野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

猪名川上中流の魚(生きている猪名川改訂版より)

2023-04-20 | 兵庫の自然

猪名川上流中流の魚たち(「生きている猪名川改訂版」より

 山間部から盆地にでると猪名川の流れが緩やかになります。周りの山々からの土砂がたい積して谷底平野ができます。谷底平野は、猪名川では数か所あり、渓谷でつながっています。

アカザ(ギギ科)

水のきれいな上流中流域に生息します。体長約10cm。一見ナマズのこどものようにみえますが、口ひげが4対8本あるのと、体の色が淡い褐色をしていることで見分けがつきます。夏でも水温が低い場所をこのみます。昼間は市の下に身を潜め、夜になるとえさを求めて石の間をぬうように泳ぎます。肉食で、おもに水生昆虫などをたべます。背びれと胸鰭にとげがあり、不用意に触れると刺されることがあります。

兵庫県ランク:地域限定貴重種;環境省ランク:VU

 

 

ギギ(ギギ科)

体長15cm。河川の中流域に生息しています。石の下や水草などが茂っているところに潜み、小魚、エビや底生動物などを食べます。卵は石の下や石垣の中に産み付けます。胸びれのとげと基底部の骨をすり合わせてギーギーと音をだします。

流域では、「ギギタ」ともよんでいます。

 

 

カワヨシノボリ

体長5cm。一生を川で過ごし、河川の中流域を中心に平瀬や淵の周辺に生息しています。胸鰭の条数が15~17本で、ほかのヨシノボリより少ないのが特徴です。おもに石についた、藻や水生昆虫などをたべます。産卵は砂に埋まった石などの下面にメスが卵を産み、オスが卵を守ります。

 

 


猪名川上流の魚(生きている猪名川改訂版より)

2023-04-20 | 兵庫の自然

猪名川上流の魚(生きている猪名川改訂版より)

 

「河川水辺の国勢調査」は河川を環境という観点からとらえた定期的、 継続的、統一的な河川に関する基礎情報の収集整備のための調査のことです。

全国109の一級水系の直轄区間の河川(河川版)でおこなっている。

その調査で猪名川の魚類を一覧にしたもの。

その調査は定点を基本にして継続的に行われているので経年変化を記録をみることができます。

定点観測ですので、すべての生き物が網羅さているわけではありませんが、不足を補う意味でも当会では、流域のすみずみまで調査して「生きている猪名川」にまとめました。

「生きている猪名川」は増補版、改訂版と3冊を出版しました。

 

今回はその3冊から魚類の紹介です。

 

猪名川の上流域にすむ魚たち

上流域は淵と瀬が連続するだけの単純な構造で、冷たい水を好む魚がすんでいます。

タカハヤ(コイ科)

全長約10cm。アブラハヤとよく似ていますが、尾びれの付け根がやや太い。ことと体側の縦すじが不明瞭であることで見分けがつきます。雑食性で石についた藻や水生昆虫、落ちてきた昆虫などを食べます。

 

アマゴ(サケ科)

全長約20cm。関西の渓流を代表する魚です。同じく「渓流の女王」と呼ばれるヤマメとよく似ていますが、体表にあざやかな朱点があることで区別できます。流れてくる水生昆虫や、落ちてくる昆虫などを食べています。

 

ナガレホトケドジョウ(ドジョウ科)

全長約5cm。渓流の流れのゆるやかな浅瀬にすんでいます。日中は石の下にひそんでいますが、石を取り除くと驚いて出てきます。小さな水生昆虫などを食べています。