団地の記憶 長谷 聰+照井 啓太著
工場の次は団地だ。
これも出たのは去年だから、ネタとしては古いが。
工場の写真は、生産機能飲みに特化して
合理的・抽象的に構成された直線的な非人間性に
なにやら突き放された、M的な美感をそそられるのだが
直線的で合理的という点では団地にも共通するものがある。
コンクリートと鉄で構築されたアパート群は
その素材だけ考えれば、工場とさして変わらない。
大きく異なるのは、「そこに人が住んでいる」という生活感であり
それはベランダに干されている布団が最もよく象徴している。
通の方はどういうのか知らないが
自分にとって団地をを団地たらしめているのは
まさにこの布団ではないか、と思うくらいだ。
さらに言えば、外観からは分からないけれど
コンクリートには明らかに似合わない、内装の畳と襖。
最近のSFでは近未来の世界でも新しいものと古いものが
混在するのが表現方法として定番になっている。
デジタルとアナログ、西洋と東洋と言ってもいいのかもしれないが
相反するテクスチュアが混在する空間は
まさにこの団地の空間にほかならないと思う。
さらに大げさな言い方をすれば
デザイナーが苦心して仕上げたシンメトリーな幾何学模様を
この布団がものの見事に崩してしまっているわけで
それは画一的なテクノロジーに反する
人間のささやかな抵抗と言えなくもない。
団地の写真を見てなんとなく懐かしかったり、ちょっと安心するのは
そうした抵抗を感じるからなのかもしれない。
『団地の記憶』長谷 聰+照井 啓太著 洋泉社 本体1,600円+税
<追記>
団地といわれてどうしても思い出してしまうのが
大友克洋の『童夢』。
ストーリーの面白さもとにかく
緻密なタッチで描かれた団地の情景は
その後の漫画の歴史を変えたと言われるほどのインパクトがあった。
団地好きにははずせない1冊ではある。
工場の次は団地だ。
これも出たのは去年だから、ネタとしては古いが。
工場の写真は、生産機能飲みに特化して
合理的・抽象的に構成された直線的な非人間性に
なにやら突き放された、M的な美感をそそられるのだが
直線的で合理的という点では団地にも共通するものがある。
コンクリートと鉄で構築されたアパート群は
その素材だけ考えれば、工場とさして変わらない。
大きく異なるのは、「そこに人が住んでいる」という生活感であり
それはベランダに干されている布団が最もよく象徴している。
通の方はどういうのか知らないが
自分にとって団地をを団地たらしめているのは
まさにこの布団ではないか、と思うくらいだ。
さらに言えば、外観からは分からないけれど
コンクリートには明らかに似合わない、内装の畳と襖。
最近のSFでは近未来の世界でも新しいものと古いものが
混在するのが表現方法として定番になっている。
デジタルとアナログ、西洋と東洋と言ってもいいのかもしれないが
相反するテクスチュアが混在する空間は
まさにこの団地の空間にほかならないと思う。
さらに大げさな言い方をすれば
デザイナーが苦心して仕上げたシンメトリーな幾何学模様を
この布団がものの見事に崩してしまっているわけで
それは画一的なテクノロジーに反する
人間のささやかな抵抗と言えなくもない。
団地の写真を見てなんとなく懐かしかったり、ちょっと安心するのは
そうした抵抗を感じるからなのかもしれない。
『団地の記憶』長谷 聰+照井 啓太著 洋泉社 本体1,600円+税
<追記>
団地といわれてどうしても思い出してしまうのが
大友克洋の『童夢』。
ストーリーの面白さもとにかく
緻密なタッチで描かれた団地の情景は
その後の漫画の歴史を変えたと言われるほどのインパクトがあった。
団地好きにははずせない1冊ではある。
アンティークや、ジャンクっぽい暮らしも流れとしてはありますよね。
でも、そこで快適に暮らせるとは限らない。
そのスタイルを実現しつつ、最新の技術で快適に暮らせる再生がいいですよね。
「再生」というのはこれからますます
大事になってくるキーワードですね。
快適であってこそ
「リノベーション」といえるのでしょう。