くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(20)

2019-04-20 22:41:29 | 「機械仕掛けの青い鳥」
「おまわりさん……」と、ウミがつぶやくように言った。
「悪い冗談だと思うけど」と、ソラが苦笑いして言った。「ぼく達を捕まえに来たんじゃないのかな」
 二人は、歩いてきた通りに背を向けると、手をつなぎながら、逃げるように進んで行った。

「おーい」

 と、どこからか、二人を呼ぶ声が聞こえた。
 はっ、として立ち止まった二人は、心臓が口から飛び出そうなほど驚き、見えない声の主を捜して、キョロキョロと辺りを見回した。もしかすると、やり過ごしたはずの警察官が二人を見つけ、職務質問をしようと引き返してきたのかもしれなかった。
「おーい」
 と、まだ小学校にも上がらないくらいの男の子が、向かい側から手を振って走ってきた。
 ソラとウミは、声の主の姿を認めると、ちぇっと舌打ちをするように胸をなで下ろした。
「驚かすなよ……」
 二人は、深いため息をついた。

「やっと見つけたぜ、お二人さん」

 息を切らせながら、サイズの合わないだぶだぶのジャージを着た男の子が、二人の所にやってきた。
 会った事もない年下の子供になれなれしく声をかけられ、機嫌を損ねたウミが、お姉さんらしく叱るように言った。
「あなたね、私達の方がずっと年上なのに、どうしてそんな話し方するの――。ちゃんと礼儀正しくしなさいって、お父さんやお母さんに習わなかった?」
 腰に手を当て、むすりと唇を引き結んだ男の子は、つまらなさそうに言った。
「やっぱり、おまえ達にも、子供の姿に見えてるんだな」
「……」と、二人は顔を見合わせた。
「赤木だよ――いや、ニンジンだ」と、男の子が言った。
「えーっ、ニンジンなの」と、ソラが甲高いを声を上げて驚いた。
「ああ」と、男の子はうなずいた。「サトシ達が、変な男に追いかけられたってのを聞いて、もしやと思って探してたのさ」
「よく、ぼく達だってわかったね」と、ソラが感心したように言った。
「自分がこの格好だからな」と、ニンジンは自分を指さして言った。「自信はなかったけど、もしも兄妹でいなかったら、わからなかったかもしれない」
 ソラとウミは、こくりとうなずいた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする