“闇バイト”で詐欺などの罪 被告に有罪判決 東京地裁立川支部 NHK 2025年3月11日 16時00分
闇バイトに応募し、強盗事件の被害品のクレジットカードを不正に使用した罪などに問われた23歳の被告に対し、東京地方裁判所立川支部は、「組織的犯罪に安易に加担した責任は重い」などとして懲役2年6か月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
名古屋市の無職、安田勇介 被告(23)は、去年10月、埼玉県所沢市の住宅で起きた強盗事件に関わり、被害品のクレジットカードを不正に使用したり、コインロッカーに保管したりしたとして詐欺などの罪に問われました。
これまでの裁判で、被告は起訴された内容を認め「投資詐欺に引っ掛かって背負った借金を返すために闇バイトに応募した。報酬30万円と高額だったのであやしいとは思っていた」となどと話していました。
11日の判決で東京地方裁判所立川支部の田中優奈 裁判官は「借金返済のためSNSで犯罪と認識しながら組織的犯罪に安易に加担し、犯罪収益を隠匿した責任は重い」と指摘しました。
そのうえで「財産的被害は軽微で、母親が監督することを約束している」として懲役2年6か月と罰金20万円、執行猶予5年を言い渡しました。
投資詐欺から“闇バイト”に 経緯は
被告は、判決前にNHKの記者の面会に3回にわたって応じました。
今回、闇バイトによる強盗事件に関わったのは、資産運用を持ちかけられ、投資詐欺に遭ったことがきっかけでした。
専門学校生だった4年前の2021年、SNSで知り合った人物から「資産運用をやってみないか」と誘われたといいます。
口座を作って金を預ければ、運用で増やしてもらえると説明され、タブレットで資産がどれくらい増えるのか資料を見せられました。
被告は内容を十分に理解しないまま、契約書にサイン。
すると、「紹介料と口座開設費用で70万円が必要」だとして言われるがまま消費者金融で借りて渡すと、連絡が途絶えたということです。
投資詐欺の被害に遭ったことについて、被告は、「当時は20歳になったばかりの世間知らずで疑いの目を持たず、投資でお金が増えるんだと思ってしまった。投資の話がおかしくないか事前に調べるべきだった。こんな大ごとになるとは思ってもいなかった」と振り返りました。
その後、ヤミ金にも手を出し、借金が100万円を超えていた去年9月。
SNSで高額バイトを検索し、報酬30万円の「人を車で送迎する仕事」に応募しました。
闇バイトに応募した理由については、「消費者金融に返済するため、ヤミ金から金を借りて悪循環に陥り、職場にまで電話が行くようになってしまったので、『借金をなんとかしないと』という思いだった。親にも借金をして迷惑をかけていたので、それ以上は相談できなかった。詐欺の受け子やかけ子は犯罪だと知っていたが、人を運ぶ仕事は犯罪にならないと思ってしまった。ニュースを見ていなかったので強盗事件が起きていることも知らなかった」と話しました。
そのうえで、「投資に甘い話はないんだと思った。自分と同じような目に遭わないためにも、ちゃんとした求人から仕事を探してほしい」と話していました。
出廷した被告の母親「全然わからなかった」
裁判に証人として出廷した被告の母親は、検察から息子が闇バイトの求人を見ていたことを知っていたかと問われると、「全然わからなかった。今後は息子のスマートフォンを使わないときには家族のいるところに置くようにしたり、時々チェックしたりするようにしたい。どう防げばよいのかわからないので、ほかに方法があれば教えてほしい」と述べ、家族が見守ることの難しさがうかがえました。
また弁護士から被告が借金を抱えていたことを知っていたかと尋ねられると、「借金返済を催促する手紙や電話が家に来ていたが、本人に『大丈夫なの?』と聞いたらいつも『大丈夫』と言っていたので、そのままにしていた。もっと向き合って話を聞いてあげればよかったと後悔している」と涙ぐみながら話しました。
被告はその様子を下を向いて目を赤くして聞いていて、時折、鼻をすする音が聞こえました。
母親は取材に対し、「息子が事件に関わっているとは知らず、家を出てから数日間連絡が取れず、心配でたまりませんでした。逮捕されたというニュースで強盗事件に関わっていたことを初めて知って驚きました」と話していました。
判決後の被告「自分への怒りやあきれが大きい」
判決後、被告はNHKの取材に応じ「投資詐欺に遭ったことをきっかけにお金に困って犯罪に関わってしまったが、だましてきた人への怒りよりは、自分への怒りやあきれが大きいです。知らない人のカードを使った時点でやばいとは思いましたが、逮捕されてから強盗事件に関わったと知り、後悔と被害者に申し訳ない気持ちでいっぱいです。やってしまったことを受け止め事件のことを忘れずに生きていきたい」と話しました。
闇バイトについては、「闇バイトは最初に言われたことと違うことをやらされるし、次から次へと犯罪を指示される怖さがあります。自分の情報を渡してしまうことで、指示に従わざるをえない心理状態になり、簡単に犯罪に手を染めてしまう。働いても賃金が少ないとか、生活に困っている若い人も多いと思いますが、闇バイトに関わると犯罪者になり信頼を失うので、一人で解決しようとせず周りの家族や友人に相談してほしい」と自身の経験をもとに話していました。
