障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

中小企業と障害者雇用

2011-12-01 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

今日は全国的に冷え込んでいますね。東京も8度と一ケタ台の寒さ、そして小雨。ブルブルッ。
寒いと身体も気持ちも縮こまってしまいますね。今夜は温かいお鍋でも食べましょうか。

さて、先日、厚生労働省が平成23年の「障害者雇用状況」を公表しました。
 
<民間企業>(法定雇用率1.8%
・雇用障害者数は 36万6,199人 と過去最高を更新 ← 昨年度より4.8%の増加
・実雇用率は 1.65%
・法定雇用率達成企業の割合は 45.3%

1 障害者雇用の法定雇用人数

障害者雇用促進法では、社会連帯の理念に基づき、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率、民間企業の場合は1.8%)以上の障害者を雇うことを義務付けています。1.8%というと、従業員56人に1名雇用という割合です。

2 実態は二極化

実雇用率1.65%となっていますが、60%の企業はゼロ採用です。

その反面、2%以上を雇用している優良企業(大企業、特例子会社など)もあり、障害者雇用の実態は二極化となっています。

2%以上雇用の企業は、ユニクロ・スターバックス・シマムラ・資生堂・NTTなどが有名です。

3 未達の場合は納付金の支払い義務

平成27年4月から100人~200人規模の企業に障害者雇用納付金制度の対象が拡大されることになっています。

ゼロ採用を続けていると、満たない障害者数1人当たり月額5万円の納付金が徴収されます。

例えば、168人の会社では3名の障害者雇用が義務化されていますが、ゼロ採用の場合、年間180万円の納付金が徴収されることになります。

中小企業もそろそろ障害者雇用を現実的に考える時期にきていますね。

明日も障害者雇用について書いてみます。

【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「障害者」記事一覧

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中国の社会保険料

2011-11-29 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

今日は東京商工会所へ所用のため出掛けました。丸の内と皇居近くのgood locationの商工会議所。
いつも行くのが楽しみです。丸の内仲通りの紅葉と建物、きれいでした~。

11月26日付けの日経新聞に「中国の社会保険料、北京駐在員は年80万円 年内に徴収開始」の記事が一面に出ていましたね。

1 中国の労働法や社会保険法

まだまだ新しく法律が立法されている状態です。

1995年   ⇒「労働法」が制定
2008年   ⇒「労働契約法」が制定
2011年7月 ⇒「社会保険法」が制定

2 中国の社会保険の種類

養老年金保険、医療保険、労災保険、失業保険、出産保険の5種類です。

保険料率は原則的に労使負担合わせて28%(労働者:8%、使用者:20%)。日本のように折半ではありません。

そして!今年10月からは就業する外国人も強制被保険者になる、ということ。

中国に駐在員を常駐させている日本企業にとっては、二重の負担となり、厳しいですね。

養老保険の個人負担分については本国に帰国後、申請により還付されるそうですが。。。


上記の情報は、東京都社会保険労務士会の国際労務研究会 小玉潤氏が10月に研究発表した資料です。


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安全衛生法改正の動き メンタルヘルスと受動喫煙対策

2011-11-04 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

昨日は、来年1月29日開催予定の「江東FPフォーラム」の第一回打ち合わせに参加しました。
江東FPフォーラムは、日本FP協会主催の催しで、目的は「FPの認知度アップ」です。大田FPフォーラム、大江戸FPフォーラム、など各地で同様の広報活動を行っているものです。

江東FPフォーラムでは、セミナーや無料相談会を行うことになっており、吉野は相談員として参加します。
他の相談員とも初顔合わせでしたが、金融・証券・保険・税理士・社労士・弁護士などの顔ぶれで、いろいろ教えてもらうことも多そうで楽しみになりました。


今日は、安全衛生法の改正 です。

10月24日に発表されましたが、安全衛生法の一部が改正される動きがあります。ポイントは3つありますが、一般の企業に関係ありそうなのは、「メンタルヘルス対策」と「受動喫煙防止対策」の2点かと思われます。


1 メンタルヘルス対策の充実・強化


・医師または保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うこと を事業者に義務付けます

検査の結果は、検査を行った医師または保健師から労働者に直接通知されます。医師または保健師は労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することはできませんん。

・検査結果を通知された労働者が面接指導を申し出たときは、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。なお、面接指導の申し出をしたことを理由に、労働者に不利益な取り扱いをすることはできません。

・事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置をしなければなりません。


一般の企業では、年に一度の定期健康診断を行うことが義務付けられています。

その一般定期健康診断の「自覚症状・他覚症状の有無の検査」に併せて、下記のようなメンタルヘルス状況のチェックを行うものです。

・ひどく疲れた
・憂鬱だ
・不安だ  など

メンタルヘルスチェックを健康診断と同時に行うことで、「気づきの促進」効果が期待でき、専門機関へ受診することにつなぎやすくする狙い があります。

企業側の対応としては、メンタルヘルスチェックを行う義務だけでなく、その後のフォローアップ体制を整えておく必要があろうかと思われます。

例えば、精神科医・専門の相談機関・公共の精神保健福祉センターなどとの連携体制を整えて、専門家のアドバイスを受けながら、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を行う必要があります。


2 受動喫煙防止対策の充実・強化

・受動喫煙防止のため、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務付け ます。

・ただし、当面の間は、飲食店や措置が困難な職場については、受動喫煙の程度を抑えるために、一定の濃度または換気の基準を守ることを義務付け ます。


ある程度の規模の企業は、職場での禁煙や分煙は行われていることと思います。全体の人数少なく喫煙者が多い職場では、まだこれからというところでしょうが、企業の規模に関係なく義務化されることとなります。


16年前に、前職の会社(外資系)に入社した時、人事部のデスクからタバコの煙がモクモクと上がっていました。

毎日、午後あたりからノドが痛くなり人事に相談したら、「喫煙者のxxさんは、タバコの煙がないと安心できない人なの。我慢してあげて」と言われてガッカリの対応でした。そのxxさんをよく観察すると、ほとんどのタバコは吸わずに、火をつけたまま灰皿においたままにしてあるんです。入社したばかりだと、それ以上は言えず、納得いかなかったことを覚えています。

