「ギャ-!!ギャ-!!ギャ-!!」
その断末魔の叫びは、通勤バスの中に響いていました。
なんだなんだとその方向に目をやると、
年の頃は50代後半、主婦らしきその女性は席を立ち、何かと格闘しています。
「いやっ!いやっ!」
全身の力を振り絞り、追い払おうとしているのは・・・・・・・・。
「セミ」
「ぷっ」
申し訳ないが笑ってしまった。
セミは確かに怖い。
死んでると思わせての、突然の飛び立ちと鳴き声、
いつ口に入るかもわからないあの軌道には、誰でもびっくりします。
しかし
セミなんて鷲づかみにして、握りつぶしてしまいそうな風貌のご婦人が、
生娘のように悲鳴をあげている姿は、やはり笑える。
以前、肩にカマキリを乗せたご婦人を救ったことはありましたが、
今回、僕は傍観。
「私にお任せ下さい」とばかりに追いかけて、そのスピ-ドに着いていけず、
挙げ句の果てに、他の乗客の頭でも叩こうものなら面白すぎてしまいます。
結局、そのご婦人はさっきのハイト-ンヴォイスが嘘のような形相で、
「ぐわっし」とハンカチで確保しておりました。
恐らく、あの腕っ節からしてセミ君は絶命したことでしょう。
都会のセミは、暑いアスファルトの上で最期を迎えるはかないもの。
そんな中、彼は華々しく散ったのではないでしょうか。
その断末魔の叫びは、通勤バスの中に響いていました。
なんだなんだとその方向に目をやると、
年の頃は50代後半、主婦らしきその女性は席を立ち、何かと格闘しています。
「いやっ!いやっ!」
全身の力を振り絞り、追い払おうとしているのは・・・・・・・・。
「セミ」
「ぷっ」
申し訳ないが笑ってしまった。
セミは確かに怖い。
死んでると思わせての、突然の飛び立ちと鳴き声、
いつ口に入るかもわからないあの軌道には、誰でもびっくりします。
しかし
セミなんて鷲づかみにして、握りつぶしてしまいそうな風貌のご婦人が、
生娘のように悲鳴をあげている姿は、やはり笑える。
以前、肩にカマキリを乗せたご婦人を救ったことはありましたが、
今回、僕は傍観。
「私にお任せ下さい」とばかりに追いかけて、そのスピ-ドに着いていけず、
挙げ句の果てに、他の乗客の頭でも叩こうものなら面白すぎてしまいます。
結局、そのご婦人はさっきのハイト-ンヴォイスが嘘のような形相で、
「ぐわっし」とハンカチで確保しておりました。
恐らく、あの腕っ節からしてセミ君は絶命したことでしょう。
都会のセミは、暑いアスファルトの上で最期を迎えるはかないもの。
そんな中、彼は華々しく散ったのではないでしょうか。