公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

感動の1日

2007-02-26 02:15:42 | 競馬

25日行われた東西の重賞レースはそれぞれにドラマがあった。

まずは1着同着となった阪急杯

既に調教師転身が決まり、これが騎手として最後の騎乗となった本田優が6・ニシノデューを思い切ってハナに行かせ、同着優勝となる1・プリサイスマシーンと、今月一杯で調教師の定年を迎える湯浅三郎厩舎の5・エイシンドーバーが並んで中団より前の位置。1番人気の7・キンシャサノキセキは中団、2番人気の3・スズカフェニックスはキンシャサよりも3~4頭後ろの位置。

ニシノが快調に飛ばすが、直線に入って好位に取り付いたエイシンがニシノを直線半ばで捕らえにかかって先頭を伺うところ、逆にじっくり溜めていたプリサイスが中から漸進し、加えて、外からキンシャサ、さらに後方からスズカが追ってくるという激しい攻防。

最後はエイシン、プリサイス、スズカの3頭のきわどい写真判定となり、長い判定の結果、エイシン、プリサイスは同着。スズカは惜しくもハナ差及ばずの3着だった。

それにしても、この大激戦のきっかけを作ったのは何といっても本田だろう。結果的には6着だったとはいえ、600~1200Mまで11秒台でハロンを刻んで、よどみのないペースを作り出し、最後に本当にきわどい勝負を作り上げた「立役者」となった。

本田は24日のアーリントンカップでも、ローレルゲレイロに騎乗し、トーセンキャプテンに最後は伸びきられたとはいえ、 最後まで勝負に執着する根性をみせつけてくれた。しかもこの一戦はお互いが「相互接触」するという格闘技のようなレースとなり、こちらも阪急杯に負けないほどの大熱戦レースとあいまった。

阪急杯に戻るが、エイシンドーバーの湯浅三郎調教師は、実はJRAでは99年の新潟ジャンプステークスのエイシンワンサイド以来の重賞勝ちで、平地となると、93年の桜花賞トライアル・阪神4歳牝馬特別のヤマヒサローレル以来何と14年ぶりの重賞勝ち。

地方交流重賞9勝を誇る、「砂の女王」レマーズガールを管理する湯浅調教師なだけに、この事実は意外な気がするが、JRAでは最後の重賞挑戦で見事勝利を果たした。しかし本当の意味で、最後の重賞挑戦となるのは28日に行われる川崎・エンプレス杯。レマーズガールが10回目の地方交流重賞制覇に挑むが、果たしてそれも成就なるか注目されるところ。

また、同着優勝のプリサイスマシーンは、昨年10月のスワンステークスにおいてもあっと言わせる「大金星」を演じたが、8歳になった今年も鋭い末脚を駆使し、「若いモンにはまだまだ負けん!」といわんばかりの勝利を収めた。今後も短距離重賞戦線においては要注意。

そして同じく8歳馬のローエングリンが、いかにも「老獪」といった形で見事4年ぶりに中山記念制覇を逃げ切りで果たした。

これで重賞制覇は4回目だがいずれもG2(中山記念、マイラーズカップをいずれも2回ずつ)。

この馬は常に不運がつきまとっており、出走すれば勝ち負けできていたかもしれない日本ダービーは除外され、G1制覇にも幾度となく手が届きながらも果たせず終い。

何とかこれだけ実績のある馬なだけに、陣営はG1制覇を果たすべく現役を続けてさせているが、最近は着順掲示板こそキープするも、そろそろ限界か、といわれていた矢先の勝利。

ちなみに伊藤正徳調教師は2着のエアシェイディも含めてワンツーを決めたが、実はこのレースでJRA通算400勝を達成した。ちなみに伊藤調教師は騎手時代、福永洋一、岡部幸雄、柴田政人らと同期。

そして、05年の安田記念以来、ローエンがG1制覇に最も近づいていた頃にこの馬の主戦であった後藤浩輝に鞍上が戻り、レース後のフジテレビのインタビューで号泣するシーンが見られた。

「この馬のことは常に気にかけていた。今回、この馬に騎乗でき、しかも勝ててうれしい。」

と後藤はまるでこの日を待っていたかのような感涙のシーンを見せた。

確かに4年前、中山記念とマイラーズカップを連覇し、安田記念は堂々1番人気に推され、しかも残り100ではほぼ勝利を手中にしかけながらも3着。

さらにその後のフランス遠征では、ムーランドロンシャン賞で2着に入り、本当にG1制覇にまであと一歩と迫りながらも、帰国緒戦の秋の天皇賞で13着と大敗し、ここで後藤は降ろされた。また、再び騎乗した05年の安田記念でも17着大敗。