その頃から比べると、10年前くらいからは分煙→禁煙となり、職場環境は少しずつ改善されていきました。

いまでは、会社を訪問してタバコの煙が充満している職場はほとんどありません。休憩室も職場とするならば、そのあたりは改善の余地がありそうです。

この改正法と同時に、病院の禁煙外来の広報などで、喫煙者の数を相対的に減らせればいいですね。



安全衛生法は、労働基準法と同じく強行法規です。義務付けられたことは実施しなければなりません。

コンプライアンス順守は、ビジネス契約するうえでのチェック項目に入れている会社も多いので、きちんと守っていきましょう。



おかげさまで風邪はかなり良くなってきました。昨夜は会合があったのですが、居酒屋は今風の個室タイプでその中の数名がチェーンスモーカーだったため、タバコの煙が充満してかなり辛かったです。それほど親しい関係ではない場合、お互いに気を使うことの大切さを身にしみて感じました。

基本的な立ち位置は、法律で義務化されたからという理由ではなく、お互いの健康を気遣うことではないかと思います。メンタルヘルス対策も受動喫煙対策も同じですね。


See you tomorrow!

Chika Yoshino


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労基署の是正勧告 不払い残業代

2011-11-02 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

すっかり風邪でダウンしてしまい、咳が止まりません。
風邪が流行っていますから、皆さんもお気をつけください。私もうつさないで早く治るように気をつけます!

さて、今日は労働基準監督署の是正勧告のお話です。

今月から厚労省も不払い残業代について、力を入れていくとのことですから、労働時間の適正な管理と未払い残業代についてはしっかり管理していきましょう。

厚労省が発表している最近の是正勧告を紹介します。


事例1 <小売業、約200人、北海道・東北>

・賃金不払残業の状況

会社は、始業・終業時刻をタイムカードにより確認しているとしていたが、監督署が会社の機械警備記録等を調査したところ、タイムカードの最終打刻者の退勤時刻と警備開始時刻に大幅な相違が生じていた。そこで、会社からの事情聴取などの結果、所定労働時間終了後に、労働者にタイムカードを打刻させた後で時間外労働を行わせていた ことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、①全社的な実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、②賃金不払残業の再発防止対策を確立し実施すること を指導した。

・事業場が講じた改善の方法

会社は、機械警備記録をセットした労働者だけでなく、全労働者に対して労働時間調査票を配布し、タイムカード打刻後の時間外労働の実績を改めて申告させ、不払になっていた割増賃金を支払う とともに、再発防止のため、本社が、全労働者に文書で賃金不払残業の存在を前提とした会社の収益などは根本的に誤っていることを宣言した。

そして、具体的対策として、①毎日の機械警備記録の開始時刻を入手して、本社で退勤の遅い店舗を把握し、その業務内容を点検する体制を確立する、②毎月、タイムカードの最終打刻時刻と警備開始時刻の相違を検証する、③本社役員による巡回指導を行うといった改善を図った。さらに、各事業所長の自覚を促すため、今後賃金不払残業を発生させない旨の誓約書を徴した。


事例2 <旅館業、約800人、関東>

・賃金不払残業の状況

会社は、始業・終業時刻をIDカードにより把握している一方で、時間外労働の時間数の把握については、労働者による自主申告書の提出によることとしており、双方の時間数に大きな相違が生じていた。

そこで、会社からの事情聴取などの結果、時間外労働手当の支払を免れようとして、管理者がその自主申告書の用紙交付を抑制していたため、時間外労働を行った労働者が適正に自己申告することができず、時間外労働手当の不払が生じていたことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、①これまでの時間外労働の実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、②始業・終業時刻はIDカードの記録で把握している状況を踏まえ、客観的な記録を基礎として確認、記録すること、今後も自己申告とする場合には、適正な申告が行われているかについて実態調査を実施することなどについて指導した。

・事業場が講じた改善の方法

会社は、IDカードにより確認した終業時刻をもとに時間外労働の実態調査を行い、不払になっていた割増賃金を支払うとともに、自己申告による時間外労働の時間数の把握を廃止した。その上で、始業・終業時刻、時間外労働等の時間数をIDカードを基礎として把握し、休憩時間を控除した時間数を実労働時間として把握・管理する手法を取り入れるといった改善を図った。


事例3(病院、約150人、中国・四国)

・賃金不払残業の状況

病院は、始業・終業時刻をタイムカードを基礎として確認することとし、時間外労働を行う場合には労働者から残業申請書を提出させることとしていたが、多くの労働者について、残業申請書による時間外労働の時間数に比べ、タイムカードにより把握している時間外労働の時間数が数時間から数十時間多かった

そこで、病院からの事情聴取などの結果、当初、資格取得や趣味のため自習で残っている者がいる等申し立てたが、1ヶ月で30時間以上の相違がある労働者も認められ、その理由だけで状況を説明することができず、残業申請とその承認の手続が確実に行われていなかったことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、労働時間管理が不十分であると判断し、①労働時間の適正な把握と②長時間労働の削減を指導した。

・事業場が講じた改善の方法

病院は、タイムカードの打刻時刻と超過勤務命令簿等から実態調査を行い、不払となっている割増賃金を支払う とともに、労働時間の管理について、①超過勤務を行う場合には、責任者が必要性や緊急性があるか等を判断し、超過勤務命令簿に業務内容や終了予定時間を記入する、②管理者は、部署により、毎日または一定期間ごとに、タイムカードの打刻時刻の記録を超過勤務命令簿と突合することにより、申請漏れがないかを点検する、③月の時間外労働は30時間までに終われるよう、業務を平準化する、部門間の協力体制を構築する等の改善を図った。


4 労基署の是正勧告があったら

上記の事例を読むと理解できると思うのですが、まず労基署の監督官は事実確認を行います。会社としては就業規則、賃金台帳、労働者名簿、タイムカードなど事実確認に必要な書類はすべて出さなければなりません

この事実確認の段階で、印象を悪くしないように、包み隠さず協力しましょう。(もう監督官が来ているので、協力するしかありません)

指導内容に対して、改善策を提出するのですが、ここでは一生懸命考えましょう。社労士などの専門家に相談するのもいいかもしれません。

そもそも、どうして労働時間管理がずさんだったのか、原因をしっかり把握したうえでの改善策を出すことが重要ですね。



もうすぐ今年も終了すると思うと、焦っていろいろやらなくては!と思ってしまいます。
あれもこれも、と思わずに的を絞って!とアドバイスを受けるのですが、どうしても捨てきれずに手を広げてしまいます。
ひとつひとつ、できるところからやっていって、結果的にまとまってできていた!というのが理想ですね。頑張りましょう!

