
マーベルのドクター・ストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチと、
DCのシャザム役のザッカリー・リーヴァイが出てるから、
アメコミ好きは注目されたし(笑)

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』公式サイト

10月29日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー。あれから20年…暴かれたアメリカの闇。9.11同時多発テロの首謀者の1人として...

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』公式サイト

 

マルジェラの生まれやブランドを去った経緯が本人の口から明かされる『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

2021年11月11日 00時16分33秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:162/237
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ドキュメンタリー
ファッション

【元になった出来事や原作・過去作など】
・人物(ファッションデザイナー)
 マルタン・マルジェラ(1957~)

【あらすじ】
公の場に一切登場せず、撮影・対面インタビューにも応じない。
型破りでエレガント、
突然の引退から10年以上経った今も大きな影響力をもつ謎の天才デザイナー、
マルタン・マルジェラがついに沈黙を破る。

本作の監督のライナー・ホルツェマーは、
難攻不落と思われたマルジェラ本人の信頼を勝ち取った。
「このドキュメンタリーのためだけ」という条件のもと、
ドローイングや膨大なメモ、
初めて自分で作った服など、
プライベートな記録を初公開し、
ドレスメーカーの祖母からの影響、
ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、
ヒット作となった足袋ブーツの誕生、
世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、
そして51歳にして突然の引退――
これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについて
カメラの前でマルジェラ自身が語る。

【感想】
マルタン・マルジェラについて知ることができる貴重なドキュメンタリー。

ファッション好きでなくとも聞いたことぐらいはあるであろうその名前。
「ファッション業界における最後の革命児」
「19世紀にまでさかのぼっても10本の指に入る」
インタビューを受けた人から出る彼への言葉は絶賛の嵐。

彼がファッションデザイナーになったのは、
祖母の影響が大きい。
幼い頃のマルジェラは、
仕立て屋だった祖母の仕事を間近で見て、
将来の夢は「パリでファッションデザイナーになること」
と言っていたそうな。

とはいえ、彼には才能があったのも事実。
そうでなければ、ファッション学科における世界の御三家のひとつ、
アントワープ王立芸術アカデミーに入れるわけがない。
さらに、そこで"アントワープの6人"と並び称されるほどなのだから。

この手のドキュメンタリーは、
対象となる人物がいかに革新的で、
歴史を変え、
多くの人々を魅了したのかが重要になってくる。
マルジェラもその要素はあった。
日本に来て影響を受けた足袋にヒールをつけた靴のデザイン。
モデルの顔を覆うことで、
服や動きを際立たせるショーの作り方。
服のタグを見て、
「これは〇〇の服だ」と言われるのが嫌で、
あの四隅にステッチをつけたタグにしたこと、など。

でも、彼が他のファッションデザイナーと違った一番の特徴と言えば、
公の場に姿を現さなかったことじゃないかな。
表に出ることが好きというイメージが強いファッション業界において、
とても意外なスタンス。

ただ、それは「自分を守るため」。
辛辣な言葉を浴びせられることの多いこの業界は、
彼の性格には合わなかったようで。
若い頃に傷ついたこともあってか、
人前に姿を見せることはせず、
取材にすら応じない。
自分が作ったものについて逐一説明するのが嫌だったというのもあるけれど、
作品作りに集中する意味合いもある。
インタビューの予定を組んだら、
それだけでスケジュールが埋まってしまう。
彼はあくまでもファッションデザイナー。
創作こそが本分なのだ。

だからこそ、オンリー・ザ・ブレイブ(ディーゼルを持つイタリアのアパレルメーカー)に買収されたあたりから、
彼は自身のキャリアに悩み始める。
本職はファッションデザイナーとして服を作ること。
しかし、だんだん立場が上がり、
アーティスティック・ディレクターという立場になってしまった。
こうなると、自分で何かを作ることは難しい。
だから辞めた。
まさに、モノ作りとビジネスの狭間で、
前者を取った形かな。

ところで、この映画を観て、
しきりに出てくるひとりの日本人の名前があることに気づく。
それが、川久保玲だ。
ご存知の通り、
『コム・デ・ギャルソン』の生みの親。
ここまで海外の有名ファッションデザイナーに影響を与えていたのかと改めて痛感すると共に、
同じ日本人として誇りに感じる。

