ミラノ・コルティナ五輪まで1年 「広域開催」が最大の特徴 NHK 2025年2月6日 4時14分
イタリア北部で行われるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの開幕まで2月6日で1年。
開催都市の財政的な負担などを減らそうと、IOC=国際オリンピック委員会が進める改革を受けて、初めて複数都市が組織委員会を作る「広域開催」が最大の特徴で、今後のオリンピック開催のあり方を占う大会となります。
ミラノ・コルティナ大会は来年2月6日から22日までの17日間、新競技の山岳スキーを含む8競技116種目が実施される予定です。
複数の都市が組織委員会を作るのはオリンピックでは初めてで、競技が行われるエリアは、ミラノとコルティナダンペッツォのほかにバルテリナ、バルディフィエメの大きく4つに分かれます。冬のオリンピックとしては、これまでで最も広大なエリアでの開催となります。
建設中のアイスホッケー会場
「異例の広域開催」の背景にあるのが、IOCが打ち出した改革です。
近年のオリンピックでは、巨額の財政負担などによって住民の支持が得られないことなどを理由に立候補を断念する都市が相次いでいて、IOCはコストを抑えた大会の実現に向け既存や仮設の施設の活用を推奨し開催都市以外の国内の都市などで競技の実施を認めるといった改革を進めてきました。
今大会で新設するのは、ミラノのアイスホッケー会場だけで、そのほかの11の施設は既存か仮設となります。
このうち前回・1956年以来の開催となるコルティナダンペッツォでは、前回大会で開会式が行われ、今も使われている施設を現在、改修していて、今大会ではカーリングの会場となります。
長いオリンピックの歴史の中でも今大会は、今後の開催のあり方を占う大会となります。
テスト大会が本格化へ
ミラノ・コルティナ大会の開幕まで1年となるのに合わせてイタリアでは、さまざまな競技の運営の手順や課題を確認するテスト大会の開催が本格化します。
最初のテスト大会は去年12月、ボルミオでスキーアルペン男子のワールドカップを兼ねて行われ、ことし1月にはバルディフィエメでスキークロスカントリーのワールドカップが開かれました。
2月中旬にはミラノでフィギュアスケートやショートトラックの国際大会が行われ、下旬にはボルミオで今大会の新競技の山岳スキーのワールドカップが行われます。3月は、リビーニョでスキーフリースタイルのエアリアルやモーグルなどのワールドカップが開かれ、その後も、多くのテスト大会が実施される予定です。
聖火リレーはローマでスタート 聖火台は2か所に
今回のオリンピックの聖火は、ことし202511月26日にギリシャのオリンピアで採火されたあと、12月4日、イタリアに到着する予定です。その2日後の12月6日に聖火リレーがローマでスタートし、コルティナダンペッツツォには前回の開催日からちょうど70年となる来年1月26日に到着します。そして、2月6日にミラノで行われる開会式までつながれます。
およそ1万人がイタリア各地を巡り63日間で1万2000キロをリレーする計画です。異例の広域開催となる今大会では、ミラノとコルティナダンペッツォの2か所に聖火台が設置されるということです。
【いつ・どうやって決まる?】冬季五輪 各競技・種目の代表
注目
《五輪目指す日本選手たちの意気込みは》
スピードスケート・高木美帆選手
スピードスケート女子の高木美帆選手は北海道幕別町出身の30歳。オリンピックには2010年のバンクーバー、2018年のピョンチャン、前回・2022年の北京の3大会に出場していて、ピョンチャン大会の団体パシュートと、北京大会の1000メートルでの金メダルなど、これまでに金2つ、銀4つ、銅1つの合わせて7個のメダルを獲得しています。
高木選手はミラノ・コルティナ大会について「いろいろな選択をしたうえで迎えるオリンピックなので、過去の3大会とはひと味違ったものになると感じている」と話しています。そのうえで「ミラノで自分が望むものを手にするために、あと1年どれくらい濃い時間を過ごせるかが自分にとっての課題であり楽しみでもある。自分が取りたいものに貪欲に向かっていきたい」と話していました。