See you tomorrow!

Chika Yoshino


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サービス残業などの労基署申告がメールで24時間可能に!

2011-11-01 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

昨日は風邪でダウンしていました。ノドと鼻の調子が悪いなぁと思っていたら、頭痛と発熱もでてきて、完全にダウンです。
気温の寒暖の差もあるし、空気も乾燥しているので、みなさんもお気をつけくださいね!

今日から11月になりました。今年も残すところあと2カ月。ラストスパートの時期ですね。

さて、厚生労働省は、11月を「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、長時間労働やこれに伴う問題を解消するための取り組みを集中的に実施するそうです。


1「労働基準関係情報メール窓口」の設置

従来は、違法なサービス残業や長時間労働がある場合、従業員が労働基準監督署へ電話するか直接行って申告することになっていました。

でも、なかなか労基署へ足を運ぶのは、心理的にも物理的にも敷居が高いものでした。

そこで、厚生労働省は24時間受付が可能なメール窓口(「労働基準関係情報メール窓口」)を設けることになりました。

~労働基準関係情報メール窓口~
実施時期:平成23年11月1日(火)から
URL:http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/mail_madoguchi.html

「労働基準関係情報メール窓口では、職場での長時間労働、賃金不払残業(サービス残業)をはじめとする労働基準法などに関係する問題がある場合に、電子メールで情報を受け付けます。

受け付けた情報は、関係する労働基準監督署へ情報提供し、監督指導業務の参考として、役立てます。」と公表しています。

労働基準監督署が労働時間や賃金の問題について監督指導すべき事業場を的確に把握し、適切な指導を行うためには、労働者やご家族の方などから多くの情報を得ることが大変重要になっています。

メールで申告できると、かなりの数が上がってきそうですね。コンプライアンス遵守は、企業の規模に限らず、すべての企業に求められています。御社は大丈夫ですか?

サービス残業や長時間労働の管理は、労務管理の中でも最も重要です。

残業しなければならない仕事量なのか?
ダラダラ残業をさせないように、個人の能力や時間管理能力を上げるにはどうしたらいいのか?

どうしても残業しなければならない時期が定期的にある場合は、変形労働時間制度を設けると解決できる場合もあります。


2 平成22年度サービス残業の是正指導は13.5%増加

労働時間適正化キャンペーンに先立ち、厚生労働省は、下記をまとめて10月19にに発表しました。

全国の労働基準監督署が、平成22年4月から平成23年3月までの1年間に、残業に対する割増賃金が不払になっているとして労働基準法違反で是正指導した事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況を取りまとめました。

・是正企業数         1,386企業      (前年度比 165企業の増)
・支払われた割増賃金合計額   123億2,358万円   (同 7億2,060万円の増)
・対象労働者数       11万5,231人      (同   3,342人の増)
・支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円労働者1人当たり11万円

・割増賃金を1,000万円以上支払ったのは200企業で全体の14.4%、その合計額は88億5,305万円で全体の71.8%
・1企業での最高支払額は「3億9,409万円」(旅館業)、次いで「3億8,546万円」(卸売業)、「3億5,700万円」(電気通信工事業)の順


残業代を支払っていないとして労働基準監督署の是正指導を受け、2010年度に100万円以上の未払い残業代を支払った企業は1386社で、前年度より165社(13.5%)増えたことが20日、厚生労働省のまとめで分かりました。

厚労省は「景気が持ち直し、残業自体が増えていた影響ではないか」とみています。これまではリーマンショックの影響もあり、2年連続で減少しましたが、10年度は増加に転じました。

是正指導後に支払われた割増賃金は、1社あたり平均約889万円です。1000万円以上支払った企業も200社あります。

889万円、大きい額ですね。サービス残業は、本人が「いりません。好きで残業しているのですから」と仮に言ったとしても、会社は支払わなければなりません。残業の在り方など、根本的に考える必要があるでしょう。


3 労働時間の適正把握は重要

まず、会社がやらなければならない対策は、

・労働者の労働時間を使用者が適正に把握管理すること
・労働時間を適正に把握したら、残業に対する考え方を見直すこと   ではないか、と考えます。

労基署が勧める適正な労働時間把握方法は、タイムカードによる管理です。

個人的には、タイムカードによる管理は好きではありません。が、是正勧告対策には、タイムカードを入れざるをえないと思っています。

適正に管理した上で、超過勤務した分の賃金を支払うことになります。

なぜ、割増賃金を支払うか、というと、元々法定労働時間以上働かせることは違法です。違法に対するペナルティとして支払う、という構図です。

ところが、働く人にとっては、残業代がないと生活できないなどの事情により、自ら残業したい、という方も多くいます。

その場合は、残業の必要性を会社が判断することになります。支払う会社側も都度適正に判断して、必要な残業代のみを支払う労働時間管理が求められます。

私が以前勤めていた会社は、外資系企業で、外国人もたくさんいました。彼らはまず残業はしません。時間になったら即刻帰ります。
暗黙の了解として、ダラダラ仕事をする人は仕事ができない、と判断されてしまうので、私も常に時間をみながら、定刻に帰るように集中して仕事をしていました。

それぞれの企業で文化というか、風土というか、考え方は違うと思います。

が、共通しているのは、残業代は支払わなければならない、ということと、その前に適正な労働時間管理を行うこと。これだけはきちんとしておいて、ある日突然、労基署から指導が入っても対処できるようにしておきましょう

明日は、労基署から是正指導が入った場合の対策について書いてみます。


See you tomorrow!

Chika Yoshino


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病気で働けなくなったらどうしよう 3

2011-10-20 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

昨日は夕焼け がきれいでした。夕方の短い間でしたが、ご覧になりましたか?