ちなみに、僕はマルジェラの服を持っていない(笑)
どちらかと言えば、
アレキサンダー・マックイーンのように、
アイコン(マックイーンでいえばスカル)となるものがあるデザインの方が好きなので、
マルジェラには手が伸びず。

「マルジェラが語る “マルタン・マルジェラ” Martin Margiela: In His Own Words」公式サイト

大ヒット上映中!公の場に一切登場しない。撮影・対面インタビューにも応じない。謎の天才デザイナー、マルタン・マルジェラがついに沈黙を破る。

 

「おまえの愛するものは俺のもの。だからおまえも俺のもの」というジャイアン感ある『ひらいて』

2021年11月09日 23時47分24秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:143/236
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ラブストーリー
学園モノ
同性愛

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 綿矢りさ『ひらいて』(2012)

【あらすじ】
成績もよく、
明るく目立つタイプの愛(山田杏奈)は、
同じクラスの“たとえ”(作間龍斗)にずっと片思いをしている。
ひっそりとした佇まいで寡黙なタイプだけど、
聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえの魅力は、
愛だけが知っていた。

そう思っていたある日、
彼には「秘密の恋人」がいることを知る。
それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかったとき、
言いようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かした─。

「もう、爆発しそう─」 愛は美雪に近づいていく。
誰も、想像しなかったカタチで…。

【感想】
原作小説は未読だけど、
キャラクターの強烈さが印象に残る映画だった。
特に、主人公の愛がね。
ぶっ飛んだキャラしてたから。
演じた山田杏奈の演技もすごくよかった。

愛が、片想いの男子生徒を自分のものにするために、
彼が愛する人を自分のものにしようとするって。
その思想に行き着き、実行しちゃうのがやべえやつだなって。

愛は成績優秀で友達も多そう。
父は単身赴任だけど、
綺麗で優しいお母さん(板谷由夏)と2人暮らし。
こじれる要素なんて、
何もなさそうに見えるのに。

ただ、恵まれているからこそ出てくる人間性なのかなとも思った。
何不自由なく育ってきたということは、
求めるものがすべて手に入ってきたということ。
彼女の常識としては、
「手に入らない」という概念がなかったりして。
自分を中心に世界がまわっているというか、
自分こそが正しいという考えの持ち主のようにも見える。

けれど、欲しいものを手に入れるために誰かを蹴落としたり、
他人に迷惑をかけているわけではない。
あくまでも、水面下でしれっとうまくやろうとする要領のよさ。
それがあまり嫌味に映らないのも、
愛の魅力なのかも。

そんな愛だけれど、
たとえを手に入れるために美雪にちょっかいを出したのが、
いつの間にかそっちにも気が向いてしまう描写が。
これが本気の愛なのか、
まだ美雪に利用価値があると踏んでキープしているのかは、
映画ではわかりづらかったかなー。
結果として、バイセクシャルみたいな見え方にはなっているけど、
そこはちょっとモヤる。

舞台としては学園モノにはなるけれど、
よくある青春キラキラ純愛映画ではない。
もっとダークで、もっとシリアスで、
大人でもやらないような恋愛をぶちかます悩めるティーンたち。
淡々と進んでいく話ではあるけど、
キャラが立っているから退屈しない。
ジャイアニズム全開の愛の行動は、
その目に焼きつけてもいいかもしれない。

小説の方がもっとキャラクターの深掘りがされてそうなので、
そっちを読んでから観た方がいい気もするなあ。

映画「ひらいて」公式サイト

原作:綿矢りさ/ 主演:山田杏奈 / 監督:首藤凛が描く、高校生の禁断の三角関係ー。女子高生の屈折したエキセントリックな初恋を描いた愛憎エン...