スピードスケート・新濱立也選手
スピードスケート男子の新濱立也選手は北海道別海町出身の28歳。短距離が専門で男子500メートルの日本記録保持者です。初めてのオリンピックだった前回・2022年の北京大会では金メダルを目指して臨みましたが、スタートでのミスで20位に終わりました。
新濱選手は「北京大会で1本のレースの勝負の難しさを経験できたからこそ、この3年間、勝負のしかたを常に考えることができた」と話しています。そのうえでミラノ・コルティナ大会について「金メダルは簡単に取れるものではないがチャンスがないわけではない。そのチャンスをつかめるようにあと1年、自分ができる最大の準備をしていきたい」と話していました。
フィギュアスケート・坂本花織選手
フィギュアスケート女子シングルの坂本花織選手は神戸市出身の24歳。オリンピックには2018年のピョンチャン大会と、前回・2022年の北京大会に2大会連続で出場し、北京大会では、女子シングルで銅メダル、団体で銀メダルを獲得しました。
坂本選手は「まずは世界選手権で3つ出場枠を取ることが今シーズンの1番の目標だが、今シーズンと来シーズンは2年をひとまとめにして1つのシーズンだと考えている。気持ちを途切れさせず取り組んでいきたい」と話しています。その上で「今シーズンは新しい構成や難しいプログラムに取り組んでいて、まだまだ葛藤の途中だ。しっかり練習を積んで自分のものにして、オリンピックに向けてどんどん自信をつけていけたらと思う」と話していました。
フィギュアスケート・鍵山優真選手
フィギュアスケート、男子シングルの鍵山優真選手は神奈川県出身の21歳。
オリンピック初出場だった前回・2022年の北京大会で銀メダルを獲得したほか、団体の銀メダル獲得にも貢献しました。ミラノ・コルティナ大会では日本男子のエースとして金メダル獲得を目指しています。
鍵山選手は「来年のオリンピックに向けて小さなけがもできないような状況になってきているので、日ごろのストレッチや食事、睡眠などのケアが大事になってくる。スケートの練習をたくさんやっているからこそ、その分、体のケアや休み時間とのバランスをしっかり考えながら過ごしていきたい」と話しています。その上で「今シーズンは目標にしてきた300点超えを果たすことはできたが、まだまだミスも多い。ジャンプはもちろん、スピンやステップの細かいところも修正しながら、オリンピックに向けて一歩一歩、少しずつでも階段を上っていけたらいいのかなと思う」と話していました。
スキージャンプ・小林陵侑選手
スキージャンプ男子の小林陵侑選手は、岩手県八幡平市出身の28歳。安定した助走から、一気に踏み切るダイナミックなジャンプを持ち味に、2018年のピョンチャン大会でオリンピックに初出場し、ノーマルヒルで7位に入りました。そして、2022年の北京大会では、ノーマルヒルで長野大会の船木和喜さんがラージヒルで獲得して以来、24年ぶりとなる金メダルを獲得し、ラージヒルでも銀メダルをとりました。
小林選手は、来年のミラノ・コルティナダンペッツォ大会について「今はまだ全然遠いところだと思っていて、まずは今シーズンをやりきることに集中したい」と話していました。その上で「オリンピックはみんなが注目してくれる舞台だと思っているので、そこでビッグジャンプが出せたらいいと思っている。目標はもちろん金メダルです」と意気込みを話していました。
スキージャンプ・高梨沙羅選手
スキージャンプ女子の高梨沙羅選手は、北海道上川町出身の28歳。10代の頃から世界の第一線で活躍し、ワールドカップではこれまで男女を通じて史上最多となる63勝をあげているこの種目の第一人者です。オリンピックはこれまで3大会に出場し、最初に出場した2014年のソチ大会では4位に終わったものの、2018年のピョンチャン大会では銅メダルを獲得しました。2022年の北京大会では、個人で4位だったほか、混合団体では、高梨選手の1回目のジャンプがスーツの規定違反で失格になってポイントを得られず、日本は4位でした。