昨日は、丸の内で開催された「短時間正社員シンポジウム」に出席しました。終了後、丸の内を歩いていたら、皇居の方からの夕焼けがとてもきれいで、ビジネスマンの皆さんも足を止めて、携帯写真を撮っていましたよ。

短時間正社員シンポジウムは、基調講演が東京大学の佐藤博樹先生だったので、楽しみにして参加しました。佐藤先生の講演はいつも興味深いのですが、昨日は30分と短くて残念でした。2時間くらいは聞きたかったです。

その後は、日本ユニシスさんや三菱UFJリサーチ&コンサルティングさんなど、大企業での成功事例の発表がありました。改めて、日本の大企業って本当に恵まれた環境でお仕事されているんだなぁ、と感じました。

それはともかく、短時間正社員制度の導入は、パートやアルバイトと正社員との格差の解消にもなるし、正社員にとっては育児や介護との両立ができることで退職しなくて済むし、メリットが多いと思います。社労士として、導入に協力していきたく思います。

さて、今日も「病気やけがで働けなくなったらどうしよう」シリーズです。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、3の健康保険の傷病手当金 についてです。


1 傷病手当金ってどんな制度?

健康保険には、全員加入されていることと思います。が、「傷病手当金」のことはご存じない方がほとんでではないでしょうか。

健康保険のメイン給付は、皆さんご存じのように、医療費の7割負担や、入院した時などの「高額療養費」の支給です。

このような病院関連の支給とは別に、「傷病手当金」といって、病気で働けなくなった時の所得保障制度 もあります。

残念ながら、自営業の方が入っている国民健康保険には、「傷病手当金」の支給がないことがほとんどです。
会社員が加入している協会けんぽや健康保険組合には「傷病手当金」制度があるのです。

ですから、病気やケガで入院したり、その後自宅療養しても、会社員であれば、所得保障があることを踏まえて、民間の保険に加入するといいでしょう。

保険の見直しを考える際は、是非とも、このことを思い出してくださいね。


2 傷病手当金を受けるには?

傷病手当金が支給される条件は3つです。

1 療養のために働けない こと

病院へ行って保険給付を受けていることに限らず、自費診療や自宅療養(医師の診療を受けない自宅での静養期間)でも対象になります。が、美容整形手術などの自費診療により労務不能となっても支給されません。

支給申請書には、医師の意見を記入する欄がありますから、医師の診断は必要です。


2 労務不能 であること

今までやってきた業務に就けない状態 が該当します。

例えば、休業中に家業の副業を手伝ったり、内職したり、一時的に軽微な仕事をした場合は、どうでしょうか?

この場合は、もらった賃金との差額が支給されます。

会社に半日出勤して、今までやってきた業務に就いたり、配置転換でやや軽い業務に従事する場合は、支給されません。


3 休んだ4日目から支給

労務不能の日が連続して3日経過した後(=4日目)から、支給されます。

この3日間に有給休暇を取得した場合は、どうでしょうか?

有給休暇を取得しても、公休日が含まれていても、3日間としてカウントします。


傷病手当金の申請は、会社の人事部に相談するといいでしょう。人事でサポートしてくれるはずですから。


3 傷病手当金の支給額は?

傷病手当金の額は、お給料の3分の2 に相当する金額です。働けなかった1日につき、支給されますから、日額です。

例えば、お給料が30万の場合、傷病手当金は6,667円/日となります。

1か月休んだ場合は、6,667円×30日=約20万円 が支給されます。

30日に土日も含むのは、雇用保険と同じです。

会社によっては、病気やケガで休んだ場合でもお給料がでることもあるでしょう。その場合は、傷病手当金は支給されません。

病気やケガで働けない場合の所得保障制度ですから、仕方ありませんね。お給料が一部出る場合は、差額が支給されます。

健康保険組合によっては、3分の2+α を支給するところもあります。

ご加入の健保組合でご確認ください。


4 傷病手当金の支給期間は?

傷病手当金の支給期間は、4日目~1年6カ月です。

例えば、途中で復職して3ヵ月勤務し、その後再発しても、1年6カ月の期間は伸びません。

また、1年6カ月の間に退職しても、そのまま続けて支給されます。

たぶん、1か月以上も働けなくなると、有給休暇の消化も終わって、会社としては、休職扱いにすることと思います。その場合は、支給開始~1年6カ月 です。

その間、お給料の3分の2の所得保障をして、回復して復職するのを待つ、という手厚い社会保険制度です。


私の父がもう高齢なのですが、6月に心臓のバイパス手術を受けました。

入院期間は3週間でした。

最初の1週間は手術前の各種検査。残りの2週間は、手術後3日間の集中治療室後はリハビリに当てられました。

退院後、通常の生活に戻るまで、3ヵ月くらいかかりました。8月には電車に乗って、外出できるようになりましたよ。


現役で働いている方は、このような心臓の大手術でも、もっと回復が早いかもしれませんね。

そうすると、1年6カ月という期間は、かなり余裕を見た期間と言えるかもしれません。

メンタル不調の場合は、復職後に再発してしまうこともありますが、それでも1年6カ月の間は所得保障もあるし、いろいろ不安に思わずに治療に専念して欲しい と思います。


1年6カ月を過ぎても、まだ回復して仕事ができない状態が続いている場合は、4の障害年金が支給されます。

障害年金については、明日、書くことにします。


See you tomorrow!

Chika Yoshino



よしの社労士事務所 吉野千賀

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病気で働けなくなったらどうしよう 2

2011-10-19 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

皆さん、いかがお過ごしですか?
秋の夜長になり、コオロギの鳴き声を聞きながらのPC作業や読書など、風流な季節ですね。

昨夜は、東京労働大学の専門講座、森戸先生の講義「賃金と退職金」を受けてきました。

最近の傾向として、退職金を企業年金に移行していますが、懲戒解雇となった場合に企業年金はどう扱うか?という
マニアックなことに関してのゼミでした。


さて、病気やケガで働けなくなった時の社会保険について、の続きです。

生活習慣病やうつ病などの精神疾患により、働けなくなるリスクは、働いている人全員が抱えています。
そのために、社会保険に加入して、保険料を払っているのですから、どういう給付があるのかは、知っておく必要がありますよね。


ケガや病気で働けなくなった場合、段階的に、複数のシステムでカバーされる仕組みになっています。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、2の会社の休職制度 についてです。


1 就業規則で自分の会社の休職制度を確認しよう

最初のスタートは、ここからです。

なぜなら、休職制度自体は労働法で定められた制度ではない ので、法律ではどうのこうのと論じることはできません。

会社ごとに決めていいことになっています。

休職期間は有給にするのか、無給にするのかも、会社ごとで決められています。

どういう場合に休職扱いにするのかも、会社が決められます。

傷病休職、事故欠勤休職、起訴休職、出向休職、自己都合休職、組合専従休職、ボランティア休職、など でしょうか。


休職制度を定めた場合は、就業規則に載せなければなりませんから、まずは自分の会社の制度を就業規則で確認してみましょう。


2 休職の取り扱い方

基本的には、就業規則通りに取り扱います。

法律で定められていないので、もめた時は就業規則にどう書かれているか、が論点となりますから、就業規則にはしっかりと網羅して記載しておく必要があり、多くの会社がそうしていると思います。

休職の発令権、解除権は会社にあり、休職をしている従業員が勝手にとったり、やめたりすることはできません。


3 休職期間が満了したら、どうなる?

