第40回スプリンターズステークスは、今年から国際G1レースに昇格するとともに、グローバルスプリントチャレンジ(GSC)の第6戦にも指定され、例年にない、海外強力遠征馬が集結した。
1番人気は現在GSC総合トップで、GSCでは第1戦(豪G1・ライトニングS)及び第3戦(英G2・キングスタンドS)を勝利している豪州の13・テイクオーバーターゲットで、4.2倍。
2番人気はサマースプリントシリーズ初代王者で、GSC第5戦のG2・セントウルSを勝っている5・シーイズトウショウで6.3倍、同じく6.3倍の3番人気に昨年の同レース覇者・香港の超特急、14・サイレントウイットネス。
5番人気にGSC第4戦(英G1・ゴールデンジュビリーS)並びにジュライカップと、G1を連覇している英国の3・レザークが支持され7.0倍。6番人気は今年の高松宮記念優勝馬、7・オレハマッテルゼで、7.4倍。7番人気に16・チアフルスマイルが支持され9.6倍となり、10倍以下の単勝オッズ支持馬が7頭と、明らかに混戦ムード漂う一戦となった。
スタート前、4・メイショウボーラーがゲート入りを嫌う。結局福永騎手が一旦下馬して、先に馬をゲートに入れ、ゲートに入ってから福永騎手が跨るという形となった。
スタートはサイレントウイットネスが好発馬。これに15・ステキシンスケクン、テイクオーバーターゲットも反応し、先頭はこの3頭。その後ろにメイショウと9・ベンハウンがつけ、レザーク、オレハマッテルゼ、シーイズトウショウがほぼ中団位置で並ぶ。追い込みにかける2・タガノバスティーユは最後方グループ。
3~4角にかけ、コーナーワークを利してテイクが先頭。先頭の3頭の中からは先にステキが後退。サイレントは食らいつくが、大外を回ってオレハとシーイズの日本2騎が一気に前団を伺う。
しかし直線に入ってテイクはさらに加速。結局大外から突っ込んできた2騎は坂の手前で力尽きる。一方、最内を通ってメイショウ、さらにサイレントもしぶとい競馬を見せるも、テイクは他を圧倒。結局2着に2馬身半の差をつけ「圧勝」。GSC初代王者をほぼ確定づける勝利となった。
2着には経済コースを終始通ったメイショウボーラーが粘り切り、最後の坂でバテた感のあるサイレントを交わして、タガノバスティーユが3着に入った。
ステキシンスケクン、サイレントウイットネスという、屈指のスタートダッシュの馬に対して果敢にテンからおっつけて挑み、3~4角では2頭をよりも前に出て、最後はスピードで突き放した感のあるテイクオーバーターゲット。
直線コースだった英国での2つのG1戦はイマイチ伸び切れなかったところがあったみたいだが、今回は2回コーナーを回るコースであることも幸いし、また、自身も実にうまいコーナーワークぶりを発揮して圧勝した。
1999年生まれながら、デビューは何と2004年になってからという遅さであったが、ミスタープロスペクターの血を引く、仏ダービー馬のセルティックスイングの仔という毛並みの良さも手伝って、デビューから何と7戦全勝、それも圧勝続きの状態を維持したまま豪G1のサリンジャーSを制し、一時伸び悩みを見せるも昨年暮れから3連勝を果たし、陣営は今年から創設されたグローバルスプリントチャレンジに意欲を示した。
そして早くも第一戦の豪G1・ライトニングSを制覇。3月の豪G1・ニューマーケットHを制したあと英国に遠征し、GSC2戦並びにジュライカップと意欲的にレースに参加。
さらにGSC戦線で有利に駒を進めるべく、前走は中京のセントウルSに出走して2着。そして今回、GSC第6戦を迎えた。
それにしても、韋駄天ぶりで知られている上記の2頭に果敢に挑んでいった、J・フォード騎手の度胸ぶりもさることながら、よどみなく流れていく中山の1200Mのコースも熟知しているかのような走り。直線の坂での勝負となるといささか厳しい面も考えられるため、その前に決着をつけた感じだ。
まさに強いの一言。このあと、GSCは12月の香港スプリントが最終戦だが、ひょっとするとそれにも出走してくるかも。さらに香港スプリントは今年から直線レースではなくなり、中山のコースとほぼ同じような形で1200M戦となる。
さすればさらに強さを発揮しそうな感じ。セン馬に加え、まだ使い減りも考えられないことから、来年もまた、来日して日本のファンに度肝を抜くような走りを見せてくれるかもしれない。
メイショウボーラーはかなりスタート前に入れ込んでいたが、それがレースとなっていい方向に向かったのか、テイクとは逆に行きたがる面を我慢して、経済コースを終始通って2着を確保した。最近は不振が続いていたが、これでスランプ脱出のきっかけになるかも。
タガノバスティーユは道中動きを見て、狭い内を突っ込んで最後はサイレントを交わして3着。よく頑張ったといえる。サイレントはやはり馬体重の重め残りが最後に響いた様子。
レザークにとってみれば少々忙しい競馬となり、見せ場を作れず7着どまり。日本勢では人気となっていたオレハとシーイズの2頭は逆に前を捕らえにかかるも直線に入って伸びきれず、前勢の速さに屈した感じだ。