自分が乗ってG1を勝てなかったという思いが後藤にはよぎってきたのだろう。

それにしても、この日の競馬は別にG1開催日でもないのに、感動のシーン連発という「忙しい日」となった。

こんな日がしばらく続けば、恐らく競馬人気も回復基調が見えることだろうに。

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東西王座戦回顧

2007-02-26 01:12:26 | 大レース回顧集

今年から東西統一に加え、3日間の短期決戦となったG2・東西王座戦。

宇都宮競輪場で、10レースで西王座、11レースで東王座の各決勝が行われた。

まず西から。

本命を背負った、1・小嶋敬二が前を取り、小嶋-9・濱口高彰、その後ろは併走状態となり、内に8・村上義弘-3・前田拓也、外に5・山田裕仁-7・山口富生、以下、2・小野俊之-4・加倉正義-6・紫原政文と続く。

残りあと2周すぎに山田以下のラインが3番手を取りきるが、村上はすぐには引かず、ジャン前で漸く8番手に引く。そしてジャンが鳴るや一気に発進。

村上の動きに対し、山田と小嶋が残りあと1周でにらみ合いのような形に一瞬なったが、小嶋が山田が踏みに行かないと見るや1センターで捲りに出て、バックでは村上を捲りきる。小嶋の番手は、小嶋が踏み出した際に濱口を外からどかした小野が取りきり、最後は小嶋と小野のマッチレースとなるも小嶋が押し切って完全優勝。2着小野、3着村上。

今シリーズの小嶋は初日が上がり14.1秒。バック7番手から逃げる稲垣裕之を一蹴。2日目は同じく14.5秒で、山口富生-山口幸二の山口兄弟を従えて逃げ切った。

調子に乗ったときの小嶋のパワーというのか、破壊力を止められる選手は確かにいない。今シリーズは西勢の先行選手がいささか手薄だったとはいえ、決勝でも村上の思い切った逃げに対して、バックであっさり捲り切ってしまい、しかも長い宇都宮の直線にもかかわらず、小野にぴったりとマークされながらも差させなかったというのはまさに強いの一言。今シリーズの小嶋は、恐らく負ける気がしなかったであろう。

小野も漸く自身本来の動きに戻りつつあるか。村上も小嶋に捲られながらも3着に粘ったあたり、徐々に復調の兆しが見えてきている。

続いて東。

2・渡邉晴智が前を取って、6・白戸淳太郎を前に入れ、白戸-渡邉、5・佐藤友和が続いてその後ろは併走。内に1・有坂直樹-7・佐藤慎太郎、外に3・神山雄一郎-9・飯嶋則之、4・岡部芳幸-8・斎藤登志信。

残りあと2周を通過して有坂以下のラインが一旦引いて神山以下のラインが佐藤の後ろに入るも、隊列の変化はジャンが鳴ってもそこだけ。しかし当然のことながら有坂が再度上昇して、神山と競りになる。神山は数回、有坂に接触プレーを演じる。

こちらも1センター付近から佐藤が捲る。佐藤は捲り切ったが、番手争いで一応、神山が有坂に競り勝つも佐藤の動きにについていけず、佐藤が独走状態。前にいた渡邉が佐藤の動きを見て漸く踏み出しにかかり、佐藤を追うも佐藤は全く寄せ付けず優勝。2着渡邉、3着に岡部が入った。

前週の奈良記念で、今回と同じく有坂を従えた佐藤は有坂がついていけないほどの豪快な捲りを8番手から放って、四段構えの布陣を敷いた近畿勢を一蹴。

記念初優勝を飾った佐藤はその勢いを維持し、22で勝ち上がった決勝でも、後位の競りをうまく利用しながら、最後は豪快に捲り切って圧勝ともいえる内容で2周連続のG開催優勝を果たした。

昨年のサマーナイト決勝2着以降、ヤンググランプリでも2着と、G2制覇にあと一歩の状況まで来てついに成就。次はもちろんG1制覇。ひょっとするとこの勢いだと、山崎芳仁に続く88期G1制覇の期待も膨らむところだろう。

渡邉は恐らく早めに白戸を見限っても佐藤のパワーにはかなわなかったかもしれないが、終わってみれば悔やまれる2着か。しかし渡邉は記念でも決勝2着をしばらく続けているが、「またしても」2着といった印象。

ところで、「新生・東西王座戦」は大盛況のうちに3日間が終了。

3日間の売上げ114億5813万2300円は目標の100億を何と15億近く上回るばかりか、最終日の入場者数も何と8014人と、スタンドは満員状態。

ちなみに4日間制で行われた昨年8月のふるさとダービー富山の111億2979万2400円をも上回り、存在意義そのものが問われているG2開催の今後について一石を投じた大会となった。

今シリーズは2日間を予選とし、しかも初日の着順に応じて2日目のカードが決まるという、これまでにないシステムを導入したが、それが功を奏したのかもしれない。また、タテの勝負、つまり力の勝負が堪能できたという点においては、少なくとも、記念も含めて、G開催の4日間制至上主義そのものの流れを覆す様相になっていくのかもしれない。

選手の間でも今シリーズはいい意味でのリラックス感が全体的に漂っていたというし、前にも述べたが、これで記念開催も3日間開催化を実現すれば、もっと質の高いレースが展開されるのではないかという気がする。

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