闇バイトに応募し、強盗事件の被害品のクレジットカードを不正に使用した罪などに問われた23歳の被告に対し、東京地方裁判所立川支部は、「組織的犯罪に安易に加担した責任は重い」などとして懲役2年6か月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
名古屋市の無職、安田勇介 被告(23)は、去年10月、埼玉県所沢市の住宅で起きた強盗事件に関わり、被害品のクレジットカードを不正に使用したり、コインロッカーに保管したりしたとして詐欺などの罪に問われました。
これまでの裁判で、被告は起訴された内容を認め「投資詐欺に引っ掛かって背負った借金を返すために闇バイトに応募した。報酬30万円と高額だったのであやしいとは思っていた」となどと話していました。
11日の判決で東京地方裁判所立川支部の田中優奈 裁判官は「借金返済のためSNSで犯罪と認識しながら組織的犯罪に安易に加担し、犯罪収益を隠匿した責任は重い」と指摘しました。
そのうえで「財産的被害は軽微で、母親が監督することを約束している」として懲役2年6か月と罰金20万円、執行猶予5年を言い渡しました。
投資詐欺から“闇バイト”に 経緯は
被告は、判決前にNHKの記者の面会に3回にわたって応じました。
今回、闇バイトによる強盗事件に関わったのは、資産運用を持ちかけられ、投資詐欺に遭ったことがきっかけでした。
専門学校生だった4年前の2021年、SNSで知り合った人物から「資産運用をやってみないか」と誘われたといいます。
口座を作って金を預ければ、運用で増やしてもらえると説明され、タブレットで資産がどれくらい増えるのか資料を見せられました。
被告は内容を十分に理解しないまま、契約書にサイン。
すると、「紹介料と口座開設費用で70万円が必要」だとして言われるがまま消費者金融で借りて渡すと、連絡が途絶えたということです。
投資詐欺の被害に遭ったことについて、被告は、「当時は20歳になったばかりの世間知らずで疑いの目を持たず、投資でお金が増えるんだと思ってしまった。投資の話がおかしくないか事前に調べるべきだった。こんな大ごとになるとは思ってもいなかった」と振り返りました。
その後、ヤミ金にも手を出し、借金が100万円を超えていた去年9月。
SNSで高額バイトを検索し、報酬30万円の「人を車で送迎する仕事」に応募しました。
闇バイトに応募した理由については、「消費者金融に返済するため、ヤミ金から金を借りて悪循環に陥り、職場にまで電話が行くようになってしまったので、『借金をなんとかしないと』という思いだった。親にも借金をして迷惑をかけていたので、それ以上は相談できなかった。詐欺の受け子やかけ子は犯罪だと知っていたが、人を運ぶ仕事は犯罪にならないと思ってしまった。ニュースを見ていなかったので強盗事件が起きていることも知らなかった」と話しました。
そのうえで、「投資に甘い話はないんだと思った。自分と同じような目に遭わないためにも、ちゃんとした求人から仕事を探してほしい」と話していました。
出廷した被告の母親「全然わからなかった」
裁判に証人として出廷した被告の母親は、検察から息子が闇バイトの求人を見ていたことを知っていたかと問われると、「全然わからなかった。今後は息子のスマートフォンを使わないときには家族のいるところに置くようにしたり、時々チェックしたりするようにしたい。どう防げばよいのかわからないので、ほかに方法があれば教えてほしい」と述べ、家族が見守ることの難しさがうかがえました。
また弁護士から被告が借金を抱えていたことを知っていたかと尋ねられると、「借金返済を催促する手紙や電話が家に来ていたが、本人に『大丈夫なの?』と聞いたらいつも『大丈夫』と言っていたので、そのままにしていた。もっと向き合って話を聞いてあげればよかったと後悔している」と涙ぐみながら話しました。
被告はその様子を下を向いて目を赤くして聞いていて、時折、鼻をすする音が聞こえました。
母親は取材に対し、「息子が事件に関わっているとは知らず、家を出てから数日間連絡が取れず、心配でたまりませんでした。逮捕されたというニュースで強盗事件に関わっていたことを初めて知って驚きました」と話していました。
判決後の被告「自分への怒りやあきれが大きい」
判決後、被告はNHKの取材に応じ「投資詐欺に遭ったことをきっかけにお金に困って犯罪に関わってしまったが、だましてきた人への怒りよりは、自分への怒りやあきれが大きいです。知らない人のカードを使った時点でやばいとは思いましたが、逮捕されてから強盗事件に関わったと知り、後悔と被害者に申し訳ない気持ちでいっぱいです。やってしまったことを受け止め事件のことを忘れずに生きていきたい」と話しました。
闇バイトについては、「闇バイトは最初に言われたことと違うことをやらされるし、次から次へと犯罪を指示される怖さがあります。自分の情報を渡してしまうことで、指示に従わざるをえない心理状態になり、簡単に犯罪に手を染めてしまう。働いても賃金が少ないとか、生活に困っている若い人も多いと思いますが、闇バイトに関わると犯罪者になり信頼を失うので、一人で解決しようとせず周りの家族や友人に相談してほしい」と自身の経験をもとに話していました。