序
小さな唇の隙間がひらいて、
音にならない嗚咽が形に成る。
俺はそれを読みとる。
YO SHI HA RU
確かにお前は
俺を認識してる。
空洞の向こうににげこんだまま、
お前の瞳が俺を映すことがないというのに、
このときだけ。
俺とお前がひとつのものになったときだけ、
お前は俺を知る。
お前を空洞の中に追い込んだ野蛮な獣と
同じ物で
お前とつながれているというのに、
お前は、それでも俺の名を呼ぶ。
一瞬の閃きの中、
お前は俺を認識する。
それを愛と呼ぶか、
渇括とよぶか。
あるいは、紅蓮の炎か。
一瞬の閃きはイナ妻のように
お前をつらぬく。
狂気の狭間、
肉欲だけが瞳子を
俺のものにする術になる。
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