負け続け路線を歩んできた高知競馬もついにその「終焉」のときが。
スポニチアネックスより
走っても走っても勝てない競走馬として人気を集めた高知競馬(高知市)のハルウララ(牝10歳)が正式に引退することが3日、分かった。
地方競馬全国協会によると、10月1日付の現役続行の意思確認に対し、関係者から連絡がなく、11日までに確認できなければ競走馬としての登録が抹消されるという。宗石大調教師(55)は「馬主と話し合い、引退を決めた」と話している。
ハルウララは1998年11月のデビュー以来、113戦全敗。負けてもひた向きに走り続ける姿が人々の心を打ち「負け組の星」とも呼ばれた。中央競馬の武豊騎手が騎乗した2004年3月のレースでは1日の馬券販売が高知競馬で過去最高の約8億7000万円を記録した。
ハルウララは04年8月のレースを最後に栃木県内の牧場で休養し、事実上の引退状態だった。宗石調教師は「もう一度高知競馬で走らせてあげたかった。残念だ」と話した。
[ 2006年10月03日 12:16 速報記事 ] |
思えばあれは3年前だったか、90連敗手前になって高知新聞の夕刊に、
「ウララ、一回ぐらいは勝とうよ」
という記事が掲載されたことにより、一躍時の馬となったハルウララ。
ハルウララという名前に加え、その名前自体が、いかにも競走馬に向いていない、「弱い」イメージを与えたこと、さらに単勝馬券を買えば、
「絶対に当たらない」
という一種「お守り」代わりの存在にもなり、とりわけ「同世代」のオバサン族には滅法受けた。ハルウララフィーバー中には、普段競馬場になんか来ないオバサンがちょくちょく訪れる光景も見られたことは言うまでもない話。
とりわけ2年前の3月、武豊騎手が統一グレード競走、黒船賞に騎乗しにきた際、その日は高知競馬の他のレースも騎乗できるとあって、日本ナンバーワンジョッキーが、日本最弱?馬に騎乗するという、実に奇妙な取り合わせとなり、なんと黒船賞の売上げをはるかに上回る1レース売上げを記録したばかりか、ひいては瀕死状態の高知競馬がしばらく黒字に転じ、関係者の間では、
「ウララ基金」
とまで言われたほど。さらに高知競馬では、荒尾にいた、これまた当時は未勝利だった妹のミツイシフラワーを移籍させたり、はたまた弟まで出走させたレースも組むなど、「負け続け路線」をひた歩んだ。しかし、そんな「邪道路線」が長く続くわけがない。
「おうちへ帰ろうクラブ」の代表かなにか知らない、安西美穂子という人が馬主になってから急にハルウララの運命は数奇なものに。
とりわけ安西氏と関係が深い、那須の牧場に「かくまわれて」、宗石調教師が何度も帰厩要請を出したにもかかわらず無視。おまけに「新高崎競馬」のイベントやらに無理やり連れ出されたりだとか、はたまた行方知れずの状況になったことも。
今回はNARが競走馬として今後継続する意志がなければ、11日には登録抹消するという要請を受けて半ば強制引退させられたもの。
ま、「やっと」引退したか、と今思うと感じるわけだが、一回も勝てない馬がこれほど話題となったばかりか、高知競馬の黒字転換に寄与しようとは、はっきりいって夢にも思わなかった。そういった意味からすると、「救世主」でもあったんだが、今後どうするんだろう?ただ日々生活を送らせるだけでも、馬って相当にカネがかかるというのに。
ま、私は関係のない話だから、勝手にやってもらったら結構だが。
ちなみにハルウララの「主戦」だった古川文貴騎手も、10月1日を最後に騎手生活にピリオドを打った。
しかし高知競馬、負け続けた馬もいれば、ただいま、「勝ち続ける」馬もいる。1日行われた尾花特別において、アラブのエスケープハッチが、NARが1962年に設立されて以来の記録としては、平地競走馬最多勝利となる47勝目をマーク。