映画「ひらいて」公式サイト

 

かつてピノッキオを演じたロベルト・ベニーニが今度はジェペットじいさんを演じているのが感慨深い『ほんとうのピノッキオ』

2021年11月08日 00時17分47秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:123/235
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
児童文学
童話
ピノッキオ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・児童文学
 カルロ・コッローディ『ピノッキオの冒険』(1883)

【あらすじ】
貧しい木工職人のジェペットじいさん(ロベルト・ベニーニ)が丸太から作った人形が、
命を吹き込まれたようにしゃべり始めた。
ピノッキオ(フェデリコ・エラピ)と名付けられたやんちゃな人形は、
ジェペットのもとを飛び出して、
森の奥深くへと誘われる。

道中、ターコイズ・ブルーの髪を持つ心優しき要請の言いつけにも、
おしゃべりコオロギの忠告にもまったく耳を貸さない。

なおも命からがらの冒険を繰り広げるピノッキオは、
果たして「人間の子どもになりたい」という願いを叶えられるのだろうか……。

【感想】
日本でも有名なキャラクター、ピノッキオ(ピノキオ)。
僕も小さい頃にディズニー版を何度も観ました。

ただねー、この映画、正直言って、
邦題と予告に詐欺感があったのは否めなかった。。。
キャラクターの見た目が怖いし、
「美しくも残酷な」とかって言うから、
『本当は怖いグリム童話』みたいな内容を想像してた。
「ピノッキオはジェペットじいさんに恨みを抱き、
 最後は彼を殺して操り人形にしてしまいました……」みたいな。

でも、怖いところなんて一切なくて。
もうね、普通の『ピノッキオ』ですよ。
確かに、キャラクターデザインがリアル寄りなので、
そこが気味悪いってのはあるけど、
お話自体はディズニー版と大きくは変わらない。
小さい子が観るにはちょっとショッキングなシーンがあるかなってぐらい。
邦題も、何に対して「ほんとうの」って言ってるのかわからないけど、、、
ディズニー版に対してなのかな。。。

実は、2002年にも実写映画化されているんだけど、
それと内容はほぼ同じ。
まあ、そっちの方がもう少し陽気な世界観で、
ピノッキオがやかましすぎるっていう違いはあるけど。
その2002年版も今作も、
シーンの移り変わりが多いせいか、
淡々と進む印象が強くて、
ディズニー版に慣れていると、
ちょっと退屈に感じてしまうかもしれないかなー。

ちなみに、2002年版でピノッキオを演じたのがロベルト・ベニーニなんだけど、
今作では彼がジェペットじいさんやってるっていうのがね、
ものすごい感慨深くて。
同じ映画で子供と親の両方を演じる人なんて、
そうそういないだろうから。

小さい頃はまったく気にしていなかったけど、
この『ピノッキオ』の話って、
今観るとメチャクチャ教訓のオンパレードなんだよね。
ウソをついたり、
悪いことをしたら、
必ず自分に返ってくるっていうのが。
でも、その後で心を入れ替えて徳を積めば、
必ずいいこともあるっていう、
人生には挽回できるチャンスがあるということも描いている。
子供ができたら見せたい映画かなー。
見せるとしたらディズニー版のアニメおよび実写版だけど。

それにしても、この映画のピノッキオ、
CGじゃなくて特殊メイクらしいんだよね。
だからあんなに生々しい人形だったんだなって思う。
撮影当時8歳の子役が、
3ヶ月の撮影期間中、
毎日4時間かけてそのメイクを施したらしいんだけど、、、
そのプロ意識がすごい。

映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト 11/5(金)公開!

映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト 11/5(金)公開!映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト 11/5(金)公開!アカデミー賞®2部門...

映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト 11/5(金)公開!

 

圧倒的な歌声だけでなく、黒人差別や男性支配からの解放と自由を掲げる姿勢に魂が震えた『リスペクト』

2021年11月06日 22時54分59秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:77/234
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
伝記映画
ヒューマンドラマ
音楽
ソウル・ミュージック
R&B

【元になった出来事や原作・過去作など】
・人物(歌手)
 アレサ・フランクリン(1942~2018)