休職とは、労働が提供できなく、就労させることが適切でない場合に、労働契約を残しつつ労働義務を一時的に消滅させることをいいます。

解雇の猶予制度、だということもできます。

会社としても、一定期間待つことにより、元の就労できる状態に戻るなら、新しく人を雇う時間や費用と比べてもメリットがあります。

ところが、休職期間が満了しても、元の就労できる状態に戻らなかった場合(休職事由が消滅していない場合)は、やむを得ず、労働契約の自動終了=退職 とならざるをえません。


4 問題点はなに?

労働審判などで争われる論点は、どのくらい回復したら、元の終了できる状態に戻ったと判断するのか?ということです。

その判断により、辞めることになるのか、会社に残れるのか、が分かれる重要なポイントですよね。

傷病休職の場合は、主治医の診断書の提出は必須事項です。

会社によっては、産業医に診せて、その診断書で判断する、としているところもあります。(その場合の問題は、産業医が何科の医師なのか?というところ)

人事の方が主治医と面談して(本人同席で)、「こういう仕事内容に従事できるだけ回復していますか?」と医師に確認することもあります。

最近、急増しているメンタル不調者の職場復帰を判断する時は、主治医との面談は重要な判断要素となります。

なぜなら、主治医の先生は、本人の症状はよく把握していても、会社の業務内容についてはよくわからないことが多く、本人の回復状況が本当に業務に戻れる状態になのか、詳しい業務内容を知らないと判断しかねますよね。

会社としても、この判断は慎重に行う必要があります。

裁判例では、休職期間満了時に、従前の仕事を支障なくこなせる状態にまでは回復していなくても、相当期間に治癒することが見込まれていて、さらに、当人に適切なより軽い作業が現実に存在するときは、会社はその(軽い)業務に配置すべきで、労働契約の終了という効果は発生しない、としています。

上記は、外資系の航空会社で、CAが休職期間終了後も椎間板ヘルニアによりCAの業務はできないけれど、地上勤務ならできるところを、会社は認めなかったんですね。

大手の外資系企業や大企業ならば、「より軽い作業」をしながら、完全に治癒するのを待って、元の職場に完全復帰することも可能でしょう。

でも、たとえば、50人くらいの中小企業だったら、どうでしょう。

そこまで人員に余裕がなくて、「より軽い作業」は提供できないし、休職期間の終了と同時に退職扱いになってしまうのは避けられない事実です。

うつ病などのメンタル不調は、見た目での判断は難しく、職場復帰のステップを誤ると症状が長期化することもあるので、当人も会社も専門家に相談しながら進めていくことをお薦めします。



ちなみに、私が以前勤めていた外資系企業では、次のような休職制度がありました。

病気やけがの場合は、療養休暇があり、療養休暇中はお給料は全額支給でした。期間は勤続年数により異なりますが、5年以上で6カ月です。
その後、まだ治らない場合は、休職となり、無給です。休職期間は勤続年数によりますが、5年以上で12か月です。


人事の方以外は、自分の会社の休職制度の内容を知っている方は皆無といってもいいくらいかと思います。

まずは、就業規則を確認してみましょう。

明日は、3の健康保険の傷病手当金 についてです。


See you tomorrow!

Chika Yoshino

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病気で働けなくなったらどうしよう 1

2011-10-18 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

日に日に涼しくなっていますが、いかがお過ごしですか?今日は曇り空ですね。

私は、秋の花粉症なのか、ただ寒いせいか、くしゃみがちです。


今日からしばらくは、病気やケガで働けなくなった時の社会保険について、書いてみます。

生活習慣病やうつ病などの精神疾患により、働けなくなるリスクは、働いている人全員が抱えています。
そのために、社会保険に加入して、保険料を払っているのですから、どういう給付があるのかは、知っておく必要がありますよね。


ケガや病気で働けなくなった場合、段階的に、複数のシステムでカバーされる仕組みになっています。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、1の「有給休暇を使う」について、です。


1 有給休暇は何日?


休職制度は会社によって設定がマチマチですが、有給休暇は法律で定められている ので、必ず使うことができます。

正社員のみの特権ではありません。

アルバイトやパートさんのような短時間労働者も、労働日数に応じて有給休暇は取ることができます
アルバイト・パート・契約社員・派遣社員などに関係なく、労働者であれば取得することができるのです。

とても身近な制度なので、皆さんご存知かとは思いますが、法律で定められている有給休暇の日数は下記の通りです。

週5日以上または週30時間以上の場合、働き始めてから

6か月後 10日
1年半後 11日
2年半後 12日
3年半後 14日
4年半後 16日
5年半後 18日
6年半以上 20日   付与されます。ただし、全労働日の8割以上出勤の場合です。

アルバイトやパートさんも有給休暇がとれます。
たとえば、週3日勤務で年間の労働日数が121~168日の場合、

6か月後 5日
1年半後 6日
2年半後 6日
3年半後 8日
4年半後 9日
5年半後 10日
6年半以上 11日   付与されます。全労働日の8割以上出勤の条件は同じです。


2 入社して6カ月未満の間に病気になったら?