高梨選手は、来年のミラノ・コルティナダンペッツォ大会について、北京大会での失格を踏まえ「自分が苦しい状況のなか、多くの人がたくさん声を掛けて下さった。自分ができることはジャンプで勇気や元気を与えるパフォーマンスをすることが一番なので、それができるようにしたい」と話しました。その上で「責任感というものがこれまでのオリンピックよりも間違いなくある感覚だ。メダルをとることが一番だと思うが、今の成績では想像しにくい部分もあるので、そこはしっかりと向き合っていかなくてはいけない。前回大会よりも進化した自分を見てもらえるようにしなくてはいけない」と意気込みを話しました。
さらに自身にとってのオリンピックについて「オリンピックとは何だろうと考えていて、いまだに答えが出ない。ただ、パリ大会を現地で見て一体で楽しめたり悲しんだりする舞台なんだなと感じた。世界を1つにするものと言っても大げさではないと思う」と話しました。
スノーボード・平野歩夢選手
スノーボード、男子ハーフパイプの平野歩夢選手は新潟県村上市出身の26歳。15歳で出場した2014年のソチオリンピックで冬のオリンピックでは日本選手として史上最年少のメダリストとなる銀メダルを獲得し、続くピョンチャン大会で2大会連続の銀メダルを獲得しました。そして、前回の北京大会で悲願の金メダルを獲得し、ミラノ・コルティナ大会では連覇を目指しています。
平野選手は「金メダルを取ることを小さいころから目標にしていて、そのために人生をスノーボードに全部捧げてきた。その夢が現実になって、その夢の先を見たいと思った。2連覇という今しかないチャンスがあると思うので、それをつかみにいきたい」と話しました。そのうえで「今以上の技術を求められる試合になると思うので、自分自身も限界を越えていかないといけない。圧倒的で人を黙らせるような滑りをするためには技術がずばぬけていないといけない。そこが一番、連覇するためには必要になってくる」と話していました。
スノーボード・清水さら選手
スノーボード、女子ハーフパイプの清水さら選手は滋賀県大津市出身の15歳。去年2月のユースオリンピックで銀メダルを獲得し、今シーズンから参戦したワールドカップでは2戦目で初優勝を果たすなど急成長を見せている若手です。オリンピック初出場を目指して、今シーズンのワールドカップでは第4戦を終えた時点のポイントで日本勢トップの3位につけています。
清水選手は「自分の中でも今シーズン、ここまで成績残せると思っていなかったのでうれしい。毎大会自分のベストを尽くせるように滑っている」と話しました。その上で「小さいころからオリンピックで金メダルを取るのをずっと目標にしてやってきた。オリンピックという夢の舞台で自分の滑りを見てもらいたい。今後はけがなく、もっと技を増やしてオリンピックで勝てるようになりたい」と話していました。
スノーボード・三木つばき選手
スノーボード、女子パラレル大回転の三木つばき選手は静岡県掛川市出身の21歳。18歳でオリンピックに初出場した前回の北京大会は決勝トーナメント1回戦で敗れて9位でしたが、おととしの世界選手権で日本選手として初めて金メダルを獲得し、一気に注目されました。今シーズンのワールドカップでは8戦を終えた時点で7回、表彰台に上がり、ポイントでトップに立つなど、目標とする1年後のオリンピックでの金メダル獲得に向けて確かな手応えをつかんでいます。
三木選手は「直近の1か月で結構いいところまで技術的に向上させることができた。こういった成長速度でこれから1年積み上げていければしっかりと金メダルを狙える位置につけられると思うので頑張りたい」と話しました。そのうえで「いろんなものを1つ1つ小さくても向上させていければ爆発的に結果が上がっていくと思う。まんべんなく全部のスキルを上げていきたい。最終目標であるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックに向けて、しっかりと積み重ねていく」と話していました。
カーリング・藤澤五月選手