【あらすじ】
少女の頃から抜群の歌唱力で天才と称され、
煌びやかなショービズ界の華となったアレサ(ジェニファー・ハドソン)。

しかし、その裏に隠されていたのは尊敬する父(フォレスト・ウィテカー)、
愛する夫(マーロン・ウェイアンズ)からの束縛や裏切りだった。

極限まで追い詰められる中、
すべてを捨て、
自分の力で生きていく覚悟を決めたアレサは、
ステージに立ち、
観客にこう語りかける。

「この曲を、不当に扱われているすべての人に贈ります」

自らの心の叫びを込めたアレサの圧倒的な歌声は、
やがて世界を歓喜と興奮で包み込んでいく――。

【感想】
"クイーン・オブ・ソウル"と呼ばれた
アレサ・フランクリンの伝記映画。
僕は彼女の歌、"Think"(1968)しか知らないんだけど(CMで使われてたから)、
いやはや、歌が、、、ヤバい。。。

生前からアレサは自伝映画を作ろうとしており、
演じたジェニファー・ハドソンは本人からのオファーだったよう。
さすが、本人が見込んだだけのことはある。
もうね、歌唱力がハンパないのよ。
とても力強く、
それでいて優しい感じもあって。
「どうやったらあんな歌声が出せるのか」と、
同じ人間とは思えない声量。
これは映画館で聴いた方がいいね。

そんな歌が魅力の映画だけど、
それだけじゃない。
アレサ・フランクリンの波乱万丈な人生も注目ポイント。

本人は決して語りたがらなかったらしいけど、
彼女は12歳と15歳のときに
妊娠・出産を経験しているんだ。
映画でも大きく取り上げられてはいないものの、
わずかながらそれを匂わせるシーンがあった。
テロップで出る年代と、
彼女の年齢と、
子供たちの年齢が、
どうも不自然だなと思ったのはそういう事情があったわけだ。
いずれも夫となる人と結婚はしていないので、
10代で未婚の母になったことになる。

さらに、19歳でマネージャーのテッド(マーロン・ウェイアンズ)と結婚するも、
こいつもなかなかのサイコパスっぷり。
すぐキレて人と揉め事を起こすし、
アレサを公衆の前で殴ることもあるし。
結局、離婚するんだけどね。

また、アレサの両親は、
彼女が幼い頃に別居。
それで父親のもとで育つんだけど、
その父親も厳しい人で、
アレサへの束縛が激しいのよ。
映画では語られていないけど、
厳しい割には不貞行為も多かったようで、
それが原因で妻と別居することになったのだとか。

父親にしろ夫にしろ、
どことなく似ている部分があるなと感じる。
悪い人ではないけれど、
男性優位と思っているというか、
アレサを支配したがる傾向にあって。
当時は、社会的にも女性の地位って今より低かったと思うし、
アレサもだいぶ生きづらさを感じていたんじゃないかな。

それだけじゃない。
昔は黒人差別も今よりもっとひどくて。
アレサの父親ってキング牧師とも仲がよく、
彼女も幼い頃から顔なじみ。
だから、アレサも公民権運動を身近に感じていたと思う。

そんな環境に身を置いていたこともあってか、
アレサの歌の歌詞って、
虐げられてきた立場の人を鼓舞するようなものが映画では多かった。
しかも、自分が体験していることだからこそ、
より一層歌に魂を込められたと思うんだよね。
それが、彼女の類まれなる歌声と相まって、
人々に受け入れられるようになったのかなーって。

現代はコンテンツが多すぎるがゆえに、
そこから抜きんでるのが難しい時代。
一方で、アレサ・フランクリンが歌手を始めた頃は、
性や人種を理由に抜きんでるのが難しい時代。
その中で、辛い幼少期を過ごし、
ヒットに恵まれない時期を経て、
"クイーン・オブ・ソウル"にまで登りつめたのは、
奇跡に近いかも。

それにしても、最近のハリウッド映画は、
実在の歌手の伝記映画が多い。
邦画でもあればいいのにって思うけど、
歌える役者さんがいないのか、
映画にするほど波瀾万丈な人がいないのか。

映画『リスペクト』公式サイト

すべての人生へ喝采を贈る、興奮と感動の音楽エンターテインメント!『リスペクト』11月5日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

映画『リスペクト』公式サイト

 

