イン・ザ・プール (文春文庫) | |
奥田 英朗 | |
文藝春秋 |
表紙の写真を見て、長く暗い小説だと思い込んでいた。
大違い。
神経科の医師である伊良部一郎が全ての話に登場する短編集。
この伊良部一郎というキャラクターは、男が欲しいもの全てを持っている、端正な容姿以外は。
あまり欲しくないものも少なからず持っているが。
現代人は、思ったことをズケズケを言う伊良部の性格を羨ましがるだろう。
総合病院の息子であるという境遇も羨ましがるだろう。
愛車のポルシェも羨ましがるだろう。
そして、決定的に醜い外見であることに仲間意識を持つだろう。
だからこのキャラクターが愛されるのだと思う。
こんな友達がいればいいなと思う。
シリーズ第2弾の空中ブランコもぜひ読んでみたい。