先週、大企業同士の提携・合併に絡んだ2つの大きなニュースがあった。
アサヒ 資本提携打診固める サッポロ 独立維持で検討へ
サッポロビールの持ち株会社、サッポロホールディングスが米国系投資ファンドから買収提案を受けた問題で、アサヒビールは17日、サッポロに資本・業務提携を打診する方針を固めた。ファンドが保有する株式をアサヒが買い取り、サッポロもアサヒ株を保有する案が有力。サッポロは独立性の維持を基本に、提案を検討する見通しだ。
関係者によると、アサヒは、サッポロに買収提案を持ちかけているスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドからファンドが保有する全サッポロ株17・52%を買い取り、サッポロも同程度のアサヒ株を保有、共同配送などで連携する案を提示するもようだ。サッポロはこの提案を検討し、自社の独立を維持できると判断すれば、受け入れる可能性がある。
サッポロは買収防衛策を発動させ、新株予約権の発行でスティールの保有率を引き下げて防衛するのが基本方針。3月末の株主総会では現行制度を廃止し、新たな制度の導入を目指すが、否決されれば、防衛策を持たない“丸裸”となるなど、先行きにはリスクを抱える。スティールを撃退できる成算と、アサヒと組みながら独立を維持できる可能性を、ファイナンシャルアドバイザーのみずほ証券とともに吟味しながら、慎重に検討するとみられる。
アサヒは経営統合ではサッポロが受け入れる可能性が小さいとして、資本・業務提携を提案する方針だが、荻田伍社長は17日朝、記者団に「サッポロ株を買う気はない。相乗効果がないし、独占禁止法の問題もある」と改めて否定しており、情勢はなお流動的な部分を残している。
日経新聞の17日付朝刊によると、サッポロビールはいわゆる4大ビール会社のなかでは売上げ規模も他の3社(キリン、アサヒ、サントリー)と比較して小さいが、06年12月期の営業利益は前年対比16%減で、こちらも4大ビール会社の中では「一人負け」。
また、ビールの販売数量もキリン、アサヒと比較すると3分の1程度。こちらも06年12月の数字を見ると前年対比10%減。
そんな事情があるからなのか、「投資会社」の標的された格好。
そこでアサヒが提携話をもちかけ、「ハゲタカ?」ファンドの敵対的買収を防止しようというわけだな。
また、老舗の百貨店同士が経営統合するという話。
百貨店統合 大丸と松坂屋、年度内にも合意へ
2月17日17時9分配信 毎日新聞
大手百貨店の大丸(本社・大阪市)と松坂屋ホールディングス(同・名古屋市)が経営統合に向けた交渉の最終段階に入っていることが17日、明らかになった。早ければ3月にも合意に達する見込み。両社の05年度連結売上高を単純に合計すると1兆1664億円に達し、高島屋(1兆311億円)を上回って業界トップとなる。
域内の人口減少と消費低迷などで売り上げの減少傾向が続いており、統合による規模拡大で競争力を高め、生き残りを図る。 関係者によると、両社は、村上ファンドが松坂屋株を買い進めた06年春以前から話し合いが行われていたが、村上ファンドの登場で協議はいったん中断。松坂屋が06年末までに自社株を買い戻したことから協議を再開した。商品の共同仕入れや物流の効率化などが課題になっている。
両社は現在、経営統合の形態について協議を進めているが、拠点が関西と名古屋地区に分かれて店舗が重複するエリアが少なく、統合しても競合の恐れが小さいことから交渉はスムーズに進む可能性が高い。両社店舗のブランドは地域に根づいていることから、統合後も店舗名は残す見込み。企業規模は大丸が松坂屋を上回るが、対等形式の統合を試みるとみられる。
大丸の経常利益は5期連続で過去最高を更新するなど、好業績を維持。売上高1兆円、営業利益500億円をグループの目標に掲げている。一方の松坂屋は04年3月にくずは店(大阪府枚方市)、同5月に大阪店(大阪市中央区)を閉鎖するなど、経営の効率化を進めている。【脇田顕辞】
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大丸は「当社として何も決定したものはなく、(情報)開示すべき事実はない」、松坂屋も「何ら決定する事実はない」とするコメントをそれぞれ発表した。
■大丸 本社・大阪市。1717(享保2)年創業。業界4位。関西を中心に東京(1)や福岡などで16店舗を展開。06年2月期連結決算は売上高8225億円、経常利益301億円。従業員約3600人。東証1部上場。
■松坂屋ホールディングス 本社・名古屋市。1611(慶長16)年創業。業界8位。東海地方を中心に9店舗(東京2、神奈川1)を展開。従業員は約3000人。06年9月に持ち株会社化した。06年2月期連結決算は売上高3439億円。経常利益76億円。東証1部上場。
百貨店業界は9年連続で売上げ高減。98年には9兆2千億円ほどあった売上げは、06年には7兆7千億円程度にまで落ち込んでいる。また、97年には147兆円あった日本の小売市場は04年には133兆円にまで減少。個人消費低迷が長引く今日、とりわけ商品の差別化が難しくなってきた百貨店は業界再編が避けられない業種だと前々から言われてきた。
そんな中、店舗が比較的被らない、大丸と松阪屋の経営統合の話が浮上してきた。実現すれば百貨店では売上げ高ナンバーワンとなる。
業界再編。それは業界そのものとしては決して潰すわけにはいかないが、現状のままでは将来の存続が危うくなるから行われるもの。ひいては他のライバル企業にも影響を与えることにも繋がる。
公営競技界もまた、これ以上売上げの伸長は期待できないところまでとっくに追い詰められており、少なくとも、今のままで行けば当然、百貨店業界よりも先に「くたばる」ことは必至。
公営で行っているから安心なんていう時代ではとっくになくなっているし、また、公営競技がなくなって困る人間というのは、中央競馬だったら大勢いるかもしれないが、他競技では果たしてどれだけいるのか、ということを考えると・・・
既に競輪とオートレースの「経営統合」は参与会議で決議の上、閣議決定され、あとは法案をいつ通すかの段階に来ている。地方競馬は現在のNARを解体し共同体として再生の時代を迎えようとしている。
有名ファミリーの息がいまだかかっている競艇と、農水省管轄の特殊法人としては「稼ぎ頭」であるJRAはそのままの形でとりあえずは生き残ることになりそうだが、果たしてどこまで「安泰」でいられるか。
とにかく、公営競技は、「消費の中」でも一番後回しにされる「賭け」を売りにするものであり、個人消費が多少上向き加減となったとしても、それを鵜呑みにして業績回復するとはとてもいえない業態である。
したがってゆくゆくはJRAをとりあえずは「別格」の扱いとしながらも、他の4団体は統合するくらいの覚悟を持たねば、ひょっとすると生き残っていけないかもしれない。