底なしの世界観!ジャンプ漫画×ナショナルジオグラフィックの壮大さに脳から汁が出た『エターナルズ』

2021年11月05日 12時30分06秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:1/233👑
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【要素】
マーベル
スーパーヒーロー
アクション
ヒューマンドラマ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 ”The Eternals”(1976~)

・映画
 マーベル・シネマティック・ユニバース(2008~)

【あらすじ】
遥かな昔から地球に存在し、
7000年もの間、
密かに人類を見守ってきたエターナルズ。
最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、
アベンジャーズの戦いによって復活したが、
そのときの強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、
地球に迫っていた。
地球滅亡まで残された時間はたった7日。
その脅威に立ち向かうべく、
10人の守護者がついに姿を現す。

タイムリミットが迫る中、
彼らは離れ離れになった仲間たちと再び結集し、
人類を守ることができるのか?
そして、彼らを待ち受ける〈衝撃の事実〉とは……。

【感想】
マーベル・シネマティック・ユニバース第26作目。
この壮大な世界観、もう世界が追いつきません。
過去の作品とほぼ直接的な繋がりがないので、
過去作品を全部観てなくてもある程度は安心かな。
今年9月に観た『シャン・チー』も最高に面白かったから
甲乙つけがたいのだけど、、、
個人的にはこっちを推したい。。。

エターナルズっていうのは、
簡単に言ってしまえば種族みたいなもんの名前。
それは、セレスティアルズっていう天界人によって作り出されたのだけど、
地球に来たのは7000年前。
長い間、人間たちを見守ってきた彼らの
歴史、戦い、人間ドラマは極上のエンターテインメントだった。
秀逸だった点を4つ挙げておきます。

①ジャンプ漫画を彷彿とさせる人智を超えた圧巻のバトルシーン
日本が漫画やアニメで描くような人間離れしたバトルシーンを、
ものすごいクオリティで実写にしてしまうのが本作の魅力。
霊丸、かめはめ波、武器生成、幻術、高速移動、物質変化など、
漫画やアニメに慣れ親しんだ人なら大興奮間違いなし!!
各キャラクターがそれぞれの特殊能力を駆使して敵と乱戦するシーンは、
開いた口が塞がらないほどの迫力!!
「これだよ!こういうのが観たいんだよ!!」
っていうのの1歩も2歩も先を行ってる。
監督のクロエ・ジャオが日本の漫画にハマったこともあってか、
クオリティがハンパない!

②ナショナルジオグラフィックかってぐらいの広大で荘厳な風景の数々
物語の冒頭は紀元前5000年のメソポタミア文明からスタート。
その後も、紀元前575年のバビロン帝国から1945年の広島に至るまで、
あらゆる歴史を彼らは見てきたわけだ。
当然、その時代の地球も存分に再現されている。
特に、古代の大自然や都市の映像なんかは、
その圧倒的な美しさに目を奪われる!
まさにナショナルジオグラフィックに出てきそうな感じでさ。
もはや、タイムマシンに乗って
時間旅行をしたような気分に浸れる。
『ノマドランド』を撮った
クロエ・ジャオ監督ならではの見せ方と言えるかも。

また、先に書いたセレスティアルズっていうのは、
全長320kmの超巨大な存在。
あまりにも大きすぎて理解が追いつかないんだけど、
その神秘さも魅力的だった。

③10人の中に芽生えるそれぞれの思惑
地球に派遣されたエターナルズは10人。
それぞれが特殊能力を備えた超人だけど、
7000年も地球にいればそれぞれ考え方も変わってくる。
与えられた任務に忠実で、
何があってもそれを遂行しようとする者。
地球人に愛を感じ、
彼らを守りたいと思う者。
チーム内恋愛に悩む者。

一見、超人たちが大暴れするアクション映画にも見える。
でも、それはひとつの要素でしかない。
本質としては、
人間のように葛藤と対立を繰り返すヒューマンドラマの側面の方が強い。
誰の行動にも正解はないけれど、
だからこそ各キャラクターに感情移入できる部分はあると思う。

④ダブルサプライズ
サプライズなので言えませんが、
ヤバいです。
最後まで気を抜かずに観てください。
「ああ、こうやって繋がっていくのか」と。

エターナルズ|映画|マーベル公式

2021年11月5日(金)公開映画 『エターナルズ』公式サイト。アベンジャーズを継ぐ、新たな最強チームが遂に始動。アカデミー賞®監督...