カーリング女子、ロコ・ソラーレの司令塔=スキップの藤澤五月選手は、北海道北見市出身の33歳。オリンピック初出場だった2018年のピョンチャン大会で強気な作戦と的確なショットを持ち味にチームをけん引し、男女を通じて日本勢として初のメダルとなる銅メダルを獲得しました。そして、前回・2022年の北京大会では銀メダルを獲得しました。
藤澤選手は、3大会連続出場を目指すミラノ・コルティナ大会について「出場は簡単ではないと思う。自分たちが成長を感じている部分はもちろんあるが、それ以上に周りも成長している。同世代のチームも若いチームも出てきているので成長の度合いが試されてくる」と話しました。また「北京大会が終わってからは、改めて自分にとってのカーリングが何なのかというのを深く考える時間だった」と話しました。
その上で「オリンピックでメダルを取ることは誰もが目指している。メダルを取れるチームや選手にとってはオリンピックの舞台に立つまでにどう時間を過ごしてきたか、どうカーリングや自分自身と向き合ってきたかが大事になってくると思う。最後の最後まであがき続けたいと思っているし、それが結果としてあらわれれば一番いい色のメダルがとれる」と話していました。
カーリング・吉田知那美選手
カーリング女子、ロコ・ソラーレの吉田知那美選手は、北海道北見市常呂町出身の33歳。オリンピックは初出場の2014年のソチ大会から3大会連続で出場しています。ロコ・ソラーレに加入以降の2018年のピョンチャン大会では、男女を通じて日本勢として初のメダルとなる銅メダルを獲得し、前回・2022年の北京大会では銀メダルを獲得しました。
吉田選手は「私たちのチームにとって最初のピョンチャン大会は完全なる挑戦者で、先を歩いている人を追ってその人に勝てばよいだけだった。そして、前回の北京大会は、オリンピックの決勝という舞台への挑戦だった。次のオリンピックは、体力的にも完全に自分たちとの戦いだなとすごく感じている」と話しました。その上で「10年もの間、チームの編成を変えずに戦っているのは世界でもまれで私たちは、自分たちで新しいことに挑戦するという気持ちを持ち続けないと衰退していく。あえて今までの自分たちの成功をいったん置いておき、新しいことに挑戦することが今後のカギになってくると思う」と話していました。
イタリア北部で行われるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの開幕まで2月6日で1年。
開催都市の財政的な負担などを減らそうと、IOC=国際オリンピック委員会が進める改革を受けて、初めて複数都市が組織委員会を作る「広域開催」が最大の特徴で、今後のオリンピック開催のあり方を占う大会となります。
ミラノ・コルティナ大会は来年2月6日から22日までの17日間、新競技の山岳スキーを含む8競技116種目が実施される予定です。
複数の都市が組織委員会を作るのはオリンピックでは初めてで、競技が行われるエリアは、ミラノとコルティナダンペッツォのほかにバルテリナ、バルディフィエメの大きく4つに分かれます。冬のオリンピックとしては、これまでで最も広大なエリアでの開催となります。
建設中のアイスホッケー会場
「異例の広域開催」の背景にあるのが、IOCが打ち出した改革です。
近年のオリンピックでは、巨額の財政負担などによって住民の支持が得られないことなどを理由に立候補を断念する都市が相次いでいて、IOCはコストを抑えた大会の実現に向け既存や仮設の施設の活用を推奨し開催都市以外の国内の都市などで競技の実施を認めるといった改革を進めてきました。
今大会で新設するのは、ミラノのアイスホッケー会場だけで、そのほかの11の施設は既存か仮設となります。
このうち前回・1956年以来の開催となるコルティナダンペッツォでは、前回大会で開会式が行われ、今も使われている施設を現在、改修していて、今大会ではカーリングの会場となります。
長いオリンピックの歴史の中でも今大会は、今後の開催のあり方を占う大会となります。
テスト大会が本格化へ
ミラノ・コルティナ大会の開幕まで1年となるのに合わせてイタリアでは、さまざまな競技の運営の手順や課題を確認するテスト大会の開催が本格化します。
最初のテスト大会は去年12月、ボルミオでスキーアルペン男子のワールドカップを兼ねて行われ、ことし1月にはバルディフィエメでスキークロスカントリーのワールドカップが開かれました。
