猪名川中下流の魚たち3(「生きている猪名川改訂版」より
猪名川下流は平野部、都市部を流れる都市河川です。近年、時間経過とともに猪名川下流では陸の部分と川の流れの部分が固定化していまい、小石の川原が少なくなってしまいました。そのため、水域と陸の部分が増水のときには浸水の状態になるように工事がおこなわれました。
本来の自然の持つ力を活用して環境の多様性を期待する礫河原再生事業がそれです。
この工事でこれまで河川敷で大きくなったヤナギなどの木が伐採され、川原の環境が一変し、陸上の生き物に大きな変化がありました。
河原の環境と水辺の環境が今後どのように変化するのかは、継続観察していく必要があります。
また、猪名川(直轄管理区間)には8基の井堰・床固があります。大井井堰(藻川)、三ヶ井井堰、高木井堰、久代北台井堰、池田床固には魚道が設置されていませんでしたが、平成26年にすべての井堰に魚道がもうけられました。
猪名川は、都市河川のなかでも魚類の種類が多い河川となっています。
カワヒガイ(コイ科)
全長約13cm。流れのおだやかな砂や小石混じりの川底に住んでいます。水生昆虫や、石に付いた藻などを食べます。タナゴ類と同様、産卵には二枚貝を利用しますが、二枚貝のエラではなく外套膜(がいとうまく)のすき間に卵を産みつけます。
シマドジョウ(ドジョウ科)
全長約10cm。口ひげが3対あり、体の横に黒褐色の斑点が並んでいるのが特徴です。ドジョウよりも流れのあるところを好み、砂礫の底にすんでいます。雑食性。
ドンコ(ハゼ科)
全長約15cm。流れのゆるやかな場所の水草や石の陰に隠れています。水生昆虫やエビ類、小魚など、生きている小動物をその大きな口でひとのみにしてしまいます。