http://www.oddspark.com/cs/Satellite?gACBackFlg=0&gACDispDate=20061001&gRaceNo=10&gRacetrackCd=31&gSelAreaNm=%E9%AB%98%E7%9F%A5&pagename=oddspark_h%2FPage%2FOP_AC0003
このレース、エスケープは初手は前に大きく離された後方グループを形成していたが、向正面手前で手が動きはじめ、3~4角では一気に前団を飲み込むかのような勢い。直線に入って、 この日を最後に騎手生活を引退する古川騎乗のファルコンパンチをG前余裕で捕らえ勝利した。
ちなみに最大のライバルと目されたマルチジャガーの取り消しもエスケープ新記録に拍車をかけたといってもいいだろう。
だがこのエスケープハッチ、まだ6歳だし、おまけにアラブは今、風前の灯状況のため、エスケープに取って代わるような馬はまず見当たらない状況。となると、さらに勝利数を伸ばすことは必至であり、とりあえずは年内?50勝が目標となるんだろうか。
しかしながら高知競馬そのものは本当にもう後がない状況。「ウララ基金」もとっくに底をつき、今年度第一四半期もまた赤字。第二四半期でも赤字だと自動的に廃止の検討に入るところであったが、それだけは土俵際で食い止められた模様。
Yahoo 地方公営ギャンブル経営より
◇“チョッピリ”ですが黒字に--福山との交流レース奏功
県競馬対策室は27日、高知競馬(高知市長浜)の第2四半期(7月1日~9月24日)の収支結果を発表した。福山競馬(広島県)の騎手との交流レースの売り上げが好調だったことなどから863万円の黒字となった。四半期では1年ぶりの黒字で、取り崩しを続けてきた剰余金は1714万円まで回復。県は剰余金が底を突けば、廃止する方針で、存廃決定は次期四半期以降に持ち越された。
収支報告書によると、自場開催の売り上げは10億2555万円。交流レースの売り上げが寄与し、6月に下方修正した計画を2400万円上回った。入場料や他場開催の協力金を加えた実収入は12億6100万円。一方、従業員賃金と賞金を10%削減するなど支出を抑えた結果、黒字を計上した。
同競馬は第1四半期に3826万円の赤字となっており、上半期の累積赤字は2962万円。第3四半期(9月30日~来年1月3日)の収支見込みは、当初計画の85%下方修正により、757万円の赤字と厳しい状況は続く。
賞金と賃金の10%削減は継続するが、第3四半期での債務超過の可能性があり、同対策室は「他場開催の増加や福山競馬との騎手交流レースの継続で売り上げ増を狙い、存続の危機を乗り越えたい」と話している。【米山淳】
しかし第三四半期には債務超過になる恐れが。
この状態になると、貸借対照表の資本の部はマイナスとなり、資産を全て売却しても負債解消は不可能となることから、企業社会だと、担保不十分の状況につき、まず銀行が取引停止処分を下すのが通例。ひいては事実上の倒産に追い込まれるのは必至の情勢となる。
高知競馬の場合、一度税金を投入して延命が図られている手前、もう二度とそんなことはできない。できない以上、「潰れる」しかないというわけ。
もし潰れることになったら、エスケープハッチは最多勝利数更新どころか、走れる競馬場だってなくなる。種牡馬としても、もうアラブである以上必要ないし、一体どうなるんだろう?というのは、実はエスケープハッチに「いえること」。
対してあの「負け続け老婆」は強制引退とはいえ、本当にタイミングよく?競馬から足を洗うことができたみたい。あとは安西何某が何とかやってくれるんだろ。
というわけで、勝ち続ける馬が一体その運命がどうなるのかが知れず、一度も勝ってない馬はどうやら「悠々自適」の余生?
日本の競馬って、「変わっている」ね。