私は身体が丈夫じゃないので、すぐ風邪を引いたり、熱が出たりします。
入社して半年間も毎日健康で仕事に行ける自信は全然なかったです。環境も変わってストレスもかかりますしね。

なので、入社して6カ月の間に、病気になったらどうしよう、というのは、普通の人よりも心配していました。

会社によっては、病気休暇があったり、入社して3ヵ月目から有給休暇をとれたり、というところもあります。
が、一般的には、法律通りの規定を定めている会社が多いようです。

その場合は、残念ながら、欠勤(病欠)扱いとなって、働けなかった日数分はお給料から引かれる ことになるでしょう。

万一、1日や2日の風邪などではなくて、続けて4日以上働けない場合は、健康保険から傷病手当金が支給されることもあります。

または、会社の規定により、休職が認められることもあるかもしれません。


3 そもそも有給休暇は何のため?

まるで当然にように、病気やけがになった時に有給休暇を使う話をしています。が、それでいいんでしょうか?

本来の有給休暇の目的は、休養・休暇をとって、労働から解放された自由な余暇時間を過ごすためのものです。
リフレッシュに旅行へ出掛けたり、ゆっくり家族と過ごしたり、田舎へ帰ったり。。。

いわゆるワークライフバランスのため にあるんですよね。

私は、20年くらいの間、外資系の会社でたくさんの外国人と働いてきましたが、Expatと呼ばれる外国人社員は風邪や病気のために有給休暇を使うという発想がありませんでした。

ヨーロッパの多くの国では、病気休暇が有給休暇とは別にある のです。

たとえば、スウェーデンの会社にいた頃、スウェーデン人の社員が夏に3週間、お休みをとりました。
帰ってきたので、「休暇はどうだった?」と聞くと、うかない顔で「1週間、インフルエンザで寝込んでしまったんだ」とのこと。

驚いたのは、「だから、その1週間は別にお休みをとることにした」と言うんですね。

私は同じオフィスで同じように働いていても、日本の法律を適用した就業規則があり、ぎりぎりの有給休暇しかありませんでした。

入社して半年間は風邪で休んだら減給でした。しかも、10日くらいしかないので、旅行で5日、病気のために5日はストックしておく、という労働条件です。これで、スウェーデン人から風邪をもらってしまったら、泣くに泣けないではないですか。。。

それでも、日本の会社のように有給休暇がとりづらい雰囲気は皆無でしたから、100%消化できていましたが。

話がそれてしまいました。

日本の慣習では、有給休暇を病気やけがなどの不測の事態のために残しておいて、そのために使用することが多いので、本来の目的とはずれているのですが、病気やけがの時の第一段階として、ここに書かせてもらっている次第です。


4 有給休暇の取り方などで問題になること

今回は、病気やけがになったらどうしよう、というテーマなので、本来の有給休暇にまつわる諸問題はおいておきます。

朝、起きたら高熱がでていて、急きょ有給休暇をとって休むことにした。

この場合、厳しい会社では、「当日の連絡で、有給休暇は与えられない」と言われるかもしません。

会社の就業規則によりますが、通常は事前申請で有給休暇を与えることにしているのではないでしょうか。
これは、お休み中に誰かが当人の仕事をカバーすることを踏まえて設定している妥当な手続きです。

ですから、当日に連絡して「具合が悪いので、有給休暇を取りたい」ということを認めるのは、会社の温情とも言えます。
この場合は、事後請求として処理してくれます。

でなければ、残念ながら欠勤扱いになってしまっても、文句は言えないところです。


さて、明日は、病気やけがで働けなくなったら?シリーズ2の「会社の休職制度」 について書いてみます。


余談ですが、社労士は自営業なので、労働者としての恩恵を受けることはもうできません。
有給休暇も休職制度も傷病手当金も厚生年金もありません。

会社員だったころは、文句を言いながらも、やはり恵まれていたんだなぁと、しみじみ思ってしまいます。

それでも、誰かの命令で働いたり、人間関係に悩んだり、通勤ストレスからは解放されているので、どっこいどっこいでしょうか。

自分のペースで仕事ができるせいか、会社員だった頃に比べると体調は改善されて、風邪も引かなくなっています。

皆さんも、ストレスがかからないような生活方法を探して、健康に過ごしてくださいね!

See you tomorrow!

Chika Yoshino
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アルバイト・パートさんへの厚生年金適用拡大?

2011-10-17 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

週末はいかがお過ごしでしたか?

ようやく、作成中だったホームページも、出来上がりの様相になりました。
         ↓
http://www.cyoshino-office.com/

障害年金の請求支援を主要業務にしています。が、労務管理も喜んでお受けしています。



さて、これまで社会保障審議会での改正案について書いてきましたが、
今日は、3のアルバイト・パートへの厚生年金適用拡大 についてです。

おさらいですが、審議会での議論は、主に下記の3つです。

1 年金支給開始年齢の引き上げ
2 在職老齢年金の見直し
3 短時間労働者(アルバイト・パート)への厚生年金適用拡大


1 現状の確認

改正案について話をする前に、現行の制度を確認してみましょう。

現行の厚生年金の適用範囲において、短時間労働者(アルバイト・パート)については、

正社員の労働時間と比較して、1日または1週間の所定労働時間が4分の3以上

かつ、

正社員の1か月の労働日数と比較して、所定労働日数の4分の3以上の勤務形態ならば、原則として被保険者となります。

たとえば、

正社員が1日8時間労働の場合、パートさんが1日6時間以上とする労働契約がある場合。または、

正社員が1週間40時間労働の場合、パートさんが1週間30時間以上とする労働契約がある場合。

上記の労働契約に加えて、正社員が1カ月20日の所定労働日数の場合、パートさんが1か月15日以上の労働日数で契約した場合、厚生年金と健康保険の被保険者となります。

余談ですが、先週話していた60歳代前半の在職老齢年金ですが、厚生年金の被保険者でなければ調整はないので、正社員の4分の3の短時間労働契約にすると、在職老齢年金による年金の支給停止はなくなります。

その代わり、当然のことながら、お給料は6割~7割よりも低下する可能性があり、どちらがいいのかは、個別の判断となるでしょう。


2 改正案

この改正案は、平成19年に国会提出するも廃案になっていますが、引き続き上がってきているものです。

新たな適用基準案:

1 労働時間を週所定労働時間20時間以上にする ←雇用保険と同じ適用

2 賃金月額98,000円以上とする ←厚生年金の保険料負担の基準の下限額

3 勤務期間が1年以上とする ←雇用保険は31日以上としている

4 学生は適用対象外とする

5 中小企業には配慮する ←社会保険料が増えることへの配慮


改正案の目的は、被保険者を増やすことで、上記に改正すると約10万人~20万人程度の増加を見込んでいます。(400万人という説もあり)

パート労働者の主流は、30代~50代の主婦層です。会社員の妻の場合、年収130万円以下の場合は保険料を納めなくても年金をもらえることになっています。保険料を納める人を増やしたい、というのが目的かと思っています。

時給1000円で、週25時間(1か月100時間)働いているアルバイトやパートの方は、月収10万円で適用となりますね。
適用となった場合の厚生年金保険料は、16,412円となり、本人負担8,206円、会社負担8,206円です。


3 問題点は何?