マーベル公式

 

ひとりの社長令嬢が命懸けのゲームの中で強くたくましく生き抜く決意を固める『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』

2021年11月04日 21時50分24秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:29/232
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
アニメ
ゲーム
VR
ソードアート・オンライン

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説(ライトノベル)
 川原礫『ソードアート・オンライン』シリーズ(2009~)

・テレビアニメ
 『ソードアート・オンライン』シリーズ(2012~)

【あらすじ】
これは、《閃光》と《黒の剣士》が、
その名で呼ばれる前の物語――。

本来ネットゲームとは無縁に生きる中学3年生の少女だった《結城明日奈》は、
兄の持つフルダイブ型VRマシン《ナーヴギア》を偶然被り、
ソードアート・オンラインの世界に入ってしまう。

ゲームマスターは告げた。
《これはゲームであっても遊びではない。》
ゲームの中での死は、
そのまま現実の死につながっている。

それを聞いた全プレイヤーが混乱し、
ゲーム内は阿鼻叫喚が渦巻いた。
そのうちの1人であったアスナだが、
彼女は世界のルールも分からないまま、
頂の見えない鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略へと踏み出す。

死と隣り合わせの世界を生き抜く中で、
アスナに訪れる運命的な《出会い》。
そして、《別れ》――。

《目の前の現実》に翻弄されるが、
懸命に戦う彼女の前に現れたのは、
孤高の剣士・キリトだった――。

【感想】
小説は未読だけど、
テレビアニメはアインクラッド編だけはとりあえず観ました!
これはソードアート・オンライン(以下、SAO)ファンなら必見の映画だわ。
テレビアニメ第1期のリブートで、
今回の映画では1話~2話を扱っている。
ちょうど、アインクラッド第1層のボス、
イルファング・ザ・コボルド・ロードを倒すまで。

大まかな話は同じだけど、
主人公がキリトではなく、
アスナになっているのが特徴。
全編にわたって彼女の視点で話が進んでいくのだ。
アスナがどうやってSAOの世界に入ったのか。
どんな経緯でキリトと出会ったのか。
テレビアニメ版とはちょっと異なる展開も見せつつ、
アスナのキャラクターの深掘りが見てとれる。
令嬢として恵まれた環境で育ち、
最初は突如訪れた不運に泣き叫んでいた彼女が、
この世界を戦い抜く決意をするところは感慨深かったなあ。

そんなアスナの心境変化のきっかけとなったのが、
今回の新キャラクターであるミト。
もともとアスナと友達で、
2人いっしょに冒険をしていたのだが、
あることをきっかけに別々の道を歩むことに。
彼女たちの関係性はぜひ注目したいところ。

この映画で一番の見どころは、
やっぱりボス戦でしょう!
キリトもアスナもスピードタイプの剣士ではあるけど、
2人の絶妙なスイッチでボスを翻弄していくシーンを、
映画館の大きなスクリーンで観れたのは感動だよ。
しかも、IMAXで観たからね!
テレビで観るのとは桁違いの迫力。
しかも、音もすごくて。
攻撃がヒットするたびに音の衝撃が
体全体にズゥーンって響くのが最高に気持ちよかった!

キャラクターデザインも現代っぽく新しくなって、
映像も音もパワーアップ!
それでいて、これまでとは別の視点で楽しめるSAOときたら、
もう観るしかないよ。
来年、続編もやるので今から楽しみ。

それにしても、ミトの最初のアバター、
顔が『Fate/Zero』のキャスターにそっくりだったな(笑)

『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』オフィシャルサイト

『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』絶賛公開中! 全世界シリーズ累計2,600万部発行の大人気小説『ソ...