2月中旬にはミラノでフィギュアスケートやショートトラックの国際大会が行われ、下旬にはボルミオで今大会の新競技の山岳スキーのワールドカップが行われます。3月は、リビーニョでスキーフリースタイルのエアリアルやモーグルなどのワールドカップが開かれ、その後も、多くのテスト大会が実施される予定です。
聖火リレーはローマでスタート 聖火台は2か所に
今回のオリンピックの聖火は、ことし202511月26日にギリシャのオリンピアで採火されたあと、12月4日、イタリアに到着する予定です。その2日後の12月6日に聖火リレーがローマでスタートし、コルティナダンペッツツォには前回の開催日からちょうど70年となる来年1月26日に到着します。そして、2月6日にミラノで行われる開会式までつながれます。
およそ1万人がイタリア各地を巡り63日間で1万2000キロをリレーする計画です。異例の広域開催となる今大会では、ミラノとコルティナダンペッツォの2か所に聖火台が設置されるということです。
【いつ・どうやって決まる?】冬季五輪 各競技・種目の代表
注目
《五輪目指す日本選手たちの意気込みは》
スピードスケート・高木美帆選手
スピードスケート女子の高木美帆選手は北海道幕別町出身の30歳。オリンピックには2010年のバンクーバー、2018年のピョンチャン、前回・2022年の北京の3大会に出場していて、ピョンチャン大会の団体パシュートと、北京大会の1000メートルでの金メダルなど、これまでに金2つ、銀4つ、銅1つの合わせて7個のメダルを獲得しています。
高木選手はミラノ・コルティナ大会について「いろいろな選択をしたうえで迎えるオリンピックなので、過去の3大会とはひと味違ったものになると感じている」と話しています。そのうえで「ミラノで自分が望むものを手にするために、あと1年どれくらい濃い時間を過ごせるかが自分にとっての課題であり楽しみでもある。自分が取りたいものに貪欲に向かっていきたい」と話していました。
スピードスケート・新濱立也選手
スピードスケート男子の新濱立也選手は北海道別海町出身の28歳。短距離が専門で男子500メートルの日本記録保持者です。初めてのオリンピックだった前回・2022年の北京大会では金メダルを目指して臨みましたが、スタートでのミスで20位に終わりました。
新濱選手は「北京大会で1本のレースの勝負の難しさを経験できたからこそ、この3年間、勝負のしかたを常に考えることができた」と話しています。そのうえでミラノ・コルティナ大会について「金メダルは簡単に取れるものではないがチャンスがないわけではない。そのチャンスをつかめるようにあと1年、自分ができる最大の準備をしていきたい」と話していました。
フィギュアスケート・坂本花織選手
フィギュアスケート女子シングルの坂本花織選手は神戸市出身の24歳。オリンピックには2018年のピョンチャン大会と、前回・2022年の北京大会に2大会連続で出場し、北京大会では、女子シングルで銅メダル、団体で銀メダルを獲得しました。
坂本選手は「まずは世界選手権で3つ出場枠を取ることが今シーズンの1番の目標だが、今シーズンと来シーズンは2年をひとまとめにして1つのシーズンだと考えている。気持ちを途切れさせず取り組んでいきたい」と話しています。その上で「今シーズンは新しい構成や難しいプログラムに取り組んでいて、まだまだ葛藤の途中だ。しっかり練習を積んで自分のものにして、オリンピックに向けてどんどん自信をつけていけたらと思う」と話していました。
フィギュアスケート・鍵山優真選手
フィギュアスケート、男子シングルの鍵山優真選手は神奈川県出身の21歳。
オリンピック初出場だった前回・2022年の北京大会で銀メダルを獲得したほか、団体の銀メダル獲得にも貢献しました。ミラノ・コルティナ大会では日本男子のエースとして金メダル獲得を目指しています。