問題点として挙げられているのは、大きく2つです。

1 国民年金との兼ね合い
2 事業主負担が増える


1の国民年金との兼ね合いについて

適用拡大と同時に、98,000円の下限額をさらに下げる案も検討されています。

たとえば、下限額を78,000円に変更した場合です。

本人負担額は6,401円、会社負担と併せても厚生年金の保険料は12,802円です。

受け取れる年金額は、

1階部分の国民年金 月額65,741円 +
2階部分の厚生年金 月額18,204円(40年勤務の場合)、合計83,945円となります。

自営業者は、1階部分の国民年金にしか加入できず、国民年金の保険料は月額15,020円と下限額78,000円の人より多く払っているのに、受け取れる年金は、1階部分の国民年金 月額65,741円のみです

仮に、月額78000円の方に専業主婦の奥さんがいる場合は、

受け取れる年金は、65,741円x2人分 + 18,204円=149,686円。

国民年金のみの方との不公正感は増すばかりとなります

ちなみに、98,000円という数字は、国民年金の保険料とほぼ同じとなるラインです。

そこで、適用拡大して下限額を下げる場合の要件として、短時間労働者の被扶養配偶者の給付は行わない、ということも検討中です。それはそれで、さらに、正社員との格差が広まりそうですね。


2の事業主負担が増えること

パート労働者が厚生年金に加入することになると、同時に健康保険にも加入することとなります。

事業主にとっては、社会保険の負担が増えてしまいます。

たとえば、月額10万円のアルバイトやパートが社会保険に加入すると、事業主の社会保険料負担は、13,700円です。

パートやアルバイトが何十人もいる事業所だと、月々の負担が数十万になってしまいます。

そうすると、雇用を抑制したり、決められた基準ぎりぎりのところで、労働時間を短縮したりする、とか
パートで働く人も、夫の保険に入っていた方がいいので、労働時間を短縮する、かもしれません。

そうでなくても、現実の問題として、厚生年金の適用事業なのに、厚生年金に入っていない事業所が全体の1~2割近くもあります。
社会保険料の負担は、中小事業主にとっては深刻な問題で、簡単に適用拡大の実現は望めない感じがします。

狙っていたような保険料を払う人の増加にはつながらず、逆に、被扶養者がいる人など恩恵がある人だけが望んで加入して、結果的に給付が増す可能性もでてきますね。


社会保険の改正って、全国民が対象となり、世代間・制度間で不公平感がでてくるのはやむを得ないのかもしれません。
加えて、「雇用」という現役世代には深刻な問題とも深く関係しています。

改正案をまとめて、実際に施行するには、不公平といいながらも多少は納得できて、雇用が維持されるような案じゃないと、上手く回らないように思います。




昨日は、国際フォーラムで大江戸骨董市をやっていて、ちょっとのぞいてみました。
古いそばちょこ、1万円~2万円!などで、気軽に買える額ではないのですが、大量に買い物している方もちらほらいました。
価値がわからないと、難しい買い物ですね~。

その後、丸の内ブリックスの「A16」というお店へランチに行ったら、大入り満員。
友人と庭園で30分くらい待って、ピザを食べました。絶品ピザでした。
腹ごなしに、皇居を散歩して帰りました。

秋は食べてよし、歩いてよし、過ごしやすい季節ですね!

See you tomorrow!

Chika Yoshino
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採用にまつわる諸問題

2011-10-05 | 社労士の労務管理
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

秋の雨は、ひと雨ごとに気温が下がっていきますね。
10月に入ると、いっきに秋。
私もノドが少しヒリヒリします。


今日は、採用に関する諸問題です。

小規模の個人事業や会社で、誰かを入れて一緒に働いてもらおう!と思ったら、どうされますか?

友人、知人に紹介してもらう。
ハローワークに求人をだす。
ウェブや新聞、地域の情報誌に求人をだす。
お店なら、「求人」を貼り出す。    

統計では、「友人・知人の紹介」が80%を超えてダントツです。

この場合、紹介者の手前、あまり条件面の話をせずに決めてしまうことが多いのですが、
トラブル防止のためにも簡単な書面で条件を提示しましょう。

従事する業務内容と求められるスキル
始業・終業の時間
給料の支払い方(時給、週給、月給)と支払い額
残業の有無
仕事を始める時期 など。

採用の段階では、使用者に広く「採用の自由」が認められています。
これは、雇った後に簡単に解雇できないことの裏返しです。

募集に関しては、性差別や年齢差別などが禁止されています。
原則、年齢不問としなければなりません。


働いてもらうことになったら、「労働条件通知書」を準備します。
必ず必要ですので、準備してくださいね。
契約期間、働く場所、業務内容、労働時間、休日、休暇、賃金、退職、契約更新の有無 などを書面で通知します。

一方的な通知だけでなく、働く人の同意欄も設けた方がよいでしょう。
だたし、同意したからといっても、両者の力関係を判断すると働く人が不利なため、同意の効力はそれほど強くありません。

また、労働条件通知書の内容と実態が違った場合、裁判では常に実態で判断されます。


契約期間はどうされますか?

正社員の契約期間は定年まで(契約期間の定めなし)です。
そこまではちょっと考えていない場合や様子をみたい場合は、3ヵ月、半年、1年などの契約期間を定めます。

注意することは、契約期間を定めた場合は、その途中に都合で解約はできないことです。

だからと言って、1か月にして延々と更新していくのも手間がかかりますよ。
ちなみに、更新時ごとにきちんと書類で契約更新しておかないと、「暗黙の了解」として期間の定めなしと判断されることもあります。

判例では、有期労働契約の雇い止めに関して、「更新の期待の有無」により判断しています。
「期待」を持つ、持たないは、個人の経験や考え方により違いませんか?