 

スプラッター全開!ハロウィンの夜に現れる不死身の殺人鬼を描く、40年以上続く老舗ホラー映画『ハロウィン KILLS』

2021年11月03日 23時04分29秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:102/231
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ホラー
スプラッター
ハロウィン

【元になった出来事や原作・過去作など】
・映画
 『ハロウィン』シリーズ(1978~)

【あらすじ】
40年におよぶローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)と
“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズ(ジェームズ・ジュード・コートニー)の
因縁の戦いに決着がついたかに見えた。
しかし、悪夢は終わっていなかった。

ローリーの仕掛けたバーニングトラップから生還したマイケルは、
過去を背負う街ハドンフィールドでさらなる凶行を重ねる。
恐怖に立ち向かい、
ブギーマンとの戦いを選ぶ者、
その恐怖に耐えかね暴徒と化す者。

果たして、ハドンフィールドの運命は!?
そして、物語はついにブギーマンの正体に迫り、
新たな展開を迎える―!!

【感想】
『ハロウィン』シリーズ第12作目。
気持ちいいぐらいのスプラッター映画。

このシリーズはハリウッドのホラー映画史を語る上では外せない作品。
なぜなら、1978年に第1作目が公開されたことで、
後の『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』などの
スラッシャー映画(殺人鬼が集団を追いかけて刃物で殺す映画)に影響を与えたから。

その『ハロウィン』も『サイコ』(1960)の影響を受けているらしいので、
こうやって恐怖のDNAは受け継がれていくんだなと思う。
ちなみに、『サイコ』でヒロインを演じたジャネット・リーと、
『ハロウィン』シリーズでヒロインを演じているジェイミー・リー・カーティスは
親子っていう不思議な縁もある。

さて、このシリーズはいろいろ枝分かれしていて複雑なのだけど、
1978年の第1作目の続編として、
2018年から新たな三部作が公開。
今回はその二作目に当たる。

シリーズの概要を簡単に言ってしまうと、
ローリーがサイコパスな殺人鬼であるマイケル・マイヤーズから逃げ惑う話。
ただ、マイケルから逃げまくっていたのは、『1』および昔のシリーズ。
2018年の前作からはマイケルと真っ向勝負を挑む話に変わってる。
『ターミネーター』シリーズのサラ・コナーのように、
ローリーが戦う女戦士。
なので、ホラーとは言いつつも、
そこまで怖くはない。

このシリーズは、
今回の三部作に入ってからけっこう見せ方が変わった。
これまでは「乳は出るけど血は出ない」っていうケースが多くて。
ホラーあるあるの恐怖とエロが混在しているっていう(笑)
ところが、前作からその逆になり、
「乳は出ないけど血は出る」というスプラッター寄りになった。

マイケルの殺し方がとにかく残忍で。
人を刺すときも、壁に頭を打ちつけるときも、
最低5回は繰り返す。
完全に息の根を止めにきているのが伝わってきてリアルだ。

ストーリーの内容的なところで言えば、
今回は本当に恐ろしいことが何なのかを掘り下げていたのが印象的。
確かにマイケルの存在自体は、
この40年、ハドンフィールドの人々を震え上がらせていた。
でも、本当に怖かったのは、
彼そのものよりも、
彼が植え付けた恐怖心。
それが集団心理となって、
人々がパニックを起こし、
何の罪もない人を追い詰めるシーンは、
改めてホラーやスプラッターとは異なる"恐怖"を提示していたと思う。

あと、今作で見どころなのは、
1978年のキャストが一部続投していること。
ヒロインのジェイミー・リー・カーティスはもちろんのこと、
当時子役だったカイル・リチャーズや
看護師を演じたナンシー・スティーヴンス、
保安官役のチャールズ・サイファーズまで。
カイル・リチャーズって、
ヒルトン姉妹の叔母なんだけど、
1作目のときはまだ8歳だったからね。
今やすっかりアラフィフ。
ハリウッド映画の長く続くシリーズで、
同じキャストを起用するのは好き。

撃たれても焼かれても死なないマイケル・マイヤーズ。
今作も衝撃のラストを迎えつつ、
来年公開予定の続編にして三部作の完結編で、
どう物語を締めくくるのか、今から楽しみ。

映画『ハロウィン KILLS』オフィシャルサイト

2021年10月29日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開|全米No.1大ヒットシリーズ!世界が震撼した究極の《...

映画『ハロウィン KILLS』オフィシャルサイト