「どうしたの?」ソラが聞くと、
「お兄ちゃん……」と、ウミが震えるように小さな声で言いながら、腕を伸ばして窓を指さした。「誰かがね、外からこっちを見てたの」
「――怖い」と、唇を引き結んでいるウミを見て、ソラは言った。
「きっと、青い鳥を捜している連中だよ。学校帰りに、誰かに聞かれなかった?」
ウミは、黙って何度も首を振った。
「ニンジンが言ってたんだけど、その青い鳥って、とっても珍しい鳥なんだって。欲しがっている人も、たくさんいるらしいよ」と、ソラは机の上に登って片膝を突きながら、カーテンを開いた窓の外を見た。
「ほんと」と、ウミは不安そうに言った。「この鳥、誰かに捕まっちゃうの」
「そんなこと、させるもんか」と、ソラは言いながら、外の様子をうかがった。
窓の外には、ブロック塀が見えるだけで、人のいる気配はなかった。
「誰も、いないみたいだけどな……」と、ソラが窓に顔を近づけたまま言った。
「ううん」と、ウミは首を振った。「私見たんだもん。サングラスをかけた男の人」
ウミが言うと、ソラははっとして振り向いた。「サングラスをかけた、男の人……」
ピンポーン――。
と、インターホンの鐘が鳴った。二人は、顔を見合わせた。
「ウミはインターホンに出て。お兄ちゃんは誰が来たのか見てくる――」ソラが言うと、ウミは黙ってうなずいた。
ピンポーン、ピンポーン――。
机から飛び降りたソラは、足音を立てないように玄関に向かうと、ウミは青い鳥を抱いたまま茶の間に走り、インターホンの受話器を取った。
「はい、どちら様ですか」
”……”
ウミは話しかけたが、誰も返事をしなかった。
「もしもし、どちら様ですか……」
ウミの声を耳にしながら、ソラは緊張した面持ちで、そっとドアののぞき窓をのぞいた。
「あっ」と、ソラは驚いたように小さく声をもらすと、あわてて顔を遠ざけた。
ドアの外に立っていたのは、帰り道でソラを呼び止めた、サングラスの男だった。
「もしもし、どちら様ですか……」
ウミが間隔を置きながら、何度も声をかけているところへ、ソラが二人の靴を両手に持ちながら、そっと、足音を立てないようにやって来た。
「お兄ちゃん……」と、ウミが震えるように小さな声で言いながら、腕を伸ばして窓を指さした。「誰かがね、外からこっちを見てたの」
「――怖い」と、唇を引き結んでいるウミを見て、ソラは言った。
「きっと、青い鳥を捜している連中だよ。学校帰りに、誰かに聞かれなかった?」
ウミは、黙って何度も首を振った。
「ニンジンが言ってたんだけど、その青い鳥って、とっても珍しい鳥なんだって。欲しがっている人も、たくさんいるらしいよ」と、ソラは机の上に登って片膝を突きながら、カーテンを開いた窓の外を見た。
「ほんと」と、ウミは不安そうに言った。「この鳥、誰かに捕まっちゃうの」
「そんなこと、させるもんか」と、ソラは言いながら、外の様子をうかがった。
窓の外には、ブロック塀が見えるだけで、人のいる気配はなかった。
「誰も、いないみたいだけどな……」と、ソラが窓に顔を近づけたまま言った。
「ううん」と、ウミは首を振った。「私見たんだもん。サングラスをかけた男の人」
ウミが言うと、ソラははっとして振り向いた。「サングラスをかけた、男の人……」
ピンポーン――。
と、インターホンの鐘が鳴った。二人は、顔を見合わせた。
「ウミはインターホンに出て。お兄ちゃんは誰が来たのか見てくる――」ソラが言うと、ウミは黙ってうなずいた。
ピンポーン、ピンポーン――。
机から飛び降りたソラは、足音を立てないように玄関に向かうと、ウミは青い鳥を抱いたまま茶の間に走り、インターホンの受話器を取った。
「はい、どちら様ですか」
”……”
ウミは話しかけたが、誰も返事をしなかった。
「もしもし、どちら様ですか……」
ウミの声を耳にしながら、ソラは緊張した面持ちで、そっとドアののぞき窓をのぞいた。
「あっ」と、ソラは驚いたように小さく声をもらすと、あわてて顔を遠ざけた。
ドアの外に立っていたのは、帰り道でソラを呼び止めた、サングラスの男だった。
「もしもし、どちら様ですか……」
ウミが間隔を置きながら、何度も声をかけているところへ、ソラが二人の靴を両手に持ちながら、そっと、足音を立てないようにやって来た。