鍵山選手は「来年のオリンピックに向けて小さなけがもできないような状況になってきているので、日ごろのストレッチや食事、睡眠などのケアが大事になってくる。スケートの練習をたくさんやっているからこそ、その分、体のケアや休み時間とのバランスをしっかり考えながら過ごしていきたい」と話しています。その上で「今シーズンは目標にしてきた300点超えを果たすことはできたが、まだまだミスも多い。ジャンプはもちろん、スピンやステップの細かいところも修正しながら、オリンピックに向けて一歩一歩、少しずつでも階段を上っていけたらいいのかなと思う」と話していました。
スキージャンプ・小林陵侑選手
スキージャンプ男子の小林陵侑選手は、岩手県八幡平市出身の28歳。安定した助走から、一気に踏み切るダイナミックなジャンプを持ち味に、2018年のピョンチャン大会でオリンピックに初出場し、ノーマルヒルで7位に入りました。そして、2022年の北京大会では、ノーマルヒルで長野大会の船木和喜さんがラージヒルで獲得して以来、24年ぶりとなる金メダルを獲得し、ラージヒルでも銀メダルをとりました。
小林選手は、来年のミラノ・コルティナダンペッツォ大会について「今はまだ全然遠いところだと思っていて、まずは今シーズンをやりきることに集中したい」と話していました。その上で「オリンピックはみんなが注目してくれる舞台だと思っているので、そこでビッグジャンプが出せたらいいと思っている。目標はもちろん金メダルです」と意気込みを話していました。
スキージャンプ・高梨沙羅選手
スキージャンプ女子の高梨沙羅選手は、北海道上川町出身の28歳。10代の頃から世界の第一線で活躍し、ワールドカップではこれまで男女を通じて史上最多となる63勝をあげているこの種目の第一人者です。オリンピックはこれまで3大会に出場し、最初に出場した2014年のソチ大会では4位に終わったものの、2018年のピョンチャン大会では銅メダルを獲得しました。2022年の北京大会では、個人で4位だったほか、混合団体では、高梨選手の1回目のジャンプがスーツの規定違反で失格になってポイントを得られず、日本は4位でした。
高梨選手は、来年のミラノ・コルティナダンペッツォ大会について、北京大会での失格を踏まえ「自分が苦しい状況のなか、多くの人がたくさん声を掛けて下さった。自分ができることはジャンプで勇気や元気を与えるパフォーマンスをすることが一番なので、それができるようにしたい」と話しました。その上で「責任感というものがこれまでのオリンピックよりも間違いなくある感覚だ。メダルをとることが一番だと思うが、今の成績では想像しにくい部分もあるので、そこはしっかりと向き合っていかなくてはいけない。前回大会よりも進化した自分を見てもらえるようにしなくてはいけない」と意気込みを話しました。
さらに自身にとってのオリンピックについて「オリンピックとは何だろうと考えていて、いまだに答えが出ない。ただ、パリ大会を現地で見て一体で楽しめたり悲しんだりする舞台なんだなと感じた。世界を1つにするものと言っても大げさではないと思う」と話しました。
スノーボード・平野歩夢選手
スノーボード、男子ハーフパイプの平野歩夢選手は新潟県村上市出身の26歳。15歳で出場した2014年のソチオリンピックで冬のオリンピックでは日本選手として史上最年少のメダリストとなる銀メダルを獲得し、続くピョンチャン大会で2大会連続の銀メダルを獲得しました。そして、前回の北京大会で悲願の金メダルを獲得し、ミラノ・コルティナ大会では連覇を目指しています。
平野選手は「金メダルを取ることを小さいころから目標にしていて、そのために人生をスノーボードに全部捧げてきた。その夢が現実になって、その夢の先を見たいと思った。2連覇という今しかないチャンスがあると思うので、それをつかみにいきたい」と話しました。そのうえで「今以上の技術を求められる試合になると思うので、自分自身も限界を越えていかないといけない。圧倒的で人を黙らせるような滑りをするためには技術がずばぬけていないといけない。そこが一番、連覇するためには必要になってくる」と話していました。
スノーボード・清水さら選手
