「あっ、お兄ちゃん、ニンジン」
ソラが見ると、ジーンズに少しだぶだぶなTシャツを着た男の人が、こちらに背を向けながら角を曲がっていくところだった。目にとめたのがわずかな時間で、はっきりと誰なのかはわからなかったが、ウミが言うとおり、後ろ姿は確かにニンジンそっくりだった。
ニンジンらしい人影を追いかけて、二人は息を切らせながら角を曲がると、
ドン――……
先に走っていたソラが、向こうからやって来た人と鉢合わせするようにぶつかり、後ろにひっくり返りそうになった。
「おっと、ごめんよ」と言って、ソラとぶつかった男の人は、腕を伸ばして転びそうになったソラをつかみ止めた。
「……」と、立ち止まったウミは、上目遣いにソラをつかまえた男の人を見た。
背格好はニンジンとほとんど変わらないようだったが、明らかに二人の知らない人だった。
ソラが「すみません」と小さく頭を下げると、男の人は、ウミが抱いている青い鳥を見て言った。
「もしかして、その鳥……」
「ごめんなさい」と言いながら、ソラはあわてたようにウミの手を引いて走り出した。
(困ったな、あっちにもこっちにも、青い鳥を捕まえようとする人達ばかりだ)
ソラがキョロキョロと、あちらこちらに目をさまよわせながら、ニンジンの姿を探して走っていると、格子柄のシャツを着た後ろ姿が、目に飛びこんできた。
「見つけた!」ソラは、思わず声を出していた。
ソラの声を耳にしたニンジンが、なんとなく後ろを振り返った。
妹の手を引きながら、こちらへ走ってくるソラを認めると、ニンジンは眉をひそめ、怪訝な表情を浮かべた。
「ニンジン!」と、ソラは大きな声で言った。「――見つけたよ」
と、その横から、黒っぽい服を着たシルビアが、顔をのぞかせた。
「――!?」と、ソラはあわてて足を止めた。グイッと腕を引かれたウミが、勢いのまま、思わず前に転びそうになった。
腕が棒のように伸びたウミは、肩がはずれそうになって「痛っ」と声を上げたが、落としそうになった青い鳥を、必死で胸に抱きしめた。
「おや……」と、ニンジンの後ろから顔を出したシルビアが、興奮したように目を見開いた。
「――魔女だ」と、ソラが小声で言った。
「魔女?」と、ウミがソラの後ろに隠れながら言った。
後じさりをする二人を見ていたニンジンが、「おい、どうした」と手招きしたが、ソラとウミはそのまま、くるりと背中を向けた。
ソラが見ると、ジーンズに少しだぶだぶなTシャツを着た男の人が、こちらに背を向けながら角を曲がっていくところだった。目にとめたのがわずかな時間で、はっきりと誰なのかはわからなかったが、ウミが言うとおり、後ろ姿は確かにニンジンそっくりだった。
ニンジンらしい人影を追いかけて、二人は息を切らせながら角を曲がると、
ドン――……
先に走っていたソラが、向こうからやって来た人と鉢合わせするようにぶつかり、後ろにひっくり返りそうになった。
「おっと、ごめんよ」と言って、ソラとぶつかった男の人は、腕を伸ばして転びそうになったソラをつかみ止めた。
「……」と、立ち止まったウミは、上目遣いにソラをつかまえた男の人を見た。
背格好はニンジンとほとんど変わらないようだったが、明らかに二人の知らない人だった。
ソラが「すみません」と小さく頭を下げると、男の人は、ウミが抱いている青い鳥を見て言った。
「もしかして、その鳥……」
「ごめんなさい」と言いながら、ソラはあわてたようにウミの手を引いて走り出した。
(困ったな、あっちにもこっちにも、青い鳥を捕まえようとする人達ばかりだ)
ソラがキョロキョロと、あちらこちらに目をさまよわせながら、ニンジンの姿を探して走っていると、格子柄のシャツを着た後ろ姿が、目に飛びこんできた。
「見つけた!」ソラは、思わず声を出していた。
ソラの声を耳にしたニンジンが、なんとなく後ろを振り返った。
妹の手を引きながら、こちらへ走ってくるソラを認めると、ニンジンは眉をひそめ、怪訝な表情を浮かべた。
「ニンジン!」と、ソラは大きな声で言った。「――見つけたよ」
と、その横から、黒っぽい服を着たシルビアが、顔をのぞかせた。
「――!?」と、ソラはあわてて足を止めた。グイッと腕を引かれたウミが、勢いのまま、思わず前に転びそうになった。
腕が棒のように伸びたウミは、肩がはずれそうになって「痛っ」と声を上げたが、落としそうになった青い鳥を、必死で胸に抱きしめた。
「おや……」と、ニンジンの後ろから顔を出したシルビアが、興奮したように目を見開いた。
「――魔女だ」と、ソラが小声で言った。
「魔女?」と、ウミがソラの後ろに隠れながら言った。
後じさりをする二人を見ていたニンジンが、「おい、どうした」と手招きしたが、ソラとウミはそのまま、くるりと背中を向けた。