スギゴケのなかま
苔庭のコケに使われて有名なのはスギゴケのなかま。
スギゴケのなかま、蘚類に所属する種は、約 13000 種が記録されている(Magill 2010)という。
そのなかで、猪名川流域でみられるスギゴケのなかまを紹介する。(「生きている猪名川」旧版による)
コダマゴケ
樹の幹にかたまって生育しています。よくまわりを見ると、他の種類のコケも見られます。乾燥に耐える性質を持ったコケたちです。
ハイゴケ
日当たりのよい地上にマット状になります。芝地の間にもよく見られます。枕の詰め物に利用されたこともあり、属名は「睡眠」を意味しています。
ヒジキゴケ
日当たりのよい乾いた岩上によく見られます。コケはじめじめしたところを好むようにおもいますが、耐乾性を持った種類も多くあります。
ギンゴケ
日当たりのよい地上や岩上、コンクリート上に塊になって生えています。南極にも生えており、日本でも
海岸近くから富士山の頂上まで見られます。
コゴメゴケ
乾いた樹幹に見られる代表種、小さな種類ですが、よく胞子体をつけていて名の由来になっているようです。
ケギボウシゴケ
川原の岩上に見られる代表種、炎天下でも日陰になることのない様なところにもかたまって大きな群落を作っています。生命力の強さを感じます。
ギボウシゴケ
前種と同様に日当たりのよい岩上に生育しています。胞子体をつけていると赤色のさく歯が目立つところから「擬宝珠」ゴケと名付けられました。
ハリガネゴケ
湿った岩上や土の上に群生しているがヘチマゴケの仲間と区別がむずかしいものです。セン類の見分け方で重要なのは胞子体の形やそのつくりが決め手でルーペなどで細かい観察が必要です。
ホソバオキナゴケ
園芸店などでサツキゴケ・ヤマゴケとして盆栽の植え込みように売られていることもあります。木の根元などに塊になって生えています。
コスギゴケ
教科書などによく紹介されるスギゴケです。この仲間には熱帯に40-50cmにもなるドーソニアゴケがあります。
タマゴケ
湿った土の上や土手にかたまってクッション状に生えています。(さく)が球形になるのですが、早春の若い胞子体では未成長で紡錘形をしています。
ヒロハツヤゴケ
岩上や樹幹につやのあるマット状に広がっています。セン類にはつやのある葉を持つものも多く、匍匐しているか直立しているかも観察しなければなりません。
サワゴケ
名のとおり沢沿いの水の滴り落ちているところに群生します。タマゴケの仲間で胞子体の先(さく)が球形をしています。
カヤゴケの1種
渓流沿いに生える種類はいくつかありますが、似た種類が多く正確な名を調べるには胞子体を見ることです。ゲンジホタルの産卵場所にはこのようなコケむした土手が利用されます。
オオミズゴケ
湿地を代表する植物の1つです。北半球の冷涼な湿地ではその保水力が洪水を防ぐ役割をしていると言われています