スノーボード、女子ハーフパイプの清水さら選手は滋賀県大津市出身の15歳。去年2月のユースオリンピックで銀メダルを獲得し、今シーズンから参戦したワールドカップでは2戦目で初優勝を果たすなど急成長を見せている若手です。オリンピック初出場を目指して、今シーズンのワールドカップでは第4戦を終えた時点のポイントで日本勢トップの3位につけています。
清水選手は「自分の中でも今シーズン、ここまで成績残せると思っていなかったのでうれしい。毎大会自分のベストを尽くせるように滑っている」と話しました。その上で「小さいころからオリンピックで金メダルを取るのをずっと目標にしてやってきた。オリンピックという夢の舞台で自分の滑りを見てもらいたい。今後はけがなく、もっと技を増やしてオリンピックで勝てるようになりたい」と話していました。
スノーボード・三木つばき選手
スノーボード、女子パラレル大回転の三木つばき選手は静岡県掛川市出身の21歳。18歳でオリンピックに初出場した前回の北京大会は決勝トーナメント1回戦で敗れて9位でしたが、おととしの世界選手権で日本選手として初めて金メダルを獲得し、一気に注目されました。今シーズンのワールドカップでは8戦を終えた時点で7回、表彰台に上がり、ポイントでトップに立つなど、目標とする1年後のオリンピックでの金メダル獲得に向けて確かな手応えをつかんでいます。
三木選手は「直近の1か月で結構いいところまで技術的に向上させることができた。こういった成長速度でこれから1年積み上げていければしっかりと金メダルを狙える位置につけられると思うので頑張りたい」と話しました。そのうえで「いろんなものを1つ1つ小さくても向上させていければ爆発的に結果が上がっていくと思う。まんべんなく全部のスキルを上げていきたい。最終目標であるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックに向けて、しっかりと積み重ねていく」と話していました。
カーリング・藤澤五月選手
カーリング女子、ロコ・ソラーレの司令塔=スキップの藤澤五月選手は、北海道北見市出身の33歳。オリンピック初出場だった2018年のピョンチャン大会で強気な作戦と的確なショットを持ち味にチームをけん引し、男女を通じて日本勢として初のメダルとなる銅メダルを獲得しました。そして、前回・2022年の北京大会では銀メダルを獲得しました。
藤澤選手は、3大会連続出場を目指すミラノ・コルティナ大会について「出場は簡単ではないと思う。自分たちが成長を感じている部分はもちろんあるが、それ以上に周りも成長している。同世代のチームも若いチームも出てきているので成長の度合いが試されてくる」と話しました。また「北京大会が終わってからは、改めて自分にとってのカーリングが何なのかというのを深く考える時間だった」と話しました。
その上で「オリンピックでメダルを取ることは誰もが目指している。メダルを取れるチームや選手にとってはオリンピックの舞台に立つまでにどう時間を過ごしてきたか、どうカーリングや自分自身と向き合ってきたかが大事になってくると思う。最後の最後まであがき続けたいと思っているし、それが結果としてあらわれれば一番いい色のメダルがとれる」と話していました。
カーリング・吉田知那美選手
カーリング女子、ロコ・ソラーレの吉田知那美選手は、北海道北見市常呂町出身の33歳。オリンピックは初出場の2014年のソチ大会から3大会連続で出場しています。ロコ・ソラーレに加入以降の2018年のピョンチャン大会では、男女を通じて日本勢として初のメダルとなる銅メダルを獲得し、前回・2022年の北京大会では銀メダルを獲得しました。
吉田選手は「私たちのチームにとって最初のピョンチャン大会は完全なる挑戦者で、先を歩いている人を追ってその人に勝てばよいだけだった。そして、前回の北京大会は、オリンピックの決勝という舞台への挑戦だった。次のオリンピックは、体力的にも完全に自分たちとの戦いだなとすごく感じている」と話しました。その上で「10年もの間、チームの編成を変えずに戦っているのは世界でもまれで私たちは、自分たちで新しいことに挑戦するという気持ちを持ち続けないと衰退していく。あえて今までの自分たちの成功をいったん置いておき、新しいことに挑戦することが今後のカギになってくると思う」と話していました。