くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(28)

2019-04-28 21:28:46 | 「機械仕掛けの青い鳥」

 タン、タタンッ――。

 拳銃が二度、光を瞬かせて火花を吹くと、ヴァンパイアのような怪物は、よろよろと、胸に手を当てて崩れ落ちた。
 バサリ、とおびただしいほどの羽ばたきが起こった。目の前にいる怪物の姿が、急に輪郭を失い、ゆらゆらと陽炎のように揺れると、無数のコウモリが現れ、黒い固まりとなって、警察官に襲いかかった。
 コウモリに襲いかかられた警察官は、懸命に抵抗したが、全身にコウモリの大群をまとわりつかせたまま、力なくうつ伏せに倒れてしまった。
 逃げたソラとウミの二人を追って、コウモリが再び舞い上がると、身につけていた制服と拳銃を残し、警察官はその場から跡形もなく消え失せていた。
 横向きになったまま、力なく倒れている獣をやすやすと飛び越え、玄関に向かっていたソラとウミだったが、無数のコウモリが竜巻のような塊となって、二人の行く手に立ち塞がった。

「来るな!」

 と、ソラは着ていた上着を脱ぎ、ムチのように振り回して、襲いかかってくるコウモリを追い払おうとした。
 ウミは、しゃがみこんで耳を両手で押さえたまま、悲鳴を上げた。

「ふん――」

 と、風を切る音とともに声が聞こえ、サクリッ、サクッと真っ二つに切断されたコウモリが、ばらばらと廊下に落ちていった。
 きらりと光を反射する刃が、薄暗い廊下を何度も切り裂いた。

 チャキン――。

 黒ずくめの装束を身につけた忍者が、片膝を突き、剣を素早く背中のさやに収めた。
 わずかの間で、たくさんのコウモリが切り落とされたが、黒い塊となったコウモリの大群はひるまず、現れた忍者に狙いを定めると、竜巻のように渦を巻いて襲いかかった。
 と、懐に手を差し入れた忍者が、なにやら丸い物を取り出し、大きく振りかぶると、足下に投げつけた。

 ボンッ――。

 火の粉と共に霧のような煙があっという間に沸き上がり、目の前が白一色に覆われてしまった。
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