石井寛子が完全V/競輪学校卒業記念R(日刊スポーツ)
<競輪学校卒業記念レース>◇最終日◇27日◇決勝◇川崎
在校1位の石井寛子(27=東京)が、完全Vで2代目卒記女王に輝いた。日本競輪学校(滝沢正光校長)の第103期生(男子36人)、104期生(女子18人)の卒業記念レース最終日が開催された。女子は5月デビューが予定されている。
昨年の加瀬加奈子(32=新潟)に続いて2年連続の完全Vで誕生した卒記女王は、ガッツポーズに万感の思いを込めた。ゴール直後に右拳をバンクに向けて投げつけた。ほんの一瞬、見逃しそうなほど小さなアクションだったが「あれには1年間のすべてが詰まっていた。ずっと思い通りに勝てなかったから…」。在校成績は通算57戦52勝と驚異的な勝率も、さらなる高みを目指してもがき続けた。
車番抽選で7番車を引き当て「くじ運が悪い」と外枠をなげいたが、スタートで一気に飛び出して前受け。赤板で上昇した梶田舞、大外の山原さくらと打鐘で踏み合い、逃げた山原の番手をゲットした。「1車しか前に入れるつもりはなかった。自分の得意パターン」に持ち込んだ。最終1センター後方からスパートした田中まいに合わせてバックから番手発進して快勝した。
決勝の先頭誘導員を務めた昨年の女王加瀬は「まだ競走がちっちゃいよ」と辛口だが、ナショナルチームのライバルでもある2代目との対決を心待ちにする。
ガールズ2期生の開幕戦は5月10日からの京王閣ナイター。石井VS加瀬の配分が濃厚で注目の卒記女王激突になる。「デビュー戦Vを狙う」。問われる真価。ホームバンクで最初の答えを出す。【大上悟】
◆石井寛子(いしい・ひろこ)1986年(昭61)1月9日、埼玉県春日部市出身。明大卒。埼玉・杉戸農から自転車競技を始め、在校成績57戦52勝、2着2回、着外3回。200メートルFD、400メートル同で学校記録樹立。昨年10月W杯チームスプリントで日本女子初の銀メダルを獲得した。160・2センチ、59・5キロ。血液型B。家族は両親と姉、同期の妹貴子(25)。
エキシビション時代のガールズケイリンでは、ただ一人「異次元の走り」をやってるみたいで、他は石井にはまるで歯が立たなかったが、その石井を、自転車競技を開始してからまだ1年程度で挑んだ小倉のエキシビションで破って優勝したのが加瀬。
その後、五輪の短距離種目出場に専念した石井に対し、加瀬は競輪学校へと入校し、その傍ら、団体追抜やオムニアムで五輪出場を目指したこともあり、互いに直接対決する機会は全日本選手権以外ではない状態だが、いよいよ5月以降は対決する機会が頻繁に訪れる。
どちらかというと「たたき上げ」のイメージが強い加瀬と、アマ時代からの「エリート」である石井はタイプも異なっているから、そういった面から見ても、5月以降のガールズケイリンには新たな面白さが生まれてくるだろうね。