野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

土喰って虫喰って口渋い ツバメ

2023-04-12 | フィールドガイド--野鳥--

ツバメ

「土喰って虫喰って口渋い(つちくって むしくって くちしぶい)」

ツバメのさえずりを、人間の言葉に当てはめると「「土喰って虫喰って口渋い(つちくって むしくって くちしぶい)」という言い方をします。(聞きなし)

ウグイスを「ホーホケキョ」というのと同じです。

ツバメはオスメス同色ですが、見分け方は尾が長いのがオスです。

 

ツバメが春になるとあらわれるのはどうして?

 

ツバメは 3月から5月頃 に空をすいすい飛び回るのを見かけるようになります。

ツバメは冬の間、フィリピンや台湾、マレー半島やオーストラリアにいて、春になると、日本にやって来る渡り鳥です。

どうして、春になると日本にやってくる理由は、エサと産卵のためです。

夏の熱帯地域では日本などの温帯のほうがツバメにとってはトンボ、ハエ、蚊、蝶、蛾、またはこれらの幼虫などのエサを捕まえやすいのです。特に産卵をして子育てをはじめるとたくさんのえさが必要です。

ツバメは蛇やほかの鳥、獣などの外敵が少ない場所を産卵場所に選びます。

襲われないために、産卵の場所を人が住んでいる近くに巣を作ることにしています。

材料は泥とわら(枯草など)。そして、自分の唾液を混ぜてつくります。

同じ場所にやってきて巣をつくるので、去年いたツバメがもどってきたをいわれますが、大阪市立自然史博物館の報告ではその確率は大変低いとか。

ツバメが巣を作る家は幸運が訪れるといいます。昔から日本ではツバメを大事に見守ってきました。

 

子どもたちと観察するとき 「おなかは、何色」「背中の色は」「顔の色は」と具体的聞いてあげると集中して観察するようになります。

 

ツバメが巣を作り、ひなを育てる姿を見かけると親鳥がどんな虫をヒナにあげているか、観察してみましょう。食べこぼしたものを見ると蚊やアブ、ハチ、ガ、チョウ、トンボなどの様々な飛ぶ虫を食べることがわかります。

卵をあたため始めてから約2週間で、ヒナがかえります。さらに3週間ほどで、ヒナの羽が生えそろい、巣立ちを迎えます。およそ一か月で巣立ちを観察できるので、子どもたちが継続して観察することができます。(それが短いか長いかは子ども次第ですが)

ツバメは春から夏にかけて、2~3回子育てをします。見逃しても、来年ではなくすぐやり直すことができるで、その点もよいところがあります。

 

阪神間ではツバメは人家より電車の駅の構内で巣を作り、ひなを育てる様子が見られます。軒下のある家が少なったせいでしょう。カラスが巣をおそうので、地下の改札の付近に巣を作りカラスが近寄らない場所を探して作っています。

 

環境の視点から、ツバメは昆虫をえさにしているため、自然界のバランスをとる役目もになっています。環境が悪くなると産む卵の数も少なるそうです。そんなところも、子育ての様子をかんさつしたときに考えさせるとよいかもしれません。


黄砂がやってきた

2023-04-12 | photo

黄砂がやってきた

 

黄砂は韓国でも「今年最悪」警戒レベルを格上げ2023/04/12/12:11(テレ朝ニュース)

―視界が黄色 休校を呼びかけー

最悪レベル 中国の「黄砂」日本に飛来 東京で観測なら 4月として16年ぶり2023/01/12/9:34(テレ朝ニュース)

と黄砂に関するニュースが飛び交っています。

 

ここ兵庫県三田市でも午前中に降った雨が上がり、午後5時ごろは天気が回復。しかし、青空より、遠くぼけた様子が観測されました。

予想図でも三田市もすっぽりはいっているので、このカスミは黄砂です。

今回の黄砂はゴビ砂漠からの土壌・鉱物粒子が風に乗ってやってきました。

海洋へも降下して、海洋表層のプランクトンへのミネラル分の供給をおこない、プランクトンが増えて海洋の生き物にも影響を与えている良い面もあるのですが

 

健康被害が心配されています

アレルギーや呼吸器は当然ですが循環器への影響や脳梗塞にも関係があるとか

 

ゴビ砂漠は恐竜化石発見でも有名な場所です。

その砂漠の砂に乗ってくる微生物がいることを金沢大学の牧輝弥准教授らの国際共同研究グループが報告しています。(大学ジャーナルhttps://univ-journal.jp/27390/

「砂漠からの砂粒子は工業・農業地帯の人為的粒子と混ざり、微生物は運搬拡散されながら刻々と変化することも明らかとなった。」と述べている。

 

スギ花粉の10分の1の大きさなので、マスクも通り抜けてしまう。

 

ABCニュースでは花粉対策をまとめている

「黄砂対策は「なるべく吸い込まない」。のが一番

  • マスクをする(できればPM2.5対策のもの)
  • メガネやゴーグルをする
  • 帽子をかぶる
  • 長袖で肌を出さない(ナイロンなどつるつる素材だとよい)

と案内がありました。

帰宅後は、「手や顔を洗う」「すぐに着替えてシャワー-」といった対策をするのがいいでしょう。」

と言っている。


モンシロチョウとスジグロシロチョウ このごろ事情

2023-04-12 | 自然観察会

モンシロチョウとスジグロシロチョウのこのごろの事情

 

多くの学校では入学式が終わり、いよいよ学習に力がはいります。

小学校3年理科では、5月に昆虫の体について学習します。

多くの教科書で、昆虫の体で取り上げる昆虫はモンシロチョウ。

それで、苦労するのが5月になって、モンシロチョウの幼虫青虫を集めること。

今の間に、花壇にキャベツの苗を3株ほど植えておくと、モンシロチョウが産卵にやってくるので、青虫の観察にまにあいます。

 

昆虫と植物の関係を勉強するのに、野外での観察は必須ですが、最近はタブレットで画像を見て終わりにすることができるので、虫の嫌いな先生にとっては便利なツールになっていまいました。

さて、

 

図鑑などでは「モンシロチョウは人家近くに多いのに対し、スジグロシロチョウは山地に多い傾向がある。」とあります。

モンシロチョウとスジグロシロチョウの最近の事情をお話しします。

 

モンシロチョウは日当たりのよい場所を好み、キャベツなどのアブラナ科の植物(とくに野菜にたまごを産むので農家にとってはこまりもの)に産卵する。

スジグロシロチョウは林の中のような、やや暗い涼しい場所を好み、タネツケバナやイヌガラシなどのアブラナ科の植物に産卵する。モンシロチョウに比べてアブラナ科であればよいというので選ぶ植物は多いのが特徴です。これが、図鑑などに書いてある事柄です。

ところが、都市化とともに、キャベツ畑が少なくなり、畑が住宅となり、モンシロチョウの産卵場所が少なくなってきました。それで、モンシロチョウが着目したのが川原に生えているセイヨウカラシナです。

モンシロチョウの幼虫青虫を探しに行くなら、むかしはキャベツ畑(農薬ですぐにいなくなってしまいますが)でしたが、川原のセイヨウカラシナの葉を探しに行くと見つかります。

スジグロシロチョウはというと、ビルの谷間にある緑地を生活の場所に移しました。

都会にふつうに見られるアブラナ科の植物に産卵するので、モンシロチョウよりは都会では目立つようになってきたのが、このごろの事情です。