実際、裁判官の判断はマチマチです。

1年契約を20回更新した学習塾講師に更新の期待なし、と判断したかと思えば、
1年契約を1回も更新していなくても期待あり、と判断した例もあります。

トラブルを防止するためには、更新の有無更新しない場合の判断基準を、
働いてもらう人に採用時に、しっかり書面で説明する必要があります。


突然、来なくなったらどうする?

最近よくあるのが、採用後2-3日して連絡もなく突然来なくなるトラブルです。
どんなに短くても、働いてもらった期間の給料は、支払う義務があります。
労働契約か就業規則の解雇事由に、無断欠勤をいれておくといいでしょう。

とはいえ、何があったのか心配にはなりますね。
本人に連絡をとって、事情を聞いて、対処していく必要もあります。

こういうケースは多いので、契約期間を当初2カ月にしておいて、
社会保険の加入は様子をみてからにする、という対処方法もあります。
ちょっとマニアックな話です。


いずれにしても、自分の事業を手伝ってくれる人ですから、大事にして
たとえアルバイトやパートさんでも、働くことを通して、その方が成長できるような環境を提供できたらいいですね。



今、ホームページを作成中です。とりあえず、自分で作成して様子を見て、徐々にプロにお願いして
バージョンアップしていきたいです。
それにしても、いつできるんだろう?来週には公開したいものですが。。。


See you tomorrow!

chika yoshino


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起業・創業を予定している方へ 2

2011-10-04 | 社労士の労務管理
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

すっかり秋らしく快晴ですね。
昨日は、北海道の中山峠で20cmの積雪だったそうです。今年は雪の出足が早いですね。
空気も乾燥していますから、風邪には気をつけましょう。

昨日に続いて、脱サラして起業する方向けシリーズ2の今日は、「労働保険」です。


労働保険は、1雇用保険と2労災保険に分けられます。

社会保険と大きく違うことは3つ。

1 保険料の納入の仕方 → 会保険は毎月、労働保険は年に一度です。税金に近い支払い方です。
2 社長は入れない→ 労災のみ特別加入あります。
3 強制加入である→ 社会保険は社員数が5人未満の場合の個人事業は任意加入です。

労働保険は、労働者がケガをした時に補償したり、失業した時に最低生活費を給付したり、教育訓練費用を補助したり、
継続雇用をバックアップする保険です。

社会保険は、健康保険と年金。それぞれの制度の目的が大きく違うので、仕組みも違います。


1雇用保険

事業を始めて、誰かを雇うことになりました。

その方の労働時間が週20時間以上で、31日以上続けて働いてもらう時、会社は雇用保険の手続きを行わなければなりません。
週20時間以上には、残業時間は入りません。

余談ですが、誰かを雇うと労働契約関係が成立します。
口約束で働いてもらっていても、実際には契約関係があると判断されるのです。

給料の支払いも発生し、いつ?どのように?いくら?など、後々もめることもあります。
ですから、誰かを雇うことになったら、労働条件通知書は必ず渡して、内容をお互いに確認しておきましょう。


2労災保険

雇用保険との大きな違いは、短時間アルバイトやパートさんでも、労働者であれば補償されることです。

社長は労働者でないので、補償の対象外です。
特別加入制度に加入しておきましょう。

また、労働者ひとりひとりが加入というより、会社が代表して加入しているというイメージです。

労災事故が起きて、問題になるケースは2つ。

1 会社が労災事故を報告しない(労災を使いたがらない)。
2 労働者かどうか。

1は、日本の伝統?として、都合の悪いことは隠して何もなかったことにする、隠ぺい体質が根強いせいと思われます。
裁判例でも非常に多いです。

2は、専門的になりますが、工場の構内で働いている請負労働者はどうか、派遣労働者はどうか、など、
会社が直接給料を支払っていない方への労災は、どの会社の労災から出るのか、問題になることもあります。

労災は、その労働者の雇い主である請負会社や派遣会社が手続きするものです。
でも、その事故が自分の工場や会社で起きた場合、自分も安全管理責任が問われ、損害賠償を請求されることもあります。


3 労働保険加入の手続き

労働保険は、労災→雇用保険の順番で、加入手続きしましょう。

事業を始めたら10日以内に、労働基準監督署へ行き、「保険関係成立届」を提出します。
書類の事業主控に、「労働保険番号」を付けて戻してくれます。

次に、同じく10日以内に、上記の事業主控を持参して、ハローワークへ行き、
「雇用保険適用事業所設置届」と「被保険者資格所得届」を提出しますが、
上記「労働保険番号」を必ず記入します。

うっかり、近くのハローワークへ先に行っても、労働保険番号がない限り、手続きは進みません。
順番に注意しましょう。


4 保険料

労働保険料は、概算額を先に支払わなくてはなりません。
事業を始めたら50日以内に、翌年3月末までの労働保険料をまとめて納入しますので、注意が必要です。

概算額の出し方は、下記の通りです。

雇った人全員の現在~翌年3月末までのお給料(交通費含む)に下記保険料率を掛けた額です。

労災:個人で創業する方の事業は、概ね、3/1000 か、4/1000 です。
雇用:15.5/1000


今年の10月1日に、給料30万円の従業員を2名雇って事業を始める場合、
11月19日まで(50日以内)に支払う概算保険料は、

600,000x6カ月=3,600,000円

労災 3,600,000 x 3/1000 = 10,800円
雇用 3,600,000 x 15.5/1000= 55,800円   合計66,600円です。


ちなみに、この場合の毎月の社会保険料の会社負担額は、

厚生年金 600,000 x 8.029% = 48,174円
健康保険 600,000 x 4.74%(東京都)= 28,440円
介護保険 600,000 x 0.755%(40歳以上)=4,530円  合計81,144円です。毎月であることに注意です。

6か月分だと486,864円で、労働保険と比較すると、いかに社会保険が高いかがわかりますが、
健康保険は家族全員の分ですし、厚生年金は終身の年金なので、やむを得ないことではあります。

よく質問されるのですが、
社会保険料の会社負担率は、合計13.5%(40歳未満は12.7%)です。

事業を始める際の参考にしてください。


See you tomorrow!

chika yoshino
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