ワイダーの地下水道の中でも、象徴的にくりかえされるのが、
ドイツ軍が毒ガスをまいた。
と、いう言葉なのだが、
これは、地下水道、むしろ、地下下水道の水底からわきあがる瘴気・・例えば、メタンガスとか?
この毒素とドイツ兵の襲撃による、毒ガス散布が、映画を見ている側にも、どっちが、事実かわからなくなる。
閉じ込められた世界というものは、ただでさえ、人の精神を侵す。
死の恐怖と閉鎖世界のなか、瘴気の毒素なのか、ドイツ軍の毒ガスなのか、
認識することもできず、パニックになっているとも解釈できる。
それをどちらとも、取れる表現にすることで、精神的パニックを描いてるのだと思うから
この手法にのみこまれ、後半で、精神崩壊をおこす人間がでてくるわけだけど、
そこへの、暗黙的了解を観客にしきつめてしまう。
見事な演出構成だと思う。
こういうパターンの最たるところが、実は四谷怪談ではないかと思う。
状況は違うけれど、怨念が実体化していく。
通常に考えれば、ありえない。そんなスーパーマン?みたいに
自由自在に怨念をわが身(お岩)があやつれるものか。
ところが、幽霊になって、伊ヱ衛門を取り殺してもおかしくないと
観客に暗黙的了解をしきつめてしまうわけだ。
こういう部分の、作り方というのは
別の言い方をすれば、因果応報的作り方でもあるといえるとおもうのだが、
ワイダの作品が、やけに日本的感覚にあっているとかんじたのも
このせいだろう。
そして、ワイダをしらべれば、日本への傾倒がみうけられ、
ワイダに日本をおしえたのは、アールーヌーボーではないか?
アール・ヌーボーといえば、(同じようにドイツに苦しめられたチェコ)ということもあり、
ロートレックより、アルフォンス・ミュシャがうかんだ。
そして、以下のぶぶん・・・。
1939年3月、ナチスドイツによってチェコスロヴァキア共和国は解体された。プラハに入城したドイツ軍によりミュシャは逮捕された。「ミュシャの絵画は、国民の愛国心を刺激するものである」という理由からだった。ナチスはミュシャを厳しく尋問し、またそれは78歳の老体には耐えられないものであった。その後ミュシャは釈放されたが、4ヶ月後に体調を崩し、祖国の解放を知らないまま生涯を閉じた。遺体はヴィシェフラット民族墓地に埋葬された(現在はヤンとラファエルのクベリーク親子と同じ墓石に埋葬されている)。
同じく、スメタナもあった。
ドイツ軍侵略といえば、もうひとつの物語。
C・モルガンの「人間のしるし」がうかびあがってもくるし、
アンネ・フランクも頭をかすめる。
話がどんどん、とびすさっていくので、元にもどして、
今度はスメタナを調べてくる。
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