くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(25)

2019-04-25 20:54:41 | 「機械仕掛けの青い鳥」

トン、トン、トン……。

 ニンジンが階段を駆けあがる靴音が、だんだんと小さくなっていき、ふっつりとかき消えた。抜き足差し足で、二階の職員室に向かった二人は、あらためて、誰も生徒のいない学校が、怖いほどしんと静まりかえっているのに気がついた。
 照明が消された廊下は、遠く向かい側の窓の光が、やけにまぶしく感じられるほど薄暗かった。気のせいか、外に比べて、気温が何度か低くなっているようだった。
 高学年の靴箱が並ぶ玄関が見えると、ソラは向きを変え、校舎の隅にある階段を上り始めた。いつも上り下りしている階段のはずだったが、一段ずつ足をかけるたび、緊張感が増してくるのがわかった。
 ウミは、ソラの背中に隠れ、腰の辺りの服をグイッとつかみながら、小さな物音にもビクリッと、大げさなほど反応していた。
「ちょっとウミ、あんまり服を引っ張るなよ――」声をひそめて、ソラが言った。
「だって、お兄ちゃん」と、震える声でウミが言った。
 二階に上ると、正面に職員室の扉が見えた。ニンジンが言ったとおり、まだ先生が残っているのか、扉の上のガラスから、明かりが見えていた。
 ソラが、職員室のドアを静かに開けた。
 職員室の中は、意外にもがらんとしていた。ざっと見た限り、知っている先生の姿はどこにもなかった。おびえていたウミも、職員室の中に入るとさすがにしゃんとするのか、捕まえていたソラの服を離して、ソラの横につかず離れず立っていた。
「失礼します……」と言いながら、ソラは先生達の机の前を通り、残っている先生の所に向かった。
 天井の照明が照らしている机には、向かい合わせに二人の先生がいた。ソラの思い過ごしか、どことなく、青い鳥を捜していたサングラスの男達に似ている気がした。一人はこちらに背を向け、試験の採点をしているのか、厚く束にされた書類にささっとペンを走らせていた。書類をはさんで向かい側に座っている先生は、机に目を落としたまま顔を上げなかったが、ソラにもウミにも、その横顔に見覚えはなかった。
「――あの」と、ソラが先生達に声をかけた。が、すぐそばに来ているにもかかわらず、先生達は、声が聞こえていないのか、顔を上げようともしなかった。
「ねぇ、先生」と、もしかして、本当に姿が見えないんじゃないかと思ったソラは、今度は大きな声で言った。
「ちょっと、お兄ちゃん」と、ウミがソラに聞こえるように小声で言った。ソラが見ると、ウミは眉をひそめて首を振った。
 うなずいたソラは、大きな声を出すことなく、もう一度言った。「すみません、先生」
 背中を見せていた先生の手が止まった。こちらを向いている先生も、やっと顔を上げ、二人に目をとめた。
「なにか、ご用ですか」聞こえたのは、二人の方に顔を向けている先生の声ではなく、机に向かったまま、背中を見せている先生の野太い声だった。
「あの、ちょっとお聞きしたいんですが」と、ソラは緊張した面持ちで言った。
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よもよも

2019-04-25 06:22:46 | Weblog
やれやれ。

朝から雨だわ・・・。

なんか暑くって、

寝苦しくて目が覚めたって、

冬のこと考えりゃ贅沢な話だわね。。

連休前でなんか周り見回しても

どこか浮き足立ってて、

確かにこっちもなんかいつもよりは

テンションが下がり気味で、

桜の開花が宣言されたってニュース聞いても、

「あっそ」って感じ。。

ああ、休みに入ったらまずは1日寝て過ごす。

? 変な目標だけど、心の叫びかも??
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