第134回天皇賞(秋)は29日、秋晴れの東京競馬場で行われた。
単勝1番人気は、前走の京都大賞典を勝っている7・スイープトウショウで3.9倍、2番人気は当初から菊花賞ではなく、ここを目標に据えていた3歳馬の15・アドマイヤムーンで6.0倍、3番人気は悲願のJRA G1制覇を目指す8・コスモバルクで6.2倍、4番人気は前走の毎日王冠で4・ダンスインザムードに競り勝った14・ダイワメジャーで7.0倍、5番人気はダンスインザムードで7.1倍と10倍以下のオッズは以上5頭。
9・インティライミがハナを切り、ダイワメジャーがすかさず2番手。ダンスインザムードが3番手に入り、コスモバルクが5番手の位置。スイープトウショウは6~7番手の位置で、その後ろに10・スウィフトカレントが続き、さらにその後ろにアドマイヤムーンが続くが、17頭ほぼ縦長の展開。
また、インティライミが積極的に飛ばしたこともあって1000のラップは58秒台と速い流れ。展開に加えこの速い流れでは後方待機の馬は苦しい展開。
直線に入って横一線の展開となる中で、坂の頂上よりダイワがスパート。これをスウィフトが追い、さらにムーン、バルク、スイープも追撃にかかるが、終始「番手」からレースを進めたダイワメジャーがスウィフトを半馬身差退けて2年前の皐月賞以来のG1制覇。2着スウィフト、3着ムーン、4着バルクとなり、スイープは5着、ダンスは6着となった。
12・トリリオンカットが放馬して発走除外となったり、はたまた2・カンパニーが一旦はゲートに収まりながらもまた出てしまって外枠発走となるなど、波乱含みの展開となった今年の秋の天皇賞。
そんなムードの中、2年前、10番人気の人気薄ながらも1番人気のコスモバルクの追撃を抑えて皐月賞を見事快勝したダイワメジャーが待望のG1 2勝目を挙げた。
一部にはこの皐月賞の勝利を「フロック」と称す人もいる中で、皐月賞後もコンスタントには活躍。ただ昨年のマイルチャンピオンシップで、九分九厘勝利を確信しながらもハットトリックの怒涛の末脚に屈したという惜しいレースがある一方で、G2、G3もなかなか勝ちきれないレースが続いたりするなど、勝ち味に遅い点も懸念された馬だった。
マイルとミドルを両方こなせるというタイプは日本ではこの馬以外には思ったほどおらず、その点においては貴重な存在でもあるわけなんだが、如何せん、直線で切れる脚がないことが弱点であった。
しかし今回の天皇賞は初手からインティライミの「番手」を取れたことに加え、最初の1000Mのが流れも速く、しかも縦長の展開に終始したことで、ダイワメジャー向きの流れになった。
そしてあとは抜け出しのタイミングだけの問題だったが、それもうまくいって見事な勝利。
このあとは昨年悔しい思いをしたマイルCS、さらにはひょっとすると香港国際レースへの参戦も予想されるところだが、待望のG1 2勝目を飾ったことでもあるし、今年限りで引退する可能性もありそうだ。欧州ではマイルとミドルを両方こなせるという馬が結構いるが、日本では今のところこのダイワメジャーぐらい。今後の活躍も期待されるところである。
但し、スタート直後でダイワが外から内へ切れ込もうとしたときに3・サクラメガワンダーの内田博幸騎手が幾分煽ったシーンがあった。だが、「到達順位通り確定」のアナウンス。
最近、G1レースにおいて、馬券対象馬が降着になるケースというのはほとんどないが、NHKではこの問題のシーンを映し出しており、そのあたりの状況を加味せねばならないのではないかという疑問な点も残った。
スウィフトカレントも懸命に追ったが、惜しくも届かずの準優勝。しかしこの馬なりに最大限の力を発揮したと思われるし、よく頑張ったといえるのではないか。サマー2000シリーズ初代王者の名に恥じぬレースぶりだったと思う。
アドマイヤムーンもソコソコ頑張ったと思うが、この馬も最後の切れ味がもう一つか。コスモバルクも今回は十分折り合いをつけてのレースだったものの、前半の流れがあまりにも速すぎた。それはスイープ、ダンスの牝馬勢にとっては、なおのこと応えたともいえよう。